勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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大魔王と勇者の共闘戦線

バーンとダイの宣戦布告にも、長老達は怯む事無く直ぐに大呪文を放って来た。

伊達に十数万年の時を渡っておらず、混沌とした一時代を、しゃくではあるが支えて来た者達であると言わざる得ない程の実力を持っているのだから。

 

 

其れでも、大魔王も魔界の神を伊達に名乗っておらず、ダイもまた戦いの申し子・或いは麒麟児とも言える程の戦いの天才であり、自分達を焼き尽くす程のメラゾーマ・イオナズンの大魔法の連発にも表情は動く事無く、バーンはティファを右腕一本で抱き上げ、左手でダイの肩を抱いて自分の衣の袖に包み込みながらマホカンタを素早く張る。

 

万が一呪文が一つでも突破してきても、大魔王たる自分の装備は魔法耐性が高く、二人が大怪我を負わないようにとの配慮であった。

ティファは慣れた様子でバーンの腕に抱かれて攻撃が納まるのをのを待つ事にしたが、ダイは何かくすぐったさと戸惑いを覚える。

 

さっき迄、俺とバーンは生きるか死ぬか、倒すか倒されるかの命の遣り取りをしていたのに・・・俺・・バーンに守られてる。

そういえば・・・最初の決戦の時はそんなティファとハドラーは、ティファはハドラーを守ってたっけ・・・・なんだか変な感じだ。

嫌なんじゃない、どこか・・・・どうしたらいいのか分からないや。

 

-そういう事に慣れている-妹と違い、全く慣れていない兄は居心地の悪さを多少感じて身じろいだ時、ダイの右肩に置かれているバーンの左手が力を増し、少し袖の外に出てしまったダイを再び中に戻した。

 

何事かとダイがバーンを見上げれば、じっと自分に視線を注ぐバーンの目とばっちりと合ってしまった!

 

「ダイ、この魔法もじきに落ち着く。大呪文の連発は魔力があるだけで撃ち続けられるものでは無い。体力も集中力も極限まで使うものぞ。」

「あ・・・そうなんだ・・」

「うむ、だから焦って動こうとせずまだじっとしておれ。其れともそちは余のマホカンタが早々に敗れる脆いものだと言いたいのか?」

「え!!ち!違うよ!!!」

 

自分の居心地の悪さによる動きをそんな風に曲解したのこの人⁉・・・そういえば・・俺達の善意の言葉も物凄く曲解して受け取ってたっけこの人・・・

 

ダイは、大先輩の戦士・ロカの言葉を、まさかあそこ迄曲解して受け取る人がいるとは思わず、咄嗟にこの人馬鹿?とか思ってしまったりする。

だからこそポップとティファと自分の三人でバーンを羽交い締めしてとんでも誤解を解こうとノリと勢いで押さえつけたんだっけ・・・思い出してしまったらおかしくなってきた。

 

「・・・・何がおかしい?」

「ダイ兄・・・攻撃が来ないからって笑ってたら駄目だよ。」

「ん?いやさ、バーンって実は物凄くうっかりと言おうか・・・可愛い人なのかって思ったらさ。」

「な!!!!其方こんな時に何を戯けた事を!!!!」

「あ~・・・ダイ兄の言いたい事何となく分かっちゃった。分かったけどその話はあとにして二人共。-式見-したらそろそろあちらさんの息上がって来てるよ。」

 

・・・・この妹って本当に凄い事さらって言ってくれるんだから・・

 

ティファからの警告受けたダイは左手の人差し指で頬を掻いて苦笑し、バーンは頭が痛くなってくる。

おそらく式見とは、式を作って飛ばして視覚を共有出来る事を指しているのだろうが・・・偵察を飛ばすなぞいつしたのか、全く気配すら感じられなかった。

 

とは言え、この奇妙な頼もしさがティファなのだと、バーンとダイは視線でその感覚を共有し合い、そして同時に構える。

 

 

此処まで大呪文を撃ち続けていれば、息を整えた後の次の攻撃ではマホカンタを張る魔力は残っていまいと考えた長老達は、魔法ではなく剣と槍の達人各を前面に出し、魔法を放っていた者達は後退しながら中級呪文に切り替える。

 

威力を下げれば、痺れを切らした出来損ないの竜の騎士もどきが突っ込んでくるだろうと、ダイとティファが聞けば両親を侮辱された事で更に怒りを募らせる事請負な事を考えて。

 

長老達からすれば、愛だのに囚われ三界の調停者としての正しき道を外れたバラン等、天界の汚点だとさえ考えているのだから始末に負えない。

自分達こそが天界、ひいては慈悲の神たるヴァルガヴル神から生まれた汚点であり、駄天使とも汚天使とも呼ばれているとは欠片も思っていないのだから。

 

とは言えその汚天使達の読みも-少し-は当たっていた。

魔法が中級になってほどなくして、ダイがトベルーラで突っ込んできた。

剣は右手で逆手に持っているようで背に隠れて見えないが、我武者羅に突っ込む事に変わりはない。

 

矢張り出来損ないは底の浅い、そう思った瞬間上空にから炎の鳥が数羽自分達目掛けて突っ込んできた。

 

「しまった!!」

「バーンめ!!殺し合いをした敵と慣れ合ってでも足掻こうというのか!」

「生き汚い奴輩共めが!!!!」

 

上空より飛来する数羽のカイザーフェニックスの襲来に慌てふためく長老達こそ、品性も何もかもをかなぐり捨てて敵を罵る様が滑稽に映る。

言えば言う程に、老獪に長けたバーンにとっては痛痒も感じない言葉だが、純粋の塊たるダイとティファの怒りを増すだけだと考えもつかない愚か者達だと胸の中でせせら笑う。

 

特にダイは、ティファよりも怒りを力に変換させやすいというのに。

 

バーンの考え通り、汚天使共が口を開けば開くほどに怒りの感情を沸かせて闘気が高ぶっていく。

 

こいつ等が!!自分達の何を知っているというのだ!!自分達は互いの大切な者達の生存を賭けて!正々堂々と戦い抜いた相手を尊敬こそすれ憎む事も互いを低く見る事も最早無い!!!

分かりもせずに口を出すこいつら全て叩きのめしてやる!!

 

そんなダイの想いを知るよしもない汚天使どもは、飛来するカイザーフェニックスを防ぐ為に魔法隊が上空を向いた事でダイへの攻撃が止み、ダイは竜闘気で防ぐ事をせずに済み、闘気の全てを安心して剣に伝える。

 

殺し合う程戦い合った自分とバーンだからこそ!即興で共に戦えるんだ!何も分かってないのに穢すこいつ等を!!

 

「俺達の思いも何もかもを穢すお前達を倒す!!!!!」

 

 

ダイは剣に力を貯めこみ大技を放つ。

 

「喰らえ!!ギガデインストラッシュ!!!!!」

 

 

何時の間にか、ダイは剣を-チャージ-し終えていた。

 

先程の汚天使達の大呪文のどさくさの中、少し後ろに引いてバーンのマホカンタにあたらないようにライデインを剣に纏わせ、撃って出た時にはチャージをし終えており、ダイは渾身の力でギガデインストラッシュのアロー版を放つ。

 

長老達はダメージを覚悟したがまだどこか余裕があった。

アローであれば、闘気を高め合って剣と槍の放出系で相殺する事は可能であり、ダイが地上でしてみせたような連撃は、ダメージが蓄積したダイには出来まいと高をくくって。

其れが運の尽きとも知らずに。

 

剣と槍を持った者達が前面に出て来て闘気を高めるのを見たダイは口角を僅かに上げた。

 

餌に掛ったと。

 

果たしてギガデインストラッシュは幾人かの長老達を仕留めるに至ったが、途中で相殺された。

しかし、前衛と中央ががら空きになった時、ダイはそのまま突っ込む事はせずにトベルーラで上空に昇り-道-を開けた。

 

いきなりのダイの動きに何をする積りだと全員が警戒をして見上げた時、自分の体を抉られるような痛みを感じた者達は、痛みを耐え蹲る事はしなかったが、全員トベルーラで散会して目にしたのは・・・

 

「馬鹿な・・・・」

 

一人の長老が冷や汗を流しながら呟いた。

先程自分達に痛みを与えた物がバーンの光魔の杖から放たれる、バーンの魔力の球体であったからだ。

知れたのはバーンから再び同じ技を逃げている同胞に放っているから。

 

光魔の杖は!出来損ないの竜の騎士もどきの小僧に折られ砕けたのに何故だと注意深くバーンの右手を見た時、背中に重い衝撃が走ったのを感じたのを最後に意識が消された。

 

警戒を怠った愚かな者を、ダイは容赦なく蹴り落とし、次々とバーンの球体の動きに合わせて敵を飲み込みに行く。

 

バーンの光魔の杖が神の手によって直ったなどと言う奇跡では決してない。

バーンは左手一本でティファを抱き上げたまま、-ブラックロッド-の穂先から球体を次々に生み出しながらロッドをしならせ、光魔の杖と同じ攻撃をしている。

 

此処に来る前にポップ自らが申し出てが貸してくれたものであった。

 

「ロン・ベルクはこれも理力の杖と同じ原理だって言ってたから、あんただったらこれで光魔の杖と同じ攻撃が出来ると思うんだよ。」

 

壊れてもいいから存分に使って欲しいと渡され

 

「バーン様・・・・ティファから渡された魔族用の魔力回復万能薬を・・・」

 

此処までになったら、もうバーン様と呼んでも良いだろうと、主の名をきちんと呼べる事が何か恥ずかしく、真っ赤になりながらも呼んだハドラーも、ティファ特製の魔力用万能薬を主に手渡す。

 

元の魔力量には戻れなくとも貴方様とダイなれば勝つ事が出来るだろうとエールを送られて

 

渡されたのは道具だけではなく様々な熱い思いであった。

各々が、自分達とそしてティファの身を案じながら送り出してくれた。

キルは普段の飄々とした気配を一切排し、自分達とティファの無事をと言葉短に、ミストはどうかご無事でと一言言ったのみであったが、自分達主従は其れで通じる。

其れで十分に分かる。自分の身を心の底から案じてくれているのを。

そしてティファとダイとも無事に帰って来て欲しいと願ってくれている事を。

 

この思いの全てに、応えなければ余の、魔界の神としての名が廃るなとバーンは胸を熱くする。

 

全員で行けずとも、思いを託されこの場に立っている事が、バーンとダイに力を与えてくれる。

 

自分達に声援を以て送り出し、今も応援の声を貼り出しているであろう仲間達と側近達を思って。

 

敗けられない。

 

勝って世界とティファを守るのだから




今宵ここまで・・・・

ダイ君の必殺技の一つ、ギガデインストラッシュを撒き餌にする大盤振る舞いでした

殺し合いながら気心が知れ合う、まさに主人公とハドラーの様な関係になったダイ君とバーン様でした。

極限まで力と思いをぶつけて戦い合う事は、千の言葉よりも通じるものがあるのだと筆者は思うのですが果たして・・
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