勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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原作のポップとこの作品のポップはだいぶ違います。
色々とノヴァ並みに改編していきますので、
よろしくお願いします。



生じる違和感

ポップ兄に負ぶってもらったまま浜辺に辿り着行け、じいちゃんが羊皮紙にサインしているところだった。

「じいちゃん、ダイ兄~。」

「ティファ・・どうしてその人に負んぶしてもらってるの?」

「慌てて戻ろうとしたらこけて足首捻ったらポップ兄が負んぶしてくれるって言ってくれたの。」

「・・ポップ兄?」

「そうだよダイ兄、この人ポップさんって言うんだけど、さんは嫌だからって言われたからって、それでポップ兄になったの。」

「そうなんだ。」「うん。」

「あっ、お前ダイって言ったな。」

「そうだけど・。」

「お前は俺の事はポップて呼べよ。」

「分かった。」

「おう。」(ポップ兄はティファだけに許可しよう!)

 

「ポップ・・兄ですか。」

げっ!先生・・いつの間にか人の背後に立ってた。

「・・何すか。」

「いえ、早速仲良くなった様なので良かったですね~。」

「・・どうも・・。」絶対内心楽しんでんだろ先生!

「ほら、ティファもう降りろ。」「は~い。」

自分が甘ったれなのは百も承知だが・・可愛い妹分くらい作ってもいいだろ!!

弟弟子もできたんだ・・「先生!!」

「どうしましたかポップ?」

「ダイにハードスペシャル特訓コースやるんすか?」

今世の中大混乱で、俺みたくちんたら修行してる余裕はねえ筈だ。

「その通りですが・・。」

ビンゴだぜ・・なら!!

「俺も一緒にやらせてもらえませんか!」

「・・ポップ?」

「兄弟子が・・弟弟子に負けるのは癪です・・。」

 

ポップは受ける理由を小声で真っ赤になって言って来たが、アバンは特訓を自ら申し出たポップに感動をしていてそれどころではなかった。

逃げ癖のあるこのお調子者に・・何の心境の変化があったのかは分からないが、

「俺と一緒にするのポップ?」

「おう!兄弟子はすげえんだぞダイ!!」

「頑張ってねポップ兄。あっ、でも無理はしないでね二人共。」

「分かった。」「無理なんてしね~よ。」

自分よりも年下が出来て張り切ったのか・・しかし理由・動機は何でもいい!!

これはダイと共に、ポップの力が羽ばたく力になる。

ダイ・ポップ・ティファは、昔からの・・本当の三人兄妹の様にもう和気あいあいである。

「頑張ってね、お兄ちゃん達。」

「俺負けないよ、ポップよりも強くなる!」

「抜かせ、早々勝てると思うなよダイ。」

三人の交流をもっと見たいのですが・・時間がそれを許してくれませんよね。

「ダイ君、君の今の実力を見せていただきます。今この場で。」

「今ですか?」

「はい、剣の腕前は先ほど見せていただきましたので魔法の方を。」

「俺・・魔法は・・」

「苦手ですか。」

「はい、さっきじいちゃんが言った通り、-あれ以降-一度も成功してないんです。

それに、成功した時もどうして出来たのか覚えてないんです。」

「そうですか。」

ダイの言うあれ以降とはパプニカ王女暗殺未遂の件で、キラーマシンの不完全版を魔法一つで破壊したという事で、その際は額が光り、何かの紋章が浮んでいたとブラスが詳しく教えてくれた。

しかしそれ以降は簡単なメラすら出来ないと・・魔法の力が強すぎてバランスがとれず、

発動しづらいと仮説を立ててみたが、実際に見てみないと何とも仕様がない。

「やってみましょう。」話はそれからだ。

 

「あの~。」

「はいティファさん。」

「皆の飲み物持ってきてもいいですか?」

「それはありがたいですね。お願いできますか?」

「はい、行ってきます。ダイ兄がんばってね~。」

「転ぶなよティファ。」

「分かってるよぽっぷ・・わっと!」

「・・いわんこっちゃねえ・・」

・・また転びそうになって、ポップ兄頭掻いて呆れてるけど、めげずに頑張ろう!

「転んでないよ!」

「はいはい。」・・もう!!

さてダイ兄どうなるか。

「では波があるので氷系の・・」やっぱりヒャドか。

ダイ兄・ポップ兄がんば!!・・私は転ばない様にしよう。

 

「では先ずポップから。

「はい!」・・力まずに深呼吸して・・イメージは静かな湖・・。(おや?)

細波を広げるように静かに魔力をためて「ヒャダルコ!!」-ガッキーン!!-

どうだ!!(もしや?)

ポップはイメージで成功をしたか、見ていたアバンは期待をして手で氷をノックするのではなく、腰のナイフを取り出し氷を斬ってみれば・・ほんの少し中心部分が水っぽいが、

今までの氷系中級呪文の比ではない!一気に威力が上がっている!!

「ベリーグットですよ、ポップ!!」もの凄く褒めてあげたい!

「へへ・・上手くいってよかったすよ。」

呪文が上手くいったのは嬉しいが、やっぱり先生に褒められるのが一番嬉しい。

「何かコツをつかんだのですか?」

「・・ちょっとだけっすよ。」

ティファの受け売りをそのまんま言うのも何か気恥ずかしいので頭を掻いて誤魔化した。

(今までのポップならばダイ君の前で格好をつけようとして失敗してますが・・いつの間に。)

愛弟子に何の心境の変化があったのかとっても知りたいが、「次はダイ君お願いします。」

こちらが優先だ。

「はい!」

ポップの成功を目にしてダイも張り切ったのだが・・結果は小さな氷の塊が出来て、

ダイはずぶ濡れに・・散々な結果に終わったダイであった。

 

「ダイ兄~・ポップ兄~。」落ち込んでいるダイをアバンとポップとブラスがこれからと慰めていると、可愛い声が近づいくる。

沢山の荷物が入っているバスケットを頭にのせて、肩にゴメちゃんを乗せて走ってくるティファの姿が飛び込んできた。

(・・まさか・・)

一生懸命走ってくる姿は可愛いのだが、ポップは嫌な予感がした!

「みん・・な~!!」(やっぱりー!!)

ポップの嫌な予感は見事的中!ティファは足をつっかけた!!

(-アレーを・・)「ヒャド!!」-がチン!!-

転んだティファの目の前の波を凍らせることに成功をし、胸部を支える。

「ポップ兄ありがとう。」

ティファは波のおかげで転ばずにすみ、態勢を立てなおしつつダイ達の元に辿り着きにっこりとポップにお礼をする。

「転ぶなって言ったろ?」

「は~い、気をつけますポップ兄。ダイ兄は着替えどうぞ。」

「・・なんでティファ俺の着替え持ってんの?」

「だって、氷系の呪文やるって聞こえたから、一応濡れても大丈夫なように。

「・・それって俺が失敗するの前提⁉」

「違うの?」

「違わないけど!!一応は出来るって信じてよ!」

「そこは気長な目でね。飲み物持ってきたから早く着替えなよダイ兄。」

兄の怒りをひょうひょうとかわしつつ、ティファはヤシの実の殻で出来たコップとオレンジの実で作ったジュースを配り始める。

手漕ぎでデルムリン島まで漕いでいたポップは無論、結界を張って疲れていたアバンは喜んで飲み干した。

(美味しいですね~・・それにしても、ポップは本当に一気に氷系の呪文をつかみましたか。)

大きな威力のみならず、転びかけたティファを波を凍らせて受け止めた事は本当に驚いた。

並の集中力ではああはいかない。凍らせられないか、術の余波がティファにいっていたかもしれないの見事にやってのけ、今もブラスにその事を褒めそやされて照れている。

ポップは手が本当~に掛かった分、今のやる気と力を見れて感慨がひとしおである。

当面の課題はダイの魔法のようだがその前に、「ティファさん、貴方も魔法を試してみませんか?」

何故かティファの事が何かと気になる。

身のこなし、話し方などはそこいらの娘と変わらない。

なのに狂暴化した大量のモンスター達を、眠り粉を使ったとはいえ縛り上げたと言う。

果たして、あの身のこなしで無傷で出来る事だろうか?

そしてもう一つ、自分の少しの言葉で察してダイの着替えを用意をしている・・まるで自分がどのような方法でダイの実力試しをするかを知っていたかのように。

天性の勘か、余程魔法に詳しくダイよりも扱いが上手いのか。

これで分かるはず・・「ふ・・ふぇ・・」え⁉いきなり泣き出した⁉

 

先生のバカ!!!嫌なこと思い出させないでよ!!

・・先生達が島に来る前のパプニカ事件でダイ兄が今まで全くできなかった呪文が出来たのでじいちゃん大喜びをして・・もしかしたら今の私ならって、初級呪文契約してみたけど駄目で。

・・じいちゃんがっかりさせちゃって・・。

 

「ティファや・・大丈夫じゃ。泣かんでいい。

お前はとても良い子じゃ。呪文なぞなくても、儂の自慢の子じゃ。

アバン殿、言わなくて済まんかったの。この子は呪文は一つも契約を結べなかった。

じゃが今言った通り、ダイと同じ自慢の儂の子の一人じゃ。

ティファは出来ぬ事を時々気に病んでおっての・・泣いて驚かせてしまいましたな。」

顔をくしゃくしゃにして痛そうに瞳を歪めて泣くティファを、ブラスは優しく撫ぜながら驚いているアバンとポップに説明をする。

ニコニコしていた女の子がいきなり泣けば誰でも驚く。

ティファを慰めつつ、事情を話してもうティファに魔法の事を振らないでほしいとアバンに言外で頼む。

「ティファ、魔法は俺が頑張るよ!ティファは俺が出来ないこと沢山出来るよ!!

だからそっちを伸ばせばいいんだよ!」

兄も必死になって妹を慰める。いつも明るい妹の唯一つの地雷を踏まれてしまったと。

「すみません!何やら詳しそうでしたのでてっきり・・本当に申し訳ない!!」

(ふ・・く・・先生・・必死で謝って・・許して・・)

「それにティファは魔法使いだよ!」

アバンの謝罪を受け入れようとしたティファに、ダイが再び声をかける。

「このジュース、ティファが作ったんでしょ?

さっき呪文失敗して俺落ち込んでたけど、これ飲んだら美味しくて嫌な気持ちどっかいって、

また頑張ろうって思ったんだよ。

他にもティファが作ってくれた料理食べると・・じいちゃんのもだけど・・、元気出るんだ。

ティファは料理の魔法が使えるんだよ!!」

「うん!!ありがとうダイ兄!!大好き!」「俺もだよティファ。」

ダイの真っ直ぐの本音の優しさに、ティファは満面の微笑みでダイに抱き着き、その二人にブラスが寄り添う。

「・・せんせえ・・駄目じゃないっすかきちんと確認しないと。」

珍しく師が人を泣かせたのでポップとしてはティファが泣いたことよりもそちらに驚きである。

「・・本当に申し訳ない。私としたことが、嫌な気分にさせてすみません。」

愛弟子の言葉が止めとなり、アバンは再びティファに謝る。

「もう平気です。」兄と祖父の慰めで元気を取り戻したティファは元気を取り戻した。

「あのね、私お料理の途中だから、もう大丈夫だから行くね。」

(・・このセリフは!!・・以前・・)

「ティファさん!」

「・・はい。」

「以前どこかでお会いしませんでしたか?」「・・はい?」

アバンの問いにティファは怪訝そうな顔で返事をし、

(私の気のせいでしょうか?)勘違いだと思わせた。

 

「飲み物のお代わりいりますか?」・・あっぶな!!何あの人怖い!!

七年前のほんの一瞬だけあった私の事なに思い出そうとしてんの⁉

もうヤダ・・ホントの天才って。

 

ティファが表面で笑って給仕をしつつ心の中でぼやいていると、

「先生・・なんか男が女の人を口説く文句見たいだったすよ。」

「おや、そうですか?」

「そうっすよ。大体ティファがどうやって島の外に出られるんですか?

ダイの時はやむを得ずで緊急的に飛行モンスターで出ただけで、ここって外部との交流が一切無い孤島のはずでしょう。」

「・・そうですね~。」

どうも自分の勘はティファが相手だと悉く外れてしまうと落ち込む・・勘に自信があったのだが。

 

「御馳走様。」

「美味しかったぞ。」

「ホント?そしたら-毎日-作るね。飲み物レシピは他にもあるんだよ。

お味いかがでしたか?」

落ち込むアバンからコップを受け取り、ティファは感想を求めた。

「美味しかったですよティファさん。ダイ君の言う通り元気いっぱいになりました。

ただ・・。」

「ただ?」

「蜂蜜があればなおグットですが。」・・言っておいてなんだが島にない物を言ってもどうにもなるまい。

天然物のハチの巣は危険なので、島にあったとしてもお勧めは出来ない。

「分かりました。今度は入れておきます。」

「おや有るのですか?」・・天然物を工夫して採ったのか・・。

「先生、ブラスさんが俺たちのお昼もティファがこさえてくれたって・・早く行きましょうよ。」

話し込む二人をポップが急かす。

「ではお相伴にあずかりましょう。」

「俺たちの家はこっちだよ!」「早く行きましょう!!」

ダイとティファも二人を急かして森の中を案内する。

「特訓の続きは食べて午睡の後に・・。」「どんな料理か・・」

にぎやかに話しながら家に案内をする。

森を抜けた山の裾に、ネイル村の作りと同じ民家が二階建てで建っている。

家の近くには花壇と・・なんと数種類の野菜の畑までもがある!!

島に自生していそうな芋とハーブの他に、「パプニカ産のパプリカまで・・。」

「これ全部ティファが一人で作ったんだよ先生。」

驚くアバンにダイが声をかける。

「ティファさんが・・ブラスさんに教わってですか?」

「ううん・・確か・・海岸で本拾って芋作って・・その後はウォーリアさん達が野菜の苗や種持ってきてくれて、育て方をティファに教えてくれたの。」

「・・そのウォーリアさんというのは?」

「えっと・・いっつも来てくれる船長さんで・・」

どうやらダイは説明が苦手な子のようだが、おおよその事はわかった。

どうやらこの島は情報と違って外部との接触がきちんとあり、小規模ながら交流があり、

そのおかげで家が建ち、畑もきちんと育っているようだ。

詳しい事はブラスさんに聞くしかない。

 

 

 




ようやく主人公の料理の腕前が書けました。
以前ロモスの港町で立てたフラグもキチンと機能をして、アバンさんはどうにも主人公が気になっています
次回はいよいよこの物語のタイトルの職業誕生秘話になります。

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