勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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・・・公約違反を・・・・


後日談⑧ 帰りたいな 中編

お城というところに隊長は行く度に疲れていく・・・クロコダイン様と一緒の時はそんな事は無かったのに・・・・優しい隊長が溜息つくのは見ているだけで嫌だな~。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チウ、今まで一人で城に行かせているが大丈夫か?」

「へ?」

「俺もそろそろ周りの事が片付きそうだ。シナナ王に其れの報告や内容を話すのも一度では出来ないからな。」

「そうなんですか?」

「ああ、だからお前の参内に合わせようかと・・・」

「クロコダインさん。」

 

チウが一人で行くようになって二月近くが経ち、チウの溜息が増えているのに気が付いたクロコダインは、城で何かあったのだろうかと慮り、今までしてきたたことを王に報告がてら、チウに同行しようかというのをチウがその言葉を途中で遮るという珍しい事をした。

チウはどんなに長い話でも遮ったことは無く、分からない事はきちんと後から聞く子なのだが

 

「クロコダインさんがしていたのは人とモンスター達が境界線で争わないように-双方-に話をつける為ですよね。そんな重大ごとなら僕の参内ついでにしては駄目だと思います。

今すぐにでも言ってきた方が良いと思いますよ?」

 

今クロコダインとチウとその部下達はクロコダインの根城洞窟をもっと快適にして住めるようにした所を拠点としてい。

 

クマチャ達も快適な洞窟生活を満喫したいのだが、近頃城の帰り道のチウの溜息を聞いて悲しくなる。

そしてその話を聞いたクロコダインも、近頃食欲が少し落ちてしまったチウを案じていただけに、同行の話を申し出たのだが断られてしまった。

 

「僕は大丈夫です。ただ・・・」

「ただ?矢張り何かあったのか?」

 

クロコダインは僅かにチウが漏らした遣る瀬無い気持ちを感じ取り、食い気味に身を乗り出して聞きだす気満々である。

 

近頃チウは空を見上げて過ごす時間が長くなり、食事も二人で作るか、時たまネイル村に行くかマァムが来て作ってくれるかで出されたものを残すことは無いが、お代わりをしなくなったのをマァムも気にし始めている。

 

此処で何が苦しのかを言ってくれれば、戦う以外役に立てない武人の自分には無理であっても、神算鬼謀の頭脳派ポップ・大魔導士マトリフなどがいてくれるのだから相談相手には事欠かない!

 

ドンと悩みを言って欲しいのだが、チウの口からは別の言葉が飛び出した。

 

「城の人達は-皆さん-優しい人ばかりです。王様の質問にしどろもどろに話す僕を頑張れって言ってくれる人達なんです。」

 

良い事を思いだしながら話すチウに、ならばどうして悩んでいる様になっているのだと言いたくなったクロコダインの口は、チウの次の言葉で開かれることは無かった。

 

「ただ-難しい言葉-を全く分からずに、時折相手の方に聞き返してしまうのが心苦しくて・・・僕、もっと人の言葉を勉強します。」

 

相手の方と-きちんと-話せるように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チウのやる気を聞いたクロコダインは次の日一人で参内し、シナナ王に謁見して今までの仕事の成果を報告する。

 

クロコダインはライリンバー大陸全土をガルーダに乗って巡り、人の住んでいる村や町の側に住んでいるモンスター達に、今後は人と諍わないように今まで以上に気をつける事と、シナナ王より贈られた-王宮特別相談人-の書状をもって街や村の長達と会い、シナナ王より託されたモンスター達とことを構えずの命令書を手渡しながら、モンスター達の方にも互いに不用意に近づき過ぎない様に注意をしている事を伝え、決して人側だけに向けられた片手落ちの内容ではない事を根気強く説明して回っていた。

 

「うまくいきそうかの?」

「シナナ王よ・・・こればかりは時間が経たんと何とも言えん。世界全てがリュート村の様に直ぐになれる訳でもないのだからな。:」

「ふむ・・・しかしモデルはあそこなのだがの。誰ぞ彼の村から人と異種族の交流秘訣を教えに来てくれんかの?」

「そうだな・・・ポップとメルルを通じて、フォルケン王に打診してみるか。」

「おお!ポップ君達にも会っておらんで久しいからの。出来れば二人の元気な顔を見たいのだが、時にクロコダイン。」

「・・・何か?」

「チウ君の元気がない気がするのは儂だけかの?」

 

 

 

 

 

「そう・・・シナナ王様も気が付いていたんだね・・」

「うむ・・・-老師-殿、もうここはいっその事チウに貴殿の正体を明かし、何に悩んでいるのか聞きだしてはどうか?」

「いや・・・・今更僕の正体を言ったら、あの子は自分が信用されていなかったんだって落ち込んで悩みを言うどころじゃなくなってしまうよ・・」

 

チウが参内してまた溜め息を吐いているのを、クロコダインと普段はシーツを被って皆と生活している老師がシーツを取り外し、クロコダインときちんと対面して話し合う。

 

ビースト君こと老師の正体を、一緒に住むのならばとマァムがクロコダインにだけ教えてたのだ。

 

チウに言う時は、余程チウの機嫌がよく、自分だけ気が付かなかったや教えて貰えなかったと落ち込んでもすぐに立ち直れる環境を整えないといけない訳で、教えて貰ったクロコダインも、どのタイミングで老師の事をチウに話せばいいのか考えあぐねて話す気を逸してしまっている。

 

その事をブロキーナ老師が一番臍を噛み、物凄く悩み、話し合っている最中幾度も溜め息を吐く。

 

-あの人-の言う通り、僕はなんて馬鹿な事をしてしまったんだろう・・・

 

-あの人-の言葉が老師の心の中で重くのしかかる。

それは最終決戦のロロイの谷で、-料理人のティファ-に言われた言葉

 

チウ君を低く見積もって、愚かしい真似をした報いを受ける事になっても泣き言言わないでくださいね

 

冷たく言われた言葉に、今胸を貫かれるような痛みを覚える。

 

 

 

 

あの決戦時でダイ達が先行してパレスに侵入し、頃合いを見計らって第二陣たるティファを入れたメンバーがパレスに上がる前に、チウが最後の怪我人を助けに行き、その際老師と二人きりになったティファがすぐさま老師の正体を問いただした。

 

そんなおかしなモンスターを自分は知らず、気配と気の運行の性質がマァムとチウと似ていると言われては、さしものブロキーナも直ぐに白旗を上げ、そしてなぜこんな手間のかかる事をしたかを言った瞬間、ティファに物凄く冷たい眼差しを向けられ、拳聖とまで言われたブロキーナは慄然とさせられた。

ティファは瞬時に怒ったのだ。今更師が来たからといって、それを頼って油断を生むような低き者としてチウを扱ったブロキーナに対して。

 

「チウ君の心はそんな脆いものでも情けないものでは無いのは私が保証しますよ。

貴方こそチウ君を低く見積もり、肝心な時に師弟共に手を携えて戦おうと言わずに正体を隠した上で-隊員-になった事を何時か後悔しますよ。

愚かしい真似をして近くにいたとしても、この先-師弟-の様に深き絆でないと助けられない程の事がチウ君の身の上に振ってきた時、正体を隠して近くにいた師をチウ君が頼ろうと思いますか?私ならご免です、自分を信用していないと言ったも同然の相手を頼りたくもない。」

 

一気に吐き捨てられるように言われた言葉に、自分は高いところからチウを見下ろしていた事に気が付かされた。

 

ティファの言う通り、最早チウは心身共に強くなっており、共に師弟でこの世界の為に戦おうと肩を並べて船上を共にかけるに足る者となっていたのを見逃した自分の愚かさの代償を、今この時支払わされている・・・・まるで予言のようだ。

あの人は、大戦が終わった後にチウか、もしくはモンスター達に起こる事を予期していたのだろうか?

 

まるでチウが人の中に居る事で訪れる苦難を知っていたかのようなティファのあの言葉を思い出すだけで、ブロキーナの背筋に寒気が奔る。

最初の印象通り、ブロキーナはティファが怖ろしいままなのだ。

どう優しかろうと純粋であろうとも、先々を此処まで読んでいるかの如くのティファが。

 

そしてその通りになっている現状にクロコダインと共に嘆いている時、洞窟内部に冷たい気配が満たされゾッとしながら二人は構えた。

ブロキーナは身構え、クロコダインはこのほどロン・ベルクに作ってもらい渡された腰に装備できるアックスを構えた先にいたのは・・・

 

 

「キルバーン・・・・地上に来ていたのか・・」

 

魔王軍の死神、不要なれば味方の魔王軍の者ですらも狩ってきたかつての死神は、赤黒い瞳を爛々と光らせクロコダイン達に挨拶もせずに洞窟入り口に立っていた。

 

敵であった時でも勇者達にも小馬鹿にしてではあるが挨拶をするキルは挨拶すらせず、冷たい気配は何事だと問おうとしたその矢先、キルの口から冷たい気配が吐き出された。

 

「君達はチウ君があそこ迄の目に遭って、思い悩んでいたのを身近にいながら知らなかったのかい?」

 

声音は甘くとも冷たい声と気配と物言いから、チウの悩みがキルにも知れた事を察した二人は、何がチウをあそこ迄悩ませているのか話してもらえない事を説明する。

自分達もただ手をこまねいていただけではないが、ブロキーナの事情も話したうえでどうするべきか丁度相談していた事を。

 

しかし、朗報というべきがキルはチウの悩みを大方察し、そしてその事で途轍もない怒りを覚えたのを反対に二人に話して聞かせ冷たい言葉でクロコダインとブロキーナを慄然とさせた。

 

           

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好きなキルバーンさんがまさか洞窟でそんな物騒な事を話しているとは思わないチウは、キルと再会した湖の湖畔に座ったまま見るともなく雲を眺めている。

 

いきなり空間が開いてキルが出て来て元気一杯に挨拶をされた時は驚いたが、嬉しくなって飛びついたのを優しく抱き返してくれた。

キルは時折地上に来ては人の生活や暮らしぶりを見て、それらを主たるバーンに報告しているのだとか。

 

「魔界が浮上した時は人間界とも国交結ぶと思うから今から人間のお勉強のし直しだよ。」

 

それまでは攻める為に弱点等の研究であったが、今回は人ときちんと交流する為に、人間の常識を勉強中だとか。

 

その話は近頃元気が出なかったチウを明るくさせる。魔界の人達も僕等と仲良くなる気があるんだとやる気が出ると。

 

「キルバーンさん!今僕もロモスの人達とモンスター達が仲良くなるようにしているんです。」

「そう、チウ君ならきっとうまくいくよ。」

「・・・・・そうでしょうか?」

「ん?何か心配事があるのかい?・・・・まさか虐められて・・」

「違います!虐められてなんて・・・ただ・・・」

「ただ?」

「僕が-難しい大人の言葉-が分からなくって・・・・そのせいなのか相手の方の笑顔が怖く見える時が増えて・・」

「そうか・・・・宮廷言葉を使われるとチウ君にはまだ難しいね。どんな言葉が分からないのか言って御覧。僕が表にして分かりやすい言葉に置き換えて上げるから。」

 

幼い子供に宮廷言葉とは些か大人でない者達がいるのかと腹が立ったが、頑張ろうとしているチウを応援するべく、落ち込んだチウを膝の上に乗せたキルは、空間から紙と筆記用具と木の板を出し、言葉変換表を作ろうと張り切った。

チウは変わらず優しく頼もしいキルに嬉しくなり、思い切って聞いてみる事にした。

 

「そしたらキルバーンさん、僕が良く言われている言葉なんですが・・・」

 

その言葉を言った直後、キルの手が震え筆記用具は粉々になり、少し用事があったのを思い出したとキルが言い出し、すぐ戻るから待っててねと頭を撫でられ空間を開けてどこかに行ってしまった。

 

・・・・・あの言葉は誰にでも分かる言葉で・・・・それでキルバーンさんは呆れてしまったのだろうか・・・

 

置いてけぼりを食ってしまったチウは、またそっと溜め息を吐いている時、キルは怒りでどうにかなりそうであった。

 

そいつらはチウがまだ大人の言葉を知らないのをいい事に、優しい表情でチウを騙して言葉で嬲り者にしている!

 

シナナ王の前では発言しないが、廊下に出て少ししてから-色々教えようとしてくれている-者体の言葉を、チウは分からないのが辛いと言っていたが!冗談ではない!!

 

チウを-鄙いなもの-と呼び、言葉の意味ががまだ分からないチウを見ては、仕方がないと-嗤って許してくれていると-チウは言っていたが!!チウをを虚仮にした愚か者達なぞ・・・

 

           「そいつら全員僕が-根切り-にするけどいいよね」




今宵ここまで・・・・・


今夜決着をといいながら、前編・中編になってしまった体たらく!!

しかしこの物語のこの先で起こりえるだろう問題を根本から潰す為にも軽く扱えず、三部となりました。

分からない言葉を承知で相手に使い、異種族を虐げようとする者登場となり、死神の怒りを買ってしまったのですが・・・なにやらとある愉悦部員さんが喜びそうなダークな話に死神が持っていきそうな・・・

次の回で決着を付けたいと思いますが、頑張っているチウ君達を虐げようとする悪人を懲らしめるにはどこまでやればいいのだろうか悩んでいる筆者です・・・
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