この式は始まりからしてとんでもない式だと思っていたが・・・・まさか花嫁の到着の仕方までがここまでとんでもないとは思っていなかったとは、後の世の人々が勇者達の大結婚式とは如何なるものであったのかと当時式に参列した者が聞かれた者達はこう答えた。
確かに規模は凄い!島を魔界の神が拡張するとかありえない!!参列した者達は全員が王侯貴族であり、六大精霊王達や天界からも三神の使者が多数来たが一番はそこではない!!!
花嫁達は、父王達と共に竜に乗ってやってきたのだ!!!!
テラン王国のメルルは先代竜の騎士バランの配下で竜騎衆を名乗るガルダンディとボラホーンがスカイドラゴンに乗って気球に付けられる籠を両側から宙づりにして、メルルとテラン王・フォルケンを連れてきた。
ガルダンディは無論自分の愛竜たるルードに乗っており・・・・なぜかニーナも一緒に乗っている。
ガルダンディはその巨体を乗せられる、齢五百年を経た雄のスカイドラゴンを見つけて頼み込んで今回の花嫁行列(?)を成功させるに至った。
成功させることが出来たガルダンディは誇らしげにし、ボラホーンは重々しい顔つきでスカイドラゴンに浜辺に籠をゆっくりと下ろすように指示をしながら慎重に着陸をさせる。
今自分達が預かっているのはテラン王・フォルケンとその継嗣たるメルルではあるがそれだけではない。自分達も大切に思う仲間、ポップの大事な恋人であり家族になる者達である。
マンに一つも毛筋ほども傷がつかないようにボラホーンは細心の注意を払い、無論ガルダンディと後ろに共に乗っているニーナも同じ思いであり、無事に籠も竜達も浜辺に着陸できた時は歓声が上がった。
そして少し遅れてレオナとレオール王が同じく竜に乗ってやってきた時は・・・・メルル達のようには完成は上がらずに、誰もが唖然呆然としてしまったのを、到着したレオナとレオール王はそれはそうなるだろうと頭を痛めながら竜の背から降りて浜辺に降り立つのを、予め知っていたガルダンディとボラホーンは苦笑してしながら付いてきたニーナを見てみれば、周りの大人たちと同じように唖然としていた。
普段何があっても動じずに、大半の大人相手でも怯まない娘っ子が見せた意外な顔に、ガルダンディとしては可愛いな~と思うがそれは兎も角、何故祝い事の規模の凄さにもう驚かないぞと構えていた列席者達がここまで驚いているかというと・・・・パプニカ王国に花嫁御料を迎えに行ったのが冥竜王ヴェルザーその人だったからだ・・・
遡る事子の結婚式が企画されて場所と内容と招待客達を絞り込んだ後は、やっと結婚する当人達に話が及んだ。
結婚衣装の方は花婿・花嫁共に自国や当人達が用意するのでそこは問題なくサクサクと話が終わった。
合同とするとは言えどもやはりそこにはその王家代々の物が受け継がれており、それを使うのが一番である。
ティアラやクラウンもあるだろうし・・・・何かアクセサリーは新たに要らないかという某魔界の神様の御言葉は必死にすげなく断り!すべて自前でやった。
そして花嫁達はまず自国で花嫁衣裳のお披露目と挨拶をするというのも纏まった後は、さてデルムリン島までの道行きをどうしようかと相成った。
そこは自分の出番ではと、空間を操りいった場所同士であればどこでも空間を繋げて瞬時にお連れできますよを標榜に掲げてそうな某死神が挙手したが、花嫁行列をした方がよいのではないかと言われた。
確かに安全面であればそれが一番なのは誰もが分かる。言っては何だがレオール王はいまだに病は完治しておらず健康であるとはいい難い。そしてフォルケン王もまた若い頃から体は弱くそして何よりも高齢である。
快速船の衝撃に二人が絶えらるか甚だ疑問でありリスクが高すぎる。
しかし両国の花嫁達を行列を仕立てて連れ行くには船しかなく、とは言え通常の船ではパプニカからはどう頑張って即日に付けるはずもなくさてどうしようと思ったところにアバン王がにっこりと良い笑顔で言い切った。
「竜のお力を借りてみませんか。」
それは結婚式会場をデルムリン島にするべく拡張すると言ったバーンの言葉と同じく、発言した本人以外は何言っちゃってるんだこいつという胡乱な目を向けられても言ったアバンはどこ吹く風で、更にいい笑顔で提案をした。
曰くこちらには竜のスペシャリストたる先代の竜の騎士とその配下方達がいるので彼らの助力を請い、両国の姫君と父王を気球に乗る籠に乗って頂きその籠を竜二頭に吊り上げさせてお連れしてはどうかと言うものであった。
無論籠の方は気球で安全が保障されているのでその日用に新品を用意し、どう吊り上げれば安全であり、ロープの耐久をどうするかの実験をする日数は幸い沢山あるのでやってみようと説明を受けた一同は賛同した。
何となれば式場決めでもっと飛んでも理論を出された後では、花嫁御料が竜で来るくらい可愛いものではないかと結婚式企画者一同の感覚がマヒしていたからこそすんなり通ったという話もあるが・・・・その提案をしたアバンは提案した自分をボコって埋めたくなる事態が発生したのは予想外であった。
案はいい。籠に結婚式らしく花やリボンで装飾されたデザインを見た当の花嫁達が嬉しそうにしていたのだから。
吊り方の研究もうまくいった。当日に乗る花嫁一行よりも五十キロ重くした物を乗せて吊り上げ、傾かずに安定して運ぶにはどこにロープをどこに固定させ竜達はどの角度で吊り上げればよいか、ロープの長さをどうするかを徹底的に研究し尽くした。
監修したのはアバンとそして竜騎衆のガルダンディとボラホーンとそしてなんとバランであった!
「私の息子の花嫁になってくれる姫君とその父王が乗るのだ。私が手伝わんで何とする。」
とか、何とも超絶カッコいいバランパパであった。
何度も何度も試行錯誤が繰り返されるのをアバンも共にいた時は・・・・お前カール王国の事はどうしたと関係者御一同は突っ込みたくなった。
ちなみに細かいことは何でもいいだろうというガルダンディも思う程であったが誰も突っ込めなかった。
何故ならばアバンは本気であったからだ。
可愛い弟子のヒュンケルの時は自分はあまり関われずにサクッと結婚式が行われてしまった・・・・それはそれでヒュンケルが幸せそうだったので自分も嬉しい・・・しかしだ!!可愛い弟子達の面倒をもっと自分で見てあげたい!何ならカールでやってほしい所であったが大義名分も無いので泣く泣く諦めたのだ!!
しかし自分にできる事があるのであれば何でもやってあげたい!ポップ・マァム・ダイとそして妻のフローラ経由ではあるが最後の自分の弟子となったレオナの結婚式の大事な場面を必ず成功させるのだとアバンが燃えていたので誰も何にも言わなかった・・・・親馬鹿ならぬ師匠馬鹿とはこういう者かと見てしまった者達は黙って好きにさせたのだ。
ちなみにアバンのそういった面をよっく知っているフローラも好きにさせる事にして、とうとう籠吊に成功させた時にそれは起きた。
「俺様が小僧の花嫁をデルムリン島に連れていくぞ。」
どこで聞きつけたかは知らないが、冥竜王ヴェルザーが割って入ってきてしまったからさぁ大変!それを更に聞きつけた大魔王バーンが本気で切れた!!
「大概にせよヴェルザー!!!これは遊びではないのだぞ!!!!」
「そんなことは知っておるはバーンの若造が!!!」
・・・魔界の荒れ地でガチバトルに発展してしまう程に本気でバーンが切れたのだ。
天・地・魔界の三界全ての慶事に何を言っているのだこやつはと切れるバーンに、ヴェルザーだとて本気であった。
ヴェルザーが愛しているのはなにもティファだけではなく同じくダイの事も大切なのだ。
それは自分という眷属以外に忌み嫌われている自分を笑って迎え入れてくれるあの兄妹が大切だ。
それはかつて自分が愛したコマドリの、クックとロビンに似ているからだけでは無い想いは本気であり、其の想いはバーンに届いた・・・・三日三晩ガチバトルをした末に渋々としてではあったがバーンとしては一言釘を刺さずにはいられなかった。
「ダイの為を思うのであればダイとレオナ姫とその父王の許可をとれ。話はそれからだ!!!」
「ふん!花婿の父でもあるまいに!!お前がしゃしゃり出ること自体がおかしいのだ!!!
図に乗るなよバーンの若造が!!!」
・・・・ヴェルザーにしてはありえないど正論を言われてしまったバーンはその言葉にフリーズを起こしたのをヴェルザーはニヤリと笑って常日頃の留飲を下げてからダイ達の許可をとりに行った。
ヴェルザーとしても下心が全くなかったわけではない。近頃はバーンの若造がお気に入りの小僧の結婚式を仕切るような真似をしていたのが自分には面白くなく、自分も絡んでやると虎視眈々と機を狙い、式の準備の進捗状況を眷属達に探りを入れさせてそして得た機会をきっちりとものにするべくダイの下へと直行して、ダイ達は実験の過程を知らないのでそういうアイディアもあるのかと何も知らずにいい笑顔で承諾したのをアバンを撃沈させた・・・・ヴェルザー絡んで大魔王は何と言ってくるかと胃が痛くなったのだ。
しかしそれは杞憂でありバーンからの抗議は来なかった。もうヴェルザーのど正論に打ちのめされてしまったのだからそれどころではなかった・・・・
そして花嫁の自国お披露目の後に、それぞれが花嫁御料を迎えに待ち合わせの場所に降り立った。
テランは王城は森に囲まれているがその先に草原が広がっているのでそこにガルダンディとボラホーンが迎えに行き何とニーナもお供すると言ってきかず、幼馴染にも近いニーナが一緒だとメルル自身がたっての希望としてニーナもお供することにあいなった。
二人が来るというのでリュート村の人々が前列に来させてもらい、この日の為に作った弾幕が立ち上った
「メルルさん!!ポップさんとのご結婚おめでとうございます!!!!」
テラン国の継嗣たるメルルに様ではなく、一人のテラン国民の少女に贈られた言葉にメルルは涙が零しながら笑ってガルダンディとボラホーンの用意してくれた籠にフォルケン王と共に乗り込み、そして満面の笑みでデルムリン島に向かう中、レオナとレオール王は巨体竜の出迎えに苦笑してしまった。
予め了承をしたとは言えども、地上界でも分権の中に存在し知る人ぞ知る悪名高い冥竜王ヴェルザーが来たのだから無理もないが、本人は大真面目であった。
「小僧・・・・竜の騎士にして竜の勇者たるダイの花嫁を迎えに来るにのに、我以上に相応しい者はいなかろう。」
・・・・・たしかに魔界の勢力図はバーン一色ではあるが種族でこと竜種族間の頂点はいまだにヴェルザーが君臨をしている。ヴェルザーにその気がなくともそうなっているので常日頃はその辺の事はうっちゃっているのに都合のいい時だけそれを引っ張ってくるのはどうなのだというどこぞの若造の文句は完全無視して意気揚々とパプニカ王国に乗り込んだ。
前回はティファが目覚めたのが嬉しすぎて、パプニカ王城に突撃かましてしまったが今回はきちんとティファに身だしなみの手伝いをしてもらってゆっくりと王城前の広場に威厳たっぷりと降りたった。
艶やかな羽を広げて悠然と降りる黒竜の姿に人々は畏怖し、自然と膝をついてしまう者も出る中で厳かにレオナとレオール王に、自分の背に取り付けさせた蔵に乗るようにとその身をかがめて見せた。
何となればダイの花嫁であり、であれば当然気立ての良い娘だろうと思いそして時折デルムリン島に来るレオナを観察してやはり自分の見立ては間違っていなかったとヴェルザーは満足したので身をかがめて見せるくらい何とも思わなかったが、この光景をバーンが見たら目を剥いていただろう。
あの高慢で俺様なヴェルザーが何をしているのだと・・・ちなみにヴェルザーの眷属であれば御屋形様は情に厚いなと感涙に咽び泣いているだろうがそれは兎も角、鞍の前にはレオール王がヴェルザーにお礼を言いながら乗り、レオナはヒュンケルが抱き上げ鞍に横座りなるように乗せて、自身もラーハルトが用意してくれたワイバーンに乗り込みヴェルザーと共に並走して飛べるように用意をする。
神話のような光景だった。黒竜が白い花嫁を守って父王と共に勇者の下に嫁いでいくのに民衆は一層熱気に包まれ大歓声の下、花嫁御料は一路デルムリン島に飛び立った。
両国の空路は当然各国の魔法使いの中でも選りすぐりの者達がトベルーラで護衛につき、ついでに目玉でその様子を全世界に中継し、魔界からも竜部隊を出して護衛についている。この行列を乱さんとするものは灰にしてやるとばかり護衛達は燃えている。
何となれば捕虜となってバーンの下にいたティファの事を知っている魔族の多い事この上なく、彼等はティファを慕っている。
その慕っているティファが大切にしているお仲間一同の幸せの道筋を邪魔する輩なぞ生存していていいわけがない!
「いいかお前達!もしも警告を無視して近づくものあらば有無を言わさずに消し飛ばせ!もしも間違いであっても構わん!!責任はとる!!!」
この号令の下護衛達は燃えており、その姿に地上の人々は魔界の人々もこの結婚を共に喜んでいると親近感がさらに上がり、魔界・地上界の仲をもっと良くしようというこの結婚の目的の一つが自然と達成された瞬間であった。
そしてその甲斐あってか護衛やそのほかの要因が怖いのかそれは分からないが両国の花嫁達は何事もなくデルムリン島の砂浜に降りたった。
いよいよ待ちに待った結婚式の始まりを喜んで
今宵ここまで