困った事だ、どうにも彼等の心内の方が私とよく似ている。
共に切羽詰まり、どうしようもない理不尽さに-長年-付き合ざるをえない中、死ぬ事も儘ならず、さりとて生きる事に希望を持つ事も出来ず、目の前に温かい物があればそれが何であっても、どのような事であっても飛びついて暖を取ろうとするところなど同じだ。
同族意識がないとは言えないな。
手加減せんけど。
そして-普通-の中に居るのが時折苦しくなるんだよ。
光りの中で、温まる事を夢見て死んで逝ったのに、いざそうなると落ち着かない。
人は何かしら大なり小なり苦労や悩みがあるから苦労知らずな人はいないだろうけど、先に思った事の様な思いをする人などこの地上にはいないんだよ。少なくとも私の知る範囲の中では。
私だって自分で決めてこの身とを奔ってきた事に満足はある。
健康になって、他の人たち以上に世界を駆けめぐれて・・・そしてこの後だって・・・・・後ってあるのかな私に・・・・
「ティ・・・ティファ!」
「・・・あぁノヴァ・・御免少しぼっとしてた。」
埒も無い事を。不幸自慢なぞ最も唾棄すべき事だ。自分よりも不幸な人がいるとも言わないが、それによってヒロイズムを出す輩など屑だ・・・・・ブーメランが痛い。
如何、矢張り少しでも休めと言われたからとてじっとしていると碌な事考えんな。
其れよりも前だけを見て進まないと、今の状況の意地が出来ない。漸くマァムさんのミナカトールの光の柱が届きそうなんだ。
「あと少しだぞマァム!!」
「終わったらラーハルトに死ぬほど褒めて貰えんぞ!!」
「ティファの美味しいはちみつレモンティー飲めるわよ!!!」
「そしたらクッキーも頂戴ってたくさんリクエストしても全部聞いて貰えるよ!!」
・・・・・・・なにか・・ヒュンケル以外がおかしな声掛けをマァムさんにしてら・・
「ノヴァ・・・・あの掛け声って応援になってんの?」
「あ~、マァムさんとラーハルトさんが急接近したんだよ。」
「ほへ!!」
「だからあれはマァムさんへのご褒美になるし、後の三人が言った事も全部マァムさんがティファにして欲しい事だから正しいと思うよ。」
なんとま~、そんなこと聞いたら!是が非でも勝たないといけないじゃぁないか!
皆んなの結婚祝いは地上の完全勝利でどうだ!!!
「ティファ様!・・・」
「問答無用!!」
ズバァ!!
「イルイル!!次!!!さっさと斬られて筒に入れ!!!」
雪白片手に寄ってくる者達の勢いを利用して最小限の力で斬るので闘気量と筋力の差は埋め合わせられる!!
愛娘の慶事だ!!速攻で終わらせられるように頑張る!とりあえずラーハルト!
マァムさんお嫁さんにしたければまずロカさんレイラさんと私を説得してからプロポーズ申し込む様に!!順番間違えたらお仕置き決定だ!
「フエックション!!・・・・なんだ?」
「どうしたラーハルト?」
「いえバラン様・・・其の少々寒気が・・」
「あん?一度も熱どころか具合悪くなった事の無いお前がそれ言うのかよ。」
「鬼の霍乱か?」
「うるさい!!小娘!さっさと回収しに・・・・回収されたいのかお前は!!お前が刃物持つんじゃない!!ガルダンディー!行って回収して来い!!」
「・・・・ったくガキンチョは・・・」
「済まぬなお前達・・・」
ティファの思惑でくしゃみしたラーハルトは、戦場で雪白振るっているティファに怒り心頭に発し、ガルダンディーにティファ回収を命じながらバランを軸にして戦っている。
片腕がないだけでバランにはまだ気力も体力の十分あり、敵の攻めづらいところをあえて受け持ち、地上軍の支援をして回っている。
硬いとはいえボラホーンのアックスで隙を作り、ラーハルトがその中を乱れ付きにすればあっという間に装甲鎧は剥がされ、ガルダンディーのレッドフェザーを突き刺し赤い光の粒が敵の身から放出され体力を奪い、後から来た兵達に手足切らせている間にまた強敵の所に進む先鋒を取っており、これが見事に嵌っている。
隙が出来なければバランの紋章閃が斬り裂き、イオラを打ち込み最初の先鋒に戻るの無限ループ戦法の一丁上がりである。
これをして今の戦場を何とかトントンで維持させている。何せ後から後から魔王軍は捕えられた人数分をきっちりと補充してくる。
其れも彷徨う鎧だけではない。
パレス待機していた者達が次々に投入され際限がない!
弱音を吐きたくなるものが続出しかねない。だが、自分達にも後が無いので踏みとどまる以外の何が出来よう。
只々勇者達の魔法陣完成の為の防御が手一杯ではないか。
そんな中、慶事があったと晴れやかな顔のティファを見ている・・・見せられている味方の兵達がどの様な心情であるのか。
「ノヴァ様、我等はもう大丈夫です!」
「直ぐに戦場に!!」
「落ち着いて。君達は戦い慣れしていない。痛みで動けないのは命取りになる。もう少ししたら痛み止めが効くから我慢してここで待機だ。
大丈夫。料理人ティファが、本領発揮して戦場を支えてくれているからまだもつよ。」
年若いが自分より幾分か上の兵達相手にも諭し、そして安心するようにと言ってノヴァは次の患者の様子を見ていく。
ティファが生き生きとしている時は絶好調で、生中な事では均衡は崩させまいとする策を用意できるのをよく知っている。
現に筒がきれればすぐさま作り出し、今ではチウの獣王遊撃隊にも回収を手伝わせている。
ミストもロン・ベルクが足止めをしているのだから大丈夫だろうと、楽観ではないが信頼をしている。
何かあれば、精霊達がすぐさま自分に知らせてこようし。
手当てをし終えたカールの若き兵士の胸の内を知らずに。
「・・・・・あんな-バケモノ-を信頼するなんて他の国の者達はどうかしている!」
「その通りだ。我等だけでも惑わされぬようにせねば。」
いざとなればフローラ女王に奏上しなければいけないかもしれない。
-あんなもの-が味方であるはずが無いのだと。
若き兵達は頬を紅潮させながら内密の話を進めていく。
いざとなれば自分達が-正しい事-をせねばらならいと。
バーン達が何もせずとも、ティファがティファとして振舞えば振舞う程に、バーン達の策略の芽が面白いほどに芽吹いて行く。
カール兵達の内密の話は、悪魔の目玉がじっと見ていた。
今宵ここまで
ガルダンディーの技は原作では名無しでしたが、筆者愛用のドラゴンクエスト大辞典作ろうぜにて、この技に名前が出来たのが分かったのでこちらに乗せさせていただきました。
ちなみに白い魔力を奪う羽根はホワイトフェザーで、出典は星ドラだそうです。
原作では赤い羽根を喰らったポップから血が噴出していましたが、さすかにそれだとここでの味方もドン引きしそうなので、新アニメの赤い光の粒が、体力を奪う設定にしました。
そうしないと後続援護の若い兵達が引いて戦闘にならないと思いますので(;^_^A
これまで主人公が積み上げて来た良きこと悪きことがいよいよ齟齬を見せ始めました。
某眼鏡先生は果たしてどう動くのか、何時動くのか!