まったく仕方がないお方だ。幼少の頃から何も変わらずにいるのは良い事なのか悪い事なのか。
周りでアバンとクロコダイン・ハドラーまでもがこけた中、ただ一人ラーハルトだけがクスリと笑ったっきりで後はいつも通りに自然と周りを警戒している。
今更だからだ
ティファが誰かれ構わずいつも通りなのも、そのせいで相手がティファに魅かれるのも今更だ。
何せその元祖は我々だ!・・・とかいう妙な自負がラーハルトには有り、此処にいればガルダンディーもボラホーンも、ティファ様らしいと笑っているだろう。
しかしマァムの言う通り、矢張り敵を公言している者達がティファ様を自分達の者だと言わんとするのは面白くない。さっさと潰しておきたいところだ。
それに・・・・そろそろ・・・来たか。
パレスの入り口にあたる、鳥の頭の部分の前半守備に就いているのはゴムラ達だけではなく、当然ティファの事を知らない者達がいるのは当然であり、先程から仕掛ける気のないゴムラ達に痺れを切らした一団が、殺気を振りまきながらダイ達、特に一番前にいるティファを目掛けて来た。
「退けゴムラ!!!射線にいるなら俺達の魔法の餌食になっても文句は言うなぁ!!!」
其れはアンクルホーンとにじくじゃくとれんごくちょうの三種族だけで形成された飛行魔団。
地上で戦ってもよし、其れから爆撃するもよく、地・空戦のスペシャリスト達が、文字通りティファ目掛けて飛んできている。
アークデーモン・ゴムラの一団は、何の拘りもなくアンクルホーンの言葉に従い直ぐに体を両脇に割れさせティファへの射線を綺麗に開けてもせた。
ゴムラが両腕を左右に動かすだけで見事な程の号令一下の動きであり、統率された軍の動きを始めてみたダイ達が本気で見惚れたほどの洗練された動作であった。
だが、其れはティファへの攻撃の道筋が出来た事に他ならなく、大人達はすぐさま武器を構える。
どれ、突っ込んでくるのならラウシースピアではなくハーケンディストールの出番か。
魔法が来たのならばアバンが相殺法の海波斬とやらかハドラーが対処しよう。
あの距離からの攻撃であれば、ティファ様ならば魔法を避ける事等造作もないと、ラーハルトの一瞬の思考の内に、
ティファ様から視線を切ったのはほんの一瞬、其れもゴムラ達が動く気配がないかの確認をしたほんの一瞬だけで全てが終わっていた。其れだけの瞬の間に、ガシャンという音が聞こえたきりでティファの動きそのものが見えなかった。ティファが何か物を壊した後敵を筒に入れた事しか分からない!
「ティファは・・・小瓶を地面にたたき割って中の粉末を振りまきながら超最速で敵をすり抜けて、その直後にふらつき始めた敵全てを筒に入れたのです。」
槍を構えたまま呆然とし、後ろでもティファが何をしたと唖然としている子供組に、アバンが解説してくれた。
其れは言葉にすればそれだけの、しかし不可能な程の戦果であった!
其れをなした当人は余力を以てにこやかに微笑んでいる。
楽な対策で戦果を挙げられたとホッとして。
いづれも魔法力のみならず、機動力においても軍随一の速さを誇る飛行魔団。
ティファは一目見て、速さを誇る彼等の機動力を逆手に取った。
これが上空からの攻撃もある立体的な軌道で動かれていれば一網打尽に出来なかったがなまじ周りに味方がいた為に、射線を開けさせ初手を前方からの攻撃のみで行った。
おそらく避ける自分とすれ違う時、肉体の乱打戦をしながら立体的軌道に切り替える積りであったろうが、ティファは薬の小瓶をリングから素早く取り出して両の手の五指の間に挟み込み、迷わず走りながら口で全ての瓶のふたを開け素早く前方の敵全員に中の粉末が行き渡る様に両側と中央に調節して瓶を叩き付け、一粒でも鼻や口の中に薬が入っただけで彼等は意識を刈り取られた。
敵の間を無傷ですり抜けたティファは、全軍の後方に抜けて直ぐに振り向き敵全てを筒に入れいった。
薬が効いているかどうかの確認をする事なく無造作に。
おそらく薬が効かないとは微塵も考えていないでの動きだろうが、魔王軍の、其れも魔界のモンスター達にはそれぞれではあるが毒物に対する耐性が殊の外強い!にもかかわらず僅かな薬が体内に入っただけで昏倒する薬とは一体!!
かつての味方達の耐性能力を把握しているハドラーは、ティファが僅かな薬で彼等を捕らえた事に驚愕した。
一体、どれ程の強力な薬を・・・
青褪めそうな顔のハドラーと、自分の動きに驚愕し沈黙した味方にに気が付いたティファは敵が目の前にいるのにも構わず左手人差し指を口に持っていき
「勇者一行の料理人たるもの、この程度の事(敵軍勢を眠らせる薬を作り眠らせ捕縛する事くらい)出来なくてどうします?」
優雅に笑って宣った。
今宵ここまで
早い段階からパレス内での戦闘は終了させる為に、生贄一団が出落ちしました。