よろしくお願いします。
全てはもう見守るしかない。
先生がメガンテをして、カールのお守りで助かる率は七割程度・・万能なアイテムはこの世界にはない。
万が一先生が戻ってこれなくとも、私が先生の位置で一行をフォローして助けていく。
けれどもそれは力ではなく、心を導くようにしていく。
実力はこの大戦中嫌でも上げねば死んでしまうから自然について来る。
でもダイ兄・ポップ兄と兄と呼んでも私よりも子供な二人の心を守ってあげたい。
辛い戦いや出来事がこの先に待っているのを知っている分、出来る心のケアをどんどんしてあげる。
どんなことをしても、大切な人達の心身共にまもってあげたい。
・・だから、先生には必ず戻ってきてほしい!先生の死で、泣いて悲しむ人が大勢いる。
その人達の為にも、死を乗り越えて戻ってきてくださいアバン先生!!
「うおおお!!」
「アバン!!きっさっま~!!俺諸共に!!」-バチバチ!!-
ハドラーの放ったベギラマを紙一重でよけて喰らったダメージをものともせずに、アバンは己の魔法力全てを指先に注ぎ、メガンテに気が付いたハドラーは振りほどこうとあがくが、
「グッ・・ガアアア!!」
注ぎ込まれる膨大な魔法力の引き起こす激痛に襲われ振りほどく事が出来ない。
「ポップ、ダイ君、ブラスさん、ゴメちゃん・・ティファさん、後を・・頼みます!!」
-メガンテ!!!-
閃光と共に、炎と爆風が辺りを薙ぎ払う。
戦いへの狼煙か・・送り火か・・どちらにしてももう後には引き返せない。
-ガラ・・-・・あれは・・
-バサ!!-・・大量の土砂の下から出てきたのは・・ハドラーだった。
「・・アバンめ・・道連れを選んでもこの様か・・」
頭の両端から血を流している以外、ハドラーにさしたるダメージが無い!!
しかも・・妙に静かで・・先生に勝ったのに、傲り高ぶった様子が無い!!
-ゴオウ!!-「・・貴様ら全員、アバンの元に送ってやる。あの世で再会するがいい。」
慢心なく、きっちり止めさしていく・・でも!!
負けたくない!託されたんだ!!あの素晴らしい人から、大切な者達を守るように!!
「うおおおおおー!!!」・・ダイ兄。
ダイ兄の紋章が‥私の中からも・・力が溢れてくる・・共鳴してる!!
もっと・・力を!!守り切れる力を!!「ああああー!!」
・・なんで・・どうして・・あのハドラーは生きていて!!あんなにいい先生が死んじゃって!!
俺はもっと先生と過ごしたかった!!
ポップと先生の三人で、物語に出てくる勇者一行の様に悪い奴を倒して行って・・レオナと、
ロモスの優しい王様助けて・・冒険をして・・平和を取り戻して・・ティファとじいちゃんが待つデルムリン島に皆で帰って・・そう思っていたのに!!
先生が命を懸けても・・あの魔王には勝てなかった・・逃げる?どうやって?
全身がアストロンに掛かって動けない・・そもそも逃げたくない!!
俺が倒す!!敵を倒して皆を守るんだ!!!俺が・・勇者だ!!!
「うおおおおおー!!!」
想いに応えるように、体から力がどんどん溢れてくる・・レオナを守りたいと強く願ったあの時の様に・・どんな力でもいい!!今!皆を守れる力が欲しい!!!
-バキ・・バキバキ!!!!-
(こいつ等アストロンを・・自力で破るつもりか⁉)
アストロンは余程の破壊力があっても必ずかけられたものを守る呪文。
しかしそれは諸刃の剣で、アストロンに掛った者を守るものがいなくなれば今の様に窮地に立つことになる。
それでもアストロンに掛かっている間は手出しの難しい強力結界呪文を・・高々子供二人がヒビを・・。
-ビシーン!!ヒーイーン!!!-
(あれは・・あの額の紋章は・・まさか!!!!)
アストロンは完全に破れ、ダイとティファの額には力強く紋章が光っている-竜の紋章-が!!
(俺の考えが正しければ・・今この場で二人を確実に殺す!!!)
「ベギラマ!!!!」
「「ああああー!!」」ズガーン!!
(何という闘気・・ベギラマをかき消しただと⁉)
二人の竜闘気が合わさり、ハドラーのベギラマを完全に防ぎ切り、
(先生・・見てて!!)
ダイは腰のパプニカのナイフを右手に-逆手持ち-をする。
(あの構え・・まさか!!)アバンとの戦いで呪文を撃つ魔力も底をつき、ヘルズクローで
止めを刺そうとしたが・・あの構えは!!
「アバン・・」「させるか小僧!!イオ・・」
「邪魔するな!!土龍閃!!」-ズシャー!!-
ダイの構えと溜めている闘気の妨害をしようとイオラを撃とうとハドラーを、察知した
ティファが大量の闘気混じりの土砂をハドラーに浴びせる。
兄の思いの詰まった一撃を、邪魔させない!!
「今だダイ兄!!!」
「ストラーシュッ!!!!」
紋章の力とありったけの思いを込めて、放て勇者の閃光を!!!
この回で終わらせるつもりでしたが、戦闘シーンが難しくてここまでとさせていただきます。
ダイは憧れのアバンの死により、絶望に挫けるのではなく、勇者の道を力強く突き進む道を明確に決めました。
次回こそ、旅立ちの回とします。