怖ろしい・・・数千年間様々な悪を見続けてきた・・・悪ではなくとも身勝手で不平不満を口にする弱者を、強者を怖れて排斥する者達を、弱き者を顧みずに悪意無く踏みにじる者達も数多見てきたつもりであったが・・・・真に怖ろしき者とは-あのような者-を指し示すのだと思い知るとは・・・
「そうですか・・・私が貴女に譲りし情報でその様な事を・・・ずいぶんな事をしてくれましたね他界の私よ・・・」
「申し訳ないと思います・・・・罰なれば・・」
「結構です。そも最早思念体になっている貴女に下せる罰などないのはよくご存知の筈。
しらじらしい事この上ない。」
「・・・・・」
ティファ達を己が世界に攫いしマザードラゴンは、ティファ達を攫った代償として肉体は消滅し、残る思念体も十年保つかどうかである。
しかし、その短い間にもできる事をしようとすぐに他界のマザードラゴンは動いた。
思念体であれば肉体もちの時よりも時空狭間を渡りやすい・・・肉体と違って電波のやり取りとティファが表現しそうな方法で、さっそく同調できるマザードラゴンに連絡を取れば・・物凄い塩対応から始まった!
「おや、恩知らずのマザードラゴンが私に何か御用ですか?」
・・・辛い!何を言われても自分の仕出かしたことを考えれば致し方が無く、罵倒される覚悟はあれども・・・・自分と同じ者から礼儀正しく冷たくされるのから始まるのは実に辛い事なれど、ひたすらに平身低頭で詫びを言いながら合間合間に向こうに降り立ったティファ達の言動とバーン達のやり取りを伝えれば・・・これ以上の冷たさは無いと初手からの猛吹雪塩対応に心折れかけていた他界のマザードラゴンは、己の見識の低さを既に存在しない骨の髄まで思い知る事になった!
「・・・そうですか・・・そのような醜悪なる者達がいる世界に、私達の可愛い可愛い-孫娘-と竜後に連なった孫息子と・・・肉体があればモフモフしたいあの可愛い子を連れ去ったと・・・本当に万死に値しますね貴女達は・・・」
!!???若干・・・最後の言葉はおかしくないかと思考をした他界のマザードラゴンの考えを読んだかのように、ティファ世界のマザードラゴンは優しく他界のマザードラゴンに問いかけた。
「どうかしましたか?あぁ、今言ったのはティファとポップとチウの事ですが、私の言った言葉に何か可笑しな点でも?」
「!!いえ!何もありません・・・・私からの情報を、貴女が直接大魔王達に伝えるのですか?」
何やら自分の考えた事でティファ世界のマザードラゴンの気配に不穏を感じた他界のマザードラゴンはどうにかこうにか話題変換を試みて辛くも成功した!
「いえいえ、私の思念は直接はあの方達に伝えることは最早できません。」
「そうなのですね・・・では如何様に?」
「それは・・・あらあら・・・あの-黒き竜-も、思念体になれたのですね。」
「?・・・・・なっ!!!・・・そんな・・・・この気配は!!何故・・・何故!!」
「あら、ご存知ありませんでしたか?あの黒き竜もまたティファとそしてダイをとても愛しているのですよ。
思念体のみが入れる空間にようこそ。」
・・・・一体どういう事か・・・何故世界にとって・・・少なくとも自分達にとって唯一天敵とも言える相手に、ティファ世界のマザードラゴンは穏やかに話しているのか他界のマザードラゴンには理解不能であった!
「・・・・こいつか・・・-俺様のちび助-を攫った愚者は・・」
「いけませんよ・・・いえ、出来ませんよその者に罰を与える事は。最早思念体になったものにはどのような干渉も不可なのですから。」
「ふん・・・愚かなる罪をあげつらい罪悪感を持たせ、己が負の思考のそこにて腐らせる事は可能だろう?」
「・・・・それを貴方がしたと知れば、きっとティファとダイは悲しみますよ?」
それは貴方の本意ではないでしょうヴェルザーと・・・ティファ世界のマザードラゴンは優しく教え諭す様を、他界のマザードラゴンは顎が落ちるかと思えるほどにぽかんとしてしまった・・・・落ちる顎がもう無いだろうとは突っ込んではいけない・・
何がどうなって、天界はおろか魔界にても忌み嫌われるヴェルザーと、天界と地上界から愛されているマザードラゴンが普通に会話をしているかと言えば決まっている。
「まったく私とした事が・・・近頃では地上界と魔界の若輩者たちが可愛い孫娘にたかろうとしているのを三神様達に知らせて、あの子が知る前に-虫除け-をしていたというのに・・・」
「俺様もちび助に群がる虫どもを徹底的に払っていたが・・・・一番の害虫の狼藉を許していれば世話ないではないか・・・俺様の小僧の側ではなくちび助の方にいたとは・・」
「言っても最早詮無き事・・・・三神様達と大魔王達と地上界の王達と孫娘の家族と仲間がどのように対処するのかを見守りましょうヴェルザー。」
・・・・ティファ繋がりであり、もはや空気扱いをされながら聞こえて来るティファ世界のマザードラゴンとヴェルザーの会話はおかしいだろうと突っ込み満載である!
先ず最初の話始めは何だ!?会話を聞いていれば内容は分かったが・・・理解不能である!
認識が正しければこの二人は、ティファと言う娘が年頃になったから求愛であっているのかはわからないがその類の想いを持つ若者たちの邪魔という低レベルな事を!尊き力を行使してしているというところから理解できない!!
確かにマザードラゴンの地に連なるティファはマザードラゴンの大切な子であり・・・ヴェルザーも魔界の竜種で一番の地位にいるのでギリ同族枠で通るだろうが・・・神にも等しき身で低俗な事をさも重要な事の様をしているかのごとく話しているのは絶対おかしいだろう!
世界を救う、弱者に寄り添う、人々の願いを一身に受けた果てに起こされる奇跡の行使でもなく・・・十五歳の娘の恋愛事情に首を突っ込み本人にそれと知られる事なく潰えさせるってそれってどうなのだ・・・
なにかやばい事を見聞きしてしまったと、他界のマザードラゴンは気を取り直して恐る恐ると二人に、兎に角自分の罪を徹底的に詫びながら、三神様達にも知らせて欲しいという前に・・・本人達の思念が飛んで来た・・
「・・・君が他界のマザーか・・・・挨拶はしないよ、可愛いティファ達を攫った輩に名乗ってやる謂れは無いもんでね。」
「左様だな、疾く現状と其の方の世界の事情を全て洗いざらい吐いてとっとと去ね。」
「・・・・我等のマザードラゴンから聞くとして、この者は不要ではないか?」
その声は威厳に満ち、そして冷厳さを感じる声に他界のマザードラゴンは怖れ戦く。
最早滅びる肉体とて最早無いのに何を怯えると言われてしまえばそこまでだが、しかしこれに怯えるなと言われても無理だ!
其の怖れは己では逆立ちしてもどうにもならない上位者の存在に、魂が怯えているからだ。
普段は神々を敬愛し、そして神々からも信頼と友愛で接せられた者であればある程に、神の怒りのすさまじさを思い知る。
他界のマザードラゴンは、ティファの世界のマザードラゴンとヴェルザーの時以上に震えながら先程にした報告の繰り返しをすれば
「そう・・・・僕等の大魔王達は物凄く真っ当で、如何に尊敬できるのかが分かるね~・・・・消そうか?」
「これ人の・・・気持ちは分かるが他界への干渉は代償が高すぎる。」
「竜の言う通り、ここで我等の残りの寿命と魂を使えば可能であろうが、それをすれば子等が傷つこう。」
「・・・竜のと天のは冷静すぎない?」
人の神の言葉に、竜と天の神が止めてくれるのを他界のマザードラゴンはほっとした。
身から出た錆とは言え、人の神が消そうかと言った時-何をどこまで-消すのか分からずに、他界のマザードラゴンの魂は心底震えが奔ったが、残りの二柱が止めてくれて・・・
「儂等は-これから行く者ども-に祝福を目一杯与えて消させよう。」
・・・・はい?行くってどこに!?どうやって!!
「竜の言う通り。人選は今喧々諤々だがそろいつつある・・・・そうだな・・・とりあえずティファに-可笑しな興味-を持った者の子孫は繫栄できないような呪法を当人にそれと知られないように植え付けられる加護も与えるか・・」
「いいね!キルバーンの本体のピロロって言う奴には、永遠に死ねない肉体になれる祝福を持たせて、向こうにつき次第発動できるようにしようか。」
「左様左様、ティファとチウに可笑しな口をきいたのだ・・・相応の報いが相応しかろう。」
・・・・神の祝福と加護を!どう考えても個人的な私怨に使っていいのかと思った他界のマザードラゴンは悪くないだろうが、お前が言えた義理かと言われればそれまでなので他界のマザードラゴンは黙って口を噤む。
そうこうするうちに、三神達が言っていた喧々諤々の人選選びが難航しているのを思念体特有の遠見で覗いていたヴェルザーがしびれを切らし、一言三神達がビシッと言ってやれと、特殊な水鏡をこの場所とパレスの大広間両方に出現をさせた。
声だけであっても地上界の者達に届けるのには六大精霊王達をもってしても一年かかったたのを、ヴェルザーはあっさりと実現できる方法を実現させ・・・さしもの怒れる三神達も驚くのを、ヴェルザーは馬鹿らしいと鼻で笑った。
「空間使いの俺様に、こんな事は造作も無いだろうが愚か者達が。」
だからこそ、ダイ達の結婚式に遅刻をした精霊王達に文句を言ったのだ。
自分が一秒でできる事に何を手間取っていたのだ馬鹿達がと。
「・・・・その方法教えて欲しかった・・・」
「は!!???何か勘違いをしていないかお前達?そも俺様はちび助と小僧以外がどうなろうとも知った事ではないわ!!
疾くちび助を返さないのであれば!!向こうの世界なぞ滅ぼしたいわ!!」
「うん・・・・気持ちわかるけれども君だってもう無理が出来る体じゃないんだから無理しないでね?」
「其の方が百年より早く亡くなればティファが悲しむ・・」
「ダイもだな。自重してくれヴェルザー。」
「・・・・ち!・・・分かっている・・」
ここでも矢張りティファで・・・気を取り直して喧々諤々していると言われているこの世界のバーンパレスを見てみれば・・
「余が自ら行って取り戻そうとして何が悪い!!幼な子とポップとチウは必ず余が連れ帰る!!」
「バーン様の行くところに我等両名も行けばそれでいいだろう!!」
「・・・・・滅ぼしに行くから・・」
・・・大魔王バーンが行くと言い張り、その側近であるミストが支持して・・・普段はどのような時であっても陽気を崩さないと聞かされたキルが・・・物凄く暗い声でぼそりと怖ろしい事を言う中
「可愛い妹攫った奴等を倒しに行くのは勇者でお兄ちゃんの俺の役目だよ!!!」
「ディーノ様の言う通りだ!ティファ様とポップとチウを攫った落とし前は・・・・天界の奴輩どもも同罪で俺の槍の錆に・・」
「ラーハルト・・・無辜の者まで巻き込めばティファとポップとチウが泣く・・・あちらの大魔王達と・・・関わったものだけを俺が斬る・・」
ダイとラーハルトとヒュンケルも負けじと立候補している・・・・実力的には魔界側からは大魔王バーンとミストとキルが最有力候補であり、地上界候補はノヴァがいるだろうと突っ込まれそうだが、ノヴァの性質というか特性でそれは最初から無理であった。
彼は六大精霊王ではないが、氷の精霊王ハイ=キングから精霊の加護を貰っているので他界には渡れない。
その法則から行けば、三神達から能力を授かったティファこそ他界渡は無理だろうと知るものが聞けば突っ込まれそうだが、あちらから引っ張られたティファと、こちらから送り出すノヴァとでは方法もそれによる法則も違うというややこしい理由で無理な物は無理なので、予め候補から外すと説明を、地上界に声を届ける天界の使者から受けたノヴァは殺気の塊化して今マトリフに宥めてもらっている最中だがそれは兎も角
「大魔王バーン達よ・・・」
竜の神が、その喧騒の合間を縫ってヴェルザーのお陰で声を届けられると説明すれば、そんな事はどうでもいいから追加情報ないのかというけんもほろろな対応に、竜の神は全く気にせずその通りだと賛同までする始末で、他界のマザードラゴンから得た情報を伝えれば・・・一同から呻き声とそして殺気が立ち上った!!!
それこそあの可憐な乙女代表のようなメルルからもだ・・
「そう・・・・別世界のキルバーンは・・・ふっふっふ・・・はっはっはっ!!壊してやる!!!バラバラにしてやる!!薄汚れた人形風情が!よくぞチウ君を穢したものだ・・バーン様・・・僕是が非でも向こうの世界に行きますよ・・お礼をたっぷりして上げないといけませんよね!」
「・・・・キル・・・・私も向こうの下郎達を切り刻んでやる・・・・」
「・・・・・向こうの天界を属国にする方法はあるか三神達よ?」
案の定バーンとキルとミストがガチギレを起こし、キルは狂った様に嗤っているが瞳と気配は絶対零度であり、ミストともまた共に成そうと行く気満々で、バーンなぞは向こうの世界の天界を属国宣言までする中、ダイ達も当然切れてはいるが・・・複雑にもなった。
自分達の世界のバーンとキルと、向こうの世界のバーンとキルバーンは何故こうも違うのか・・・確かに自分達も辛い戦いをしていたが・・・・
「俺達の相手がさ、バーン達で良かった・・」
「ダイ・・・そうねそうかもね・・・」
「うむ・・・ディーノの言う通りだな。」
ダイの言葉にマァムと父バランは賛意を示す。
そうでなければ、向こうの世界の様な下種な輩達であれば・・・
ティファは物凄く無理をして下種な魔王軍を壊滅させるためにどんな無理をしたか分からないからだとしみじみと思う・・・・真っ当な敵であったバーン達を相手であれであったのだから・・・
「そういえばバーン、向こうの世界の魔王軍は壊滅させるのは決定としても。」
・・・決定なのかと他界のマザードラゴンはこの世界のダイの言葉に震えたが、何を聞くのだろうかと固唾をのんで見れば・・・
「天界を属国にするのも二度とティファを頼るなんて馬鹿が出ないように喧伝する為だよね。」
「その通りぞダイよ、天界の情報が正しければ、この世界の外にも世界があり、隣接しているのはほかにもあるとか。
今回の件で味をしめる馬鹿者達が出るのを未然に防ぐ為よ。」
「うん、それもいいんだけどさ・・・」
「む?」
「ティファのドレス姿とっても可愛かったよね。」
「ふむ・・・・・花嫁達の他には・・今日参列をしたニーナ以外は天地比べる者が早々に無い程ではあったがそれがどうかしたのかダイよ?」
「でしょう!そんな可愛いティファを目にした奴等が!!ティファの事を口説こうとしていたら俺そいつに勝負挑んでいい!!??
ボコボコにしてティファ口説くなんて一千年早いって教えないといけないよね!!!」
・・・・・なんだそれは!!!!・・・あの勇者の頭は・・・
「あ、それは元からガッツリするつもりだから大丈夫だよ勇者君。お嬢ちゃんとチウ君に粉かける輩は・・ね?」
「そう・・・俺も行きたいけど・・・」
・・・・・他界のマザードラゴンはそこで見るのをやめにして、謝罪もそこそこにしてお暇をしても-誰も-見向きはしなかった。
己の世界への帰路につく中、他界のマザードラゴンは怖れ慄く
まさか・・・・あんなに慕われて・・・・否!あそこまで多くの者達の思考を狂わせるほどであったとは想像の埒外すぎるにもほどがある!!
映像では生き延びた魔王ハドラーも、主達の可笑しな言動に胃を痛めている様子であったが!ティファ達の現状を知ってからは自分も行きたいと言う顔をして・・・大勇者アバンと大魔導士マトリフのあの黒い笑みは何を考えていたのだ・・・清らかなる精霊王達の表情も昏い笑みを浮かべて・・・・ポップとチウの事もあるだろうが間違いなく・・・
「ティファという娘の事を・・・・見誤った私の責任ですね・・」
己の世界と天界を滅ぼさんとしている自分の世界の大魔王達がちっぽけに見える程に・・馬鹿馬鹿しい思考を伴いながら慕われている-とんでもない娘-に、マザードラゴンは真に怖ろしき者を知った瞬間であった
今宵ここまで
書けました!物凄いシリアスを装いながらもギャグ回を書けて感無量です!
重く悲しい話が続いて筆者の精神力が削られる中、感想欄でとっても面白く書けそうな感想をいただいたので、許可を得て書かせていただきました。
現状報告とギャグ回が同時に書け、復活したところで明日からまた向こうの世界に返します。
保護者一同の内訳頑張らねば・・・・