勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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戦いの出だし、或いは序盤戦


戦いの出だし

最終決戦の両軍の位置が決まった。

 

勇者側はティファは入り口付近の壁際に座って玉になった者達を守りながらの後方支援。

ポップも戦況ごとに動けるようにと戦場とティファの間位の後方で立っている。

 

ティファから見て左側にミストと当たるヒュンケルとマァム、右がキルを相手にするアバンとラーハルト。

そして中央は勇者ダイと、魔王ハドラーが大魔王に挑まんと力を溜めんとした時、バーンのカイザーフェニックスにより三方に見事に分断され、一気に三つの戦場が玉座の間に出現した。

 

「一応遺言聞いておいてあげますよ先代様。力尽きればその瞬間にバーン様の力が自動的に働いて玉になるけど、先代様の頸は直ぐにはね落とから、ね!」

「貴様は!小娘とチウが何と言おうがバラバラに叩き壊す!!」

「おやおや~。」

 

アバンを討ちに飛び出したキルに、ラーハルトの方が向かってきた。

あの二人はどう説得しようともキルバーンを憎むべき敵だと認識しようとしない。あれだけの事をされたティファ自身が、敵だけど憎みも恨みも無いよと言っているのが、ラーハルトからすれば否!ティファとチウとそしてメルル以外の全員がキルを自分の手でたたき壊したいの願ってやまない。二度とティファの心を踏み荒らさせない為にもだ!!

 

「暑苦しい男は嫌われるよ?それよりもさらに熱いものを喰らって落ち着き給えよ!!」

 

迫るラーハルトの槍の猛攻いとも容易くキルはひらりひらりと紙一重で避けながら瞬時にラーハルトの懐に飛び込んで見せる。

不意に近づかれキルの顔が本当に目の前に迫りキルの赤黒い瞳と目が合ってしまった時、ラーハルトは言い知れぬ不安と背筋に寒気が奔り飛び退る。

 

なにかは分からない!だが、あの場に留まっていれば自分の頸が落ちずともそれ程のダメージを負っていたのだと確信しながらアバンの横まで戻りながら再度槍を構え直す。

 

勘のいい子だとキルも大鎌を取り出しながらラーハルトの咄嗟の行動に感心する。

近づきながらラーハルトの周囲に魔界のマグマを足元から噴出させるダイヤのセブンと同じ類のわなを仕掛け、剣戟のトラップを背中に出現させて刺し貫いて足止めをして籠の鳥のように閉じ込めて焼き殺そうとしたのだが失敗した。

ラーハルトほどの腕ならば二度も懐に入れないだろう。惜しい事をしたが、トラップも戦術もまだまだ、其れこそトランプの数ほどあるのだから焦らずに行くべきか。

本命は彼ではないが、邪魔者であることには変わりはないか。

 

 

 

ラーハルトとアバンのタッグでも優美さを崩さないキルの強さにティファも舌を巻く。

 

キルの戦い方がうますぎる。

ラーハルトがキルに接近された時はひやりとしたけど、それでも後はうまく先生と連携してトラップの猛攻を凌ぎながらラーハルトが遠距離からの波状攻撃でキルの大鎌を忙しくさせて、隙を縫うようにアバン先生が斬りかかって少しずつキルの体に傷を作ってく。

だがそこまでしても大ダメージになっていない所が怖ろしく感じさせる。

 

キルはこの中である意味倒しづらいというか・・・・どう倒せば正解なのか分からない敵で困る。

ピロロいないし私達にもうオート・ドールと知られているから首を落としても生き物の振りをしないだろうから意味ははなく、体内の何処を刺しても切っても武器を駄目にしてしまうからおすすめは出来ない。

とは言え頭部破壊なぞした日には、キルの頭部の収められている動力部も兼ねた黒の核晶が暴発する事は請負で・・・手足なくなったところに筒に入れるのが無難なのだろうかと頭痛くなる。

その点マァムさんとヒュンケルが戦っているミストの方が突破口がある。

 

 

 

「闘魔傀儡掌!!」

「何度も捕えられると思うな!大地漸!!」

 

近接近戦に優れている武闘家と剣士を二人相手にしても、両の手を剣に変えて二人をあしらうようにいなしながら端々で傀儡掌と滅殺陣で捉えようと試みる。

捕えれば二人の体のどこかを斬りつければそれで玉になり、すぐさまキルに加勢しアバンの首くらいは落とさせてやる。

ラーハルトの方は放置してもいい、その後にダイとハドラーの相手をしている主の負担を減らすべくハドラーの相手をする心積もりでいる。

 

ダイとの決着は、バーン様も望まれている事。地上の抵抗の象徴足る勇者であり、我等魔界を苦しめる神々の生み出した竜の騎士の末裔の頸を自ら落とさんと。

 

 

 

本命であるバーンと戦うダイとハドラーも、この十日間で飛躍的にレベルアップをしている。特にダイの方はこの短期間のうちに、大魔王との大激突は無論の事、ティファが命を懸けてみせてくれたハドラーとの大激突を見た見取り稽古から、様々な事を学びそして雌伏の中でひたすらに己の血肉にせんと、ハドラーと幾度も本気に近い激突の様な稽古の中にて新たな戦い方を身に付けた積りであったが。

 

「ダイ!左右に分かれてどちらかでもバーンの懐に入るぞ!!」

「分かった!!」

 

前回と同じく光魔の杖の鞭をどうにかしないとバーンに近づく事すらできない。

無知もしなやかに動き四方八方に動こうとも、必ず一方向に動く。

左右に分かれ、どちらかが懐に飛び込めば打開策はある筈だと、しなる鞭を掻い潜る。

 

もう少し・・・・ここ!!!

 

地面を抉る様に自分に迫る闘気の極太の鞭が迫る中、ダイは焦らずどこかに鞭の隙間がないかを冷静に探し出し、見つければ皮膚の表面に闘気を薄く覆わせ躊躇いも無くバーンの下へと最短で突き抜けるルートにを一気に進む。

 

少しでも防御すれば大ダメージにはならず、多少の痛みも気にならず動く自信があり、夢中でバーンの下に駆けたダイの姿は、後僅かで大魔王に剣先が届くほどに迫ったが、大魔王は口角を吊り上げ光魔の杖を地面に向けて一気に杖の出力を最大値で解き放つ。

 

光魔の杖は箒のように戦端が膨らみ、地面に触れた途端魔力の壁をサークル上に展開し、バーンを包み込みながら討ちかかってきたダイの剣をダイ諸共瞬時に弾き飛ばし、空中でバランスを崩して後方に吹き飛ばされてしまったダイを、イオナズンん嵐が追撃してくる。

 

「ダイ!!!」

 

ダイと同時位にバーンに斬りかかろうとしたハドラーであったが、僅かにダイよりも遅かったのが功を奏してダイがバーンの膨大な魔力の壁に吹き飛ばされるのを見ると同時に、追撃が必ずされるのを読んですぐさますらすら―を吹かせてダイを後方から柔らかく受け止め直ぐに地面に降り立ちダイを懐に抱えたまま右腕の覇者の剣で魔法攻撃を切り裂きながらいったん距離を置く。

 

「ハドラー・・・助かった・・」

「まだ戦いの序盤だ。無理に懐に飛び込もうとしない方がよさそうだ。」

「そうだね、前回あんな技見なかったのに・・・まだ隠している手があるみたいだ。」

 

ハドラーから降ろされたダイは、ひやりとした事もあり息が乱れたが数回の呼吸で収めてみせる。

ハドラーの言う通り、此処はまだ戦いの序盤・・・確実にバーンを討つ為にも焦りは禁物だ。




今宵ここまで


矢張り魔王軍三強は強いのです。
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