勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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主人公に最後に付き合う相棒は、兄達でも幼馴染でもなくこの方です


三千世界の空をも超えて

「ダイ!いきなりどうしたんだよ!!お前・・・ティファが言って事の意味が分かったのか?」

 

自分達と同じ様に、ティファの行っている事が分からず呆然としていたダイが、突然何かを理解し、その事を悲しみ魔界を救って欲しいと叫び上げたのをポップが何事かと問いただす。

まさかティファがダイに何かを教えたのだろうか?

 

親友であり、相棒でもある魔法使いの問いにダイは懸命に自分が知った事を伝えようとする中、天界にいるティファは通ると言いながらも逃げ回っていた。

 

 

自分の言葉に少しの間は呆けてくれていた天族であったが、伊達に長生きはしておらずすぐさま立ち直ってティファに追い縋り、攻撃を再開してきたのだ。

お陰で目に見えているのに大陸の中央にある神殿に直行できず、ティファは苛立ちを募らせるが攻撃は我慢している。

 

敵なれば相手をしても構わないし、追い縋ってくる天族ははっきりと言えば地獄の底に叩き落としてやりたくすらある。

全員地獄に落とせばあの冷徹補佐官殿が出て来て、世界の秩序と安寧を守る職にあるものが堕落し、職務怠慢だと言い放ちながら十六小地獄に落としてくれる筈だと信じてる!

そして炎の牙を持った獅子に何度も何度も喰われてしまうがいい!!

 

物凄く珍しい事に、ティファは今回の敵対相手の事情を、考慮しようという気が一切ない。

知らずにやってしまった人達、またはどうしようもなく戦うもの達にティファ生来の優しさを発揮する。

ただし、知っていて私利私欲でやらかす者共は地獄に落としてやりたいほどに嫌い抜き、もっと嫌いなのは他者を踏みにじっても正義は自分達にありという事を恥じも感じずに叫ぶ愚か者は、駄竜王と同じくらいに許しておけない。

 

だがしかしだ!こいつ等を倒してしまったら、三神様達が悲しむ。

其の一点において戦わずに逃げているのだが、後ろの天族達は自分達に恐れをなして逃げていると調子に乗ってバカすかと魔法を放ってくる様に辟易したくなっている。

慣れない魂の飛行にティファも疲労が溜まり、動きが遅くなった時囲まれてしまった。

 

 

しまった!!!

 

一方向などではない。上下左右どころか立体的な球体に配置された天族達に囲まれた事に、ティファは非戦闘はここ迄かと腹を括り、冷や汗を流したのを年嵩の天族が何を勘違いしたのか、その様を嘲笑った。

 

「今更我等の力を知り、恐れをなしたとてもう遅いわ!!!」

「我等の正義の力で死ねる己を幸福に思うがいい!!」

 

 

・・・・・こいつ等を助ける為に、三神様達が必死になったと思うと馬鹿馬鹿しくなる。

 

愚かな勘違いをする天族達に、ティファは本気でうんざりとした。

自分が来なかった未来では、高確率で魔王軍が圧勝し、天界が滅んでいたであろう未来を回避する為に、労を惜しまず自分を転生させたとも必死に今日まで来た三神達を思うと、目の前の愚か者達を消し炭にしてやりたいほどに。

 

だが、矢張りそうもいくまい。

自分を取り囲んでいる者の中にも、私の言葉を聞いて迷い始めた物が数名要る。

その芽を潰すわけにも、さてはてどうしたものだろうと、少々すっとぼけた思考で思案している時に-それ-はやって来た。

 

 

 

遠くから聞こえた時は、自分が望む願望が幻聴となって聞こえたかと思えた。

其れが本物の音だと分かり喜びが胸を満たす前に、凄まじい風圧が自分を取り囲んでいた天族全てを吹き飛ばし、開けた視界の向こうにいたのは・・・

 

 

「ガルーダ!!!!!!」

 

長年、自分を背に乗せてくれて世界中を飛んでくれた神獣ガルーダの姿に、羽音に、ティファの全身は喜び以外のものが吹き飛んだ。

 

何を言うでもなく、ティファは一目散にガルーダに飛びつき太いガルーダの足にしがみついて思う様に羽毛の柔らかさを全身で堪能する。

 

会いたかった・・・・ずっとずっと会いたかった!!

パレスでも、下でも、ずっとがずっと

 

「ガルーダ・・・・」

「-ティファ・・・・我は怒っているのだが?-」

「うん、本当は大戦がきちんと終わるまで会わないって・・」

「-お前が最後の頼みだというから聞いて、精霊界で全て見ていたぞ-」

「ごめんねガルーダ。でもね・・」

「-分かっている。我を戦いに巻き込まぬためであろう-」

 

あの決戦の日、ロン・ベルクンもとに行く前に二人で話し合った。

大戦がきちんと終わるまでガルーダは精霊界にて待っていた欲しいと。

 

その願いを、ガルーダは聞き届けた。

これが最後の戦いであり、この大戦が終わったらもう二度と戦う事をしないとう約束と引き換えに。

 

二度とティファの心が傷つく事の無い事を願って。今の自分の力量では、足手まといになる事も分かっていて。

大魔王達との戦いでは自分の出番は完全に無く、ならばティファの未来を良くする事を約束させて待っていたのだが、ティファの事を見ない日はなかった。

其れこそパレスでの人質生活の事も、駄竜王の仕掛け時もばっちりとみては、様々な意味で怒髪天になった。

そして、ティファが単体で天界に乗り込んでもう我慢できずに来たのだが・・

 

「ガルーダ、私を乗せて飛んでくれませんか?」

 

幼きあの頃に、出会った時の言葉を持ち出すとは狡かろう?

 

八年前、どこ行くわけでもなく空を散策していた時、不思議でそして心地良い音に魅かれて見に行ってみれば、人の子がいただけで帰ろうとした時、いきなり背中に乗られて激怒して、二時間も乗せて降りろの攻防戦が懐かしく感じるとは・・・

 

「-良かろう-」

 

あの時とは違い、渋々とではなく快く引き受けてくれるガルーダに、ティファは嬉しくなる。

 

「-お前が空を飛んで移動するのは、我に乗ってか空飛ぶ靴の使用以外ないのだろう?お前の行きたい所を言うがいい。-」

 

優しくティファの頭を嘴でかしかしと擦り、望む場所を問う。

 

そこがたとえ地獄の底であろうとも、我が連れ行く。

 

ティファと共に有れるのであれば、三千世界の全ての空を飛んで見せよう




今宵ここまで

仲良し無敵コンビの復活です(*´ー`*)
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