「ティファ!!!」
詠唱の声が聞こえる前から分かっていた。
ティファがパレスに上がってきたのが。自分達が温かいあの気配を間違えることなどあり得ない!
レオナに慰められていたマァムは、声を掛けられる前にティファに駆け寄り・・・・否、走り出し両手を広げティファに抱き着き
「ティファ!!ティファ!!!!」
幾度もティファの名を泣き叫んで縋りつく。
怖かった・・・恐ろしかった・・・・自分が手痛い目に遭った訳でもないのに心た痛くて狂いそうだった!!!
「ふうぅぅぅえぅぅ・・・」
・・・・耐え切れなかったか・・・
「マァムさん、敵はもういません。」
何があったのかを察したティファは、ゆっくりと座り込んでマァムを好きなだけ自分に抱き着かせ、背中に当てている手をポンポンと叩きながら、戦場にいるとは思えない程の穏やかなゆったりとした声でマァムをあやす。
「大丈夫、大丈夫ですよ。」
優しく何度も何度も。
そのティファとマァムの周りに、自然とダイとポップ・ヒュンケルも近づいて、二人を囲むように輪が出来る。
「ダイ兄、ポップ兄、レオナ姫もおいでなさい。」
マァムの泣き声が小さくなったのを見計らい、ティファは小さな両手を三人に向かって広げた。
おいでと
「・・・ティファ・・」
「う・・・くぅ・・」
「ふぅぅぅ・・・」
ティファの声に誘われるように、三人もティファの両肩と開いている背中に縋りつく。死兵の事もそう、もう少しで親友を喪いかけた衝撃と、寸前で死に掛けた衝撃の恐怖に、二人は打ち震えていたのをティファが見逃すわけもなく、慰める為に。
泣く四人を、ヒュンケルはもとよりティファと共に来たアバンを始め、ハドラー・ラーハルト・クロコダインは四人を囲んで守り、チウは三人の背中を順繰りと優しくさすっていく。
ほんの少しでも温まってほしいと。
寒くて、痛い事も、ティファの声が不思議と温めて癒してくれる・・・其の温もりを、誰よりも知っている四人の内三人は、敵地の中なのを知っていても、どうしてもティファに温めて欲しく、暫くして顔を上げ子供四人組は真っ赤な顔をしていた。
「ティファ・・・・ごめん、敵の陣地の真っただ中で・・・」
「俺・・・俺・・・」
「ごめんなさい・・・取り乱し過ぎて・・」
「ティファ・・その・・・」
何かを言わなければと焦る四人に、ティファはクスリと笑ってしまう。
まるでつまみ食いを見つけられた子供の様だと。
「ダイ兄、ポップ兄、レオナ姫、マァムさん・・・其れとヒュンケルもおいでなさい。」
「・・・・俺もかティファ?」
「そうです。早く来なさい。」
いきなり呼ばれて戸惑うヒュンケルに、ティファは毅然とした声で呼びつける。
まるで旅をして知る間の、あの何をも怖れないと思っていた料理のティファの声に、ヒュンケルは逆らう気もなくなり直ぐにティファのもとに向かい、目線が合うように片膝を付いた時次の指令が下った。
「全員口を開けなさい。」
その言葉に、五人は何の疑問もなく口をぱくりと開けば。
「お食べなさい。」
丸くて大きな甘いアメが、口の中にそっと入れられた。
甘い味、ティファがくれる物はいつでも甘くて優しい。
その甘い優しさに、マァムは口の中の飴玉をころころと転がして味わい、何時の間にか泣き止み、ヒュンケルは二つ目も食べたくて噛んで早く消費しようとしたのを察したティファが、自分の口に左手人差し指をにっこりとしながら押し当ててい来た。
「駄目ですよヒュンケル。アメは一日一粒にしておきましょう。」
柔らかい笑みで、悪戯っ子を優しく咎めるような言葉に、ヒュンケルは見透かされた事と、アバン先生にも自分の駄目な所を知られてしまった事も思い至り物凄く赤面し、そばで見て聞いていたダイ・ポップ・マァム・レオナはティファを取り囲みながらも顔を見合わせ、そして吹いてしまった。
「ヒュ・・・ヒュンケル!!アメ・・・そのまま舐めていた方が・・」
「っひっひ~ダイ!そんなに笑ったらヒュンケル可哀そうだぞ」
「ふふ・・そういうポップだって・・」
「駄目よマァム!ヒュンケルは近頃エイミにもアメの注意受けて・・・アッハッハッハもう駄目!!」
緊張の糸が途切れたように、お子様四人組はひとしきりに笑い、そんな四人に憮然としながらも、ヒュンケルも次第に笑い出す。
あぁ、いつもの自分達になれたのだと安堵しながら。
どこにいても、どんな時であっても、笑えるようにしてくれるティファが側に居てくれるのだと。
その様子を微笑みながら見ている大人達の事に当然気が付き・・・・自分の事を本当にこいつ大丈夫かと見ているラーハルトの視線が少し痛むが・・・仕方がないではないか。
アメは大好きなアバン先生とティファの思いが詰まっているのだからと内心で言い訳している。
「まだここは序盤ですが、もう少し行った先で休める所を確保します。
そこではちみつレモンティーを飲みながらお昼ご飯に・・・・」
休めるようにしましょうと言いかけたティファは、前方から気配を感じ取った。
「チウ君もここにいてね。どうやら-私のお客さん-の様なので挨拶してきます。」
気配からして数十人。先程よりもかなり少ないが全員が警戒をする中、立ち上がったティファはゆっくりと一番先頭で構えているハドラーよりも前に出る。
当然止めようとしてハドラーが口を開く前に、ティファは左手を斜め下に下げて静止を求め、無茶はしないと笑って目で訴える。
・・・・こ奴は本当に。
「アバン、何かあったら即座にベギラゴン放つから少しだけティファの好きにさせてやれんか?」
「・・・・・甘いと、言わざるおえませんが少しだけでなら。」
ティファに甘くしないと言いながらも矢張り甘くなるハドラーに、アバンは溜め息を吐きながら両脇にいるラーハルトとクロコダインにも、ハドラーの提案を了承すると小さく頷き、二人も闘気を練りながら、ティファを敵と相対させることにした。
もしやパレスで知り合った者が、今生の別れに来たのかとも思い至り。
「嬢ちゃま!!!」
「あぁ~・・・・地上で見かけないと思ったら、此処の守備隊についていたんですか-ゴムラ-さん。」
ティファは会ってしまったかというより、会っちゃったという位の気軽さで、先頭に立つアークデーモンのゴムラに言葉を掛ける。
言葉遣いこそ田舎言葉だがこのアークデーモンは実に凄い奴であり、この前半部分の守備隊長をバーンより個体名の名と共に直接任命を受けている強者であり、一声かければ数百の配下が一斉に手足の如く動くというカリスマ性の持ち主だったりする。
個体名持ちだけでも凄いのだが、本人は自分が凄いという自覚がとんとない。
「いんや~。おらみたいなもんに名前さつけて下さる大魔王様はやっぱりすんごく優しくて凄いお人だやぁ~。」
とか豪快に笑って、嫉妬しやすいザボエラの毒気をも抜いてしまったと言う偉業を果たした本当に凄いお人が、配下を引き連れ目を三角にいからせティファに対峙し…戦いの火蓋が着られるかと誰もが思ったその時。
「いい加減大人しく捕まりなせぇ!!バーン様が困ってますだよ!オイタが過ぎるんだったらおらにお尻ぶっ叩かれてれても文句は言わせねぇだよ嬢ちゃま!!」
ズッシャン!!ドっシャン!!!・・・・・・ホワット?
・・・・・・その言葉にティファは目を点にして沈黙してしまい後ろで見守っていたダイ達は無論の事、シリアスモード決めていた大人組までもがずっこけた。
すわ親しき者達が涙を流しながらの悲しき戦いになるかと力を溜めて、全力援護を決意していただけに、その何処までも田舎のおっちゃんの言い回しと話の中身と、発せられているハドラーには届かなくともその位置の配下くらいにはなれそうなその強さとのギャップにこけたのだ。
どう考えてもあれは滅ぼすべき敵に掛ける言葉ではなく、大問題を巻き起こしている困り者の身内に掛ける言葉だ!!
「ダ・・・・ダイ・・・俺・・・・怖がり過ぎて空耳が・・」
「ポップ・・・今聞こえたの本当だよ・・・」
「・・・もう嫌!どうして敵の誰も彼もがティファに対して我が物顔すんのよ!!あのアークデーモンのして黙らせてくるわ!!!」
ポップとダイは現実逃避しかける中、ティファは私達のティファよを標語にしそうなマァムがとうとうキレて立ち上がり、全身に力を込めてアークデーモン・ゴムラに向かって叫び上げた。
「ちょ・・・マァム!!チウ君!ヒュンケル!!ダイ君とポップ君もマァム止めて頂戴!!!」
「落ち着いてマァムさん!!」
「マァム!ティファに貰ったアメがまだ口の中に残ってるだろう!!味わって落ち着い・・」
「私アメ馬鹿じゃないのよヒュンケル!!」
グサリ!!!
妹弟子の八つ当たり気味の一言に、ハートをブレイクされながらもヒュンケルは耐え抜き、本当に突っ込んでいきそうなマァムを羽交い締めにして押し止め、辛うじて立ち直ったアバン達はふらつきながら立ち上がる中、初期に戻ったティファはプルプルと身を震わせ心の中で大絶叫した。
誰かこの状況の説明してよ!!なんで私はバーンの身内枠で物言われてんのよう!!!
ゴムラさんの後ろにいる配下全員も何でその通りだって頷いてんのよう!!!!
さっきまでこれぞ三界の命運決する一大決戦のシリアス雰囲気どこ行ったのよ!!
家出したんなら帰ってきて!!!!
「・・・・・・あれって完全にお嬢ちゃんの日頃の行いのツケによる自業自得ですよね・・」
「・・・あれは本当に真面目な空気を壊すのにでも長けているのか・・」
「・・・・(胃薬欲しい)」
とうとうティファもパレスに上がってきたと、悪魔の目玉で注視していた大魔王と其の従者達も、三者三様の感想をしみじみと持つ。
ゴムラがティファを身内枠に入れるのは、敵なのにあれだけ楽しく接していたのだから自業自得だろうと、さしものティファ大好きっ子のキルも呆れてしまい、流石にこの決戦では真面目な空気の儘自分の前に現れるだろうと思っていたバーンは右手人差し指でこめかみを揉みながら溜め息を吐き、ミストは本気で胃薬欲しくなっている。
ティファが知ればさらに絶叫していているだろう。
私自分の身分偽っていませんよ!!きちんと捕虜のティファですって言ってました!!
あの生き生きと楽しそうにしていたティファを見て、誰が本気で捕虜だと思うのだという突っ込みも漏れなくセットになる大絶叫を。
今宵ここまで・・・
筆者がシリアスに耐え切れず!都合の良い事にこの作品はコメディーも謳っており、主人公はシリアスブレイク力があるので強権発動させました!!(これで読者減っても・・・・悔いはあっても書きたかったのでお許しを・・)
そしてパレス内でのホワイトガーデンにて、ミストバーン相手にシリアスブレイクをしたアバン先生の代わりともなっています(`・ω・´)(本当かな?)
そして目的は達成!これで良い子全員の心は(無理矢理)解されました!!
次回はゴムラさんが出て来ただけの事はある話で締めくくりますので厭きれずにお読みくだされば幸いです・・・