勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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小石の投げられた世界:小石を投げられた者達

・・・ここは・・見覚えのあるところだ・・

 

「・・イ・・・ダ・・・」

 

・・・・誰だろう?俺の事を必死に呼んでるのは・・・

 

「ダイ!!あぁ・・・目ぇさめたか・・」

「・・・ポップ?・・・生きてるの?」

「あ?あぁぁぁ・・・まぁ・・・えっと・・-ポップさん-!ダイが・・」

「あん!!?あぁ目が覚めたか・・・・他の奴いるってのにあのバカ妹どこ行きやがった!!」

「落ち着いてよポップ!皆さん驚いてるよ!!ティファさんだったら大丈夫だよ。僕達と同じように透けて消えたのちゃんと僕見てたから。」

「だったらなんで同じ所に・・・まさかあいつ迷子か!!??」

「えぇ・・・それないと思うよ?もしかしたら一番に目が覚めて-サババ砦-だから何か食べ物探しにとか・・」

 

・・・・どうやらさっきの事は夢じゃないんだと、目が覚めたばかりのダイはそっと溜息をつき・・・横を見れば、浅いが息をしている親父がいる。

 

自分を、ハドラーとの決戦時にバーンの策謀で作動された黒の核晶から自分を守るために命を懸けてくれた親父・・・テランで殺し合いをしたのに・・・血がつながっているから?どうして俺を守ってくれたのだと、虫の息の親父に聞けば、あの時はどんな事をしても、それこそ手足をもいででも自分の手元にいて欲し程に愛しているのだと・・・一年しか一緒にいられなくっても、それでも俺の事を必死に探していたのだと・・・・自分が死にかけているのに、俺に怪我が無いと知った時の親父の笑顔は・・・・そんな親父が死んだ時、握りしめていた親父の手から何かが俺に移って来たけれどもそれすらどうでもよくなった・・・俺は・・どうして戦っていたんだろう・・

 

空虚になってしまった幼い勇者の前に奇跡が起きた。

その-奇跡をもたらせた者達-には不本意であろうとも・・・この世界の消え果る運命にあった希望は息を吹き返した。

それが虫の息ほどであろうとも

 

大魔王からは逃げられないという不問律を知っているヒュンケルとクロコダインからすれば、-全員-が無傷で逃げられたのは奇跡としか言いようがなく、一体何が起きたのだと目が覚め現状を認識した二人は先に目を覚ましていた大人のポップと異界のチウに何事が起きたのかを説明してもらおうとすれば・・・ポップは殺気立っておりチウが宥めていたので声がかけられず、そうこうするうちにマァム、ポップ、ダイの順で目が覚めたのだが・・一人いない・・・・ティファと言う少女が・・・まさか!!

 

カァァァァ!!

 

「ふぇ!!・・・・・アッと・・・エへへへ・・・・」

 

もしや陣が何かの失敗でティファだけが取り残されてしまったのかとヒュンケル達が危惧したその時、先程バーンの玉座の間で見た緑の陣が浮かび上がり、ティファが出てきた!!

 

 

「ティファお前!!!お前・・・・か・・・野郎・・・」

 

またティファだけを取り残してきてしまったのかと、ポップとチウの心は寒気が奔り、時間にして五分と経っていないだろうが!永遠に感じた!!どうしてこの妹は心配ばかりかけてくるのだ!!

 

「俺の腕から出るの禁止だバカ妹!!!」

「・・・・ポップ兄・・ダイ兄化しないで・・・・ティファだって驚いてんだから。」

 

ティファ曰く、前のラック=バイ=ラックは陣の出口を作って術者が入り口から押し出すのを改良したのだとか、、詳しい話は時間ないからまた後日と言われたが、ポップとチアは確信をした。

絶対にあの魔界の神様絡んでるからここでは言えないのだと自分達は納得をするが、他はそうもいかない・・当たり前である。

 

出てきたティファをポップがすぐさま飛び掛かって腕の中に収めたのを、チウもティファに抱き着き、ポップの物騒発言にティファは苦笑するだけで・・・・あのティファと言う少女はトラブルメーカーか何かのだろうかと、今までの言動を見てきたヒュンケルとクロコダイン、そして懐深く優しいマァムも、この子大丈夫だろうかと心配している中、ポップとダイだけが周りの出来事に全く見向きもせずにお互いを見つめ合っている。

 

まるで、お互いの胸の内が今ならば覗けるのでは無いかと言わんばかりに・・

 

「こほん。」

 

様々な意味の沈黙は・・・矢張り破ったのはティファであった。

 

「取り合えずダイ君、お父さんを診る事を許可してください・・・本当に話してよポップ兄。」

「・・・・仕方がねぇな・・」

 

とんでもない方法でこの世界に連れてこられたとはいえ、折角ティファの作った薬で一つの生命が助かったのだからこのままむざと死なせるわけにはいかないと、ポップは渋々とティファを腕の中から出す。

 

「うん、さてダイ君、私が診てもいいですか?」

「・・・君料理人ってやつでしょ?医者でもあるの?」

 

自分と同じくらいの年の頃の女の子のが凄い薬を作れいましたと言われてもピンとこないのはなにもダイだけではなく、少年ポップもマァムもヒュンケルもクロコダインも同じだが・・・

 

「親父を頼む・・・」

 

他に術がないのでダメもとで診てもらう。

どうせ、一度は死んでしまったのだ親父は・・・また死んでしまったら、その時は自分も逝けばいいやくらいの投げやりであったのを見透かされたのか・・・頭の上に手が置かれた。

 

「大丈夫ですよ。先程あの・・・-大魔王もどき-達に宣言した通り、私は私の役割を果たすために薬学と医学も勉強したのです!!」

 

・・・優しい声でドヤ顔しながら何かすんごい事言ったんだけどこの子!!大魔王もどきって・・・・バーンだよね・・・

 

「おやポップさんマァムさん、顎が外れそうなほど驚かないでください。特にマァムさんは女の子なのですから些かはしたないでしょう。美人さんが台無しになるので口を閉じて、チウ君、ここの構造はきっと同じだから、-誰もいない-だろうけれども台所に行って茶器と茶葉とお水をマァムさんとヒュンケルさんとクロコダインさんと一緒に取りに行ってきてほしい。

-この鳥-をつけるから、-見つからなかったら-この鳥に話しかけて。」

 

異常事態、まさにそれに尽きるというのにティファと言う少女はそれすらも意にも介さずスラスラとありえない言葉を連発し、鳥を手品のように出してチアに持たせる様を、歴戦の兵ともいえるヒュンケルとクロコダインも呆然とする中、のんびりとした応えがあった。

 

「分かりました。行きましょう・・・・えっと、改めました僕はここでは無い世界ではない勇者一行で武闘家見習いとしていたチウです。」

「あ・・・私は・・・武闘家のマァム・・師はブロキーナ老師様なのは一緒なのかしら?」

「はい、僕の師もブロキーナ老師様です。よろしくお願いしますマァムさん。」

「俺は・・・この一行で戦士をしているヒュンケルだ。」

「同じくクロコダイン・・・して、あの少女の言う通りにその・・」

「はい!お茶を淹れる支度をしましょう。ティファさんならあっという間においしいお茶を淹れる方法がある筈です・・・・ティファさん、ここがサババ砦と同じなら・・僕が淹れてもいいですか?」

「おや・・・頼めるかなチウ君。そこの人達にも手伝ってもらって。きっとここはさっきまでは確かに人がいたはずだから、台所にある甕の中の水も飲めるはずだから。」

「了解しました。マァムさん、クロコダインさん、ヒュンケルさん、よろしくお願いします。」

「うん・・」

「あぁ・・・」

「まぁ・・・」

 

目の前の大ネズミは確かにチウと同じ背格好だろうが・・・何故だろう?

自分達のチウも、仲間を命がけで守る素晴らしい者なのだが・・・・このチウのそこはかとなく感じられる品の良さと礼儀正しさは・・・言っては何だがそんじょそこらの人間よりもよっぽど立派でははないかとは言えない三人は、良い子のチウに逆らえずにダイ達を残して地下にある台所に向かうのを、ティファは笑って見送りすぐさまバランの脈をとり胸に耳を寄せて呼吸音を聞き、両目を開けさせて覗き込みそして診断を下した。

 

「脈も呼吸音も異常なし。現状で確認できるのはこの人はよほどの目に遭わなければ長生きできるね。」

「それって!・・・ダイ・・・よかったな・・・ダ・・イ・・」

「う・・・うん・・・」

 

・・・・不思議だ・・・あのポップはダイの親父さんが生きている事を喜んでいるのに、その事をダイが一緒に嬉しそうにしてねぇ・・・なんだ一体?

 

「さて今度は君達の番です。」

「・・・は?俺は地上でハドラーの親衛騎団と戦ったけれども大して傷を負う前に異変が起きて・・・その大丈夫だよ・・」

「俺達?・・・俺は親父に守られたから普通の傷だよ・・」

「そっちではありません。」

 

大人のポップが目の前のダイと少年ポップの様子のぎこちなさのような不自然さを疑問に思った時、ティファの言葉はそこ(本質)にズバリと切り込んだ。

 

「君達、特にダイ君、君は-人間-が嫌いですか?」

 

その言葉に、両方のポップは絶句した。

大人のポップは、あのダイが、人間だけではなくすべての種族と笑っていくのだと無邪気に笑う弟が・・・他界とはいえ人間を嫌うだなんて思ってもみず、そして少年ポップの絶句の意味は違った。

どうして目の前の少女がその考えに至ったのかに驚愕をしたからこその絶句であり、そんなポップ達の絶句を見向きもせずに、ダイは疲れた声で答えた。

 

「・・・分かんない・・・」

 

それは本当に疲れ果て、どうしていいのか分からないと嘆いた妹のあの時の声と同じようだと感じたポップは、幼いダイの顔を見てみれば・・・・疲れ果て心も無くなってしまったあの時のティファを思い起こさせ胸がずきりと痛んだ・・・勇者を目指して島を出た少年に・・・いったい何があったのかを聞いてやらねばと思いをティファがくみ取ったかのように言葉を紡ぐ。

 

「君は勇者を名乗ってる。君は私と同じデルムリン島で育った?」

「うん・・・島にポップと・・・アバン先生って知ってる?その人元勇者で、昔倒した魔王ハドラーが来るまで俺は島を・・・一度だけほんの少し離れただけで後はずっと物心ついた時から島にいたんだ・・」

「そうですか。アバン先生もハドラーも私達の世界にいます。ほんの少しというのは偽勇者がそこにいるゴメちゃんを攫いましたか?」

「そう!そうなんだよ!!俺・・・その時夢中で島の外にゴメちゃん助けに行って・・それでも・・・その時会ったロモスの王様いい人で好きになったんだ。

先生が死んじゃって、世界が魔王軍に攻められてるの知って俺は先生みたいに勇者目指してここにいるポップとゴメちゃんと一緒に旅に出たんだ・・・」

 

父親を助けてくれた、其の一点のみでダイはティファに心を許し、向こうの世界とここと同じことがあったかを確認しながら、短いながらもこれまでの冒険の話をし始めた。

ロモス王国でネイル村に寄る事になり、そこでアバン先生のかつての仲間で僧侶をしていたレイラと、その娘で先生の弟子のマァムに出会った事、クロコダイン戦ではじいちゃんが人質兼敵として現れて大変だった事を、ティファと大人のポップも共感をしてくれて、逃げかけたところも俺たち一緒かと言った大人のポップの言葉に、ダイと少年ポップは驚いた。

・・・・どう見ても勇気百倍の人にしか見えないという視線に、ポップは頬を掻いて照れてしまう。

 

「俺マァムに横面を張られそうになったのをティファに庇われてさ。それでも動けないのを意気地なしって怒られて・・・ティファに闘う理由が無いと来ちゃダメって・・・俺さ、その時は先生の敵を討つ以外に闘う理由特になくって・・・動けなくなっちまったんだよ。」

 

それを助けてくれたのがまぞっほさんだったというポップの言葉に、少年ポップも俺も助けてもらったんだとポツリと言い、ダイも・・・その言葉につられるように話を続けた。

 

ヒュンケル戦も、レオナが人質に取られたバルジ島での決戦も同じで、ダイは-あそこ-も同じだろうかと・・・縋るように震えながら言葉を押し出した・・・

 

「ベンガーナで、ポップとレオナとデパートってところに行ったんだ・・」

「・・・あそこか、俺達も行ったな。姫さんとはいかないで俺とダイだけだったけれども、どたまかなずちには驚いた。」

「そう・・・・行ったんだ・・・・そこでさ・・・竜達が襲ってこなかった?」

「来た・・・・キルバーンと初めて会うきっかけに・・・・確かキルバーンがダイの正体を見極める為に竜をけしかける作戦を-ピロロ-ってやつが立案したらしいんだけど・・あの一つ目使い魔以外にピロロって・・・あぁ・・そこはどうでもいいか。

とにかく竜達が来て、俺はヒュドラをベタンで押しつぶしてメラゾーマを口の中に突っ込んでやって骨まで灰に・・・どした?」

「あ・・・うん・・・あんた強いんだな・・」

「・・・・その時さ・・・・人に・・・何かされなかった?」

「は?・・・・・まさか・・・お前・・・お前達・・・」

 

ダイのそれまでは少し柔らかかった表情が、ベンガーナを強襲してきたドラゴン退治の話になった途端に泣きそうな顔になったのを、大人のポップにとっても覚えがあった!

 

「・・・・誰かに・・・何かを言われたのか?」

 

あの時自分達の時には、後から知ったがティファの式神・フラメルが必死の様子でダイが三つ首のドラゴンを倒す前に人々を屋内に行かせていた。

そのおかげでダイの尋常でない強さを誰にも見られずに済んだとほっとしたのを思い出したポップがそっとダイに聞けば

 

「俺さ・・・女の事そのお母さんが逃げ遅れたのを助けようとしたんだ・・・必死で、女の子たちが死んじゃうって怖くて・・・助けたくって!気が付いたら紋章を発動させててポップが連れてきたドラゴンに摑まったけど引きちぎって・・まとめてイオラで倒して女の子のお母さんの上にあった瓦礫を壊してあげて・・・・最後の一頭を落ちてたドラゴンキラーを体の真ん中に刺してライデインでとどめを刺したんだ・・・・そしたらね・・見ていた女の子と他の人たちは何て言ったと思う?」

「それは・・・・」

「俺は怖いって・・・化け物だって!!どこかに行けって・・・助けた女の子に小石を投げられたんだよ!!」

 

あの時・・・俺は助けたかっただけなのに・・・どうしてと、ダイは涙を流す事無く俯いてしまうのを、少年ポップの心があの時の事を思い出して痛みに叫ぶ。

 

 

あの時・・・自分も大人のポップの様にドラゴン達に向けてベタンを放った・・しかし一時埋めただけで全てダイ任せになってしまい!挙句が紋章が出た時自分は・・・これで無敵のダイのお陰で全て終われると・・・・そのせいで・・・・ダイの強さにおびえた女の子は・・・姫の後ろに隠れてそして尻もちをついてしまい・・・・地面に落ちていたダイが砕いた瓦礫の欠片が手に触れてしまい・・・それを投げて当たってしまったのだ!それも運の悪い事に、ダイの紋章が輝いていた額の真ん中に・・・まるで、ダイの力そのものを否定するように・・・・・その光景を自分も忘れられない・・・ダイのお陰で生き延びた人々もダイを化け物の如く囁き合い・・・そして・・

 

「レオナもね・・怯えていたんだよ・・・・俺の事を・・・怖がっていたんだよ・・」

 

紋章の力を知ってたはずなのに・・・その力でデルムリン島でのバロンとテムジンという男の悪事から守れたのに・・・自分の勇者だと言っていたレオナスラガ怯えたのだ!!自分という化け物を!!!

 

その後はキルバーンが現れて勝手を言って消えた後、ナバラとメルルに導かれてキルバーンと父の罠とも知らずにテランに行きそして・・

 

「後はあんた達も一緒か?」

「そうだね・・・父さんとその配下の竜騎衆達と戦って・・・ここにいるポップ兄がメガンテしたり色々とあって・・・ようやくだったよ。」

「そう・・・・俺もだよ・・ポップがメガンテして・・・俺心がいたくて記憶取り戻して・・その時さ、俺親父に行ったんだ・・・人間は悪い奴らばっかりじゃない・・こいつみたいにいいやつもいるんだって・・・俺・・ポップの事好きで、レオナの事好きだから、あの女の子にされたこともういいかって思ったのに・・・戦っていくうちにさ・・疲れちゃった・・・・もう、人間が好きか守りたいかとか言われてもさ・・・わっかんないんだよ・・・」

 

涙を流さずに、心の傷を吐き出すダイの姿は痛々しく・・・・そんなダイの代わりの様にポップがボロボロと泣き出し、そして・・・泣く少年ポップを、大人のポップがそっと包み込んで抱き上げそして・・・・ダイの後ろに腰を下ろして少年ポップ諸共に腕の中に入れて抱きしめた。

 

「頑張ったなお前達。」

「え・・・」

「頑張ったんだよお前達は・・・お前達の話を聞いてるとさ、確かにレイラさんに少しだけお世話になって、ロモスの王様の手助けを貰って、エイミさんやバダックさんや・・マトリフ師匠に助けてもらったんだろうけどさ・・・ほとんどお前達だけで頑張ってるって俺は思ったんだよ。」

 

自分達の冒険は、ずっとティファが守っていたのだと後年に知った。フラメルがベンガーナにいたのは偶然かもしれないが、その時の状況をティファに逐次報告をして支持を貰っていたのだと、フラメルが教えてくれから。

知名度の低いダイが、力を発揮すれば一般人には間違いなく怖れらる、それを阻止するようにと・・・・それが無ければ・・・きっと自分達のダイの心も・・・・そして自分の中にいる未だに小さな体の勇者と魔法使いは、大人の助けがほぼない中で・・・

 

「俺達以上に、お前達は頑張ってる。頑張ってんだよ。」

 

何度も何度も繰り返される凄い事をしてのけた大人のポップの言葉を掛けられながら優しく頭を撫でられる事で、少年ポップはずっと言えないで中に押し殺していた言葉が浮上するままに、自分と同じく-ポップ-の腕の中居るダイにむしゃぶりついてぶちまけた!

 

「ごめんなダイ・・・俺がもっと強けりゃよ・・・・お前だけを戦わせるような真似するなんて!俺は勇者の魔法使い失格だよ!!!・・・お前あの後もう大丈夫って言ってたの嘘だって・・分かってたのに何にもしてやれなくって・・・ごめんな・・・ごめんなダイ・・・」

「ポップ・・・・」

「お前が戦いたくないってんならもういい・・・俺が代わりに闘う・・・だから・・俺の前からいなくならないでくれ・・きっと魔王軍はお前と親父の事を気っと殺そうとするから・・・おれにまもらせてくれ・・・・絶対絶対まもるから・・・俺・・・大好きだから

島で会ったときから明るくってモンスターにも俺にも優しくて明るい笑顔を向けてくれるお前の事が大好きだから!勇者だからじゃない・・・・こんな情けない俺とずっと親友だって言って笑ってくれたダイだから・・・だから俺はあの時・・メガンテしたんだ。」

「ポップ・・・・俺・・・・・俺!!俺どうしたらいいの!!??嫌いっていう人たちの為に闘わないといけないの?魔王軍が悪いから勇者として戦って・・・・地上守って・・その後俺も・・・・・怖いから今度は・・・・」

「馬鹿野郎!!そんな事させるもんか・・・・させない・・・・分かんないんだったら闘うなよ・・・俺達が・・・頑張るから・・」

「ポップ・・・ポップ・・・」

 

腕の中で抱きしめている少年たちの悲痛な思いを、ポップは黙って受け止める。

たった十二歳の少年に全てを背負わせるようなこの世界を燃やしてやりたいという想いを押し殺しながら、ボロボロと泣くのをティファは黙って見守る。

この居間と台所の間の通路で泣いているマァム達の気配を感じながら・・・

 

「ダイ・・ポップ・・そんな・・・こと・・・私・・・知らなくって」

「マァム・・・・それは俺達も同じだ・・・」

「俺達は本当に何と不甲斐ない・・・・・」

 

仲間の苦悩を知らずに戦っていた・・・これで仲間と言えるのか!!??勇者一行だなんて口が裂けても言えないではないか!!!!

 

お茶を淹れる口実で、自分達を遠ざけた事を知っていたチウはなるべくゆっくりとお茶を探してあててそして湯を沸かして淹れたのだが‥‥役に立ちそうだとマァムにそっとカップを持たす。

 

「マァムさん、泣いていてもいいので飲んでください。」

「チウ・・・私・・」

「ヒュンケルさんとクロコダインさんもです・・・・僕達もかつて仲間の一人が疲れ果て心を壊してしまった事がありました・・・ダイ君ではありませんが。」

「・・・・その時はどうなったの?」

「休んでもらいました。きっとダイ君も休む時間なのかもしれません。幸いポップはそこそこ強いです。それにこの世界にも貴方達の味方がいるんですよね?」

 

話を半分以上聞いていたチウは、この世界にもマトリフ大魔導士がいる事を知ってほっとした。

相談できる人がいるならば・・

様々な事を、大戦とその後で経験をして学んだチウに頼もしさを覚えたマァムは、チウのお茶にそっと口をつける。

 

それは苦みの中にも甘さがあって・・・

 

「美味しい・・・」

 

ほっと一息をつけた気がした・・・・いつ以来だろうか?

お茶が美味しいと感じたのは・・・・ここ最近は、何を食べても飲んでも美味しいと思えた事はあっただろうかと、マァムのみならずヒュンケルとクロコダインが思う中、ティファの思考も纏まった。

 

・・・・・-保護者-がいなさすぎる!!!こんな子供達をほったらかしに近い状態ってどうなのよ!!!

確かにこの世界にはそんな余裕はないだろうと自分は知っているが・・・それならばここは一肌脱ごう!!

手を出したら対価の話になってややこしくなるけれども!口、それも言葉ならギリいけるはず!!そもそもこの世界は私に大いに借りがあるのだ!

ここは自分の知識総動員をして-保護者達ー全員集合だ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し上げますフローラ様!!」

「・・・・何事ですか?死の大地から飛び立った敵の要塞が攻めてきたのですか?」

「いえそれが・・・それが・・・・」

 

報告に来ながらも、口ごもる騎士にフローラ女王は溜息をつきながら騎士を落ち着かせる。

三か月前に大戦がはじまり、半月は魔王軍を退けられていたが、竜の軍団によって首都は壊滅をし、ホルキンス騎士団長も軍団の長と思しき男に倒されたが、-アバンの言葉-を胸に、今日まで地下に潜って気を伺い、敵との決戦の情報を得てレオナ姫達のいたサババ砦に姿を現して自分達の砦に導いたのだが・・・勇者達の動向がつかめない中、一体騎士は何に狼狽えているのかと再度問えば・・・・騎士が意を決して放った言葉に、その場にいた者達全員が・・否!自分こそが一番信じられずそして・・・・気が付けば走っていた!

あの報告が嘘か本当か・・・敵の罠と見定める・・・そんな言い訳を胸に走って砦の入り口のある今にいたのは・・・・

 

「お久しぶりです、フローラ様・・・・」

 

見知らぬ夫婦と見覚えのある女性が一人・・・・少年と少女達が中に導き・・・・その中には魔族と何故かマトリフ様が・・何かを言いながら共にいて、そして・・・・其の一行の先頭にいる男は・・

 

「・・・あ・・あぁ・・・・」

「フローラ様!!!!」

 

その男の名を言えずに、フローラは気絶をした。

バラン率いる超竜軍団に国を滅ぼされてから向こう、ずっと張っていた気がぷつりと切れてしまったから・・・

 

その様子を見たティファは・・・・少しやりすぎたかなと後悔をした

せめてお知らせしてからくればよかったのだろうか・・いや、それはかえって怪しすぎるからやめにしたんだ・・

 

・・・・カール王国と自分は相性悪いのかと頭を掻いた




今宵ここまで・・・・

やっと物語の核心を書けました!

ここからは・・・・サクサク前に進むかな・・
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