此処には、本来なら大勢の精霊達の命を力に還元して吸収してきた六大精霊様達がいる筈だったんだ。
そうでなければ、本来であれば目の前にある水色の巨大な水晶体を破壊する事は叶わないから。
これが、天界を十万年もの間鎖国させてい結界を維持していた法具。ヴァルガヴル神様が最後のお力を込めて結界を維持できるように作り上げたこの法具は、本来であれば三神様達・・・昔は四神様達が受け継ぐはずだったのを、表にいた似非天使の老害達が、力の未熟さに付け込んで支配権をそっくり自分達の物にした・・・・うん、あいつらギルディーって言っても良いよね?
そのせいで歪な箱庭が出来てしまった。魔界どころか地上が困った時も、彼等のお伺いを立てなければ行使できないなんてあり得なさすぎる。
この水晶を質に取られて長い月日ヴァルガブル神様は老害達に騙されたけれど、私がヴァルガヴル神様を説得できた事で、ヴァルガヴル神様も報告と現実が違いすぎるので速攻で水晶体の状態がどうなっているのかを知って・・・激怒してたんだろうな~。
私に内部の老害達の事を警告するくらいだから。
ともあれ、ヴァルガヴル神様が水晶体の権限を老害達から取り上げて三神様達へと移行されている。
だから、壊しても三神様達が周りに影響が出ないように水晶体の暴走を抑える事が可能になった。
水晶体を壊せば、天界が太古の昔の様に現世に顕現することは無い。それをしてもお互いに戸惑い、どう接していいか分からず良い事なさうだ。
メリットとデメリットがちっとも合わないのでそれはしない。
其れはしないけど、地上界との繋がりを良くし、魔界が外界と繋がらないように覆い尽くしているひずみを取り払うのが最大の目的。
「・・・・いきます・・・」
静かな気配で、ティファは水晶体に近づく。
最早ここまで来てしまっては三神達であろうとも手が出せず、水晶体の暴走に備えるしか術がない。
泣きそうな三神達とは裏腹に、ティファの心は凪いでいる。
大丈夫だ、私の中には大魔王クラスの魂がある。それはきっと、畏れ多くも六大精霊王様達よりも強靭な器である事でもある。
膨大なエネルギーに他が耐えられなくとも、自分ならば保せられる自信がある。
だから!!
ティファは己の中に吸収された力を、水晶体に触れている両の掌に集め一気に放出わせずに、時間を掛けながら徐々に水晶体へと流し込む。
時間はかかってしまうが、一気に放出すれば自分の身も砕けでしまうのを避ける為に、慎重に流し込む。
大丈夫、慎重に何かをするのは万能薬作りで慣れている。本来の自分は外に出て思いっきり走り回って単純に動く事が大好きだ。
日がな一日、デルムリン島をダイ兄と共に駆けずり回って、皆で釣りして海で泳いで・・・疲れたら眠って楽しく過ごしていたいだけの、ただそれがしたいだけの子供だ・・・・・そうか、私はそんな単純な事がしたいだけの子供なんだ。
三神様達の悲願だとか、魔界を救うだとかそんな壮大な事よりも、憂いなく皆で笑い合って遊びたいだけの。
自分の心の底の、本当の願いにティファは漸く気が付いた。
ダイの大冒険の世界を救いたい、三神様達の手伝いをしたという願いよりも、心の奥底の願いは本当に単純で、そして一番難しい事をティファ自身が一番知っている。
自分達兄妹が受け入れられる世の中が来るとは限らない事も。
十年後どころか数年後も分からないのが無情なる世界だ。何の拍子で人でない自分達を・・・・其れでも信じたい、世界は・・・・
世界など滅べばいい!!!
・・・・なに?
世界など滅べばいいと言ったのだティファ!!!
これは!!!!
不意の声に合わせる様に、突然水晶体がティファを拒絶し弾き、三神達も水晶体の突然変異に戦慄を奔らせた。
「ティファ!!水晶体より離れよ!!」
「暴発!?違う!水晶体の権限がまた!!!」
「何故じゃ・・・これは!!この力の波動はあ奴の!!!!」
水晶体は、ティファの触れている箇所を起点に少しずつ割れ始めていた。この速さでならば、暴発もしないだろうと油断なく見ながら安堵していた三神達は目を疑った。
水晶体が、突如として水色から漆黒へと変質し、三神達の権限が一部奪い取られティファを、水晶体を破壊するものを弾き、のみならずティファの手が指先より崩れ始めた!
「「「ティファ!!!」」」
「-ティファよ!!-」
「・・・・これは・・・」
タダならぬ出来事に三神達はティファに駆け寄り見ていく端からティファの体が砂の様に流れ出す。
三神達も伊達に神は名乗っておらず、時を止め原因を探ろうとするのを、憎悪に塗れた声がその行為を嘲笑う。
「もう遅い!!そいつは強制的に地上の体へと戻される!!!お前達の策は中途半端なまま潰えると知れ!!!」
今水晶体を壊せねば、三神達の策は成されない。これまで準備をしてきたからこそ水晶体を破壊できるだけの膨大なエネルギーを得ることが出来た、いわばこれが最初で最後の機会で、此処で失敗してしまっては魔界を救う機会は永遠に失われてしまう。
そして、中途半端に互いの現状を知った者達は、この後どうしてよいのか分からず混乱するのが目に見えている。
そして、魔界側はこう思おう。
気紛れに助けようとしたが、矢張り途中でやめたのではないのかと疑心の目を発芽させ、ならば力づくで奪うまでだと自然に発生したひずみのゲートを通って続々と地上に押よせよう。
それがなくとも、地上に対しての羨み嫉妬神を募らせ、やがて憎悪に代わり、魔界の滅びを加速させよう。
どちらに転んでも自分にとってはどうでもいい事だが。
「貴様正気か!貴様とて魔界の住まう者であろう!!何故我等の邪魔をする!!」
「貴様等が!我等を救うと考える事自体が烏滸がましいわ!!!俺を魔界の瘴気の浄化作用として働かせるべく!輪廻の輪の神に俺を永劫変われぬ者に身を堕とさせた貴様らが!!!!」
「それは・・・・そうしなければ魔界が!!」
「貴様等の御託なぞどうでもいい!呪われた世を見続け!勝手な事ばかりを言う者達を見続けなければならなかった身にしたお前達等!!!勝手ばかりをいいよる呪われたこの世界など!!永劫争い続けるがいい!!!!」
「貴様もこれで消滅するぞ!!今からでも遅くはない!術を解・・・・」
「だからどうした?」
「・・・何だと?」
「所詮消滅してもまた俺が俺になるだけの・・・・命を弄ぶ貴様等の言葉を誰が聞くかものか!!永劫に閉ざされた天界にて、地上と魔界双方が争うのを見て苦しみのたうち回るがいい!!!」
呪いの言葉と共に、ティファの魂はパレスの玉座の間へと強制的に戻された。
ティファの魂が戻った事で、当然ティファの肉体は動き出し、突然倒れ伏していたティファはすぐさま起き上がり、まだ身の内に残っている力を総動員し、天界へのゲートを、先程の神殿中央へと接続させ、辛うじて小さな、ティファならば通れる穴ほどの大きさに広がった。
これでまだやれると手を伸ばした穴は指先が何かを押したこつんとした音を立て、その先へとは通さなかった
水晶体の破壊が不十分な今、天界へのゲートもまた未開通であった。
ティファは先程の言葉と、今までの彼の者の言葉を思い胸中が苦くなる。
それ程までの思いで以て世界を憎んでいたのかヴェルザー
今宵ここまで
最後の最後で来たヴェルザーですが、あのチートの様な永劫輪廻の設定を作ってみました。
彼は浄化能力に特化して、最初の五千年ほどはその通りにしていたのですが、魔界の減らない瘴気と、諍いにいつしか倦み疲れ、徐々に変質していった設定す。
筆者自身も、死んでも永遠に記憶をそっくり受け継いで何万年もその者にしか生まれ変われないというのは一種の罰じみていると思い、ヴェルザーに世を呪わせました。