勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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放て勇者よ

ずっと考えていた、自分なりの新技を。

アバンストラッシュとライデインを組み合わせたライデインストラッシュ以上の技が欲しくて。

 

ロン・ベルクさんが新たに作ってくれたこの鞘は!「鎧化!!」

 

バーンに向かって走りながら、ダイは鞘のバックルを外して鎧化を叫び続けざまにライデインを発動させ、ライデインを帯びた鞘と付属の小刀を外し、二振りの剣とした。

 

先程ポップとハドラーが決死の覚悟で見せてくれたバーンの連撃は、自分が考えて来た技で破れると確信し、未だに鞘から抜かれておらずとも、二振りの剣となった両剣を逆手に持ちなおす。

 

その様だけでバーンの全身に悪寒めいたものが走り抜け、光魔の杖の鞭を最大限の威力でダイに向けて振るいだす。

太さだけではなく、触れればすぐさま斬られそうな気配をした鞭に、傍で見ていたポップ達すらをも青褪めさせた。

 

「ダイ!!避けろ!!!!」

 

幾筋にも振るわれる光の鞭は、飛び退ったダイの背後からしなる様に忍び寄り、トベルーラを発動させる間も与えずにダイの背中を打ち据えに掛った。

 

その時、またもやダイの中で-何か-が教えてくれた。

 

俺がこれを喰らったらきっとバラバラになる・・・

技の威力と、そして・・ダン!!ダッダン!!!!

 

その危険な未来を回避させる方法を。

 

「ダイ!!・・・あいつ・・・・いつの間にあんな避け方を・・」

「信じられん・・・あやつのあの動きはまるで・・」

 

ダイのその動きに、何時でもダイの戦い方を間近で見ていたポップは驚き、今のダイの動きをするものをよく知るハドラーも驚きを隠せず、攻撃をしているバーンすらもが目を見開きダイの動きに唖然とした。

 

ダイは闘気の鞭を避けず、己の足に闘気を纏わせ鞭を蹴り上げその反動で宙に跳び上がり、のみならずそのまま闘気を足に纏わせ続けて鞭を伝い、道を走るが如くバーンに一直線で迫っているのだ。

 

「いっけえダイ兄!!!」

 

その動きは、今まさに兄に声援を送っているティファの動きとよく似ている。

 

バーンは竜の騎士を、ひいてはバランを怖れていた。それ故に条件を提示して己の配下にしたほどに。

バランの実力や竜魔人化した時の爆発的な強さもさることながら、数千年間の戦いを、 竜の紋章が記録し、次世代に受け継ぐ戦闘に特化した強さを怖れたのだ。

戦いの場において、どの場面でどの様に動くのか常に最適解が出来る竜の騎士を。

数千年かけ、数多の戦場を巡り幾多の死闘を経験し、其れを受け継がせる竜の騎士の紋章のシステムそのものを怖れたと言っても過言ではなかった。

 

だが、其れはマザードラゴンから生まれた正統なる竜の騎士だけが受け継ぐはずだ。

現にダイは、そしてティファも認めないであろうがキルに導かれテランに行ってようやく自分達の出生の秘密と正体を知った。つまり紋章は発動せれども、竜の騎士の強みたる歴代の戦士たちの記憶は受け継いでおらず、未知なる戦いにあえば対処する術がまだなかろうとどこかで安堵していたのが・・・・ティファめ!!!!

 

ここに来てバーンはティファのお宝洞窟の話をもっと真剣に聞くべきであったと後悔した。

そして兄の動きを見てティファも、兄の動き方に思い至る。

 

ダイ兄、私の積んできた経験がちゃんとにぃにも引き継がれたんだ。

幼少の時より死ぬほどの修行した甲斐があったのだとジンとする。

 

時にはマグマの大地のフロアーに、重力が重くなり、水中で戦って、冷えてかじかむ手足を必死に動かして体得してきた数々の動きが、今やダイ兄の血となり肉となっているのがとても嬉しい。

 

バーンとティファの考えている通り、ダイの左手の甲に浮かんでいる紋章がダイに教えている。

闘気の使い方を、応用を、どうすれば敵に向かって最短の道を行けるのかを導く。

ティファの経験した戦いの全てをダイが受け取り引き継いだ瞬間であった。

 

ダイは紋章を発動しているがまだ全開にはしていない。今から打つ技はまだ最終技ではない!

 

 

「アバンストラッシュアロー!!!」

 

鞭に乗って走ったまま、ダイは左手の剣から放出系のアバンストラッシュを放つ。

アバンストラッシュには放出して敵を倒すアロータイプと、直接切りつけるブレイクタイプがある。

どちらも決まれば敵を一撃のもとに倒せるが、そう遠くない位置からとはいえバーンにアローが通じるとは思えず、技の選択ミスかと二人を除いて思ってしまった。

 

バーンも威力はすさまじくとも、魔力のシールドでやり過ごせると見極め、鞭を消し光魔の杖を床に向け魔力のシールドを展開したが、ダイは意にも介さずアローと共に自分に迫って来るではないか!!!

 

その様子を、斬り合っていたラーハルトとキルすらも驚いて見ていた。

あれではダイがシールドに激突してバラバラになってしまう!

 

「お引きくださいディーノ様!!!!」

 

無謀な特攻を止めるべく走ろうとするラーハルトをキルが阻む中、ティファだけが兄を信じて見守る。

ダイにぃならきっと!!

 

ダイの加速は止まらず、そのまま右手の紋章を輝かせアローと交差させるように斜め左上目掛けて二撃目のストラッシュを、アローがシールドにぶつかる寸前に重なるように放つ。

 

「喰らえ!!ライデインストラッシュクロス!!!!」

 

ライデインストラッシュは単体であってもその威力は凄まじく、オリハルコンではないヒュンケルの剣であってもあの真魔剛竜剣を叩き折ったダイの一番の技が、クロスし、交差した中心点の破壊力は測り切れず、光魔の杖を砕くには足りなかったがかつて破られた事の無いバーンの魔力シールドが粉々に砕けた。

 

「「バーン様!!!!!」」

 

魔界の神と言えど幾度か苦闘した時に発動され、どのような猛者、其れこそヴェルザー本人でなくとも近しい眷属のオーロラブレスとて破れなかったバーンの防壁が破られた事がキルと、玉の中で見ていたミストにとって精神的ダメージは計り知れずに叫び上げたが、ダイの連撃は終わった訳ではない。

 

ダイにとってはここからが本番であった。

 

防壁を破られたとてバーン自身は落ち着いていており、瞬間的に左手にカイザーフェニックスを纏わせダイにぶつけようとしたが、目の前にいるはずのダイがいなかった!

 

「アアアアア!!!!」

 

声がする・・・自分の上空からダイの声が・・・

 

見上げれば、左手で剣を納めている鞘を持ち、今まさにダイの剣が抜かれている瞬間であった。

ダイは防壁を破るった手応えを感じると同時に、瞬発的にトベルーラで上空に飛び上がり、トベルーラの魔力を切って落下しながらダイの剣を逆手に持ち替え紋章を全開にした。

 

まさか・・・まさか!!!

 

バーンは本能的にダイの攻撃を怖れ、カイザーフェニックスを連発するも、ダイの竜闘気に全てが弾かれダメージにならず足止めにすらならなかった。

ここに来てダイの、竜の騎士の特性がバーンの魔力主体の攻撃と噛み合い、バーンの戦術を食い破る。

 

 

「いっけえダイ兄!!!」

「ダイ!!そのままいっちまえ!!!!!」

「全ての力を使い果たしても構わん!!やれダイ!!!!」

「ディーノ様!!思いの全てを力に変えて撃ちなされよ!!!!」

 

外からの応援と

 

「ダイ君!!行っちゃえ!!!」

「ダイ君なら出来る!!!」

「ダイよ!我等の全てをお前に託すぞ!!!」

「ダイ!!放ちなさい!!!」

「ダイ!!俺達の思いも!!」

「私達の思いも!!!

「-僕達の思いを全て-」

「「「「「「ダイの剣に託して放て!!!!!」」」」」」

 

何故か、玉になってしまった仲間達の思いも聞こえる気がして、その声が俺に力を与えてくれるんだ!!!!

 

バーンに迫るダイをキルが妨害したくとも、ラーハルトと、そして初級魔法ではあるがポップも死神の足を止めている。

 

「「バーン様!!!」」

 

支援が間に合わないと、キルとミストが叫び上げた瞬間、バーンは使える限りの魔力を光魔の杖に注ぎ込みダイを返り討ちにしようとしたが、間に合わなかった。

 

 

「ギガデインストラッシュ!!!!!!」

 

バーンの態勢が整わぬうちに、ダイの新技であり、数千年の竜の騎士の歴史上もっとも威力の高い技が、魔界の神・大魔王バーンの光魔の杖を粉々に打ち砕く。

 

 

其れは、かつてダイが己の剣を折られた時の喪失感を、バーンも味わう瞬間ともなった。

 

制作者に最低の駄作とまで言われてしまった光魔の杖は、これまで幾多の戦場でも自分を助けてくれた。

力のない自分をどれ程助けてくれたか分からない愛用の自分の杖が・・・

 

其れは数瞬、瞬きの間の嘆きであった。如何に喪失感を感じたとはいえ、バーンは戦場において思考を切らす事の恐ろしさを骨の髄まで知っており、すぐさま思考を切り替えようとしたが、ダイにとっては十分な時間であり

 

グシュウ!

 

「バーン様!!!!!」

 

キルの悲痛なる叫びが上がった時、バーンの体にダイの剣が深々と突き刺さった。

 

 

「あ・・・・ダイ・・・・お主・・・」

「はぁ・・・・はぁ・・・・」

 

大技を連撃で放ち、息が上がりながらもダイは剣をまっすぐに力強く握りしめ、両の足と両腕に力を込めて、バーンの左胸に剣を深々と差し込んだのだった。

 

 

「あ・・あ!!まだ!!まだだ!!!」

 

バーンが自分の名を呼びながら血を吐いても、倒れる気配が無い事にダイは悟った。

ハドラーと同じでバーンにも心臓が複数ある。とはいえ剣を抜いて再びさす力が自分にはもう残っていない。ならばやれる事をすればいい!!!

 

 

「ライデイン!!!」

 

ダイは残りの魔力をライデインを発動させるのに回し、バーン諸共にライデインを喰らい続ける道を選んだ。

 

その様は凄絶であった。ダイもバーンも雷に包まれながらも耐えあい、最早気力の身で立っている二人に掛ける言葉すら見つからず、玉座の間には雷の降り注ぐ音と幽かに二人の話し声がするのみ。

 

ライデインの威力に、バーンの体も思考も悲鳴を上げるが、己よりも年若きダイが悲鳴一つ上げずに一途にライデインを落としているのに、自分が悲鳴を上げる事は矜持が許さず、代わりにダイに問いかけた。

 

「ダイ・・・このままではお主も死ぬ・・・・何故躊躇いも無く・・」

「お前を・・・・お前達を倒さないと地上が消される!!それに・・・こんな痛みなんてちっとも痛くない!!!」

 

バーンの問いに、ダイは猛然と吠え答えた。

 

愛する者達を守る為、そしてこれ以上の痛みを耐えて自分達を守ってくれた者達の為にダイは雷を受けてもなお怯まずに雷を降り注ぎ続ける。バーンが倒れるその時まで!

 

メガンテをした時のポップはもっと痛かった筈だ!アバン先生だってアイテムがあったとて、その苦痛を耐えて黄泉路から戻ってきてくれた!

ヘルズクローで貫かれ、メラゾーマを体の中に流し込まれた時のヒュンケルの激痛は想像すらできない!

クロコダインは幾度も俺達を守る為にその身を盾にして守ってくれた!

マァムもレオナもチウも痛くて怖くても引かずに戦ってここまで共に来てくれた。

父さんだって!左腕を失くしてまで俺達を守ってくれて、それでもまだ戦ってくれているじゃないか!!

 

あらゆる者達の戦いと苦痛にダイは思いを馳せ、そして更に思う。

 

ティファの受けてきた痛みはこんなもんじゃなかった筈だ!!!!

 

妹はいつも自分達を守る為にボロボロになって来た。体を、心を、精神をぼろぼろにして・・・・何度痛みを耐えてきたのだろうか、あの小さな体で。何度泣きたいのを堪えていたのだろうかあの優しい心で。それでも自分達を守って常に笑ってくれていたではないか!それこそ壊れる寸前まで!その痛みに比べれば!!!!

 

「こんなもの!!痛くもあるものか!!!!!」




今宵ここまで・・・


古い設定ですが、主人公がデルムリン島で神々が作った洞窟での戦闘経験や、その後の戦いの経験全てが紋章に記録されてダイの力の底上げとなりました。

数千年には及ばない数ではあっても、戦闘内容はそれに匹敵するほどの過酷な戦いをしてきたと筆者も主人公も自負しているので書き切れていればと思います。

どちらかが倒れての決着とはなりませんでしたが、戦闘での戦いは今宵限りの取ります。
次回からは小競り合いはあるかもしれませんが大規模な戦闘の無い戦いへと章を進めていきます。

真の決着まであと少しとなり、最後までごらんいただければと思います。
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