小石の波紋:プロローグ・前編
あ~忙しい忙しい!!お料理出すのに・・・・・忙しくしたかった。
ども・・・本日の二次会のお料理番を頸にされたティファです・・・・
酷いんですよ!魔王軍の例の双子のお料理長たちが!!私の事を厨房からたたき出したんですよ!?
それも一緒にいたミストともどもに!!
「あの男の子達と」
「女の子達の!!!」
「「お祝いをすることを第一として来なさい!!!」
・・・・真っ当な言い分すぎて唖然呆然とした私とミストはすごすごと二次会の会場に向かいましたとも・・・お料理で全員をもてなしたかったのにこんちく・・・
「ほらお嬢ちゃん動かないの。サッシュベルト付けるのもう少しで終わるから。後は髪もサッシュベルトと同じ共揃いの布で作ったリボンで結って、首にチョーカー付けたら終わるからもう少し大人しくしててね。」
「みぃ~・・・いつもすみませんキル・・」
「いいのいいの、難しい箇所は僕がするから、お嬢ちゃんはどんどん可愛いドレス着てね~。」
少しばかり鬱々としているティファを、キルがもう少しで着付けが終わるからと宥めている。
ミストと共に厨房追い出された私達をキルが迎えに来てくれた。もっと言えば私のお洋服チェンジの為に。
結婚式と披露宴の時とは違うのをって・・・花嫁さんのお色直しでもないしそっちに着替えると言ってもキルはいいからいいからと新しいドレスを渡してくる。
ちなみに私の普段着は兎も角、お洒落着やこういった時のドレスは全部キル製作であったりする。
曰く給金貰っていても一度も使った事は本当になく、お金を死蔵するよりも私のドレスを作った方が良いだろうとか・・・わけわかんない理由で作っているらしいのです。それに近頃は-死神案件-ないとかで時間が出来ているので作ってくれているようなので、お礼はキルにも美味しいごはんで返してる。
ここ半年でキルの生命化の速度は速まって、近頃はミスト同様食事をして私と周りを驚かせたのは兎も角、私はお料理をキルはドレスで互いに贈りっこしているのだ。
ドレスの最初はまず自分で頑張って、最後の仕上げのリボンやサッシュベルトやアクセサリーは相変わらずキルに付けてもらって・・・
「・・・・・お姫様みたい・・」
「うん、取っても似合うよお嬢ちゃん♪」
色は水色が基調でプリンセスラインのドレス。体全体と胸元の鎖骨までは同じシルクで作られたストレートビスチェで、そこから上は同じ色のシルク糸で作られた目の細かい刺繡生地レースを首全体と腕は七分まであり、ドレス全体までもがそのレースに覆わている。
そのレースは花があしらってありとても繊細で・・・・虜になってしまったくらいだ。
着た方も着せたほうも双方満足し、キルが-いつものように-ティファを抱き上げ二次会の会場へと足を運ぶ・・・・パレスの暗黙了解なのだろうか、ティファはこのパレスを長い距離を一人で歩いたことは一度として無いのだ。
大広間は混とんの坩堝化していた・・・そうとしか言えんよ、うん。
結婚式は大成功、父さんも爺ちゃんも皆も大満足でもうこれ以上の事は無いだろうというぐらい披露宴でもあれやこれやの騒ぎがあったのに・・・・それ以上の騒ぎだよこれは・・
「ラーハルト羨ましいぞ!!俺もニーナと結婚するときはバラン様の息子って言われてぃよ!!!」
「あそれいいなガルダンディ!!そしたらガルダンディも俺とダイの兄ちゃんになって・・ボラホーンはどうするよ?」
「俺!?俺は独身でいい!!そもそもが俺は年齢だけならばバラン様よりも上だ!!」
「・・・そしたらボラホーンは俺達の・・・・小父さん?」
「・・・ディーノ様まで何を・・」
「お前が冷めてんだよラーハルト!!」
「管をまくなガルダンディ!!・・・バラン様・・・・」
騒いでるの主に私の身内ご一同様だったのにびっくりだよ。
どうやら父さんのあのラーハルトはうちの息子です宣言にガルダンディが触発されて羨ましがって、自分も父さんの息子認定されたいと騒いでるのを、周りは物凄く温かい目で見守ってらっしゃるのを、父さんは少し考えて宣言した。
「そうだな、お前達も私の血をその身に宿しているのだからガルダンディも私の息子として婿に出そう。」
「よっしゃ!!後でニーナに報告しまさ!!」
「良かったなガルダンディ!」
「おうよ!これでお前は俺の弟に何だなポップ!!・・・・ディーノ様はどうします?」
「俺?・・・俺も嬉しいけれど、ガルダンディの事をお兄ちゃん呼びするの何かしっくりこない。」
「馬鹿かガルダンディ!バラン様の温情を何と心得る!!ディーノ様、この馬鹿者は後で竜騎衆の長である俺がきっちりと躾ておきます。」
「・・・・もう少し大人になれガルダンディ・・・・この場にニーナが居たらただではすまんぞ・・」
「う・・・・」
どうしてかポップ兄とガルダンディはウマが合ってよくつるんでる。ポップ兄としても今まで周りにいない不良だけど面倒見が意外と良いガルダンディと相性がいいようだ。
その二人が竜の血の兄弟になれたんだからガルダンディのタガが外れてダイ兄にまで絡んで暴走をラーハルトとボラホーンに怒られて赤くなるのに笑いの渦が巻いて行った。
笑顔、笑顔、笑顔どこを見ても笑顔が見られる。
今ここにはニーナなどの子供や、少し疲れた爺ちゃんを始めとしたレオール王様とフォルケン王様とロカさんとレイラさん達は来ていない。
ロカさん達はデルムリン島に、王様たちはそれぞれ帰国の途についた。
それでもついてくれた随行員の人達が沢山いて、人がいて魔族がいて半魔がいてモンスター達と精霊達が同じところで飲み食いして笑って賑やかに過ごしているのが・・・
「嬉しいかいお嬢ちゃん。」
「・・・キル・・・・はい・・はい!私はとっても嬉しいです!!!」
「そう、良かったねお嬢ちゃん・・・」
キルは腕の中に、いまだに少女のままなティファを見る。
今目の前に広がっている光景を夢見てティファは闘って来たのを自分はよく知っている。
いつかの時、大戦時の最中であるのにティファは自分の大切に思う者達と自分達も入れた全員でお茶会をするのを夢見て・・・・そしてそれは今日この時に報われたのを、キルはわがことのように喜び寿いで、ティファの小さな頭をゆったりと撫でているところをティファの兄達に見つかり取り上げられてしまった・・・・残念、もう少し愛でたかったのだが。
キルの腕から瞬時にダイの腕の中に入れられたティファは、今日の目出度い日にお説教は嫌だなと思っていたところに時の采配かダンスタイムと相成り、ティファは兄達をそれぞれの奥さんにバトンタッチして自分はサッサかと父の下に逃げ込んだ。
「父さん!私とダンスしてくれますか?」
「よかろうティファ。よろしく頼む。」
ダンスをする者達がフロアーの中央に、そのほかの者達は囲んで見ている。
今日の主役のダイ・ポップ・ラーハルトにエスコートされたレオナ・メルル・マァムが恥ずかしそうにしながら中央に導かれていく。
レオナ達のドレスは披露宴の時と違い裾を少し短くしてくるぶしが少し隠れるか隠れないか位の長さで作られており、ダンスし慣れているレオナは兎も角メルルとマァムにはありがたいデザインであった。
曲は誰でも踊れるゆったりとしたワルツであった。
くるくると踊りながら、ダイ達男は妻達を誉めそやす。
「奇麗だよレオナ・・・食べちゃいたい・・」
「ダイ君ったら・・」
「このドレス似合うぜメルル、とってもきれいだ。」
「ポップさん・・・ポップさん達はお衣装変わりませんがとってもかっこいいです。」
「ラーハルト達もお色直しすればよかったのに・・」
「お前達と違って男は聞かざるだけ無駄だ。それよりもきれいだマァム。」
「もう!・・・ラーハルトったら・・・」
甘々な空気を醸し出しながら踊るダイ達の側を、ティファとバランは微笑ましげにしながら踊っている。
バランにとってはワルツは妻ソアラと一度踊ったのみで・・・・あの時も自分は息子の様にソアラをこの世界で一番美しいと思ったのだと思い出し、今は愛息子の結婚を祝う場にて愛娘と踊っている幸せを噛みしめながら踊っている。
いつまでもこの幸せの中で踊っていたいと思う程に
ふぇ~疲れた・・・・父さんとダンスしたのはいいけれど・・・踊るのって戦う時よりも疲れる・・
広間のダンスは優に一時間近く踊り明かされた。ダイ達もそれぞれパートナーチェンジをし、随行員達もスタッフの女性人達に許可を得てお祝いのダンスを共に踊り、ティファは言うまでもなく沢山の者達と踊り明かした。
最初は兄達、ラーハルト、ガルダンディ、ボラホーンの順で踊り、チウやノヴァ、ロン・ベルクも誘ったところ快諾して踊ってくれたのに気を良くしたティファは、周りの雰囲気を楽しんでいるハドラーも誘ったらオッケーが貰ったので踊ったのだ。
ハドラーダンスはどうなのだろうと周りは思った。
確かに彼は超一流の戦士であり魔王であり、今では大魔王バーンの跡継ぎとして押しも押されぬ地位にいるが果たして・・・・・ダンスも超一流であった。
疲れてステップを踏み損ねたティファのフォローをさりげなくするなどの男ぶりを大いに挙げて、華やかな宴席をさらに盛り上げて見せたのだ。
その後ティファはマトリフと踊ったのを最後に、コッソリと会場を抜け出し例の宝物庫はと向かったのを-二人-が気付いてこっそりと後をつけているのを知らずに。
「ねぇポップ、普通にティファさんにどこに行くのか聞けばいいんじゃないのかな?」
「チウは正直だな~。いいかチウ、このタイミングでティファが何か取りに行くってったら俺達の結婚祝いかもしれないじゃねぇかよ。ダイ達よりも一足先にこっそりと拝ませてもらおうぜ。」
「・・・・悪趣味だよポップ・・・」
「だからお前はくんなって言ったろう。」
会場をこっそりと出たティファをポップが見つけて後を追い、それを見ていたチウがさらについてきたのだが・・・・ポップのいつまでもいたずら小僧のような側面にチウは少しばかり呆れてしまう。
普段も凄いがお調子者のポップは好きなのだが、お嫁さん貰ったのだから落ち着いた大人になれないものだろうかと。
それをこっそりと言い合いしながら後をつけてくる二人に、当然ティファは気が付いているが見逃している。
ポップの言う通り、今日は兄達の結婚式の日なのだから多少羽目を外して楽しませようと思ったのが、悲劇の始まりであるとも知らずに。
今宵ここまで