勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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勇者サイドと周りの歩く道が決まりました


-明日-への道を歩く者達

布団をかぶり、穏やかな寝息を立てて眠る妹の髪を梳りながらダイはあの日の事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

「バーン様!!貴方が僕に施したハイ=エントのマスター=エンゲージを!どうかお嬢ちゃんに!!!」

 

 

 

ティファの命が突然消えてしまったあの時、原因が生命を司る輪廻転生の神が、この世界を救いながらも、後の世界の枠組みを破壊した事への代価としてティファの生命を取り上げたのだと知らされたあの時、誰もが悲しみに暮れ絶望の底に落ちながらも、キルだけが諦めなかった。

 

それはこの世界の誰よりも神等怨嗟の対象でも、まして尊敬の念の欠片すらも無く、そんなものどうでもいいと思うからこそ、神の名において仕出かされた事を赦せなかったから。

 

地上天界は言うの及ばず、バーンや魔界の者もやはりどこか-神-という者を多かれ少なかれ特別視している。

 

それは崇拝でなく自分達の境遇を見ているだけとの怨嗟の念であっても、特別視していることに変わりはなく、神の御業と言われれば矢張り自分達の力及ばずと諦めさせる何かを秘めている様だが、自分はそんな事は知った事ではない。

 

渡さない!神如きにあの子を渡してなるものかとの執念が勝った結果であり、秘術は精霊王達も見守る中で滞りなく行われた。

 

それはまさに奇跡であった

 

バーンが深き口付けをした瞬間、ティファの体が黄金に輝きひびが一斉に消え失せそして、止まっていたティファの心臓どくりと鼓動をうち、そしてティファの目が薄っすらと幽かにあいた瞬間、ロロイの谷は再び大歓声で沸き立った。

まるでその場にいる全員が一生分の喜びを放出したように。

 

しかしティファの目が明いたのはほんの一瞬で、直ぐに閉ざされ以来ティファは眠りについている。

 

精霊王達曰く、ティファの体と魂が疲弊しすぎ、回復が追いついておらず、少なくとも二・三年は-休眠-に入るのだとか。

 

その間ティファはどうやって体力を維持していくのかの心配もすぐさま説明してもらえた。

 

「我等のエネルギーが不思議と代価として払われずに、ティファの中に留まっている。」

 

そのエネルギー量は見積もって十年寝っぱなしでもティファを維持するのには事足りると。

 

休眠、其れはティファにとって最も必要な事であるのをその場にいる全員が納得した。

 

兎に角ティファは色々と一人でやり過ぎたのだ。

ならば寝て回復させるのが一番であり、起きるのを待てばいいと。

 

 

そしてロロイの谷でいったん各自解散となった。

 

魔法使いポップはランカークスの両親の下にその時共に鍛冶屋にしてけ剣士のロン・ベルクも共に連れて。武闘家マァムもネイル村の両親の下に、戦士クロコダインは大戦が終わった時は報告をロモス王にする約定をしていたのでマァムのキメラの翼で共に行く事になり、剣士ヒュンケルはエイミとレオナ達と共にパプニカへ、占い師メルルは祖母・ナバラの待つテランへと。

戦士見習のチウは、クロコダインと共に王城に行った後、獣王の跡取りとして迷いの、ひいてはライリンバー大陸のモンスター達のお披露目するとクロコダインに連行される中、ハドラー達は一旦大魔王達と共に魔界へと帰還する事になった。

 

魔界はこれからが大変だが、その責務を大魔王様お一人に背負わせる事なきよう自分もついていくと改めに忠誠を誓ったハドラーに、黒の核晶を埋め込んだ事には一切触れず、許すと一言言ったきり無言でついてくるように態度で示した。

 

何故かハドラーに、あの時は済まぬと言う事が、ハドラーを侮辱するような気がして。

 

名残惜しいと再びバランの腕に戻ったティファの顔をそっと撫でる。

さしものバランもこの時ばかりはキルがティファの顔に触れる事を赦した。

なんとなれば絶望に負けなかったキルがいなければ、ティファを永遠に失っていたのだから。

キルもそんなバランの心情を察し、調子に乗る事はせず穏やかに眠るティファにそっと声を掛ける。

 

「君が目を覚ますまで僕はずっと待っている。君の体が本当に治った時に起きるんだよ。」

 

-誰か-を、-何か-を案じて目を覚ますのではなく、本当にティファが治った時に目を覚まして欲しいと願って。

 

キルのその言葉に、ポップも頷き続くようにティファに声を掛ける。

 

「お前が寝ていても俺達は手を携えて歩く世界を作るよ。だから、心配しないでゆっくりと休むんだぞ。」

 

優しく、ティファの柔らかい頬に口付けながら。

 

「ティファ、今度は私達がうんと貴女にご馳走するわ。もうお腹いっぱいって言っても食べたくなるようなデザート付きで。」

「リンガイアの焼き菓子も用意しよう。」

「ティファさんの好きなアップルティーも。」

「シナモンたっぷりのリンゴジャム用意して。」

「僕もその時にティファさんが褒めてくれたお茶を淹れます。」

「俺は矢張り配るだけかな・・・」

「・・・・アバン先生、料理教えてくれませんか?」

「おやいいですよヒュンケル・・・・それよりも、-奥方-になるエイミさんに教わっては?」

「それいいですね!エイミ!!ヒュンケルと一生幸せになって料理の作りっこしながらいつか二人でティファに振舞ってあげてね。」

「畏まりました姫様。」

 

 

いつか必ず-全員-でピクニックをしよう、この晴天の下で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その約束をして魔界に戻ったはバーンは、魔界を統一もどきをした。

何故もどきかと言えば、天界から封印を解かれたヴェルザーと共に二大政治をする積りであったバーンの目論見を、ヴェルザーが無視し、賭けはお前の勝ちだから俺の領土も配下も全部くれてやると、半ば強引に押し付けられたからだ。

 

バーンとしては瘴気浄化部門を設置してヴェルザーをそこに当てがい、共に魔界を見守ろうと目論んだだけに物凄い不意打ちを食った気がした。

 

今ならばいける!ティファと何故かダイに絆され命に目を向けた冥竜王を!!今ならば魔界の為に働かせることが出来ると本気で目論んでいただけに、昔の賭けの約定を持ち出されて臍を噛んでも遅かった。

 

ヴェルザーからすれば、矢張りバーンは若造であった。そんな目論見等にお見通しであり、今更自分が先頭に立って何かをするなぞ馬鹿らしい事この上なく面倒だ。

 

それよりは

 

 

「ほらお前達もきりきりと働け!身の内に溜めなくともいいように空の魔晶石の作り方を教えてやっただろうが!!それを百個作れば四方十メートルの瘴気を吸わせることが出来、浄化装置に放り投げればいいだけだ。楽な事だろう?」

 

老害駄天使達を顎で使う方が遥かに楽しい。

 

自分の言葉にむかっ腹を立てても、反抗は不可能と知っている駄天使長老達は自分の魔力で空の魔晶石を作り、ヴェルザーの言う通りに瘴気を取り込ませてせっせと浄化装置に放り込む。

空の魔晶石は、自分の身に瘴気を取り込み浄化装置に入っていたヴェルザーが、自分がかつて味わった瘴気の苦痛を駄天使長老達に押し付けるのは何かあの邪神こと輪廻転生の神と仲間になってしまい負けた気がするので、死に物狂いで代案を考えた末に考案をした。

 

 

空の魔晶石を作り出し、その中に瘴気を吸い込まさせればこいつ等もそんなに反抗せずに働くだろうと。

ただし、魔晶石一つ作るのに小型メドローアを生み出すくらいの魔力を消費する為、百個作るたびに魔力回復薬を飲ませてはまた作らせる。

魔力回復酔いしようが構わん、これはそもそもこいつ等に対する刑罰なのだからと見ていたが、意外と駄天使達が素直に働くのは何故だと、最近のヴェルザーは駄天使長老達が真面目に働いているのに首を捻っている。

 

別に駄天使長老達はヴェルザーの力の前に膝を屈してひれ伏したわけではなく、お前達よりも酷い奴を見せてやる、自分こそが正しいと凝り固まり長年過ごすとあんなねじ曲がった病んだ者になるぞと見せられた輪廻転生の神・マリシュ―スの存在が衝撃的過ぎたのだ。

 

如何に世界を変えすぎた対価とは言え、おまけとして無聊を慰める為に、憎い相手とはいえ幼女の魂を弄ぶと宣言して嗤っていたマリシュ―スは本当に酷すぎ、ああなるのは嫌だと駄天使長老達一同は心に誓い、禊をする様にせっせと-見知らぬ誰か-の為に働いた方がよっぽど真っ当だと気が付かせられたのだ。

 

 

そんな感じで駄天使長老達を働かせているヴェルザーを見たバーンは、ヴェルザーを表に出す事を諦め実質魔界を統一し、天界の隣に行く準備を各地に始めさせた。

日の光りにあたれば消滅してしまうアンデットの類を洞穴や洞窟に住まわせ、他にもそういう種族がいないかを徹底的に調査させ、その結果大戦が終わった半年後に魔界は地の底より浮上した。

 

ただし、天界の横ではなく地上界の広大な海が広がっていた西の果てに。

天界が拒否したからでも、魔界側が嫌がった訳でもなく、天界への次元移動も儘ならない程に魔界の地が疲弊していたからであった。

 

無理に次元の長距離移動をさせようとすれば、空中分解を起こしかねない程に魔界大陸に亀裂が入っているのが、地の精霊達の地質調査で判明し、なれば天界ほど次元跳躍させずに済む、広大な海になっている西側に魔界を浮上させればいいと、事情を天界と魔界双方から聞いた各国がすぐさま検討に入り、三日の内にそれで合意がなされ、即日の内に地上各国に御触れの使者が総出で知らせ、カールとデルムリン島から僅かに見える位置に魔界が浮上したのだ。

 

この先どうなるのか?今は弱っていても、力を取り戻した魔界が攻めてくるのではないかと怖れる者も確かにいる。

それでも、善意が勝り魔界を助ける事は地上界が受け入れ魔界は浮上できたのを、ダイはつい昨日のように思い出す。

 

「ティファにも見せて上げたかったな・・・・魔界が浮くのを。」

 

まるでお祭り騒ぎの様に、空を飛べる人・モンスター達が空から見守る中、見えないシールドで海水を避けながら浮上する魔界の姿は圧巻の一言であった。

 

その様子を、ダイ・ポップ・ノヴァはお祭り騒ぎに混じって見ていた。

自分達が倒さなければならないと定め、数奇なる運命の下助ける事になった魔界の姿を目に焼き付けるべく。

 

その時キルが、悪魔の目玉に記録させており、後にチウを筆頭に声を掛け、直接見れなかった仲間達にもその様を見せていたっけか。

 

・・・・・・バーンを通してティファが起きた時に見れるように借りよう。間違ってもあいつから直接借りたくない。

 

 

変わったのは駄天使長老達の事や魔界が浮上した事だけではない。

 

 

sideパプニカ

 

「お父様!王族としての仕事を私にも・・・」

「今更かも知れぬがレオナよ、お前は子供らしく、後の世にても通用する知識を身に付ける為に勉学に励んで欲しい。それが終わった後はキメラの翼でデルムリン島でダイとお茶してきなさい。」

「お父様・・・・」

 

大戦が終わってすぐに、レオナはこれから忙しくなるぞと気合を入れていた。

今後魔界・天界とどう向き合い共に歩むのかを議題とした会議を・・・その前に大戦終わった宣言は・・・・実質あのつながりで十分だろうが明日にでもと考えていたら-王族仕事-を全て父・レオール王に取り上げられた。

 

曰く、これまで学んできた古き知識ではこの先はいけない、故に新たな知識を学者たちと考え身に付け勉学に励めと。

 

これまで魔族は常に仮想敵であり、モンスター達はいてもいない扱いで平然と狩ってきたが、これからの時代にそれは通じまいだろう。

旧時代の考えは新たな世では通じないだろうとの考えは分かるが、其れも議題にして会議をすべきだというのをレオール王と大臣や宰相にも止められた。

 

子供が促成栽培で育つ時代を断つための第一歩だと言われて。

 

緊急時とは言え、-子供達-に全てを背負わせた罪はあるのだと。

その最たるものがティファであり、十数万年の因果を全て背負う十二の子供なぞ二度と出したくないと、レオナを抱きしめながらレオールは泣いた。

 

その様を見て侍医長ロムスも周りの大人達も、自分達の不甲斐無さを後悔し涙を流し、-子供が子供らしく有れる世界-を作る。

レオナにその世界を渡す為にも大人を頑張らせてほしいと言われたレオナは、これまで自分の働いてきた自分を褒めながら受け入れた。

 

大戦中に頑張った私、これからはゆっくりと-大人-になりましょう。

 

 

sideカール

 

大戦終了の翌日、カールは直ぐに大戦終結宣言をフローラがまだ瓦礫が残こる城内のバルコニーにて出し、次いで自分の王配に先の大勇者・アバン・デ・ジニュアールを夫に迎える事も合わせて宣し、国民の満場一致で祝福された。

 

結婚式は当面は挙げず、国の復興を最優先とし、併せて魔界と天界との関係を取り急ぎまとめる事にして。

 

カールは思った以上に被害が無かった。

攻め込まれたあの日、場内どころか国民全てに逃げられたとバランが臍を噛み、八つ当たり気味に城の武器庫と食糧庫が壊滅されただけで、街の方は無視されたのが良かった。

 

人々も女王フローラが戻ってきた事で、直ぐに避難していた国民も戻り程なくしてかつての活気を取り戻せた中、フローラとアバンは-改革-の取り組みに心血を注いでいた。

 

この後の時代にはカリスマ性を持った指導者はいらない。-一人-に背負い込ませるのではなく、-大勢-でどの様な事にも対応できる組織作りと人材育成が必要だと。

ティファやバーンのような者達の後ろを歩けばいいという、安易な考えが二度とは出ないように。

 

 

sideテラン

 

「私がフォルケン様の跡取りに⁉そんなの無理です!!!!」

 

何を言うのも恥じらい小声で言うのが癖になっているメルルが、かえってナバラにあって早々にフォルケン王に呼ばれ、打診された事のあり得なさについ叫んでしまったのは無理もない。

 

無理もないが、フォルケン王も真剣であった。

 

あの戦いで、戦による悲惨さを実際に目の当たりにし、そして戦を止めたティファを間近で見続けたメルルなれば、自分が目指した理想・-不戦の国-を生み出せると信じて。

 

「其方は戦の何たるかも、怖ろしさも知っている。この国はこれより戦の恐ろしさを語る、語り部の国としていこうと思う。」

 

それには自分の寿命が足りず、後を受け継ぐものとしてメルルを指名したのだと。

 

若りし頃、武器を国民が手放せば平和の国が出来ると安易に考えた浅はかさは無論顧みるが、それでも、この国から戦火を発することをと永遠に禁ずる国としたいと。

自衛の為の兵士達を鍛えつつ、在野にいる魔法使い達を迎え入れ国の戦力自体を底上げしつつも、リュート村を中心として平和を訴える国にするべく。

 

その熱い思いはメルルにもいたいほど分かる。幼い頃から祖母と共に旅をし、思いがけない暴力遭っては泣いた日々が、無くなる事を願った自分だからこそ。

 

後にメルルはポップを王配とし、ポップと何故かカール王の指導の下鍛え上げられた戦士達を擁しながらも、-永世平和国家-を名乗り、世界初に-専守防衛-を宣した国となる。

 

余談だが、跡取りのいなくなったランカークスの鍛冶屋に、俺様職人魔族が継いで、なぜ彼の様な神技を持つ鍛冶屋が片田舎で武器屋を営んでいるのかを知るものが百年後にはいなくなったのはまた別のお話し。

 

 

sideリンガイア

 

「そうか・・・・騎士を辞めるか・・・」

「はい。これからはもう戦には僕のような過剰な力はいらないかと。アーデルハイド王もお許しくださいました。」

「・・・・この家の跡継ぎの事は心配せずに、お前は好きな事をしなさい。」

「分かりました父さん。」

 

ノヴァは大戦の翌日騎士団長と衛生部隊長双方をアーデルハイド王に辞任する意向を伝えて許可が下りた。

 

魔族とモンスター達を仮想敵とした時代に終わりが見えたのだから、戦に呼ばれる事ももうなかろう。

有事の際には在野にあっても助けに行けばいいのだからとあっけらかんという息子に苦笑しながらも、バウスンもノヴァの好きにさせる事にした。

ノヴァの本当にしたい事を知っていたから。

力を蓄えていたのは好きな子を守る為であり、其れももう終わったのだから騎士に未練はなかろうと。

幸い自分の弟は子沢山であり、器量の良い子揃いなので養子の話を打診すればいい。

 

その許可を受け取ったノヴァは微笑みながら父に礼を言い、次の日早速テランに住民登録し、フォルケン王を驚かせた。

 

「僕は前から薬草園を自前で作りたかったんです。ここは薬草の宝庫なので来ましたが駄目ですか?」

 

なんとも北の勇者にして殲滅の騎士団長と呼ばれた天才児とは思えない長閑な申し出に押されたフォルケン王はクスクスと笑いながら許可を出す。

 

此処でティファが目覚めるのを待とう・・・・・出来ればここで一緒に住んでくれないだろうか?

 

そしてノヴァはルーラでマトリフのいる洞窟とテランの薬草園を行き来し、晩年のマトリフをテランの薬草園で、かつての仲間達と大勢の精霊達の見守る中で看取った。

幸せそうに、人生に満足した顔のマトリフを。

 

そしてその薬草園には、年老いた魔族と息子と思しき魔族がひっそりと住んでいたとかいないとか・・・後の世の薬草園は、魔族の男が管理し末長く残った。

 

 

ロモス王に大戦終了を報告したクロコダインは、宣言通りチウを自分の配下達に紹介し、チウは後に人間とモンスター達の間を取り持てる人材を、ロモス王宮内と獣王遊撃の中で育成し、双方の懸け橋となる重要な存在となるのを、幼いチウはまだ知らずに目を白黒させるのを-ビースト君-を筆頭に、-初代遊撃隊-に支えられる日々を過ごす事になる。

 

仲間達の行く末は、人生が激変した者からヒュンケル・エイミ、ラーハルト・マァムの様に穏やかに夫婦となる道を選んだ者もいる。

 

ヒュンケルはエイミがおり、自分の人生に温情ある裁可を下してくれたレオナ姫に忠誠を誓い、姫直属の騎士となりパプニカ国民となった。

 

ラーハルトの方は、ティファが目覚めたらマァムと式を挙げてネイル村に住む積りであったが、マァムは反対にデルムリン島に住むと言って聞かず、これはティファが起きた時に意見を聞く事で合意され、二人はいまだに恋人関係を楽しみ、ラーハルトはネイル村に行く度にロカを親父殿、レイラをお袋様と呼んで敬い、二人に可愛がられ家族の温もりを知った。

 

ガルダンディーとボラホーンは、ガルダンディーの方はデルムリン島での生活が落ち着くと同時に、リュート村に単身出掛け、ニーナの両親の前で将来を誓い合い許可を貰い、式を挙げた後はリュート村に住むことにした。

 

ボラホーンは同輩二人の幸せを酒を酌み交わしながら連日祝い、自分がバラン様のお側に一生仕えるから案ずるなと請け負ったとか・・・・

 

 

「父さん達が来た日は・・・・・爺ちゃんもゴメちゃんも島の皆も泣いてたんだよティファ・・・」

 

その日を思い出すと、幸せな気持ちがしぼんでしまうとダイはしょぼくれる。

 

ティファを伴い島に帰ってきたあの日、ティファの危急を知っていたブラスはティファを案じ胸が張り裂けそうになるのを堪え、子等が帰ってくるのを待ち侘びていた。

 

そして自分達の事を言葉短めに話、ティファに起きた事の一切を話したバランの手を、ブラスは惜しい抱きながら泣き崩れた。

 

ダイとティファの父が見つかり、家族が共に暮らせるというのにティファが遭った凄惨な事を考えるだけでも耐えられずに・・・

 

 

「ティファや・・・痛かったじゃろう?怖かったじゃろう?・・・・・たった一人で抱え込んで・・・・偉くも・・・・なんとも・・・・」

 

寝室で眠る孫娘を撫でながら、幾度も声を掛けるブラスの背中にダイがしがみ付き共に大泣きをした。

 

自分達が弱かったから、ティファが対価を払わなければならなかった事をティファとブラスに詫びながら・・・・その部屋の外で、バランとラーハルト達も泣いていた。

 

二度と-子供達-が矢面に立たなければいけない世界など来させない事を誓いながら。

その日の父達の誓いは自分の胸の中にもあるのだとダイはティファに話す

 

 

明日が大戦から丁度一年が経つ。これまで自分は一度も島を離れなれず、仲間達の方がよく訪れてくれた。

皆んなティファに挨拶してから近況を話し、世間の事をよく教えてくれるので不自由はない。

結局、自分達を集めての終了宣言も凱旋行進もせず、世界は平和への道を歩いていくことになった。

各国がティファの事を考慮してくれるのだと、ダイにも分かっている。

この大戦での一番の功労者が眠っているのだからと。

 

しかし明日は島を離れなければならない。

 

「ティファ、明日俺、会議に出ないといけないんだよ。父さんにティファの事頼んでおいたから大丈夫だよ?」

 

妹のそばを離れたくはないが仕方がない、明日は-世界会議-があるのだから。

 

 

それを聞いた妹の頬が、ピクリと動いたのは見間違いだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢を見た、-誰か-が私を揺り起こす夢を・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お出迎えに失礼の無いようにしろ!!!!」

「チリ一つ見逃すな!!!」

 

史上初の、地上界の王家だけではない、天族・魔族出席の初の世界会議にの地に選ばれたパプニカ王城は大わらわであった。

 

なんとなれば有史以来本当に前例がなく!!天族からは六大精霊王達が、魔界からは魔界の神と緩衝材として魔王ハドラーも来てくれるというが、パプニカ王城で働く者達は緊張でがちがちとなっていた・・・・これはもう逃げたい案件だと泣く者まで居る程に




今宵ここまで

最終話の前に、主人公の周りの行く道を固めました。
次回で-本編-の最終話となります。
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