勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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道化にも最後の意地を持たせてみる


道化の意地

「新生六大将軍と名乗った割には片腹痛いわ!!その程度の実力で俺にとって代わろうとしたとは笑い話もいいところだ!!」

「う・・グゥ!!其の力を!!!何故大魔王様の御為に振るおうとしない!!我等が故郷たる魔界の為に何故使わん!!!」

「そう決めたからだ!!俺自身がそう決めたからだ!!!!」

「・・・あの小娘が!貴方を惑わし引きずり込んだか!」

 

忌々しい!!配下の者達は皆竜騎衆と大ネズミ一匹に仕留められた。

ティファにかかわった者達皆が、何かしらを変えられそして力強くなっている事実に、ガルヴァスは認めることが出来ずに幾度も暗黒闘気の槍を振るってハドラーと激突するも、次第に押され始めている。

 

膠着していた戦場が徐々に流れが変わり出す。

ダイ達がパレス内部突入して以降、其れ迄補充されていた魔王軍がぱたりと来なくなっている。

 

ダイ兄達が上手くやったか、勇者達を最優先にしているのか・・・時刻が迫っているのか・・・

 

日が少し傾いている。処刑演目からあれから三時間は経ったのかな?とすると、日没まで後・・・三時間切ったか・・・・精霊王達からはまだ何も知らせがない。

 

順調であれば送らなくていいとは打ち合わせ済みだから、きっと細工は流々仕上げを御覧じろになっているのか。

 

後たった数時間でこの世界の全ての事が決する。

 

それにそろそろかな?

 

「喰らえ!!超魔爆炎覇!!!!」

「あ‥‥・グゥアアアアア!!!!」

 

自身の闘気と魔炎気を極限まで高め合い、ハドラーは必殺技を出しガルヴァスを斬り伏せた。

 

「・・・そ・・そんな馬鹿な!!あれは・・あれには最高の技術の粋を!!!」

 

ハドラーの技は凄まじく物理防御の高いフォレストドラゴンの皮膚を移植され、かつ同じ魔炎気使になったガルヴァスを袈裟切りにし正面撃破で下して見せた。

 

ガルヴァスは暗黒闘気の槍に魔炎気を練り込んでみたが、火炎系の技はハドラーの方が一日の長があり、技の練度で敗れたのだ。

 

 

一目で強敵と知れるガルヴァスを敗っても、驕り高ぶる様子の無いハドラーにアバンは空恐ろしさを感じ冷や汗が流れた。

 

ハドラーは一体どれほどの強さを持ちえたのかそこがまだ見えない。敵であればこちらの勝率はぐんと落ちていたでしょうね~。

 

今は共通の敵を討つ身であってくれて助かったというのが本音であった。

 

戦場から櫛の歯が欠けたるように少しずつ強敵を打ち破り、遂にはガルヴァスまでも敗れ去り、チウがハドラーに断りを入れて筒に入れようとしている。

 

「・・・・何故殺さん?憐みか?慢心か?」

「ふん、敗れた者が己の処遇に異議を申し立てるとは見苦しい事この上ないぞ。」

「私達を今殺さずにいれば後の禍根となるぞ⁉それとも、筒をマグマの海に纏めて沈めるか?一体捕えた者達をどうするというのだお前達は!!!」

「知らん!」

「・・・・なんだと?」

「この作戦を考えついたのはそもそもティファだ。そしてこの筒もティファのもの。お前達の処遇を考えてもいよう。」

「・・・貴方は!どこまであの小娘に誑かされれば!!」

「それにもうこの地上の攻防戦にも意味は無かろう。」

「ッ!!」

「勇者達が大魔王の居城に乗り込んだ時点で、ロロイの谷での戦闘の意味はなくなっていた。精々ティファと俺達の足止めを狙うくらいのものであろう事はお前だとて承知の筈だ。豪魔軍師ガルヴァス。」

 

・・・癪だが、ハドラーの言う通りだった。

 

ロロイの谷での戦闘事由は三つ。

 

一つはティファ処刑の為

二つは勇者達が画策しているであろうパレスへの侵入阻止

三つめはファブニールの竜を元にした五重の罠の実行

 

それら全てがついえた時点で、ロロイの谷での戦闘の意味合いはなくなっていたのを、軍師を名乗るガルヴァスも当然知っていた。

だが、まだ戦闘を継続するだけのメリットもあった。

ダイ達と合流する前に、ハドラー達を始末する事。

 

其れも途中までうまくいっていたが、矢張りティファの支援に阻まれ潰えさせられた。

 

パレスで捕虜として過ごしていたティファを、わが身と配下達の命を使ってでも殺すべきであったのだ!!

 

今更言っても詮無い事か。

こうなるのもバーン様の中では織り込み済みで、現に自分が敗れて慌てているのはザボエラ唯一人であり、ミストバーンはこちらを一瞥もくれずに魔界の剣士と激突を続けている。

 

駒であったは我等の方・・・

 

ハドラー達が駒にされたとティファは言っていたが、その身を惜しみ、去った後も口の端に昇る駒などいる者か・・・

 

ティファと主が話の中でハドラーの名が一度出たのを周囲の噂で聞いている。あの者こそ一流の戦士というのだというティファに、その通りだと、主は言葉少なくだが称賛していたと。

駒にされた者からすれば身勝手かもしれないが、バーンは今でもハドラーを評価し続けている。

使い捨てにされいつまでも影にいる自分達と違って・・・・

 

「イルイル。」

 

埒も無く、遣る瀬無い思いと共にガルヴァスが筒に入れられ捕えらたその時、ミストはバーンからの念話で指示を貰っていた。

 

その戦場はもうよい、戻ってまいれ。

畏まりました

 

長年の主従関係にある二人は、これだけで意図が全て伝わる。

ガルヴァスのいなくなった今、その戦場でハドラーを仕留められる者はいなくなっった。

であるのならばパレスへと来させ、キルトラップと温厚している魔王軍をぶつけて消耗させて自分達で潰すのが効率がいい。

そして時間もだいぶ費えさせている。残りの半分をパレスで潰させ地上を消せれば、勇者達が健在であろうとこちらの勝利である。

 

そもそもの勝利条件からして地上側は不利なのだ。

地上側は地上消滅までに総大将たるバーンを倒さなければならず、バーンは定刻になれば柱を落として素早く黒の核晶を起動させて魔の六芒星を地上全体に発動させて消せばいいのだから。

 

地上側はその時が何時かは分からず、神経戦の様相も帯びてきている。

あらゆる意味で勇者達を翻弄し消耗させればいい。

その為にパレスに戻れという主の言葉を受けたミストは、ちらりとティファを見る。

自分がパレスに戻った後、ティファは-あれ-をどうするのか・・パレスに行かせてもさして役にも立たなかろうし、あれの切り札も使える状況でもない。

ティファに好きにしろと置いて・・何をしているのだあいつは⁉

 

 

ティファをちらりと見たミストはぶっ飛んだ。

アバンの腕からぴょんと飛び降り、そのまままた空中を蹴って一気にザボエラに迫り抱え上げてまじまじと見ているではないか!!!!

 

「「「「ティファ⁉さん⁉殿⁉」」」」」

 

多種多様な驚愕の声が、ティファの下に届いた。

 

「小娘!!今すぐそいつを俺達に向けて投げろ!!勿体ないが槍の錆にしてやる!!」

「いんや!俺のレイピアで膾切りに!!!」

「怪力で一捻りよ!!!」

「俺のアックスの錆にしてやる!!!!だからティファ!こっちに投げろ!!」

 

竜騎衆はじめ、クロコダインも-やる気-満々なのだが、当のティファは微動だにせずザボエラをじっと見て、そして溜め息を吐いた。

 

「・・・・う・・・く!!何のじゃ小娘!!お前の慈悲深さとやらで儂も助けてくれるとでも言いたいのか?」

「・・・・だったら?生き延びれるかもしれないから私に媚び売ってみる?」

 

原作でのこいつだったら喜色満面で私に全力媚び売りして、隙ありとばかりに襲い掛かってくんだろけど・・・

 

「きっひっひっひっひっひ!!ひゅっははっはっはっは!!!」

 

ティファの言葉を受けたザボエラは、突然体を捩じらせながら笑い出した。

ミストをしても、ザボエラは恐怖で狂ったかと思う程の甲高い声で笑い出したのを、ティファは狂ったとは思わずに別の事に思い至り内心では、ザボエラは矢張りザボエラかとうんざりとした。

 

 

喜ぶように大笑いしているという事は嘘の媚び売り確定か。

 

息子であるザムザに、物凄く大問題ではあるが護身用として黒の核晶を渡しているから少しは違うかと思ったのだが、一緒かと。

 

だが、ティファの予想は思いがけずにひっくり返された。

 

 

 

 

「死んでも断るわ!!!」




今宵ここまで


最早ミストバーンにも心中であれ呼ばわりされ捨てられること決定のザボエラですが、原作のザボエラと違いを出す分岐点のフラグをあちこちに立ててみて、しっくりと来たザボエラが、主人公の申し出を蹴っ飛ばしました。

次回でザボエラの事に決着を付け、主人公と主要キャラ達もロロイの谷での戦闘終了となります。
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