勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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竜の道

「ハドラー、ちょいとお耳拝借。」

「あ?」

「これから俺と全力特攻してくんないか?」

「・・・お前と心中しろと?」

「嫌か?」

「良かろう、地獄の道行きと洒落こむか。」

 

こと戦いの難局においては、アバンよりも知恵が回るポップがバーンの目の前であっても堂々とハドラーと全力特攻宣言を、ハドラーに持ちかけた。

理由は一つ、ここに来てもバーンはまだ必殺技の類を出していない事。

確かに自分達は攻めあぐねてはいるものの、そろそろ魔力の半分くらいは放出している筈だ。

そこに自分達が全力特攻すれば、必殺技の類を出してくるはずだ。ダイ折角のが大技を出しても、バーンの必殺技を知らなければ自分達もサポートが出来ない。

一撃必殺なのか連撃なのかがさっぱりと読めない。もしかしたら作り手のロン・ベルクすらも思いつかないような使い方をバーンがしている可能性もある。

自分とハドラーがまだ健在なうちに、バーンの技を暴いておきたい。

 

故にバーンにも聞こえる様に打ち合わせをする。これからこちらがタッグで大技を使う事を宣言し、必殺技の類でなければ迎え撃てない事を匂わせて。

 

其れは言われたバーンにも分かっているが、最早ミストは脱落してキルもまたラーハルトとの打ち合いを抜けさせないでいる。そこに来てポップの考えた通り、自分の魔力もそろそろ半分方使ってしまっている。

黒の核晶を搭載した柱を落とす為の魔力も取っておきたい。相手の挑発に乗る事になるようで何とも癪に障るが、大技の連撃で防御するより手がない。

 

・・・・消す順番を間違えたか?もしやアバンよりも先にポップを玉にするべきであったか。

だが悔やんだところでもう遅い。なれば一気にこの技で後方のダイ諸共に封ぜればいい!!

 

ポップの要請を受けた時点で、ハドラーは静かに気を練り超魔爆炎覇の構えを取り、ポップも右腕にロッドを、左手に得意の火炎呪文・メラゾーマを蓄え、何が来ても対処できるように構えバーンから視線を切る事無くダイにこの攻撃時に手を出す事を禁じる。

ダイとしては、今の遣り取りで魔法はチャージできたので三人で打って出るべきだと思っていただけに、ポップの言葉に戸惑いの表情を浮かばせてしまい、魔法使いからの特大の雷が落ちた。

 

「馬鹿野郎!!!相手の手の内読める状況になったってのに無闇に突っ込みたがるな!お前は見ていろ、バーンの必殺技がどれ程のものか。」

 

言葉にしながらも、内心ではポップとてバーンの必殺技を怖れている。もとより一つ一つの技や魔法自体が必殺の域であろうに、本当の必殺技がどの様なものか、ダイに見せるためとはいえ、果たして自分達の肉体が持つか・・・・・覚悟決めろよ俺!!

 

「行くぞハドラー!!!」

「いつでも!!」

 

己の心を叱咤し、覚悟を決めたポップはハドラーの声を掛け、ハドラーが動こうとしたその時、バーンは光魔の杖を後方に大振りに構えていた。

あれは、一度だけ見た!

 

ポップとハドラーの驚愕に満ちた顔を見て、ニヤリとしながらバーンは杖を横一閃に薙ぎ払い、災厄の壁をダイ達に解き放つ。

 

玉座の間はバーンの一の横でキルとラーハルトが打ち合っており、ティファのいる位置も災厄の壁の進路上からは外れており、まさにダイ達の為だけに討たれた厄災の壁は、前回よりも進む速度が速い。あの時はオリハルコンの者すら易々と破壊する威力重視であったが、今度の端速度を優先させている。仮に・・・

 

「畜生が!!メドローア!!!!」

 

壁の速度に、回避は無理だと弾き出したポップは瞬時にロッドを腰のホルダーに仕舞い、右手にヒャダインを作り出し瞬時にメドローアを作り出しながら、メドローアが横斜めに壁にあたる位置に走り、此処だというところで壁目掛けて解き放つ。

もしも真正面に撃って、バーンのマホカンタにあたって返されたら洒落にもならない。

上手い具合に壁が消滅したその先に待っていたのは

 

「ハドラー!!ポップ!!避けて!!!」

 

バーンの魔力で生み出された大量の球状の魔力の塊と、ハドラーとポップ、それぞれに送られた二羽のカイザーフェニックスが二人に迫り、ダイが動く寸前にハドラ―も腹を括った。

バーンにではなく、技の相殺の為に!

 

「超魔爆炎覇!!」

 

 

己の右腕に宿る覇者の剣を蓄えていた闘気諸共に横一閃に解き放ち、立て続けにカイザーフェニックスを二羽ともに切り裂き、技を放ち硬直しているバーンに肉薄をした。

もしかしたらこのまま!

 

「大魔王!!覚悟!!!」

 

細いバーンの頸に狙いを定め、覇者の剣を振りかぶったが、横から途轍もない力でポップ共々壁に吹き飛ばされ背中を強打し、打ち付けられた壁沿いに力なく座り込んでしまった。

そのまま玉になるには力はまだあり、とどめの積りか球状の魔力の塊が二人に迫った時、音と共に二人の姿が消えティファの隣に出現をした。

 

「ポップ兄、ハドラー、これ飲んで此処で玉を守ってください。」

 

寸でのところを、ラック=バイ=ラックで二人を救出したティファは、体力と魔法力回復の万能薬を二人に渡し、代わりに自分がダイの横に並び立つ。

二人も飲み薬を多用しており、これ以上は危険なので玉にならない程度の回復量だけ与えて休息を促す。

この後にももしかしたら力を振るってもらう事があるかもしれないと見越して。

 

-にぃ!聞こえるにぃ?-

-ティファ!・・・ティファ・・・休んでて・・-

-そんな場合じゃないでしょうにぃ。必殺技に新しいのある?サポートするから教えて-

-ティファ・・・・分かった-

 

紋章はなくなってしまったが、念話が使えるのを確認したティファは、ダイの新技を聞き出し、どう攻める積りであったのかも仔細を聞きながら雪白を取り出し鞘からすらりと抜き放ち、左肩に雪白を担いだあの独特の構えでバーンと対峙する。

 

「・・・・其方も出て来たか・・」

「其の防御技突破させていただきます。」

 

天地魔闘の構えとは違うものの間違いなく必殺の防御足りえる技に、ティファ自らが出陣する事にした。

あの球状の魔力の塊とカイザーフェニックスを同時に相手にしてしまったら、ハドラーのように、最後の一手が無くなってしまう。

 

兄との作戦も即興で決まった!

 

再び壁が迫りくる中、先に動いたのはダイであった。

 

ダイの剣は鞘自体もオリハルコン製で、両刃の作りとなって、剣の中に剣が仕舞われているという特殊な構造になっている。

 

ダイはそれを連撃技の一つとし

 

「アバンストラッシュ!!!」

 

壁の真下の床にアバンストラッシュアローを横一杯に打ち込み床を崩し、壁其の物を崩壊させた。

カラミティ―ウォールの弱点はいくつかあり、床そのものを崩壊させられれば闘気が霧散する事。

その弱点を補うのが、開かれた壁の向こう側からのバーンの一斉攻撃。

 

その技の前に、ティファは雪白を正眼に構え静かに立って待ち構えていた。

両の足に闘気を流し込み溜め、一気に前に駆けだした。

 

迫りくる魔力の塊とカイザーフェニックス・・・まだだ・・・もっと引き付けろ!!

 

技を喰らうか喰らわないかのギリギリをティファは眼(まなこ)を見開き見定める。

ギリギリまで・・・ここだ!!!

 

「飛天御剣流奥義!!」

 

本当は天翔竜閃が奥義だが!自分のこの技の威力であれば奥義足りえている筈だとティファは自負している。

それ故にこれが自分にとっての奥義!!

 

「九頭竜閃!!!!」

 

ティファの雪白から、九つの斬撃が神速で繰り出される。

自分の技の中で、唯一の突進技。本来であれば相手の体に叩き込む技を、ティファはあえてここで使って見せた。

 

自分の突き技は、一つ一つに兄程で無くともアバン先生位のアバンストラッシュ並みの闘気量を練り込んで放っている。九つの竜は、自分に迫る魔力の球体とカイザーフェニックスをいとも簡単に喰らい尽くし、バーンへの道が真っ直ぐに開いた。

 

突進技であるが故に、ティファもまた自分に向かってくるかとバーンは警戒したが、ティファの動きの軌道を見て、このままティファが進めば自分の斜め上方向に到達するのが見てとれた!

 

これはもしや!!!

 

「いっけえダイ兄!!!!」

 

 

バーンの予想ははからずとも当たり、直ぐにその正しさが証明された。ティファは自らの手で自分に挑むために技を放ったのではない事が。

妹の言葉に押されるように、ダイは力強く前に出る。

 

 

ティファは九頭の竜を使役し敵を噛み砕き道を作ったのだ。

 

「ライデイン!!!」

 

走りながら得意の雷を、鞘に入ったままのダイの剣に落としながら進む光り輝く十頭目の竜を、バーンの下に通す為に




今宵ここまで


出せた・・・・やっと九頭竜閃出せました・・サポート技となりましたが、整合性は一応とれていると思います。

くずりゅうせん:八岐大蛇のような多頭竜が一斉に敵に襲い掛かる
きゅうとうのりゅう:一体ずつが敵を嚙み砕く

というように筆者的に解釈して作り上げて主人公に九頭竜閃(きゅうとうのりゅう)を使って貰い表現してみましたが、無理筋でないと良いのですが・・・

双方新しい連撃技を生み出すのに筆者またもや力尽き果てましたが悔いなしです
(脳みそパンクしかけましたが悔いない・・)

次回いよいよ戦闘に決着が付きます。(全てには決着が付くとは言っていない)
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