勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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怒れる某変態さんから始まります


ティファの言葉・後編

あのガキ!!!絶対殺す!!アバンと同じ方法で魂までも殺し尽くす!!!

 

いつでも優美と優雅さを忘れないキルが、内心であっても口汚い罵倒をノヴァに向ながら、パレスの罠強化をせっせとする。

 

ティファは僕の者だ!!バーン様の寵姫だ!お前みたいな若造の者じゃない!!

 

何が明日教会に行こうだ!!そんなこと誰が許すものか!!!!教会に行きたい?首だけにして埋めに行ってやるから安心して逝け!!!!

 

殺気駄々洩れに全員ビビこく中、何となく気持ちが分かるので手伝っている全員がキルの思いに賛同する。

 

ティファ様に近寄るな害虫!!・・・・・お前と魔王軍こそがティファによりつく害虫だと、知れば地上軍は満場一致して叫ぶのを知らぬが何とかである。

 

その地上も、パレスと同じくらいの物騒な雰囲気に包まれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「未婚のお嬢さんに手を出すような子に育てた覚えはありませんよヒュンケル!!」

 

レオナの爆弾発言はティファの中の倫理観に諸に直撃し、アバンの腕からダッシュで降り立ち鬼の形相でヒュンケルに迫り、見ていた全員が一斉にレオナをじろりと見る。

 

この場で言わなくてもよかったじゃないか!おかげでヒュンケルが大好きなティファに叱られる羽目になってる!!

 

「落ち着きなさいティファ。」

 

迫られてたじたじとなるヒュンケルを見かねてアバンが助け舟を出す。こうも言われてはヒュンケルも言いずらかろう・・・いや別にいう必要はないのですかね?

 

「・・・・した・・」

「・・・・した?」

「・・・我慢した・・・」

「・・・我慢を?」

「・・・・・そういうのは・・・結婚してからしないといけない気がしたから・・」

 

した発言を聞いて地の底を這うようなティファの絶対零度の言葉に負けず、ヒュンケルは兜を取って片膝を付き、ティファの顔を見ながらきちんと話す。

 

「俺はエイミと結婚したい・・・・良いだろうか?」

「ヒュンケル・・・・」

 

師でもエイミの主でもエイミの両親でもなく、ヒュンケルはティファに同意を求める。

自分の現在の母親たるティファに。

 

「ヒュンケル、絶対にエイミさんと貴方の二人で幸せになってください。それさえ守れれば、、私はどんな人たちが反対しても必ず二人を応援して守ります。」

「・・・ティファ・・」

「安心してエイミさんに結婚を申し込みなさい。幸せになりなさい。家族を作って守って笑って幸せになりなさい。」

「ティファ!必ず・・・エイミと笑いながら共に生きて行く・・・絶対に俺が守る。」

「貴方ならきっとできますよヒュンケル。」

 

自分に何度も泣きつくヒュンケルを、ティファナ何度でも抱きしめ優しく頭を撫でていく。

其れが自分とヒュンケルとの約束であるかのように。無償の愛を何度でも与え続ける。

 

意外とヒュンケルは古風な所があり、ある意味でダイ達以上に純情であった。

昨夜決戦前に思いを遂げたいエイミを、あらゆる言葉で説得した。とは言え共にいたいのでエイミをシーツに包み込み、胸に抱きしめて一晩を過ごした。

柔らかい素肌が触れようものならば自制が効かないのは分かっていたので苦肉の策。それでも眠りに落ちるのには随分と苦戦した。

始めはどうして駄目なのかと泣いて縋るエイミにぐらつきかけたが、俺の意志は決まっている!

 

「・・・・ティファに俺とエイミとの仲を祝福してもらってからがいいんだ・・」

「ヒュンケル・・・そう・・・そうよね。そうしましょう。」

 

エイミはその言葉に物凄く納得をした。自分もティファさんに祝福してもらいたい思いがあるのだから。

 

・・・・そのまま帰ろうとしたエイミを引き留めるのにもまごついたが、今朝の目覚めは俺の生涯の中でも-二番目-に良かった。

 

一番は言わずと知れたダイ達に負けた後、ティファにレモンティーを初めて飲ませて貰ったあの時だ。

 

 

・・・・・・ヒュンケルはすっかりティファに懐いていますね~。

しかし不思議です。

 

「ティファもヒュンケルも随分と古式ゆかしい考えですね。」

 

実は二人が言った未婚云々は、平民や貴族であっても王族急でない限り考慮されずになってから幾久しく経っている。

単純にいつ死ぬかもしれない戦乱の世が続いたのと魔王騒動も相まって、思いが通じるうちにというのが一般的になり、いわゆる出来ました婚も相当な家柄か余程の事でない限り誹られる事は滅多になく、ロカやレイラの様な事の方が多い。

 

「・・・・バルトス父さんが、好きになった人は大切にしなさいと・・・」

 

アバンの問いに、ティファを抱えたままのヒュンケルは真っ赤になりながら答える。エイミは大切にしたい好きな女性なのだと。

それにこれは実はミストの影響も多分にある。

 

ミストは言葉こそ少ないが非常に礼儀と礼節を重んじ、慣例に従う事を是とし、弟子にも戦うだけのとりえのないバカに育つのを許さず、合間を見ては一般教養を教え込んできた。

話さないので専ら本だが、読みかけの時だけは言葉少なに教えた甲斐があり、漢字だ平仮名だカタカナだがないローマ表記と同じ文字なので一文字一音は直ぐに覚えさせたので上手くいき、結果教えた礼儀が数千年前の礼儀なので端々で古式ゆかしい戦士に育ったりする。

 

ちなみにティファの方は言わずもがな前世の記憶の方に引きずられ、未婚のお嬢さんに手を出したら駄目でしょうを地で行っているだけである。

 

それを傍らで聞かされたバランは耳が痛い!!

 

未婚のソアラに手を出し!あまつ父王に弁明も何もせずにソアラを攫って逃亡したという、今だからこそわかる最悪の事を仕出かしてしまったのだから!

 

あぁしかし、そのお陰で私はディーノとティファを授かれた・・・・後悔はすまい。私の残りの人生は、二人を見守ることに全てを費やそう。ソアラの分までも。

 

「ティファ、そろそろディーノ達をパレスへと・・」

 

見守るだけではなく、楽しい時間を潰すのは忍びないが誰かが声を掛けなければ。

 

 

「はり!そうです、兄達そろそろパレスに行って・・・罠どう解除しよう・・」

 

バラン父の言葉に一同はっとなる。

そうだった!結婚も幸せも、全ては勝たなければ訪れない!!

 

「ふっふっふ!罠は私に任せなさい!!!」

 

キルトラップ絶対に必殺技の域に至っているだろうと予測したポップとティファが頭くっつけて悩む前に、アバンの高らかな笑い声が響き渡り。デュワ!というおかしな声もばっちし聞こえた!!

 

・・・・どうしよ。先生尊敬してるダイとティファに見せたくない予感が!!

 

ポップとマァムとヒュンケルもよく知っている!このテンションの時のアバン先生は・・・

 

「・・・何すかその眼鏡・・」

 

お茶目な事をして楽しむときの先生だ・・・・なんだあのダサいぐるぐる眼鏡は!!

見てくださいダイを!先生の初めてのお茶目に唖然としてますよ!!あぁ・・この先生見てがっかりしないでくれよティ・・・

 

「可愛い眼鏡です!!!」

 

はい⁉

 

「そのぐるぐる模様とっても素敵ですアバン先生!!」

 

ホワット!!!!

 

「そうでしょうそうでしょう!この良さが分かりますかティファさん!この眼鏡はミエールの眼鏡といって、可愛いだけではなくて隠し罠を見つける優れものなのですよ!!そうです、この眼鏡ティファさん掛けますか?」

「え!いいんですか?」

 

ちょっと待って先生!!そこで喜ばないでくれティファ!!!

 

「先生!!それ俺!俺が付けます!!俺が罠の場所見つけて指示出ししたいんで俺に下さい!!」

 

ナイスだポップ!!

 

アバンとティファ以外の慌てふためく者達心の声は満場一致した。

ティファにそんな妙な者掛けさせないでくれ!!お前の尊い犠牲は無駄にはせんぞポップ!!

 

 

「そうですか?でしたらこの罠を壊すドッカンハンマーは・・・」

「・・・俺が持ちます先生。」

「ヒュンケルですか、頼みますね。」

「はい。」

「それではティファさん、そろそろ眼鏡を返してもらってもいい・・・」

「・・・先生・・・また私に-さん-付けるんですか?」

「あ!・・・あぁ・・・」

「・・・・・寂しいです・・・・」

 

・・・やってしまいました・・・

 

しょんぼりとさせてしまったティファを見て、アバンは自分がやらかしたのが分かり思わず天を仰ぎ見る。

 

どうにもティファには意識して呼ばないと敬称を付けてしまう。

どうしても、ティファを尊敬する気持ちが先立ってしまい、ついついさんを付けてしまう。

其れが他人行儀だと、ティファを寂しがらせてしまうようで・・・

 

クイクイ

 

・・・ん?

 

「どうしましたかダイ君?」

「あ・・・やっぱり・・・アバン先生、ポップ達には君やさん付けないのに、どうして俺達だけにはつけるんですか?」

「・・・・・ダイ・・・貴方も嫌ですか?」

「・・・・ティファも俺も先生大好きなのは皆と同じなのに、寂しいよ。」

 

ダイも意を決してアバンの服の裾を掴んで引っ張り、自分も嫌だと主張する。

ティファも兄の横に並び立ち、同じ様にアバン先生の服の裾を握ってじっと見上げる。

 

・・・・・瞳潤ませて見つめられるともう幸せで死にたくなってきます・・・

 

「分かりました。ダイ、ティファ、これからは二人に敬称を付けません。」

「!!はい!!」

「・・・へへ・・」

 

まるで宝物を貰ったように無邪気に喜ぶ二人にをアバンは優しく頭を撫でて、ティファに眼鏡を返してもらう。

 

「ティファが付けて上げます!!」

「お願いしますねティファ。」

「へへ・・・じっとしててくださいね。」

 

其れは王の戴冠式の様に厳かに、片膝を付いてティファが自分に眼鏡をかけやすいようにしゃがむアバンは、瞳を閉じてその時を待つ。

 

ゆっくりと、眼鏡が顔にかかる感触に身が引き締まり、耳にかかり-全て-が自分に戻ってくる。

導き手としての自分の役割全てが。

 

瞳を開けたて一番に目に入ったのは、満面の笑みを浮かべたティファの美しい笑顔。

 

「お帰りなさい、アバン先生。」




今宵ここまで


アバン先生の弟子一同の幸せフラグ全部立てましたが、フローラ様とアバン先生はもう少し後にする事にしました。
プロットでは、主人公に諭してもらおうとしたのですが、書き進めていくうちに、主人公がアバン先生にそれを言うのは烏滸がましいと思い、予定を変更させていただきました。

最後の方に書いた、ダイと主人公のワンコロのような目でアバン先生を見上げる可愛い二人を想像してもらえれば筆者としては嬉しく思います。

長らくお待たせしましたが、次回ガルヴァス達と、ハドラー達が登場します。
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