地上界の三神への批判にティファは耐えられなくなり、届く筈も無い怒鳴り声を上げ、肩で息をしながらボロボロと泣き崩れる。
悲しくて、胸が痛くて・・・・ファブニールの竜と同じ。知らないから、人々が、神々と繋がれない者達は知らないから。三神様達が、今日この日を迎える為にどれほどの胸の痛みに涙を流したのか、死にゆく者達に何も出来ずに見ているしか出来なかった、無力な自分達を呪い、其れでも歩みを止めずに来たことを知らないから・・・
ティファは一体何を知っているというのか
まるで神々を擁護する様に、ダイ達もバーン達も声を掛けることが出来ずにいる。この事態を引き起こし、そして神を擁護するティファに、得体の知れなさを感じて。
さしものキルととてもだ。
そのティファが動き出す。何かを決意した、あの力強い光を双眸に灯して。
「ティファ!お主が待っていた声が上がったのであろう!!」
「吾子よ、続きの歌を歌ってたもれ。」
「私達はずっとこの日を待ち望んでいたのです。」
「僕等が犯した罪の償いをさせておくれよおチビちゃん。」
「ここは矢張りドカンとだな!!」
「そちは本当に・・・だが、我等を送るような輝きある歌を頼もう。」
三神様達も、そして精霊王様達もまた、決められた覚悟がある。
知っている、私が歌えばこの人達は・・・嫌・・・・この人達もまた、魔界の惨状を引き起こした人達なのは知ってる。先代の神と共に、魔界を地の奥底に沈めた人達なのを、会ってすぐに教えてくれたから。自分達の罪を告白する様に。
償うべきだと心の痛みを吐き出す様に。
その方法は細い細い、クモの糸よりも細い綱渡りのような方法で、世界中に-破魔の石-を大量に置いて、大地の力を柱に伝わらせて魔の六芒星を光の六芒星にした後の効果を地上と魔界にもたす事が、唯一三界を救う方法の中で一番難しい事だと。
石を置くだけのことなのに何故一番難しいのか、聞いてすぐには分からなかった。
石を置く、その行為すら精霊王様達も精霊も、現世に関与する事でありする事を許されておらず、出来ないのだと知って驚いた。
そんな少しな事すらも許されていない厳格さに。
現世で生きている者の誰かに頼める事ではない。魔界を救いたいと願う地上人など見つけることすらできまい。
いたとしても、魔王軍に見つからず世界中行けるものなど転生特典貰えた私くらいしかいない。
破魔の石は、モンスター達を邪悪なる気配が満ちても凶暴化から守るものだけではなく、大地の力を光の力に変換して魔王軍、ひいてはバーンから柱を奪うもの。
ずっと幼い頃から少しずつ、魔王軍の目を欺きながら、ガルーダと共に世界中に置いてきて、オーザムもはからずともダイ兄達が魔王軍の目をバルジ島に引き付けている間に、式に置かせて完成した。
その時の精霊王様達は物凄く喜んでいた。
これで世界が救える手立てが出来たと。
其れと共に、自分達の罪が償えると・・・・償うのだと・・・
今この陣の中心は私。巨大な力のうねりを肌で感じているうちに分かってしまった・・精霊王様達の、三神様達の罪の償い方を!!
・・・私は・・
「ティファよ?」
「どうしたというのだ・・・何故泣く?」
私は・・・
「吾子・・・・何が悲しい?世界が救えるところまで来たのだぞ?」
「ティファ、続きを歌っておくれ。」
私は嫌だ!!そんな罪の償い方を!!黙って見ているなんてできないよ!!!
だから!!!
「ああああ!!!!」
ここまでは三神様達が書いてきたシナリオ
「おチビちゃん!!ッ!!これは!!!」
「ティファ!!!!」
けれど!此処からは私の、ティファのシナリオだ!!!
ティファは顔を上げ、喉を逸らし力の限り叫び上げた。自分の中にある巨大な力を身の内に留まらせ、繋がっている柱の力を従え、彼の地に飛ぶために力を振り絞る。
そのティファの叫びに呼応するかの如く、柱は精霊王達と眷属全てを吹き飛ばしながら白い光を天空へと昇らせ、巨大な光の六芒星が逢魔が時を過ぎ、星空が見え始めた空に描かれる。
その光の六芒星の中心を、一つの白い小さな光が通り抜けた。
柱のと共鳴する様に光り輝いたティファの体が、崩れ落ち横たわるのを見たダイ達が駆け寄り、神速で近づいたラーハルトがティファの体を抱え起こそうとした時ラーハルトの手に、一本の細身の剣が刺さりかけ咄嗟に手を引っ込めると同時に、キルの声が玉座の間に響き渡った。
「その子に触るな!!!」
その声は冷たく、目には殺気すらも孕んだ瞳でラーハルト達を睥睨し牽制をする。
「今その子の魂が体から抜け出てる!!見てご覧!体が半分透けているだろう?魂が抜けた体に触れば、魂は傷つく!!!」
ダイ達が自分の行為に対して何かを言い立てる前に素早く釘をさす。
魂が抜けた体に触れば、肉体も魂も傷がつき、知らず長時間触れれば、肉体が魂に戻った時に酷い有様になることがあるのを。
「ではどうするのだ!!ティファ様をこのままにしておけというのか!!!」
キルの言い分は分かったが、だからと言ってティファをこのままにしておきたくはないとラーハルトが怒鳴るのを、キルは意識してかせずか無視し、ティファの魂を水鏡の映像で追えるか伺いを立てる。
「・・・・やってみよう。」
バーンとても魂抜けをした者を追った事は無いが、己の暗黒闘気と深く交わったティファならば或いはと思い、黒の核晶に回す筈だった力の大半を水鏡に注ぎ込み試みる。
こうとなれば、ティファ達の思惑通りにするほかないのだから。
バーンの渾身の水鏡は、果たしてティファを捉えることが出来た。そこに映ったティファは、白い輝きを放ちながら、白いシミーズに身を包んだ姿が天を上り六芒星の中心に入り込んだ時、映像は黒い嵐に包まれティファの姿が映らなくなった。
映像が消えたのではないが、何が起きているのか分からない中での水鏡の異変は、見ている者達の心を寒からしめるには十分なものであった。
そんな外の様子を知らないティファは、水鏡の映像と同じ黒い嵐の中をひたすらに上昇していく。
上下左右構わず、滅茶苦茶にうねる力に引き裂かれ押し戻されそうになるのを懸命に堪え、ひたすらに手を上に伸ばして昇っていく。
もしも手を降ろしてしまったら方向を見失ってしまう!
機会は一度!このたった一度しかない!!
やり直しが二度と聞かないこの時に全てを賭けたティファは、ひたすらに上を目指し、魂の体に傷がつくのも構わず押し通らんとする。
もう少しかもしれない!
「もっと!!もっと力を出してよ私の体!!!」
押し戻されないように叫び上げた瞬間、ふと力の嵐が収まるのを感じた。
其れは本当に突然であり、見回せば全てが青い世界だった。
其れは上下左右すらも分からなくさせる程、全方向が蒼天の空であり、其れこそがティファの求めた地の証。
漸く会える。
此処こそが、三神様達がいる世界、天界にようやく来れたんだ
今宵ここまで
以前書いた破魔の石と、最後の幕間で書いた魂抜けのフラグが無事に回収できて何よりです
前回の魂抜けと違い、白い体に何も着ていないのではなく、力に満ちて元の体を魂が再現し、服も着せた設定にしました
物語も漸く大詰めとなりますが、これまで以上に作品設定に対する立てたフラグを回きちんと回収しつつ、設定ミスに気を付けていきたいと思います。