「儂らの姫様の花嫁姿じゃ!!」」
「あぁ本当に美しくなられて・・・・お城や城下町をバダック様と一緒に駆け回っていたのが嘘みたいに・・」
「お転婆じゃった姫君様が・・」
パプニカ城下町は盛大なお祭り騒ぎになった。
晴れた大空の下、城のバルコニーから父王に連れられて花嫁姿を表したのだから無理も無い。
その騒ぎは、バーン大戦終結宣言の時よりも熱狂の渦が巻いていた。
幾度も言われているが、レオナは本当にお転婆姫であった・・・そうあろうとしていた。
城の中には自分にすり寄ろうとする気味の悪い大人が多く、聡明であったが故にレオナは本能的に邪心を感じ取って逃げていたのだ。
それをバダックは承知の上で外に行こうとするレオナ姫を-態と-追いかけまわしては逃げられたとぼやき、姫様はお転婆じゃとその聡明さを周りから隠してきた。
それというのもレオール王が亡き妻を思い続け後添いを貰わずに、跡取り王女となったレオナの聡明さが知られれば、レオール王を弑して聡明なる賢王女として神輿にしようとする馬鹿が出ないとも限らないからだ。
バダックはレオール王もレオナ王女も守る為に口煩い爺を演じてきたが、最早それは不要であり、この日のレオナ王女の姿に自然と涙が零れ出てレオナを驚かせた。
「どうしたのですバダック?」
花嫁姿に着替えている間、レオナはこれから会う人達はみんな笑顔で今日の事を祝ってくれるものだとばかり思っていたので驚いたのだ。
「姫様・・・・本当に・・・ようございました・・・・」
王女の疑問に、バダックはその一言しか答えられなかった。
赤子の頃から見守り続け、王宮という伏魔殿の中で、そして大戦時にも様々な艱難辛苦にあって来た姫君が今日、好いた男と結婚をする。
それは政略結婚が当たり前の王族の中では本当に奇跡のような、それこそ物語にしか出てこないような事が今日この時に実現するのを、バダックを始め城中の者達が同じ思いであった。
レオナは身分を基準とした序列を大切にしながらも、下の者達を労わる優しい姫君であり慕う者が大勢いる。
その家臣一同が、バダックの後ろで同じように泣いている、嬉しくて、自分の子が結婚する時のような喜びが、彼らの胸中を占めて泣いている。
その涙に何かを察したレオナも自然と涙があふれる。
自分はこんなに大勢の人達に喜ばれる中幸せな結婚をするのだという思いがひしひしと胸を満たし
「ありがとう・・・・みんなありがとう・・・」
普段のあの快活で凛とした王女としてではなく、一人の少女としてお礼をする。
その姿を、少し離れたところから父達が見守っているのを感じながら。
レオール王も嬉しく思う。自分の娘の事をここまで慕って祝ってくれる彼等にそっと無言で頭を下げる程に。
そして、鐘の音共に三賢者のアポロとマリンがバルコニーの扉を開け、二人は静かに外に出た。
バルコニーには護衛としてレオナ王女を守る近衛騎士の団長をしているヒュンケルが銀の鞘を佩いた正装姿で待っていた。
ヒュンケルは今はレオナの護衛として王女近衛隊が設立されたのを機にその長をしている。その地位には無論実力であり、武だけではなく学もアバンとそして・・・どこからか聞きつけてかかつての師が強襲してきて徹底的に鍛えらえて実力でもぎ取ったもの。
そのヒュンケルは優しい微笑みをレオナに向け、異常がない事をレオール王に告げて二人をバルコニーの端まで先導する。
惜しむらくはスピカが熱を出してしまい、妻のエイミが直接ここに来られなかったことではあるが、目玉でこの光景を見られるのだからエイミもそう落ちこまない筈。
ならば妻の分まで姫君をお守りしそして祝う気でいる中、父娘は仲睦まじくバルコニーの端に立ち、さらなる歓呼を以て出迎えられたオナは優しい笑みで、レオールは力強い笑みでその歓声に手を振って応えるのを目玉がパプニカ王国中継する中、レオナは宣誓した。
「私は幸せです!国中の人達から祝われる中、愛する人と結婚できる事に感謝の念にたえません。
約束します!必ず-王太子・ダイ-と共に幸せになり、そして共にこの国の幸せとみんなの笑顔を守るものとなる事を!!!」
この国でのダイの身分はレオナと同じ王の跡継ぎとして王太子の地位を戴いている。
そのダイと共に幸せになりこのウニをよりよく導くという力強い言葉に、国が揺れるかと思う程の歓声と万雷の拍手が沸き起こる。
良き未来を、国中の者達が
おなじころテランでも同じような熱狂が渦巻いていた。
規模こそパプニカには及ばないが、熱量では決して負けてはいない。
メルルは占い師の祖母・ナバラの方が有名ではあるが、この三年でテラン王国に住むすべての人々の下をポップと共に自分の足で訪れ、どのような暮らしをしているのか困っている事はないかを丁寧に聞き、そして最後には必ず、良い国とはどういいう国だと思うかを聞いていた。
一介の民に取って聞かれる事のない事を聞かれて面喰い、中には自分達を揶揄っているのかと憤るものもいてけんもほろろに追い出されるがメルルもポップも怒ることなく、誠意をもって接するうちに相手も本気だと知れしめられて、少しづつ交流が生まれ、そして今日のこの祝いの熱狂を生み出すのに至った。
「メルル様!どうかお幸せに!!」
「この後ポップ様も御一緒ですね!その時にもう一度集まらせてくださいね!!」
「お二人とフォルケン様と、テラン王国に竜の神の御加護がありますように!!!!」
たった・・・民は総員しても五十にも満たない国の筈なのに・・・・王宮の大臣や兵士たちを入れても数百イルカイ内科の国の筈なのに、この熱気はどうだろう。
まるで若りし頃の、人が大勢いた時のあの時のようだと、花嫁姿のメルルをエスコートをしながらフォルケンは泣きそうになった。
特にリュート村から駆け付けてきた者達は、ニーナを筆頭にして凄かった!
「メルルお姉ちゃん!!おめでとうね!!!ティファお姉ちゃんによろしく言ってね!」
「落ち着いたら-みんな-でまた遊びに来てください!僕らはいつでも大歓迎です!!」
大戦終結をの表舞台の立役者が勇者一行であるのならば、裏の立役者は絶対にリュート村の子供達だろうと全てを知る人々はそう思っている。
それは超竜軍団のあの三人の心をつかむところから始まり、最終決戦の時の勇者側の味方達の不和を取りのぞく一端を知らずにし、そして世界がつながったあの時、誰よりも早く死にゆく魔界を助けたいと声を上げた子等は、今日も元気一杯にメルルたちの結婚を祝福している。
ニーナが、カイが、ディアッカ達が親に連れられて祝いにすっ飛んできてくれたのだ。
文字通り国の全ての人達が駆け付けてくれたのをメルルは嬉しい想いで胸が詰まり、何も言えずに涙を流すのを誰も笑いもせずに優しい言葉がその場を満たしつくす。
そして二人の姫君がそれぞれの父達に連れられてデルムリン島に出立する時間となった。
今宵ここまで