浜辺で花嫁達を迎え入れた花婿達か、あるいは花婿達から出迎えを受けた花嫁達がどちらがより惚れ直しただろうか?
多分両方だと、浜辺でお互いを見惚れている新婚さん未満の兄達を見てティファは苦笑しながら胸の中で一人心地る。
自分とミストは一旦は二次会場となるバーンパレスにミストのリリルーラで料理の進捗を見に行って、帰りはティファはガルーダに、ミストはトベルーラでデルムリン島に空路を通って戻って来た。
予定ではそろそろ花嫁御料たちが護衛を引き連れて全世界に向けての花嫁行列をなしてデルムリン島付近に来ている頃合いであり、出迎えがてら挨拶できるかなとティファが読めばドンピシャで行き会った。
しかしそれは遠目から見るので終わらせて、一路デルムリン島に急いだ。
奇麗な花嫁達を出迎えるのは自分ではなく花婿達にこそ相応しいだろうと思いなおして。
そしてまずはマァムの方に声をかけ、レオナ姫達が下りると同時にミストにリリルーラで合流する手はずを説明し、そして兄達に知らせれば血相変えてすっ飛んでいったのにはティファも一同も驚いた。なにせあの真面目なラーハルトが、ダイとポップと同じ形相ですっ飛んでいったのだから無理もない。
付き合いの長いはずのバランもガルダンディとボラホーンも驚いたが、次第にくすくすと笑うティファの声に、周りも笑ってゆっくりとすっ飛んでいった花婿達の後を追う。
何となればダイもポップもそしてラーハルトも、恋人達の花嫁姿を見るのをずっと我慢して待っていたのだから。
そして浜辺で出会った三組の花嫁・花婿達は固まった。
まずは男性陣の心境は・・・・今すぐにどこかに攫って食べてしまいたい!!
レオナの流れるようなラインのウエディングドレス、マァムのマーメイドラインのウエディングドレス、メルルのプリンセスラインのウエディングドレスが、それぞれの美しさを極限にまで引き立てているではないか!!
そんな野郎どもの恐ろしさを知らない乙女達は、デザインこそそれぞれ違うが普段は着る事の無い白を基調としたタキシード姿に見惚れている。
ダイもポップもラーハルトも体格は良く、派手に飾らないシンプルなデザインで男達の肉体的な魅力を最大限に引き出しているではないか!!
お互いに何と言って近寄ろうか分からないのをしびれを切らした魔界の神様が!死神に命じた。
「キルよ、それぞれの花嫁を花婿の腕の中に落とせ。」
・・・・命じたほうも命じたほうだが・・・・御意にと言って速攻実行したキルもキルである!!
一瞬で地面に空間を開けて三人の花嫁を花婿達の腕の中に入れれば・・・・抗議の声どころか内心で物凄く感謝していたりする。
ありがとう疫病神!お前も偶には役に立つと・・・・・キルが知れば流石に怒る事を思われているとも知らない死神は、優しい眼差しで三組の新郎新婦を見守っているのであった・・
そしていよいよ式場に向かう時刻となった。
その合図として護衛として来た竜部隊が花びらを降らして祝福の声を上げ、式の時間を継げたのを合図にダイ達新郎は名残惜しげにしながら花嫁達を一旦放し、先に聖堂の間に向かった。父達に連れられた花嫁達を再び待つために。
浜辺から聖堂の間までがばヴァージンロードと定められたから。
それぞれの父達は、今しがた見た娘達の姿に胸が熱くなりながら娘達の手を取りエスコートする。
三人の父は・・・言っては何だが揃って体が弱いのでゆっくりと進むのを、誰も馬鹿にはせずに見守りながらダイ達の後を追って聖堂の間に入っていった。
まだかまだかとダイがそわつくのを、横にいるポップが肘でつついて宥めているのを参列者一同は微笑ましげに見つめる。
ダイは今この世界で圧倒的な強さを有しており、勝てるのは魔界の神しかいないが誰も畏怖の目を向けていない。
それはきっとこうした少年らしさを喪わず、いつでも明るく笑って周りを和やかにしてくれるダイの人柄によるところであるのかもしれない。
それはポップにもラーハルトにも当て嵌まり、少なくとも彼らを直接知る者達は彼等を温かく見守っている。
そしてとうとう花嫁達が聖堂の間の扉をくぐり、そして父達は娘を花婿達の手に委ねた。
それぞれが打ち合わせた様に無言で頭を下げるのを、ダイ達も同じように頭を下げて応える。
大切に育てられた愛娘たちを幸せにしてほしいと、必ず幸せにすると声なき誓いを交わし合って。
「ここに集いし新郎・新婦達よ、汝らはこの結婚を是とするか。」
神父の言葉にダイ達は力強くうなずき、結婚の誓いに移る。
「竜の騎士バラン、故アルキード国王女ソアラが息子ディーノよ、汝はここにいるパプニカ王国王女レオナを終生愛することを誓うか?
パプニカ王国レオール王、今は亡き-アイリ-の娘レオナよ、汝はここにいる竜の騎士バラン故アルキード国王女ソアラが息子ディーノを終生愛することを誓うか?」
「誓います!!」
まずはダイ達から始まった。
ダイの母ソアラの立場は各国の協議の結果公式の場で認められることとなった。そしてダイの名前も正式にディーノとし、私的な場や目上の者達がダイと呼ぶことになったのだ。
その最初の公式の場を、ダイは堂々と母の名と自分の名前を受け止めレオナを愛し抜くと誓いあげるのレオナは涙を流し、神父の誓い言葉を涙声で応え、そしてポップ達の番に回る。
「武器屋ジャンクとスティーヌの息子ポップよ、汝はここにいるテラン国王女メルルを終生愛し抜く事を誓うか?
テラン国フォルケン王の娘にして占い師ナバラの孫娘メルルよ、汝は武器屋ジャンクとスティーヌの息子ポップを終生愛し抜く事を誓うか?」
「はい!誓います!!」
ポップの力強い言葉に、メルルもまた胸を熱くして震える声で新婦の言葉に応えそしてラーハルト達の番。
「魔族-ソル-、人の子-ローズ-の息子にして、竜の騎士バランの息子ラーハルトよ。」
神父の読み上げたラーハルトの身分に聖堂の間はどよめきが奔った。
改めて魔族の息子と言われたことにではなく!バランの息子とも言われたことに対して。
そしてラーハルトを見れば・・・ラーハルトもまた驚愕の面持ちで主君バランを信じられない目を向けていたのを、バランは力強い頷きを以て応えた。
ラーハルトが人から迫害されていた少年期にラーハルトを広い手元で育てたバランとしては、今日この門出にラーハルトを祝福するべく、予めダイとそしてティファの了承の下ラーハルトを自分の息子として世に送り出すことが出来たのを、バランは二人の最愛の子等に感謝をした。
その半生を迫害と理不尽と暴力に彩られてしまった子のこれから行く道が安らかで幸せなる道になるのを祈るように、それはバランを両脇から守るように立っているガルダンディとボラホーンもまた優しくも力強い笑みを向けられて・・・・その想いはラーハルトに確かに届いた。
ラーハルトは様々な思いが胸に渦巻き、涙を止めることが出来なかった。
死にゆく母の手を最後まで握りしめ、人から迫害をされバランに拾われたとてすぐに心休まる筈も無く憎しみが渦巻いた果てに自分は・・・
「汝はここにいる戦士ロカ、僧侶レイラの娘マァムを、終生愛することを誓うか?
戦士ロカ、僧侶レイラの娘マァムよ、汝はここにいる魔族-ソル-、人の子-ローズ-の息子にして、竜の騎士バランの息子ラーハルトを終生愛することを誓うか?」
続く神父の言葉に
「ち・・・かいます・・・」
震える声で応えるラーハルトをマァムはそっと背中を撫でて神父の言葉に応えた。
「誓います。」
その声は決して大きくはなく、しかし慈愛に満ち溢れた声に周囲は沸き立った。
三組の花婿達は奇しくも真に繋がった瞬間であった。
共に同じ時に愛する者達を守る事を誓いあげただけではなく、ダイとティファはもとよりポップもまたその身にバランの血を宿す-竜の三兄妹-に新たな兄を得た瞬間ともいえる。
それは列席しているノヴァも、ティファの竜の血を宿しているの人々には知られてはいないがティファと共に常にある彼もまたー竜の家族ーの一人と看做されら事となり、こののち活躍する彼等の時代をこう呼び称される礎となった
聖なる竜達の時代と
それは聖母竜、マザードラゴンが平和を願いながらも闘う戦士を生み出し、我が子竜の騎士達を死地に追いやった果てに辿り着いた時代であると感じたテランの人々から発せられる事になるその言葉は、やがて野火の如く世界中に広まりを見せるのは少し先の話だが、幸せなる結婚式は新たなる時代の幕開けともなった。
惜しみない万雷の拍手と歓声の中にて
今宵ここまで
ラーハルトの両親とレオナ姫の母の名は創作させていただきました。
次はいよいよ結婚式のラストとなります。