勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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最終章のプロローグ

なので短めです


世界中の明日の為に①

・・・なんと良き兄妹よ・・・・

 

バーンは、ダイの叫びから全てを悟った。今共に受けている物理的な痛みなぞ、ティファが受けて来た様々な痛みに比べれば何ほどの事も無いと言った事を真に理解して。

兄は妹と世界の為に体を張り、妹はその兄と世界を救わんと痛みに耐えて来た。なんと稀有で美しい兄妹であろうかと、最後のこの時になっても共感してしまう。

 

自分もまた、ダイとティファの痛みと同じ痛みを抱えている。周りがどう案じようと泣こうとも、己に課した責務から逃げずに痛みを抱え続けていたのだから・・・それももう、今この時を以て余の、魔界の長き苦難の道のりも終わりとなるか。

 

ゴロアには予め自分の魔力を溜めたアイテムを持たせていた。勇者達がパレスに乗り込んでくるのであれば、其れは何かしらの方法で自分とゴロアが守っているパレスの動力炉を分断して結界を消した時。

 

そうなれば魔力が枯渇した動力炉が飢えて暴走するは必定。ゴロアに与えた役目を果たさせるべく、動力炉が飢えて暴走する事が無いようにアイテムを渡し、果たしてゴロアから-時-を告げられた。

 

バーン様お時間ですだムーン!魔の時・逢魔が時に差し掛かりましただムーン!!

 

そうか、時が来たか。長かったが遂にこの時が。

 

 

「ダイよ・・・・」

 

雷を喰らっているバーンが不意に静かにダイに声を掛けた。その声音はいっそ、優しいとさえ思う程で、聞いた瞬間ダイは青褪め泣きそうな顔で首を横に冠り振った。

 

バーンはその様を憐れに思う。ティファの紋章から戦闘の経験だけではなく、聡さも受け継がれた事を見てとって。

ダイが思う通り、()()()()()()()()となったのだ。

 

「許せとは言わぬ。」

「や・・・やめろバーン!!!!!」

 

ダイの様子と、バーンの言葉にポップとハドラーも思い至り駆け付けようとしたが体に力が入らず動けなかった。

 

「やめろ大魔王!!!!やめてくれ!!」

「おやめください大魔王様!!!!」

 

下には自分の愛する人が!大切な仲間がいるのにどうして動かないんだよ俺の体は!!肝心なこの時にどうして動かないのだ!!

 

動けずに、其れ共自分を止めようと必死のポップとハドラーを、宝玉の中で必死に止める者達の声をバーンは嘲笑う事をせず、優しく慰めの言葉を贈る。せめて心安らかに逝かせてやる為に。

 

「直ぐに其方達も後を追わせよう。」

 

苦痛も無く、慈悲深くその命を終わらせる。だから、嘆くなと言いながらバーンは雷を浴びる中、右手を上げそして下げた瞬間、中央の塔に配置されていた柱がロロイの谷へと落下し、その瞬間を、バーンは水鏡を出現させダイ達にも見せつける。

 

柱を止める者とて無く、大地に深く突き刺さり全てを薙ぎ払う衝撃波で山は崩れ地形は変わりはて、粉塵が落ち着いた時に映ったのは、クレーターを穿たれた大地と柱しか映っていない光景が。

 

 

「あ・・あああ!!!エイミ!!エイミ!!!!」

「フローラ様!!そんな・・・そんな!!」

「畜生が!!!!!!」

「お・・・おおお・・・・」

「こんな・・・・こんなのって!!!」

「老師様!!ノヴァ!・みんな・・ああああ!!!」

「う・・・嘘だ!!バラン様!ガルダンディー!!ボラホーン!!!」

「パピィ!!スラ!!・・・嘘だ!!」

 

 

勇者一行の悲痛なる叫びが玉座の間にて、玉の中にて響き渡る。その絶望的な光景を前にして、ダイは剣からするりと手が抜け声なく涙を流し、魔王ハドラーも慟哭の声を上げ顔を覆いて大粒の涙を流す。

 

誰もが、最愛の人々を、守りたかった掛け替えの無い者達を喪った痛みに耐えかねて。

 

死神の自分の前であっても槍を取り落とし全身から力が抜け涙を流すラーハルトが、他の者達が憐れになる。

 

「・・・・安心おしよ・・・・」

 

大鎌を振るい上げながら、キルは優しく泣いているラーハルトに声を掛ける。

全員痛みなくあの世に・・・・そこまで思うと、はたと物凄い疑問がキルの脳内に湧いた瞬間其れは聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来た!!!完成だ!!!!!!」

 

 

キルが疑問に思った事、其れはティファの嘆きの声が聞こえなかった事!

あのティファが、目の前で数多の命が喪われたというのに!静かなのはおかしすぎる。静かなのはおかしい、だからと言って今のティファの声はなんだ!!!

 

 

 

全員の目が一斉に、声の方を見れば、ダイ達同様座り込んでいるが喜色満面の顔で何かを喜ぶティファの姿があった。

 

 

「出来た!!ようやく・・ようやくの完成だ!!!・あぁぁ・・長かった・・・もう金輪際こんなややこしい事したくないけど!とにかくできた!!!!」




今宵ここまで


前回の話の補足です。

感想欄でいただいたのですが、原作のダイ君の必殺技はギガストラッシュだが、今作品ではバランからの紋章ではなく主人公の紋章を受け継いだのでギガデインストラッシュとなったのはいいのかなと。

その通りです。ギガデインストラッシュは間違いでなく、この作品独自の名前です。

バランパパから紋章受け継いだ場合→ギガブレイク→ギガストラッシュ、となりますが、
主人公から紋章を受け継いだ場合→戦いの経験を貰うが技は受け継がれず自分の技を高めたものを使用。なので、ライデインストラッシュ→ギガデインストラッシュと、ライデインストラッシュをヴァージョンアップさせた名前をそのまま使いました。

なのでこの作品では、ギガストラッシュではなく、ギガデインストラッシュとなりました。

間違いを書いているともやもやとした方、フォローが遅くなり申し訳ありません。
原作と差異を出す時はなるべく後書きを疎かにしないようにしつつも、誤字脱字チェック同様、なるべく気を付けていても抜けてしまいますので、此処違うのではと思うところがあれば、感想欄でお知らせしてくださるとありがたく思います。
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