勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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感想欄でとっても素晴らしい感想頂きました!
なんとこの作品のテーマソングが決まったのです!!
(拙速なこの作品でテーマソングとは烏滸がましいと言われそうな…しかし気にしません!!)

その歌を聞いて、筆者の頭に浮かんだ妄想にて始まります( ´艸`)


未来を目指して

十数万年前の因果から世の嘆きの一つが始まり、その因果を解きたいと十万年間思い続けた者達と、七千年生きて来た大半の月日を因果を憎みながら生きて来た者の願いを背に、五百年の年経た神獣ガルーダに乗った少女は、十万年間閉ざされ続けていた大空を自由に飛び回る。

 

ガルーダと共にいれば、何処へでも行けると信じ、良き未来を目指して

 

 

 

 

 

「・・・・・つまり何か?俺達が広くって、これ以上のものはないって思っているこの大地と、魔界と・・あのどでかい天界をひっくるめても宇宙ってののほうが広いってか?」

「うん・・・広くて、何処までも果てがなくて俺怖かった・・・」

 

こんなにも広すぎる世界で、折角生きている自分達が殺し合いをしているのが悲しくなる程の広大さであった。

 

「信じられん・・・・天球技をいくつか持っているが、この大地の周りを星が回っているのではなく、この大地そのものもまたあの星と同じであり、その一つに過ぎんと・・」

「私も・・・俄かには・・・」

「・・・・・勇者君はどうしてその事を知ったの?」

 

知識があれど、ティファと違って外に伝える術がまだ未熟なダイの言葉を懸命に汲み取り翻訳したポップの説明に、学者並み以上の知識を持つアバンとハドラー達を以てしても、理解するのが容易な事ではなかった。

この大地が、球体であり星であると言われてそうですかと容認する者はまずなかろうし、失礼にならない範囲で質問をしたキルが正しい。

 

突然そんな事を言われても、頭がおかしくなったのだと決めつけず、どうして知ったのだと、理解する為に質問をしたのだから。

 

「・・・・・さっきから、頭の中の何かが教えてくるんだ。バーンとの戦いの時も今も・・・・少しずつ、ティファの言葉の意味が流れてくるんだ。」

 

-惑星-と、ティファが言った時には意味だけではなく、ティファと共にこの星を外側から見たのだという事は秘っして。

 

其れは本当に突然、自分がどこかに・・・・そう、まるでラック=バイ=ラックで強制的に飛ばされたあの時のような感覚に翻弄され目を瞑ってしまい、目を開けた時にはそこは・・・・どういえばいいのだろう?

あの不思議な空間を、遠くには光る星があり何処までも果ての無い空間の中で、気が付けば隣にティファがいて・・・そして

 

「ダイ兄、下を見て。」

 

ほんのりと笑う妹の言葉に従い下を見ればそこは

 

「あれが私達の住んでいる星、或いは惑星って言うんだよ。」

 

青い海と、緑豊かな大地が見える、美しいものを、ティファは惑星だと教えてくれた。

あんな素晴らしいところに自分達は住んでいるのかと思うだけで、胸が温かくなるが、疑問が湧いた。

「星って・・・今周りに見えているの?どうして丸いのに俺達は平気で立って生活できるのさ?裏にいる人達はどうして下に落っこちないの?」

 

ダイは、その空間にいる事自体に疑問を持たず、初めて自分の住む大地が丸い星の中にあるのを知った子供と同じ疑問をティファにする。

この空間は、きっとティファの仕業だと分かっているから。

 

「う~ん・・・そうだね~。この私達の住んでいる星には、物を下に引っ張る力があって、其れがとても強いんだよ。

ジャンプをただすれば地面に着くのは、この星が私達を星の外に落ちない様に守ってくれているんだよ。」

「そうなの?」

「そう、だから、この星の裏側の人達も同じように引っ張られてるから大丈夫。」

 

万有引力だのなんだのを小難しく言えるほどティファも詳しくはないので、自分の知識を総動員して噛み砕いた者を伝えれば、ダイはとても納得した。

 

「そうか、星が俺達の事を守ってくれているんだね。」

 

とっても、優しい答えを自分の中で見つけて。

 

そうだ、重力もそういう見方が出来るのかと、教えた積りのティファもまた納得をした。

自分達が、惑星の中から落ちないように守ってくれているんだと。

 

自然笑みが零れたティファの横顔に、ダイは胸が温かくなるのを感じる。

 

近頃は・・・・大戦が始まってからはティファの本当の笑みを見ていなかったせいだ。

俺の可愛い妹が、また素敵な事を考えてる。周りの為なんかじゃない、ティファだけが持てた素敵な考えが。

 

 

最近まではティファの事を太陽のようだと思っていた。温かい光で俺を、俺達を温めてくれるあの太陽のようだと。

でも違った。ティファは星だ。

 

俺達が様々な事に落ちてしまわないように懸命に引っ張って守ってくれる、まるでこの星の様ではないか。

 

そう思った瞬間、何時の間にかポップ達がいるパレスに戻ってきた時、叫んでいた。

この星の、同じ生命の仲間である魔界を助けて欲しいと。

 

 

その願いを背負い、ティファはガルーダと共に天空を舞う。

浮遊大陸の山間をすり抜け、湖を水面すれすれに飛んで攻撃魔法の弾幕を躱し、湖に起きた水飛沫を凍らされ壁になろうとも、ガルーダは急上昇し易々と飛び越えていく。

ティファが望んだ場所に連れていく為に、精霊界で知ったこの世界の惨状によって流された涙を止めたいと、ティファが尽力している事を成就させるべく。

 

我の雛鳥が、雛鳥の家族達が、心の底から笑って暮らせる未来を築く為にも!!

 

「ガルーダ!!」

 

そのガルーダの羽の一部が凍らされた。天族達はティファ本人を仕留める為に、ガルーダを先に飛べなくさせればいい事に気が付き、全員が氷系呪文のみを使い始め、遂にガルーダの羽先に掠められてしまった。

 

錐もみしながら落ちていく中、ティファはガルーダの背から降りようとしたが、ガルーダがそれを許さなかった。

 

「-我の背中におれティファ!!-」

「でも!!私が離れればガルーダは!!!」

「-ふん!・・・これしきの事で!!!我は神獣なり!!神獣ガルーダなり!!!-」

 

ガルーダのみを案じ、離れようとしたティファを降ろさず、ガルーダは今生の内で最大の声を張りあげ、双翼を力の限り伸ばし羽ばたいた。

其れは真空呪文と同じ風圧を起こす威力があり、ティファが落下していると思っていたのはガルーダが自らの体を回転させ、風切り羽まで凍らせた氷にひびを入れ、頃合いを見測り一気に氷を空中にまき散らす。

 

まき散らされた氷は、沈む事の無い太陽の光を乱反射させ、光の粒子の中を再び力強く跳び始めるガルーダを、あたかも神の言祝ぎを受けているが如く周りには映った。

 

神獣ガルーダと、そのガルーダの背に乗る少女こそ、崇め奉る主神たちが大事にしている・・・我等ではなくあの者達を・・・

 

「最早手段は選ばん!!-多少の被害-が出ようとも!!あの者の命を!!!」

 

嫉妬に目が眩む!我等こそ、この天界を長きに渡って守ってきたというに!!たかが数百年の時しかわたっていない神獣ガルーダ風情が!大魔王という穢れを運ぶ愚か者が祝福されているが如く映る事すらが!!!

 

 

ティファの背筋に寒気が奔った。

これまでは中級でとどめられていた魔力が、上級に変わった事を感じ取り、相手のする事が分かりゾッとした。

 

この天界で、本気の死闘をしたいのかあいつ等は!!!

 

私に上級攻撃魔法をするという事はそういう事だ!!これまで碌に戦ってこなかった者が、力を振るって制御できる保証とてないのに!!!

 

浮遊大陸の端にいるとはいえ、民家もまばらに見える。それらに被害が及ばないと何故言い切れる?言葉による威嚇かと、そう思ったのが仇となった。

 

全方向から一斉に撃たれたイオナズンの嵐に、対処し損ねた。

 

あ・・・・・

 

 

もしもこの儘であれば、ガルーダが死んでしまう・・・・嫌・・・あんな奴らの為に!!ガルーダが死ぬなんて!!!

 

ティファが、天界の天族に弓引く事を覚悟した時、ティファとイオナズンの嵐の間を、膨大な何かが駆け抜けた。

 

其れはまるで、竜ではなく、龍が天へと帰るように、蒼天の空を駆け抜けたようにティファには見えた。

 

其の龍は、蒼天を駆けあがり上方の天族達を散らした後に再びティファの前に戻ってきた。

 

「・・・・・ティンク・・」

 

その龍の一片たるものを見た時、ティファはぽつりと一片の名を呟いた。

長年、自分とノヴァの友達であるティンクが、憤然と怒りながら自分の方に留ったのを見て。

 

よくよく周りを見れば、龍と見えたのは大勢の精霊達であり、もっと見てみれば、先程自分を追い回していた天族と、そうでない天族が大勢いるのが見てとれた。

その姿を見て、攻撃をしてきた者達が一様に裏切るのかと罵るのを、此方に背を向ける彼等は懸命に声を上げていた。

 

「もうやめましょう!!この者は・・・この方は我等より強いのは私の様な弱き者でも分かります!!なのに一切の反撃をしてこないのは!この天界を戦場にしない為にしてくださっているのです!!」

「魔界があそこ迄滅びに瀕しているのを今日知って!私は・・・・私達の役目は命を見守り助ける事ではありませんか!!!」

「我等はこの方と共に魔界の生命を救いに行きまする!!!」

 

ヴァルガヴル神を謀っていた天族の長の一人に半数以上の天族達は反意を翻す。

彼等もまた、鎖国した天界内にて知らなかったから。

魔界の現状を、命が消えていく悲しみを・・・知った今となっては、己達の本分を全うしたいのだと吠え上げて。

 

精霊達もまた、ティファを攻撃した事に怒りをあらわにし、対峙するのを厭わない姿にティファは呆然とした。

 

「・・・・皆・・どうして?」

 

折角戦いに巻き込まないように弾いたのにどうしてと動揺するティファに、ティンクは満面の笑みを浮かべ、何気ない事を言うように答える。

 

 

 

「友達を助けるのに理由はいらないでしょうティファ。」




今宵ここまで

少しずつダイ君の得た知識で、勇者一行と魔王軍がこの星の生命のありがたみを知っていきます。


感想欄にてテーマソングはこれだと教えて下さったグラビ屯様、ありがとうございました!!

冒頭で、幾万年の時を超えて空を行くガルーダと主人公を書けて筆者幸せ者です(*´ー`*)

久しぶりにあの曲を聞いて、筆者物凄く納得しました。

教えて下さった曲は、【ドラゴンクエスト・アベル伝説のOPソング、未来をめざして】

短い歌詞の中に沢山の温かい思いが詰まったあの歌を、この作品のテーマソングと言っていただき嬉しく思います。

この作品の最後まで飛ぶ力を得ることが出来、本当にありがとうございました。

アベル伝説は全ての歌が素晴らしいく、Google検索ですぐに出てくるので、是非聞いてみて欲しいなと思いました。

力を貰った筆者は、最後まで頑張ります
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