勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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四神の願い

参ったな、其れって最高の口説き文句だよティンク。

そうだね、友達も仲間も家族も・・・赤の他人だって困っている時に助けるのが当たり前なんだ・・・当たり前なんだよ。

どうしてなんて聞くなんて、助けてくれた人に対して侮辱にも等しい事しちゃったな。

 

「そうだねティンク。」

 

自分の肩口にとまる、小さな友人をティファはそっと掌に乗せてお礼をする。

 

「ありがとうティンク、皆も。これで私の行きたいところに行けそうだ。」

「ふっふ!ティファはやっぱり私がいないと駄目ね。」

 

幼いティファが困っている時、ティンクがいつも助けてくれていた。

迫害されているモンスターを抱えて逃げる時も、どこに行けばそのモンスター達の為になるのか相談に乗り、意外に人間の世情に長けているので、ティファがお世話になった人達に贈り物をする時、いっつも金銭的にも物量的にも過剰になりすぎるのを、全力阻止して程良いものを選んであげた。

 

ノヴァとの手紙の遣り取りで、手紙を書いた事がないティファはどう書いていいのか分からず、とは言え鬼面道士の祖父に聞いても困られようし、かといってリンガイアの遠い地まで行っているの船長達に知られたくないので、最終的にはティンクに教わっり、本当にティンクにはお世話になりどおしなって、友人よりも姉の様なのかもしれない。

そして、三神様達の意に沿う手伝いをしているのを知っている、数少ないうちの一人で、無理をすると直ぐにすっ飛んできて叱ってくれた・・・・これって本当に・・

 

「ありがとうティンクねぇね。」

「ティファ⁉・・・・・手のかかる妹は仕方がないわね~。」

 

ティファの本心からの言葉に、ティンクは顔を赤らめながらもティファの身を案じる。

予定では六大精霊王達と共に、柱にいたすべての精霊達と眷属達で天界へと来て、彼の始まりの神、ヴァルガヴル神を説得して浮遊大陸中央の神殿へと行くはずが、ティファに全ての力を持っていかれて弾かれてしまった。

 

「ティファ・・・・もうね、ここまで来たら、全部貴女がやるしかないの分かってる?」

「ティンク・・・うん、分かってる。分かってるよ。」

「・・・どうしてこんな事したかなんて聞かないわ。私達の為なんでしょう?」

「そうとも言えるし・・・違うとも言える。」

「なにそれ?」

「うん・・・・・うん、そのとおりだから。」

 

これはティンク達が償うのに命を懸ける事が、自分が嫌だっただけの話で、ティンクが言う様な綺麗な話じゃない。

六大精霊王様達とみんなの覚悟を邪魔した、単なる自分の我が儘だから。

 

だから正解で不正解という、ティファ独特の考えを口にしたのを、ティンクはティンクなりにティファの考えを読んで受け入れる。

 

「本当に手のかかる妹。いいわ、行って無事に帰って来なさい。」

「ありがとうティンクねぇね・・・私の大切な親友。」

 

別れを惜しむ様に、ティファは精霊達と助けてくれる側に回ってくれた天族達の作ってくれた道を力強く見据える。

 

「行こう!ガルーダ!!」

「-承知!!-」

 

力強い羽ばたきと、突然巻き起こった旋風の後にはもう二人の姿はなく、妨害する者達の背中を通り越し、易々と神殿へと到達をした。

 

神殿の入り口は広く、そのまま内部中央迄ガルーダは飛び続けティファの目当ての中央の間へと入り込む。

 

中央の間にあったのは、水色に光り輝く巨大な水晶体が浮かんでおり、その前に三人の人物が、ティファを悲しみに満ちた目で見つめていた。

茶色の癖っ毛の髪を長く伸ばした青年は、ガルーダから降りたティファに近づき手を取った。

 

「どうして・・・君が来てしまったんだい・・」

「貴方が、人神様ですね。」

「うん・・・・そうだよ、初めましてだね・・」

 

ティファの問いに泣きそうになる人神の横に、白髪の神と髭を長く伸ばし、導師のような衣を纏った老人もまた、泣きそうになり瞳をしながら、人神の横に並び立ち、ティファの頭にそっと手を置く。

 

「馬鹿者が・・・・其方は、此処に来るべきではなかったのじゃぞ・・」

「竜神様・・・・竜・魔神様でしょうか?」

「そうじゃ・・・・かつて我等は四神いた。しかしあ奴は、竜神は竜の騎士をマザードラゴンが代々産み育てる為の力を与える為に全てを使い切って消滅してしもうたが、あれは満足して逝ったのじゃよ。」

「・・・我等代々竜の騎士の父たる御方だったのですね。」

「そうじゃの・・・」

 

ヴァルガヴル神が最初自分に会って、龍の騎士の事を聞いた時四神が喜びはしゃいでいたと聞いた時違和感があった。

自分が知るのは三神様のみ。しかし、昔いたのだとすれば人神様と天神様が魔族の神の管轄は兼任するには相容れないと思って、魔族に近しい竜神様が兼任しているのかと問えば、あっていた。

竜の騎士を生み出し、紋章が初代から連綿と戦いの記憶を受け継がせるシステムを作るのに礎になられた方がいたのを知ったティファが、あらためて-四神様-達に敬意が芽生える。

本当に三界の事を救わんと、様々にじたばたした偉大な神々に。

 

「ティファ・・・ここまで来てしまっては最早其方を止めることは出来ない。」

「・・・申し訳ありません天神様・・・どうしても、友達が消えるのが・・」

「そのような世を来させた我等神の不始末。其方が謝すことは何もない。」

「天神様・・・」

 

金糸のような髪を短く刈りこんだ天神が、ティファの瞳を悲しように覗き込む。

 

見回せば、人神様も、竜魔神様も悲しい顔をしても怒ってはいない。もうここまで来たらやるしか道が無いから・・・私も、足掻こう

 

 

「始めましょう、天神様、竜魔神様、人神様。」

 

この世界の為に、再びじたばたしましょう




今宵ここまで


竜の騎士を代々輩出するシステムを作った為に、竜の神が力を使い切り注ぎ込み、消滅した設定とさせていただきました。
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