勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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よろしくお願いします。



開幕ベルは罪と嵐とともに

・・赤ん坊というのは寝るのが仕事だ・・。

食事しては寝て、少し動いては寝て・・とにかく睡眠は大切なはずだ!

たとえグースカ寝ている間に知らない人たちに囲まれていても私は悪くない‼

それが大半筋肉むくつけきの鎧を着こんだおっさん達であっても、寝ていた私はなんも悪くない‼・・はずだ・・はずよね!私何日寝こけてたの⁉父さんは?母さんどこ⁉

つうか私攫われたの⁉・・一体どうやって・・。

 

言っちゃあなんだけど、うちの父さん地上最強の戦士様よ?その父さんの手から、娘の私を攫うってないわ~。やろうとしたら瞬殺もんよね~・・なのになぜにこの状況?

 

「おっ、女の子のほうやっと目~覚めたぞ‼」

「よくまあ三日間寝こけてられたよな~。」

「テラン越えでアルキード領内に入っても全然起きなかったよな・・。」

「・・よくあの状況で目~覚まさなかったよな・・」

「兄貴のほうはほとんどなきっぱなしだったのに。」

 

・・うん、状況分かった・・。この人達アルキードの兵士さんたちで、父さんと母さんの事連れ戻して・・私とダイ兄を護送中なんだ・・。でも変‼ 何で私三日間も寝てた⁉

 

「すまぬ・・」

 

・・この声・・竜じいちゃん⁉

 

「起きてお主がなにかしても困るだけじゃから」

 

・・・だから強制睡眠した?

「うむ・・・母親はどうあっても助けてはやれぬ・・」

 

だから・・私を寝かせて・・精神負担減らしてくれたんだ・・。

いくら知識あっても私はまだ赤ん坊・・見ているだけで・・何も出来ない無力感を私に感じさせないように・・。

ありがとう三神様達。

 

「ティファ・・」

「すまん・・・・」

「お母さんの魂はすぐに回収する!次の人生はもっと生きやすい人生を送れるように加護つけるからね!!」

 

・・・・・優しいな。

 

原作通りじゃないと不測の事態が起きすぎて私じゃ対処できない・・そうならない様に・・父さんと母さんの幸せを壊れるのを見逃さないといけなくて・・三神様達泣きそうな声・・

世界を天秤にかけたらそちらの方が正しいのに・・私たち親子の事で心を痛めてくれてる・・。

その気持ちだけで十分だ。世界、頑張って助けよう。死にゆく母さんの為にも‼

 

「おい!この子も泣きそうだぞ‼」

 

・・気持ちどん底が顔にでたせいで、髭もじゃおじさんの慌てた顔おかしくて思わず笑った

 

「ああ笑った。」

「坊主のほうは腹いっぱいにして寝かせてようやくだったのにな~。」

 

・・ダイ兄は泣き虫か・・。だからテラン編で記憶を失くしたときビィービィー泣いてたのか・・今から兄の事鍛える算段しておくか

 

それにしても・・

 

「ロモスの夫妻には話ついてるのか・」

「ああ、将来的には王族には戻さないけれど、ソアラ様とこの子達を対面させるって・・。」

「その事大臣たちは」 

「知られない様にって騎士団長に王が直々に託してたぞ。」

 

なるほどね~。話聞いてると、どうやら父さんを追い出したかったのって大臣たちか。自分たちの息子を母さんと・・ってところか・・。

兵士さんたち赤ん坊の前だから裏話満載会話中。

 

「明日・・この子達の・・」

「建前裁判で・・茶番だ・・」ここにいる兵士さんたち・・

ほとんど私達と父さんに同情してくれてる・・いい人達・・この人達の家族は・・皆明日になったら・・

「嵐に突っ込んだぞ‼」

「見張り何してた⁉」

 

これから起きる悲劇を考えてたらこちらの運命も動き出した。

どうやら急速成長した嵐に捕まったらしい。

 

「ヤ~アッ!!ア~ア!!」

 

この泣き声ダイ兄!!泣いてる・・・・嵐が怖いのかこの後に起こる自分の運命を泣いてるのか・・・

 

「急げ‼この子達を早くボートに!」

「「早くしろ!俺達は木片に捕まれても赤ん坊にゃ無理だ‼」放り出されないように籠をロープ巻きにしろ!!」

「おいお前!!」

「はい!」

「この子達とボートに乗れ!!放り出されないようにしろよ!!!」

 

・・ここにいる人達も、皆いい人達だ。他人の、それも罪人の子供を守ろうとしてくれてる。

 

神様達!!願おう、この人達の無事を・・話に関わらない事の望みは大抵叶うらしい。ならこの人達の無事を!!

 

「良かろう。」

「大~丈夫!任せてよ!」

「程良き陸地に漂着させる故任せよ。」

 

・・良かった受けてくれた!!それと・・

 

「駄目だ駄目だ!!行っちゃ駄目だ!待ってくれ!!!」

 

私達のいる小舟に一緒に乗ってくれたお兄さんを、突風で降ろしてもらった。お兄さんは耐えようとしてくれたけど・・大丈夫・・この嵐は三神様達が私達をデルムリン島に連れていくためのもの。私と打ち合わせ済み・・だから、大丈夫。

泣かないでお兄さん。無事でね・・。

次の日、私とダイ兄は無事にどこかに辿り着いたのが分かった。波に揺られてない。

でもここが何処だか本当に分からない私の不安を、嵐で浜辺に漂着した船を覗き込んだ-鬼面道士-の顔と声で直ぐに分かった!

 

「赤ん坊・・何故こんな所に。」

 

温かい・・テレビとおなじブラス時ちゃんの声だ‼

 

「フ・・ウ・ワァ~ア‼」

 

声聞いたらホッとして・・大泣きしてしまった。起こってしまった事・・これから起こる事・・すべてに対して・・。

 

「あ~・・よしよし・・先ずはロープをとって・・」

 

鬼面導士の太くて短い腕で抱き上げてくれて・・泣いた私をすぐにあやしてくれた。

今回はダイ兄の方が眠ってる。

爺ちゃんの温もりに包まれて私はしばらく泣いた。

 

これでもう引き返せない、母さんを犠牲にした罪を背負って私はこの世界を変えていくんだ・・・




何やら主人公と三神様達が腹黒い気もしますが、世界の為にと動いるのでご容赦ください。



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