「ティファお前!!!一体何が嬉しいってんだよ!!!!」
ティファの喜ぶ声に真っ先に怒鳴りつけたポップの形相は凄まじかった。
柱が落とされた場所に居たのは自分達にとってかけがいの無い者達ばかりでり、その者達が殺されたというのにティファの喜ぶ声が信じられない・・・一体ティファはどうしてしまったのか・・・
ポップの思いはティファ以外の全員を代弁している。仕掛けを作動させたバーンと、この後の結末を知るキルですら、其れこそ宝玉の中に居るミストですらがティファの喜色に満ちた声に耳を疑った程であった。
見知らぬ、其れこそ赤の他人どころか敵の命すらも奪えないティファが、この状況でハドラーのように嘆きの慟哭を上げるではなく、兄の様に悲しみの底に落ちるでもない事に。
その疑問を解くのは矢張りティファである。
「ダイ兄、ポップ兄、皆も、大丈夫だよ。メルルさんも、父さんも、ガルダンディーとボラホーンもフローラ様も、ノヴァも、バウスン小父様も、おじさんも、ロン・ベルクさんも、アキームさんも、アポロさん・エイミさん・マリンさんもゴメスさんも、フォブスターさん達有志の人達もパピィ君達も、カール騎士団の皆、此処からうんと離れた丘の上にいるから!」
物凄く良い笑顔で言い切るティファに、バーンの顔が青褪める。ピラァを落とす前に、必ず感じていた神力を感じてはいたがまさか!!!
ロロイの谷を起点とした全方向の気配を辿り、神力を感じる場所を探し当て水鏡に写してみれば、ダイ達の無事を静かに祈るメルルを先頭に、ノヴァ達もまた祈るようにパレスを見上げ、何かを話している。
更に水鏡に力を注ぎ込み聞こえてきたのは
「危なかった・・・メルルの神託のおかげで我等の命は・・」
「彼女だけではなく君達のおかげだよ。ありがとうティンク、エル達。」
「あんら、私達に感謝しなくともいいのよ。」
「そうそう、教えるように僕等に言ったのは-闇の精霊王様-なんだから。」
人とモンスター達と僅かな魔族だけではなく、なんと大勢の精霊達が現世に顕現しているではないか!!
「ふふふ、驚いていますね大魔王。普段人前に出てこず、見える者だけに話しかける彼等が顕現しているのが不思議でしょう。」
バーンの顔色が変わった事にティファが気が付き、其の種明かしをする事にした。
勿体ぶるのは好きではなく、其れよりも-助けたい者達を全部助ける-為にここまで歩いてきたのだ。
一分、其れこそ一秒だとて惜しいのだから!
「大魔王!今まで落としてきた柱全部映します!!答えはそこにあります!!みんなお願い!映して!!」
ティファの声に願いに、待ってましたとばかりに大勢の水色に輝く精霊達がティファの周りに一斉に顕現し、所狭しと喋りはじめた。
現れたのは水の精霊王の直属の精霊達。彼等はバーン以上、其れこそヴェルザー以上の水鏡を張るなど朝飯前であり、ずっとティファの依頼を待っていただけに、呼ばれて請われた事が嬉しくて仕方がない。
「ティファちゃん!やっとだ!ようやくだ!!おいら達の水鏡を見てね!!」
「さっさと張りますわよ!!」
浮かれる者、其れをピシリと諫める者達がティファの周りを飛び交う様は幻想的であり、この状況下において全く現実味が全くしない様子に、ダイ達はおろか、魔界の神ですら何が起ころうとしているのか分からず、冷や汗が滴り落ちた。
一体ティファは何をしようというのか・・・
映れ、見せよ世界の全てを!我等の親愛なる水よ、岸辺にて水面に映るものを見たいと請い願う子等の願いに応えよ
精霊達の詠唱が終わると共に、バーン以上の大きさの水鏡が六枚、玉座の間にいる全員が見える位置に横並び六本の柱とクレーターと化した大地が映し出された。
ティファは答えはそこにあると言っていたのに・・・だが!関係ない!!ティファが何かしようとしているのだろうがもう遅い!
「其方が何をしようとしているかは知らぬ!だがもう遅い!!地上の消滅をそのまま見ているがいい!!!」
バーンは叫び上げながら再び右手を振り上げ、ロロイの谷の柱に設置してある黒の核晶に魔力を注ぎ込み、バーンの言葉に再び青褪めたダイ達が止めようとするが、何も起きなかった。
「無駄ですよ大魔王。貴方が描いた六芒星は、-私達-が乗っ取らせていただきました。」
「・・・何だと・・」
「六・・・ティファ!六芒星ってなんの話だよ!!」
確信をもって話すティファに、黒の核晶が爆発しない事に呆然とたバーンはダイ達のように顔を青褪めさせ、六芒星とはどういう意味だとポップが声を張りあげる。
ティファは何かを知っている、其れも途轍もない何かを・・・
「ポップ兄・・・・水の精霊さん達、水で-地図-作れる?」
「オーライティファちゃん。」
言葉よりも見た方が早いと、ティファの頼みで精霊達は水の線で世界地図を作り上げていく。大陸と島々全て空中に描き出し、そして順番はうろ覚えだけどというティファの言葉に従って大きな点をつけ足していく。
ロモス西南のポルトスの町
人里から少し離れたリンガイアの国
無人となったバルジ島
オーザム南部の雪原
パプニカ西のベルナの森
そしてここロロイの谷
点が描かれていくうちにダイ達はティファの言った事が分かり血の気が引く思いがした。
特にヒュンケル・クロコダイン・ラーハルト達、元魔王軍にとっては見慣れた魔の六芒星と同じではないか!!
「大魔王に問います。あの柱の中には黒の核晶が設置されていますね。」
「・・・・其方何故それを知っている!!」
ティファが柱の中身を言い当てた事に、バーンは堪らず声を荒げてティファに問いただす。魔王軍でも柱の中の事は秘中の秘であり、知っているのは自分とミストとキルを外しても極数人!黒の核晶を一つでも爆発させれば、魔の六芒星を辿って爆発を誘発させ、陣の力で更に爆発力を高め以て地上を消す筈であったのを何故ティファが知っている!
「・・・・其れもおいおい分かります。一つずつ解きましょう。大魔王、貴方の六芒星は乗っ取りました!出て来てください皆さん!!かつて取り交わした約束を果たしましょう!!」
ティファの言葉に魅かれる様に、六本の柱の周囲が様々の色の光を発し、あまりの眩しさにバーンすらもが目を覆い、次に水鏡を見た時、そこにはこの玉座の間よりもあり得ない光景が映し出されていた。
それぞれの柱の周りに無数の精霊達のみならず、柱の頂上の上に精霊の王と思しき高位の精霊が佇んでいる!
そして地上部や柱には、精霊達のもならず-眷属-達までもが姿を現している。
精霊界には精霊の他に、それぞれの属性を有した生き物がいる。
火であればトカゲ姿のサラマンダーが、水であれば水辺の馬と言われるケルビムと、それぞれの眷属がおり、精霊達以上に人に姿を見せない・・・そもそもが柱の上に佇む者達は一体!!
「ご紹介します!!」
現実味の無い、其れこそ神話にでも出てきそうな幻想的過ぎる事態に追いつかない者達の間を凛とした声が響き渡った。
「北の柱を起点におられるのが天・或いは光の精霊王様で、南西におられる水の精霊王様と風の精霊王様が六芒星の一つの枠組みを清め、南の柱は闇の精霊王様を起点に北西を火の精霊王様が、北東を土の精霊王様が清め魔の六芒星を生命の息吹が巡る六芒星へと・・・・」
ズガァァァァン!!!
それぞれの柱にいる精霊王達とその配置を説明しようとしたティファの声は、轟音によって掻き消された。
放ったのはバーンであり、残っていたありったけの魔力を注いでカイザーフェニックスを-得体の知れない-ティファに向かって放ったのだ。
ティファの説明は叡智を讃えた大魔王たるバーンにも分かる話であった。
天が清らかに運行されるには光に導かれた水と風が天をの隅々に行き渡り、清らかなる正常な気を大地に振り落とし、地上の凝った気を、闇に導かれた火と土が浄化し、清浄となった気を天に送り返し、そうして天と地を気が巡り世界は回っている事を。
だがそれを何故ティファがさも当然のように知っている!そもそもが何故-全て-を知っているかのごとく話しているのだ!!
バーンは生まれて初めて恐怖を味わった。
ティファの得体の知れなさを前にして
今宵ここまで
・・・・凝った設定を作ると説明文になってしまい、そして表現自体が難しいです。
六芒星乗っ取りですが、北を起点とし正位置のトライアングルを天として光・水・風が浄化し、南を起点とした逆位置のトライアングルを地として闇・土・火が浄化し魔の六芒星を本来の命を循環させる方位陣としました。