ご都合主義がふんだんに盛り込まれて、魔王軍は大慌てです。
よろしくお願いします。
【ティファよ!】『とうとう開戦じゃ。』[気を付けてね~]・・「はい。」
三神様の知らせで開戦を知ってやる気十分!!・・の筈が、人の神様のアンニュイ発言に脱力した。
でも大戦の長い日々を思えば力入れ過ぎは禁物か。
デルムリン島まで邪気が来るのにはタイムラグがあるので世界各国を式見発動で様子見をする。
パプニカ王国
「敵が押し寄せてきたぞ!」
「「夢のお告げの通りだ!!」
「あれはやはり神のお告げであった。」
悪夢を見ての一年!!耐えに耐えたうっぷんは・・
「ガイコツ・ゾンビども!!こいつを喰らえ!!」
聖水に無理やり油を混ぜた聖油を樽ごと投擲機で投げつけ「放てー!!」
メラ、メラミの魔法から、兵士の火矢で敵の陣形に打ち込み白兵戦を阻止している。
数は地底魔城から後から後から湧いてくる。
防衛線を一部でも食い破られれば後は雪崩れ込まれるのは必定なので遠距離攻撃に徹する!
兵士と騎士は戦い、一部は住民を逃がし・・近隣モンスターは呼応することなく魔王軍から逃げている。
前回の大戦では魔王軍と共に戦っていたのだが、今回はその魔王軍に怯えて逃げまどう。
破魔の石の効果がいかんなく発揮をされている結果だ。
今世界各地で暴れているのは生粋の魔界のモンスター達のみで、地上での現地調達の目論見が、
あえなく潰えた瞬間だ。
王国側よりの猛攻撃と、モンスター達の件で苛立った鎧を纏ったこの一団の軍団長ヒュンケルは激おこだ。
「たかが人間の攻撃如きが片腹痛いわ!!」自ら打って出て防衛線突破を試みてるけど甘いのだよ。
「いたぞ!隊長格だ!!」
「あの鎧には魔法は通じん!!魔法隊下がり!投擲隊前え!!」
「なん!!」ヒュンケルは驚き、出鼻をくじかれた。
たかが人の・・それも平和ボケした国を落とすのは訳が無いと・・父の敵アバンを打つ前の片手間位に考えていたことが、苦戦をし・・しかも魔装の秘密を知られていようとは!
「外から岩石及び爆弾攻撃じゃ!!」
「はい!バダックさん!!」
動きが一瞬止まったヒュンケルに対して兵站隊長のバダックが何故か指揮を執っている。
本来ならば補給が目的の兵站隊長がこの指揮を執る理由は至極当然。
今回のパプニカの防衛アイテム監修から作成は全てバダックの仕事。
「必ず火をつけて投げるのじゃ!目標及び周辺にもたっぷりと喰らわせて衝撃をお見舞いしてやれ!!!」
鎧には魔法が通じないと二月前に夢の啓示を受けた王国は、パプニカの困った発明王バダックに白羽の矢を立てた。
初期のころは何の呪いかと呪術師まで城に呼んで慌てふためいたが、夢より半年が経った頃より、地底魔城より複数の魔族の目撃報告が上がり、王国側は夢を悪夢としてではなく神よりの啓示かと考え始めた。
備えるだけならば害はなく、やって損にならない範囲で用意をし、バダックには鎧対策の命が下った。
人の好い老人で各部署に顔が効き人望もそこそこあるのだが、奇天烈発明で時折爆発騒ぎを起こしてしまう難ありだが今はパフニカの英雄殿!
「隊長格の奴うごかなくなったぞ!!」
「爆弾衝撃作戦成功だ!!」
「残りは聖油作戦で散り散りにして投擲で侵攻ルートをつぶせ!」
「防ぐぞ!!」奇天烈発明只今大活躍。
魔法が効かない・・剣の腕も達人以上との啓示をもらい、バダックが導き出した答えが爆弾の衝撃で気絶をさせて捕えてしまおうだ。
鎧をはぎ、手足の腱を斬り、この軍の目的を尋問しようとも目論んだのだが、向こうの配下達に助け出されてそれはならなかった。
それでも先の大戦のように、訳の分からないうちに多数の死傷者が出てきたときを思えば・・
「守り通し!!勝つぞ!!!」パプニカの兵達の指揮は落ちずに防衛作戦続行である。
ロモス王国
ロモスの魔の森よりクロコダイン率いる百獣軍団が突進するも「打ち方よーい!」
「放て!!」
ベンガーナの最新式の石火矢五基に、魔法団の攻撃に、兵達よりの大量の矢に怯んだモンスター達は騎士の突撃の槍に掛かり、ロモス側は互角の戦いを展開している。
「おのれー!!」連攻撃と石火矢の攻撃にクロコダインは怒りに咆えた。
「一対一で戦う武人はおらんのか!!」・・そんな者、今の戦局で居るわけがない!!
国家存亡の危機なのだから絶対死守もんだ!!
勝ってなんぼ!負ければ死の状況で決闘してられるか!!武人気どんなら大群で攻めてくんな!!
モンスター達を倒しつつ、兵士達はクロコダインに心の中で怒鳴り返して目の前の敵に向かっていった。
リンガイア王国
「将軍!夢よりの情報よりも・・その・・軍の規模が・・。」
「言うなホルス!夢と違うとはいえこの目の前の軍も十分脅威に違いはない!!全力を尽くすぞ!!」
「いいですか!バラバラに戦っては危険です!必ず集団戦法を持続させて戦います!!」
「はい!!」「いざとなったら僕が氷の壁で敵を分断します!!-主力-のいない今の内に敵を叩きましょう!!」
「はい!!」
「行きましょう皆さん!!王国と王と民たちの為に!!!」
作戦本部側の城内では-敵の規模の小ささ―と、まとめる隊長格が見当たらないことに戸惑い、
前線の騎士団長で、最初の突撃部隊を指揮しているノヴァは反対に今が好機と兵達に檄を飛ばして士気を上げて打って出た。
-夢の内容-は凄まじいドラゴンの群れと、隊長と思しきものが三人の恐るべき配下に命じてこのリンガイアを蹂躙するものであった。
逃げる案も出されたが、騎士の国リンガイアが一戦もせずに逃げるわけにはいかないとの
武闘派が穏健派を退けて、逃げる用意もしつつ一戦交えることになった。
(・・馬鹿なことを・・)全軍を統括するバウスンは将軍の地位であっても戦を回避して被害を抑え再起に一票投じた一人だ。
夢のお告げはリンガイアにては割と早い段階で未来に確実に起こる事と判断をされた。
この世界には高名な占い師はナバラ以外にもおり、この夢は予言であると断言をした。
不作から天候、あらゆる災難を予見し続けてきた占い師の言は重く、城内全ての者が見ることが決め手となり、ならばどのような対策をとるかが議論をされ今に至る。
夢の内容がすべて本当であるのならば人間がドラゴンの大群に勝てるわけもなし。
・・バウスンはそう考えて反対をしたのだが否決をされ、のみならずリンガイア史上最年少の騎士団長となったノヴァにも突撃部隊隊長の命が下され心中は怒りで燃えた。
だが愛息子は国の為にとその命を微笑んで受けたのだ・・もはや止められない。
もしも息子に何かあればと考えて大戦の日を迎えてみれば・・ドラゴンはおらず爬虫類系の獣人族と飛行モンスターのみ。
数はいるが・・この日の為にドラゴンを想定して訓練をしてきた者達からすればどうにかできる範囲内だ!!
主戦場ではノヴァを先頭にした部隊が戦闘を展開し、戦場より十キロ以上離れた山中にて
-主戦力-達は精霊の大群に足止めを喰らっていた。
「そこをどかぬか精霊達よ!」
「-退く訳が無かろう!何を血迷ったか当代の竜の騎士よ!!」
バランが精霊達に退くように怒鳴っても精霊達は一歩も引かない。
「人は存在に値せぬ!!滅ぼして何が悪いか!害悪を討つこそ我が本分!!」
「-他の者はいざ知らす、彼の地には我が精霊の愛し子がおる!!通すわけにはいかぬ!!」
「・・氷の精達を司るそなたが人に誑かされたか―ハイ・キング-!!」
誰だか知らないがリンガイアの地に氷の精霊王の加護を受けし者がいる。
かつて自分も人間を愛したが・・本性を知って愛想はとうに尽き果てている!!
バランは氷の精霊王ハイ・キングと付き従う精霊達を苦々しく思うも攻撃できずに、配下の三人にも攻撃を控えるように徹底させて足止めを食っている。
いかに魔王軍に堕ちたとはいえ、自分は竜の騎士の誇りを捨てたつもりは毛頭ない!
人間以外を傷付けるわけにはいかず、退くように言っている。
いざとなれば闘気で吹き飛ばすが大戦に期日があるものではなく、気長にやる心積もりでいる。
三日は精霊達に譲歩しても、四日後には押し通る!!
(愛し子よ・・無事でいよ・・。)
バランと対峙しつつ、ハイ・キングはノヴァを案じる。・・よもや生きとし生きる者達の守護者がこのような大戦に加担しようとは・・世も末だと嘆きつつ。
この地の氷の精霊達が一人の男の児を守護するようにしていると聞いて自分も会ってみれば、
澄んだ瞳をした今時珍しい程魂が清らかな少年だった。
礼儀正しく、精霊の加護を申し入れても遠慮をして困っていた優しい少年を・・堕ちた竜の騎士なぞに討たせるものか!!この身が果てようとも!!!
リンガイアの滅亡は精霊達に愛されたノヴァを有していた事により回避をされた。
オーザム王国
「温い!!温いぜこんな攻撃!!!」
「・・この・・化け物が!!」
「ヒャ~ハッハ!!皆まとめて死んじまえ!!!メ・ラ・ゾ~マ・フィンガーフレアボムズ!!」
神の啓示が無いオーザム王国は完全に不意打ちを喰らい、ハドラーの生んだ禁呪体フレイザードに呆気なく滅ぼされた。
「けっ!!こんなもんかよ・・にしても王族どもはどこだ?さっさと捜すか。」
兵を殺し、城を落としたが肝心な王増が見当たらない。
これではハドラー様に叱られちまうと頭をかきつつ王族捜索に向かった。
・・なんだか、原作よりも・・でも・・ノヴァ頑張って!!今日から三日食い止めれば
軍は一度引くはずだから!!
父さんとリンガイアは予想だにもしない方向に転がってくれた。
まさかノヴァが精霊の愛し子認定されようとは・・そのおかげで氷の精霊王が竜の騎士の父さんを止めに言ってくれて助かった。
三国は夢を信じてくれた。
今日からはカールに超竜軍団の事を知らせて逃げてもらう!
リンガイアと違って邪魔する者は現れないから即殲滅が目に浮かぶ。絶対阻止もんだ!!
パプニカは今の所持ちそうで・・そしたらバルジ島編無しかな?
ここまで大戦初日が知識と違っているんだから、知識ゼロの積りでやっていくのみ!!
培った本物の知恵と観察力を駆使して私の好きな人達みんなを守るんだ!!
・・こっちもそろそろ邪気が来た。三・四時間のタイムラグのお陰で世界の様子が知れてよかった。
この島には破魔の石は置いてない。今から現れる人物に怪しがられたら困るからだ。
それに-勇者に家庭教師-の凄さがじいちゃんとダイ兄に伝わるのがあの-マホカトール―だ。
宣伝も兼ねてやってもらう。
でも暴れて怪我されても困るので、毒蛾のモンちゃんから眠り粉の鱗粉を採って眠らせて蔦で手足ふんじばって安全確保をする。
これは私のアリバイ工作も兼ねている。
一大事に何をと聞かれても、島の裏手にいて皆を止めていたと。
「ブモォ~!!!!」「ギ・・キー!!!」
本格的に邪気が来て凶暴化が、考え事は後だ!!
「こらー!!」粉かけてふん縛っているところに「あたたたた~」・・何か変な奇声がもの凄い速さで近づいてくる。
一旦作業の手を止めて手近な茂みに隠れれば・・「ふぉあた~!!」
赤い詰襟服に真っ赤なブーツを履いた銀の髪を横ロールを二段にした黒ぶち眼鏡をかけた人が走り抜けてった。
先の勇者、アバン・デ・ジュニアールⅢ世がデルムリン島に上陸したか。
少しアバンが変人として書いてしまいました。
一年もしつこく夢に見せた甲斐あってパプニカ・ロモスは助かり、
リンガイアはプラスαのノヴァで滅びは回避され、主人公を驚かせました。
リンガイアは直前まで原作通りにするかどうか迷いましたが、ノヴァが好きな筆者は
助ける事にして、ご都合主義を発動しました。
以降カール王国は原作通りバランに滅ぼされます。
テラン・ベンガーナも変化はあまりありません。