勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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?:皆の者!!ヒュンケル様の結婚式ぞ!!!祝うのだ!!!
?:キッキー!! ウゴウゴ キャー!!!


元魔剣戦士の幸せなる結婚式

ヒュンケルは走っていた

秋晴れの晴天の下、今日は自分と最愛の女性との生涯においてのたった一度の晴れの日だというのに最愛の女性を置いて行き、周りの手を借りながら着飾った-花婿衣装-が乱れようとも構わずに、教会の厨房目掛けて駆けている。

 

この教会はなんでこんなに広いのだ!!無駄だなくらいに広すぎるだろうと逸る心のままに内心で毒づきながら。

 

この教会は別に国が特別建てた場所ではなく、パプニカの片隅にあるマイナーな教会なのだが、なにぶん田舎は土地だけはあり、農作業のない冬場に教会作って雇用にするべを標語に掲げられたてられた教会は、できるだけ長い間雇用の産み場になるようにが目的なので数十年かけられた教会であった。

別に特別な贅で拵えられたわけでは無い。ステンドグラスや装飾も程よく田舎風で、では何が数十年かかったかといえば建物に使われた材質と教会内部の広さにある。

材質は一つ一つが耐熱性のレンガであり、生半可な衝撃ではびくともしない、教会作ったのか野戦用の城作ったのかどっちなんだという突っ込み待ったなしなほどの半端ない頑丈さであり、事実ハドラー大戦の時には周辺の住民はここに避難し、狂暴化したモンスター達から難を逃れることができたので、突っ込み入れられても本望であろう。

 

そして広いのだ、それこそ城並みに。

 

理由は本当に雇用場所維持のために、やれ教会に来た人が泊まり所で難儀しないように部屋がいるだの、懺悔室が一つでは忙しかろうだとか、それこそ長い廊下を歩いている間に教会で神に祈りを捧げる心持を作るのだとかいう・・・・・ある意味でっちあげに近い理由で広い協会が作られ、そのおかげでヒュンケルとその最愛の女性であり、本日をもって妻となってくれるエイミが希望した通りの結婚式を挙げられた訳なのだが・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「ヒュンケルかっこいいよ!!」

「あぁ本当に最高にいい男ぶりだぜ!!!」

「・・・・二人共世辞が過ぎるぞ。ラーハルトもにやにやとしていないでダイとポップの揶揄いを止めてくれ。」

 

今日はヒュンケルとエイミの結婚式。こういう時は新婦は着替えるのに物凄く時間がかかり、それは当たり前の事。

男性よりも結婚式に夢を多く持っているのが女性であり、今日この時をおいて一体何時着飾って好いた殿方に見てもらうんだとばかりの決戦の日でもある。

今エイミの方はドレスが着替え終わり、後はお化粧で時間がかかるだろうと察したヒュンケルの弟弟子達は仲間を引き連れ新郎ヒュンケルを襲撃し、誉めそやされる言葉に戦場では最も頼りになる兄弟子の姿は形無しとなって、ダイとポップと共に来た親友ラーハルトに助けを求めたのだが世の中は無常であった。

 

「ふん!ディーノ様とポップの誉め言葉は真っ当な評価だと俺も思うぞ。素直に喜んで受け取っておけばいい。」

 

・・・・親友も弟弟子たちサイドであった・・・

 

しかし三人の言う通り、本日のヒュンケルは本当に最高の男ぶりである。

 

結婚式の新郎衣装も様になっており、何より日頃は跳ねるに任せている銀の髪をきっちりとオールバックにまとめ上げているのがまたグッとくる。

あの髪型も悪いとは言わないが、この髪型で黙って立っていれば貴公子然としているのだから

 

「エイミさん益々ヒュンケルに惚れこむと思うよ~。」

「・・・・それ俺がやっても似合う気しないから参考になりゃしねぇ。ダイなら・・・やっぱないわ。」

「あ!酷いよポップ!!・・・でもそうだね、そういうのって落ち着いた男の人にしか似あわないだろうから俺も無理しないでおこう。」

 

花嫁の衣装の着替えやメイクのお手伝い、そして寿ぎの為に大半の女性に行ってきますを言われて手持無沙汰になった男子二人は褒めてるんだか揶揄っているのだか分からない様相でヒュンケルの下にいるのを、何をしても兄弟弟子たちが可愛い出来たアバンの長兄は苦笑しながらも二人の事を許してしまう。

 

秋晴れのこの良き日、かつては兄弟弟子であっても死闘した自分を許して一行の中に入れてくれた素晴らく、掛け替えのない者達なのだから。

その様子を、親友ラーハルトは優しい眼差しで眺めているところに扉が叩かれた。

遂に花嫁の支度が整ったのだ。

 

 

「姫様・・・皆さん・・・私、こんなに幸せでいいのでしょうか・・」

「エイミ・・あなたがこの日を迎えられて私達も嬉しいのよ?」

「そうです!微力ながら私の未熟な占いをしたところ、今日は特に良き日だと出たんです!」

「メルルの占いがそう言ってるなら大丈夫よ。安心して式場に行きましょう?」

 

肩の出るタイプの花嫁衣装に身を包み、今まさに女性としての幸せの中にいるエイミはそれがかえって恐ろしく感じてきたのを、レオナとメルル、マァムがそれは杞憂だと慰めているが、エイミの心はどうしても晴れずに不安ばかりが浮かんでしまい、支度が整ったと新郎に使い番を出したのだが式場に足が踏み出せないでいる。

 

ヒュンケルとの結婚が怖いのではない、彼が元魔王軍でありそれも敵の軍団長で自国を攻めてきたことで、それを詰る者が自分の前に来ることを恐れての事ではない。

その様な事になっても自分は彼の傍らにあり続け、共に地獄に落ちても構わないとまでヒュンケル本人にまでいったあるのだから。

 

では何がエイミを不安にさせたかといえば、幸せ大きすぐれば大きすぎるほどに反動で不幸があるのではないかという古くからの迷信が、この数日頭をよぎるからだ。

 

好事魔多し

 

パプニカには古くから、幸せを妬み嫉む魔物がいるとされている。

それは由来はなく、誰が言ったのかもわからないが良い事づくめの時ほど悪いことも起こると言われている。

その不幸が自分一人に向く分にはいい、怖ろしいのはそれが最愛の人にまで及んでしまう事が。

だがしかし、そんな不安は蹴り飛ばされた。

 

「エイミ!」

 

不安など世界の果てにでも蹴り飛ばせるほどの力強い声を発しながらヒュンケルが来たからだ。

その姿は絵本で読み、少女時代に夢にまで見た白馬の王子様そのもので、彼は力強く笑って自分を迎えに来てくれたのであった。

 

式場の新郎新婦の入場口で、待てど暮らせども現れないエイミを心配して駆けつけたヒュンケルは、憂い顔をしたエイミにそっと近づき、口を開いた。

 

「奇麗だエイミ!俺は今の君以上に奇麗な人に会ったことはない。」

 

ドストレートな誉め言葉を口にした。

 

もう遠回しだの遠慮もへったくれもないその誉め言葉に、周りの女性陣一同それこそお手伝いに来た真っ赤な他人のご婦人方まで顔を赤らめレオナ達とキャーキャー言ってしまい、言われた当の本人エイミは真っ赤になってフリーズしてしまった。

そうだった・・・この朴念仁にも近い朴訥な騎士様は、言うとなったストレートな物言いしかしないのを忘れたために、心がクリティカルヒットを起こし、不安とはなん増やとなって、ヒュンケルに手を引かれるままに式場へと向かい、レオナ達も興奮冷めやらぬ雰囲気のまま後をついて行った。

 

道半ばで待機していたバダックにエイミを託してヒュンケルは一足先に入口へと向かい、新郎新婦入場の合図を出してほしいとこれまたその係で待機していたアポロに合図を送る。

結婚式で神の御前での誓い合いをする時、先に新郎が入場して父親や男兄弟に連れられた花嫁を待って受け取るのだが、エイミにはそれがおらずアポロもヒュンケルの結婚式のために現場で働きたいというので、その役目は長年エイミ達三賢者のそばにおり、時折小さかった三人を陰日向に助けてきたバダックの役目となった。

 

バダックとしても、なかなか城や周りの者達に溶け込めずに泣いていたエイミが大きくなり、世界を助ける働きを共にし惚れに惚れぬいた男の下に嫁ぐのだと思うと感無量となり、涙目でいた。

 

「エイミ殿・・・おめでとう。ヒュンケルなら、彼ならばきっとエイミ殿を生涯守って幸せにしてくれよう。いつまでも笑って過ごすのだぞ。」

「バダックさん・・・はい!きっと、きっと彼と共に・・」

 

バダックの心からの祝福に、ヒュンケルの誉め言葉でうやむやになった不安が完全に吹き飛ぶのを感じた。

そうだ、自分達ならどんな時であってもお互いを守ろうとする。きっとヒュンケルなら私の事を・・・それなら、彼にどんな不幸が訪れようとも自分が守る、そうすればいいだけなのだと。

 

 

「新婦エイミ様ご入場です!!!」

 

呼ばわれバダックと共にバージンロードを歩くエイミの顔には一片の曇りなく、つつがなく式は進み、そして誓いの言葉と誓いのキスを迎えた時最高潮を迎え、嵐のような寿ぎを宙を舞い、兄弟子の姿に弟妹弟子達は立ち上がって泣きながら祝いの言葉を叫ぶように紡ぎ出し、隣居るアバンも涙を浮かべて拍手を続ける。

 

今日は勇者一行の一人の結婚式であっても王侯貴族の参列はなく、二人の住まうパプニカの国王レオールも来ておらず、レオナはエイミの友人として、アバンはヒュンケルの師として来ている。

自分達にはこれくらいの式がちょうどいいのだと周囲に告げて、意外と情に厚いベンガーナ王は彼らの戦友ともいえるであろうアキームを自分の代理として送り出してきたがそのくらいであり、後はロン・ベルク、チウ、クロコダイン、マトリフ達はもとより、バラン、ガルダンディ、ボラホーンも今日はデルムリン島から駆け付け満面の笑みを浮かべて若き夫婦の誕生を喜んでいる。

特にロン・ベルクは結婚のお悩み相談をヒュンケルからされた時、発破をかけるためとはいえ少々・・・多分に酷い事を言った時、内心では本当に自分の言った通り諦めたらヤバイ!ここは発奮してくれヒュンケルと内心で祈っただけに、今日この日を迎えられて本当に一安心る分祝いの気持ちが強い。

 

天高い青空に寿ぎの音色が響き渡る良き日であった。

 

その後はヒュンケルは男仲間からもみくちゃにされ、アバン先生からは頭を何度もナデナデと撫でられ、エイミも幸せになってとみんなから祝福を一頻り受けた後は立食パーティーへと場は移行された。

 

王侯貴族は来ずとも、ヒュンケルとエイミの二人には掛け替えのない戦友達が大勢いる。

それはサババ砦から始まり、ロロイの谷での最終決戦まで共に戦場を駆け抜けたゴメスを始めとしたレジスタンス一同と、同じく谷で共に戦い抜いたカールの兵士達。

ゴメス達はともかく、カール兵とはティファの事を巡って敵味方になりかけたが今となっては戦友であり、招待したところあの場にいた全員が駆け付けてれたのだ。

そしてこの教会には地下室が広くあり、その中には地底魔城にいた不死騎団員だったモルグを筆頭としたモンスター達全員がいてくれている。

 

大戦時、ダイ達に敗れた後フレイザードが来て、地位的に目障りだった自分をダイ達もろともにしようと火山を爆発させたとき、自分は助けられ九死に一生を得たが、配下の者達にはすまない事をしてしまったという後悔を忘れたことはなかった。

しかし彼等もまた助けられたのだ、自分と同じくティファとクロコダインにモンスター筒に入れられ、クロコダインがティファから預かった収納のマジックリングに保管をされて。

それを知ったのは大戦が終わって落ち着いたころに、クロコダインによって知らされた。

嬉しかった・・・ハドラー大戦の時には自分を育ててくれた父のみならず友であったモンスター達が亡くなったのがひどく悲しく、だからこそ一層アバンという男を憎む事で心を保ち続けたのだが、今回もまた地底魔城で自分の大切な者達を喪ったのかと思っていただけに・・・モルグたちの入ったリングを受け取った時泣き崩れる程に。

 

住む場所は割とあっさりと決まった。

元地底魔城後はまたいつ噴火するのか分からないので、少し離れているがこれまた元魔王軍の基地・鬼岩城のあったギルドメイン山脈の地下に巨大な空洞があり、ゾンビ系や骸骨系の彼らが住むには最適な場所が見つかり、いつでもヒュンケルと会える状態となって、今日は主人の晴れの日だとモルグは招待された事を泣くほど喜んでいた。

当然エイミもその事を知っており、折を見てヒュンケルと共にあいさつに行こうと考えていたのだが、今日この後会えるというので楽しみにしている。

 

招待客の挨拶回りでヒュンケルとエイミはほとんど食べられないのをダイ達は目ざとく見つけ、今日は二人が主役だとレオナがドンと言ってきかせ、マァムとメルルとチウがよそってくれた食事に手を付けた時、ヒュンケルの形相が一変した。

 

そんな・・・まさかこれは!!

 

手に持った料理を信じられないもののように見るヒュンケルに、周りは何事かと驚いた。

今日の料理は勇者一行の料理人が作ったものではないにしろ絶品であり何にここまで驚いているのか問う周囲をよそに、ヒュンケルは一つの料理皿に目が釘付けになった。

それはハンバーグ料理であった。

取り立てて目を引くほどではなく、過程で作られているものと違うところと言えば一口サイズでカットトマトソースがふんだんに使われている珍しさくらいなそれくらいの者だが・・・それでも

 

 

「ヒュンケル!!」

「おいどこに行くんだよ!!」

「ヒュンケル!?」

 

仲間や親友、それこそ偉大なる師や最愛の女性の声にも止まらず、ヒュンケルは走り出していた。

途中で厨房がどこか分からない事に気が付いたが、気配がした

自分がアバン先生以上に半生を共にした、絶対に間違えようのないそれは・・・もう一人の声とともに分かった。

 

「もう帰ろうよミスト~。僕にとっては・・・おや・・」

 

バン!!!!

 

教会の奥の扉を開けてみればそこにいたのは

 

「・・・・ミストバーン・・・」

 

自分を拾った時から、それこそ不死騎団に行くまで自分を文字通り食べさせていたと驚愕の事実を叫んでいた男、大魔王の参謀にして魔界の神の宰相にして暗黒闘気の師ミストバーンがそこにいた。

 

「・・・・・なぜ来た・・」

 

この状況を面白がっているキルとは違い、ものすごく不機嫌そうな・・・ヒュンケル自身が礼を失した時に出す気配を醸し出すミスト。

ミストはものすごく礼儀作法や気配りに対して厳しかった。

挨拶から始まり、目上の者に対する接し方すべてを叩き込まれ、おそらく今回は新郎とは言え一つの式の主役が客人達を投げ出してなぜ来たのかと叱責しているのだろう。

少ない言葉から気配と状況から言われているのがなんであるのかを察せられるほどにヒュンケルはミストバーンと共に長く濃密な時を過ごしてきた。

食事から風呂まで入れてもらい、戦いの修練の時はボロボロになっても扱かれたがそのおかげで強くなれた。

そのミストが、何故厨房にいたことが知れたのか、それはあの肉よりも多くかけらたトマトソースがけハンバーグであった。

 

「・・・俺は小さかった頃は肉ばかり食べて野菜を食べなかった・・ある日突然肉に野菜ソースが大量にかかるようになった。」

 

ヒュンケルもまた、ミスト同様にぽつりと返す。

 

そう、ヒュンケルはミストが図らずも口にしてしまった通り偏食家の一面が子供のころあり、これでは本当の意味では強靭な肉体にはできないと厨房で包丁を奮っていたミストは食わず嫌いなお子様ヒュンケルに対してブチギレていた。

地上と違って魔界には野菜など贅沢品!!それを主が大枚はたいてにっくき地上からそうとは知られずに購入しているとも知らずに残すバカ弟子刻んでやろうとから発想を得て、肉にソースとしてかけて出した。

幸いといおいうかヒュンケルの舌はとある料理も大得意な元勇者のおかげで肥えており、肉には味付けしていないのでソースごとでないとうまみもへったくれもない細工を施し、おかげで渋々ながらも野菜もとるようになって長ずるにつれ偏食も消えはてた頃合いを見計らって通常メニューに戻したという物凄い逸話がある。

当時ヒュンケルは厨房の奴らはめんどくさい事をするとしか思わなかったが、よもや後年実はすべての料理が寡黙で弟子を滅茶苦茶扱く師の手料理と知ったときは本当に魂が飛び出た。

そして今日また、あの料理が出されるとは予想外の出来事。

和睦したとはいえ魔王軍に自らは入り、あまつ師と一度仰いだミストに反旗を翻したヒュンケルとしては結婚式に呼ぶのがはばかられ、後日エイミと共に挨拶に行くつもりであった。

経緯はどうであれ、ティファの言った通り今の自分の血肉全てを作り上げてくれたのは間違いなく目の前にいるミストバーンなのだから。

 

だが、何と言葉をかければいいのかヒュンケルには分からなかった。

ただ今までのお礼を言うのには言葉が浮かんでは消えてしまい、今日だけの事を言うのも違う気がして・・・似ているのだヒュンケルとミストバーンは。

共に情厚く、一度懐に入れたものをとことん大切にするところも、そして不器用なところも。

そんな師に対して、弟子は深々と頭を下げた。

全ての感謝の念を込めて。

思惑あれども、それでも死にかかった幼い自分を川から拾い上げここまで育ててくれたもう一人の師に対して万感の思いを込めて。

師であれば察してくれるだろうと

 

そしてヒュンケルの思いに応えるように、その思いは確かにミストに届いた。

ヒュンケルを拾ったのは監視していたアバンを見ていた時、映っていたヒュンケルに興味を覚え、もしも憎悪を忘れずに育ち師を殺すか無理でも別れた時に拾いに行き、育ててバーン様の配下とし、もしかしたら自分の器になるかもしれないと目論んでの事であった。

それでも、川から抱き上げた時、胸の中に何かが沸いたのは確かで、それは日を追うごとに大きくなり・・・あれは今であれば認められる、情が移ったのだヒュンケルという子供に対して。

それだけに裏切られた時は本心から落胆し、今回は結婚するヒュンケルを祝ってやりたいと思ったのだ。

それでも招待状は来ず、押しかけるのは憚られる、ならば料理の手伝いくらいはと思ってモシャスをして厨房の一人に紛れ込んで味付け担当をして、一品作らせてもらったのがヒュンケルが野菜をかけても嫌そうにしなかったあのトマトソースハンバーグをつくったのが・・・・・まさか覚えてくれていたとは

 

「・・・・分かったからっさっさと行くがいい・・」

 

それはぶっきらぼうながらも、どこか照れ臭いような思いを振り払うような気配に、キルは益々ニヤニヤとするが、ヒュンケルは顔を上げて

 

「戻る、後日行く。」

 

真面目な声を出して式場へと戻っていった。

正しく師の思惑を読み取って。

 

 

「ミスト嬉しそうだね~。何も邪険に追い払わなくってもよかったじゃない?」

「・・・うるさいぞ、主賓が客を待たせていいはずが・・」

「はいはい、-後日-ゆっくりと話し合うといいさ。可愛いお弟子さんとその若奥様と。」

「・・・・お前のそういうところは嫌いだ・・」

「僕は君の丸ごとが大好きだよミスト♡」

「っ!!もういい!!!帰るぞ!!!」

「はいはい。」

 

 

死神とか影はいつものじゃれあいをしながら帰途につき、式場に戻ったヒュンケルは何事があったのか周りから質問攻めにあった。

皆ヒュンケルのただ事ではない、それでも後を追ってはいけない雰囲気を察して待っててくれたのだ。

心配顔のエイミをヒュンケルは愛おしげに抱きしめ、この料理には覚えがありお礼をしに行ったのだとだけ告げた。

 

それだけであったが、ミストの発言を知っているダイ、ポップ、マァムとチウとクロコダインは察しがつきそれ以上は追及せずに、他もまたお祝いの席だからと祝う方を優先されてまたお祭り騒ぎの幕開けとなった。

 

ヒュンケルは思う

 

本当に今日はなんと幸せな日なのだと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに後日、とある事で魔界での料理の味付けはどんなのですかと、パプニカの料理人達に泣きつかれた時、自分は一応人間対応味付けだったのと、師に対しての小っ恥ずかしい思いがあって咄嗟に覚えていないと言ったのはまた別のお話




今宵ここまで

本編は結婚式とちょっとした後日談で完結とさせていただきます。

宣伝となりますが、他の登場人物の書きたいエピソードもあるので勇者一行の料理人-外伝-を作らせていただきました。

おなじみの人物達が出ますので、興味のある方はぜひそちらもどうぞ。
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