勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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小石の投げられた世界:料理人の真価・後編

それは冷たい声音であった。

少年ダイ達は聞いたことが無く、しかしティファとポップが時折聞く為政者が他者を弾劾するときに使う声音であった。

 

ティファはその声を大戦終結前の一大決戦時に、様々な事がカール騎士団との間にありその果てに弑されようとしたその時、黄泉がえりを果たしたアバンが、ティファの数々の問題行動を弾劾しながらもフローラ女王と暴発をした元同僚であるカール騎士団達をも弾劾した時のあの声であり、ポップは王配となるべく修行の途中で各国の王達が自ら裁判の判決を読み上げる時の声音であった。

ポップが聞いたのは国家反逆罪や禁忌とされた奴隷商売をした貴族連中、そして人を廃人にする麻薬を扱った大商人の裁判で、一番に怖ろしいと思ったにはベンガーナ王であった。

情よりも計算高く、激高しやすい王であれども法を誰よりも遵守し自国を堕落させる者を決して許さない決意を以って罰を下すときのあの冷たい声と同じ声音を聞いた時、ポップの背中に汗が流れたが、下を見れば怜悧な声を浴びせられたティファは涼しい表情を変えていなかった。

 

ポップは少年ポップとヒュンケルとクロコダインから、バランがこの世界で犯してしまった罪の全てを聞いている。

超竜軍団の長として、カールとリンガイアを国として滅亡させてしまった事を・・・

それを聞いた時、この世界のバランでは、自分達の世界のバランと違って人間達が到底許さないだろうと絶望感を味わった。

確かにダイの親父さんを助けてやりたいが、犯した罪の規模が違いすぎる!

ティファは一体その罪をどうやって許せと言うのだろうか分からず、黙って見守る事しかできない自分に歯がゆさを感じる中、フローラの視線にティファは揺らぐことなく答えた。

 

「許さずとも放っておいて欲しいのです。彼の者が目を覚まして再び剣を取ろうとも何もせず、なんでしたらまた再び死にかけたとして皆様は手助けしようとしなくていいです。

どこで生きようともそれこそ野垂れ死にしようとも放っておいてくださるだけ、それこそ大魔王達の追撃者たちがこようとも手助けしないでいい程に。」

 

見捨ててもいいので放っておいて欲しい・・・・・それは・・・そんな事で!!!

 

「先程勇者ダイの心が戦いによって疲弊して事をきちんとお伝えしたはずです。

今ここにいる少年ダイは、その身を削ってでも世界を引いては人間を守る事に意義を見出せず、辛うじて父バランの生存と少年ポップと仲間達との絆によって心を壊さずに済んでいると。

ダイの心の為にも、ひいては地上を守る為にも許さずとも今後人と敵対をしないと決めたバランを打ち捨てておく事は出来ませんか?」

「それが許す事と、どどう変わりが無いと言うのですか異界の娘よ?」

 

フローラは確かに先程その報告を受け、そした地上消滅の危機と同等の危機感を感じた。

勇者ダイがそこまでになっていたのを全く知らなかったから、ダイがおらねばと募った危機感を。

しかし今この時こうも思い直した、此方にはアバンがいる。

先の大戦の英雄であり、其の英雄がカールの破邪の洞窟の深深度まで潜ったからには何らかの秘策を手にしているはず。

その力を手にしたアバンと、彼の弟子達もほぼ無傷で集っている。

勇者ダイを説得する事も彼であれば可能だと、危機感を募らせながらもフローラは国を守る為政者としての計算を素早くして算段もつけたのだ。

 

そんな中、ティファの詭弁とも言うべきその言葉は、フローラの逆鱗に触れ、普段温厚篤実なる女王陛下として名を馳せている彼女をして怒りに身を震わせる程であった。

確かにバランはどこで野垂れ死にをしようとも構わない・・・さらに言うのであれば人類にとっての大逆を犯し人の手によって処刑されるべきものではないかとフローラは考えている。

先程ティファが説明した通りの事が本当であっても!彼はアルキードの無辜の民も含めて滅ぼしそれにも飽き足らず魔道に落ちて魔王軍と共にリンガイアと自国カールを滅ぼした最悪の男でしかない。

野垂れ死にしようとも放っておけというが、この分であれば目の前の娘がバランを助ける事が身に見えている・・・・つまりティファが言っている事は赦す事と何ら変わらない詭弁でしかない・・・・・自国の民達を蹂躙した男を・・・・見逃せるほどフローラは目に焼き付いた光景が忘れられなかった。

あまりの敵の強さに怯えて逃げ惑う中ドラゴンに踏みつぶされた少年兵の姿を・・牙で砕かれていく騎士達・・炎と氷で蹂躙され呻き声を挙げながら死んでいった者達は・・自分を逃がすために犠牲になった兵士達は・・・きっとリンガイアにも大勢いて・・・到底許せるはずがなかった・・・

 

激高し怜悧な表情を浮かべるフローラは、今すぐにでもバランをこちらに引き渡すようにティファに要請線とティファを見た時、ティファの表情が凪いでいた・・・・まるで、自分の様に怒りを身に抱えているように。

そして次のティファの言葉を発した声もフローラ同様に冷たかった。

 

「その通りです、私達は異界の者ですよ。」

 

それは空気を凍らせるる程の・・・もっと言えばフローラよりも鬼気迫る声音であった。

そして告げられた。

 

「はっきりと言いましょう。私にはこの世界を助ける義務も無ければ義理も無い。」

 

それは明確なる真実

 

「其のところを、ここにいる皆さんはきちんと理解されておられないのですか?」

 

相手の心と精神を折るようなその声が告げる。

 

「私達は自分達の世界を平穏にし、これからという時にこの世界の神達によって攫われてきたのです。

兄達や周りの人達を助ける為に私が作った薬を勝手に使われた挙句に私達にもこの世界を助けて欲しいからと攫ったのが天界にいるそうです。」

「し・・・しかし!それは私達は・・・」

「えぇ、人の貴方達が神様にお願いした事ではない事くらいは百も承知しているのですよ。」

 

ティファの怒りの言葉に、一人の兵士がそれは神々の罪であり自分達が願った事ではないと弁解しかけたのをティファは視線を一つ投げて黙らせる。

 

「貴方達は何の罪もないかもしれません、しかしだからと言って私と兄と武闘家チウが体を張って貴方達を助けて差し上げる謂れもありませんよね。それに待っていれば私達の世界の神々がきっと迎えに来てくれるので、魔王軍の事も地上界の事も放っておいて待っているだけでも文句はありませんでしょう?」

「その様な事が可能なのですか?」

 

神隠しで連れ行かれた者の帰還など、どこの文献にも記されておらず、消えた者は二度と戻らないと言われる神隠しで、その様な事は可能なのかと疑問が呈された。

この場にいる大半の者達は、ティファ達は飼えることがかなわないからこそ、魔王軍を敵に回してしまったのだからと腹を括ってこの地上を共に守るものだと思っていたが、それは直ぐに否定をされた。

 

 

「私の世界の三神様達は、物凄く私達を大切に思ってくれています。

この世界に移動させられた時、私達の天界の最高神様がその身を削っておってきてくださいました。その際奇跡の薬を少しずつ撒きましたのでそれを今辿ってやがてこの世界にいる事を突き止めてくれるでしょう。」

 

自信たっぷりに言うティファに、それが確実であるのかという反論さえ許さない雰囲気の中、ティファは構わず言葉を続けるる。

 

「その時にはここにいるダイ君達とそのお身内全員を保護しても良いと考えているのです。無論ダイ君のお身内の父バランも含めてです。」

「そ・・・それは!!」

「仕方がないではないですか、ダイ君は今この世界よりも父バランを助けることが第一で、私としても折角強奪された私の薬を使って助けた命をまた死なせるのは嫌ですから。

後は残った貴方方で何とかしてくださいね。」

 

その言葉に場に騎士・兵士達そしてノヴァとバウスンそしてアキームがどよめく。

先程得た情報が全て偽りがないのであれば!自分達は勇者ダイがいない時点で負けは確定している・・・だからと言って、父バランは赦さず、それでもダイに勇者として戦えと言う事は憚られる。

これが自国の・・・この世界の者であればフローラも女王として命じる事がかなうかもしれないがティファ達はこの世界の理を遵守謂れがどこにもない。

その言葉の重みに、ポップの両親とマァムの母レイラ、そしてマトリフとロン・ベルク以外の全員が潰されかける。

自分達も助けてくれると言ったティファの言葉があったからでは決してない。

ジャンクとスティーヌは、子供を戦う道具にしていいのかという一般的な感覚から、レイラはかつて戦ったものとして、闘う事の過酷さを知るがゆえに少年達にそんな過酷な事を背負わせてしまった罪悪感から、マトリフとロン・ベルクはここまで若者達を使い潰さなければならないければならない世界にそこまで未練はないと黙っている。

その沈黙を破ったのも、またティファであった。

 

「私達が・・・・少なくとも私が少年ダイ達を助けてここまで来たのは偏に-彼等-を守りたいと思ったが故なのです。」

 

フローラ達に向けていた視線とは一変し、ティファは少年ダイ達を優しく慈愛に満ちた眼差しを向ける。

 

「空から降って来た不審な私達を、事情を知れば申し訳ないと言ったマァムさん、自分達の力が足りないからこのような事態を招いて申し訳ないと言ってくれたヒュンケルさんとクロコダインさん。」

 

一人一人の名を呼びながらまるで宝物を自慢するように話すティファは最後に少年ポップとダイに目を向け笑みを深める。

 

「この大戦時に人間に迫害の様な事を受けながらも、人間を完全に嫌えずに好きだからと心が壊れる寸前まで戦い抜いたダイ君を、そして戦えなくなってしまった勇者を見捨てるものかと怒りを燃やし、その心の傷を知りながらもどうにもできなくて済まないとこれからは自分達が戦うからもういいのだと泣きながら勇者を抱きしめたポップさん達を、私は守りたいと思ったがゆえにここにいるのです。」

 

それはかつてか弱く幼かった平和の芽達を守る為に、敵であれば吠え挙げその身の全てを賭し、味方になる王達を相手に一歩も引かずにヒュンケルとクロコダインの助命嘆願を願い抜いた料理人ティファがいた。

 

自分はこの世界の為という大義の為にいるのではない、ただ、純粋なる心を以って世界を守る為に闘い抜いたこの世界の勇者一行の為だけにこの場にいるのだと告げられた言葉はあまりにも重かった。

 

冷静に考えればティファの言う通り、攫われたも同然である彼女にはこの世界を救う義務も増して義理すらも無い、勇者達とアバン、そしてこの世界の者達を無傷で保護をし敵に気づかれずにこの砦まで連れ来てもらっただけでも大変な事であろう・・・そのティファから提案されるように言葉が紡がれる。

 

「確かにこの世界のバランもまた罪を犯しました・・・しかし彼は一度死んだのです。

黒の核晶という怖ろしい超兵器は、拳大の大きさでも大陸を一つ吹き飛ばせる威力のある代物。

その威力からここにいるダイ君を守る為に、生命エネルギー全てを振り絞って・・・・この中でどなたか一度死んで蘇った方はおられますか?」

 

ティファの言葉に、手を挙げたのはたった一人、それは

 

「私がそうかもしれません。」

「そうでしたねアバンさん。」

「はい、私はフローラ様から頂いたカールのお守りという身代わりアイテムのお陰で死の淵から辛うじて変えることが出来ました。」

 

誰であろうアバンであった。

 

アバンはティファがどうやってバランを救うべく言葉を尽くすかと見ていたが・・・先程自分が書かせた煽り文句の手紙を嫌がっていたとは思えない程の様変わりに舌を巻いた。

怜悧な声で真実を突きつけ激高した者達に冷や水を被せ、そして甘い飴をすぐさましゃぶらせる手腕に対して。

それは異界の者であっても、無条件ではないがこの世界を助ける為に手を貸すと言う言葉がそれであった。

そして彼女はきっとこう言うだろう。

 

「聞くことを申し訳ありませんが、死ぬ際はお辛かったですかアバンさん。」

「・・・・死ぬときは一瞬だと私はずっと思っていました。」

 

自分の考えていた通りだと思いつつ、アバンはハドラー相手にメガンテをしたあの時の事を克明に語る。

 

「メガンテを唱えた時、きっとダイとポップとブラスさんとゴメちゃんの目には、一瞬の出来事と移ったでしょう。しかし私にとっては違いました。体が引きちぎられながら、血も体液も沸騰し、骨が砕かれる激痛の中死ぬという事は果てしない痛みの果てにあるのだと・・・・死が一瞬のうちに訪れるというあの言葉は偽りであったのだと実感をさせられましたねえ・・」

 

本当に痛みでどうにかなりそうで、それは身代わりアイテムを身に着けていたからかとも思うがそれでも・・・・死は・・・・優しくなかった・・・・決して・・・

 

その言葉を最後に沈黙をしたアバンに、ポップ達もまたあの時の痛みを思い出す。

師と同じくメガンテをしたあの時、一瞬だと思っていた痛みが、狂いそうなほどの永遠に感じたあの苦痛・・・だがそれを今この場で言う訳にはいかない。父ジャンクと母スティーヌにそれを知られてしまえば・・・きっと二度と戦いに行くなと二人は体を張って止める事が目に浮かぶから・・・・死は・・・・・それほどの苦痛の果てにあるものだから。

 

「私も死にはしませんが何度か死にかけました。暗黒闘気で体内の臓器を貫かれ、魂まで使い切って体にひびが入りもしました。どちらも・・・苦痛の果てに死ぬのだと覚悟を決めました。」

「・・・・・それで?」

「死は・・・・・罰の一つになるのですよねカール王国・フローラ女王陛下。」

「その通りです。」

「であれば、彼の者は一度死に罰を受けたのです。彼が犯したアルキード王国を滅ぼしてしまった事と-諸々の罪-をそれを以って清算したとは言わずとも、放っておくことは叶わないでしょうか?」

 

一度は世界を救い、そして滅ぼそうとしてもまた命を懸けて息子を守るためとはいえひいてはこの世界を救う一条の光たるダイを助けたのだからというティファの言葉に、北方の勇者が賛意を示した。

 

「フローラ様・・・僕も、バランという男の罪を許さないまでも・・・二度も命を奪う事はいかがなものかと思います。」

 

それは積極的な擁護ではない、しかし悪は滅ぼすべきだと言っていたノヴァの最大限の譲歩であり、その父バウスンもまたその通りだと頷き賛意を示すのを、元からダイ達よりであったアキームも・・・そして力を蓄えるためとはいえ地下に潜り、最前線を少年少女達だけに闘わせてしまっていたという罪悪感があったカール騎士達からもそこかしこから、矢張り同様の言葉が流れる中、ティファからの-懇願-が上がった。

 

「女王陛下、貴女様の-胸のうち一つ-で、この世界の命運は決したも同然と思います。

故にこそ請います、どうかバランの罪を許さないまでも、打ち捨てて欲しく。」

 

深々と頭を下げるティファにつられるように、ダイそしてポップとマァムとヒュンケルとクロコダインも慌てて立ち上がりともに頭を下げるた。

あまりにも自分達では対応しきれない話の連続に、若き勇者一行達は唖然呆然の連続であった。

しかし、バランを助けて欲しい!異界の、何の縁も所縁もないティファがバランの為に頭を下げるているのに、助けたいと願っている自分達が下げないのはいけない事だとダイ達も真剣に頭を下げるのを、フローラは周囲に気が付かれないようにしながらも憎悪の瞳をティファに向ける。

それは何故か?

 

ティファはバランの罪を、アルキードを滅ぼした事と-諸々の罪-と言った。

そして自分の胸のうち一つと言った・・・自分の深読みでなければ、ティファはバランがこの世界で犯した罪はアルキード滅亡のみならず!リンガイアとカールの事を知りつつかつここにいる者達がその事を知らずに自分だけが知っている事を指し示しているのだろうと推察する・・・・・何と憎らしい事か!

仮に自分がバランの罪を今ここで明かせばリンガイアを滅ぼされたノヴァとバウスンは赦さずに勇者一行と戦い合ってでもバランを殺そうとするだろう事が容易に想像がつく!

それでは先程ティファの言った通り勇者ダイはティファ達と共にこの場を去り二度と戦う事はなく・・・この分では魔法使いポップも武闘家マァムもダイとのこれまではぐくんだ絆を取ってしまうかもしれない。

よしんば罪を許された恩を感じているヒュンケルとクロコダインが残ったとしても・・・戦えない、其れでは地上が滅亡する未来しかない!!

そこをティファが突いてきた・・・・自分が黙っている、打ち捨てると言うだけでその未来は回避されるのだと・・・そして・・・・・自分は其の事を終生秘密にしなければならない未来をも確定されたのだ・・・・たった十五の少女の思惑一つで・・・

 

様々に渦巻く感情をフローラは瞑目をし、そしてすべてを飲み込んだ。

 

「カール王国フローラが、異界のティファの提言を受け入れようと思います。

勇者ダイを救い、ひいてはこの世界の希望を救ったバランはその時に死にました・・先代の竜の騎士の想いを・・・・勇者ダイ、貴女が引き継ぐことはできますか?」

 

飲み込み、そして為政者として若き勇者に問いかける。父を救うからには、己自身が戦うのかと、疲れ切ったと言う心を引きずってでも、その遺志を引き継ぐと言うのかというフローラの言葉に、ダイの瞳は先程にはなかった光が・・・・ほんの少しだけかすかに光っていた。

 

「俺・・・・父さんにもう何もしないって言ってくれたノヴァの言葉が嬉しかった・・アキームさん達の言葉が嬉しかった・・・俺・・・ここにいる人達に死んでほしくない・・先生にももう死んでほしくない・・・ポップもマァムもヒュンケルにもクロコダインにも辛い目に遭って欲しくない・・・・俺一人じゃダメで・・・情けない勇者だけど・・」

 

迷いはまだある・・・・この世界を守れと言われてもうなずけない。

それでもティファお姉ちゃんが見せてくれたみんなの優しさを・・・みんなが示してくれた優しさを自分は・・・・

 

「力を・・・・貸してくれる?」

 

決して力強くはないその言葉は、確かにその場にいた戦う得る全ての者達の心を打った。

疲れ果て、迷いながらもそれでも自分達に死んでほしくないと願う優しい勇者の願いは、大広間を震わせるほどの歓声を以って応えられた。

 

どこにいても絆を生み出す者だと、兄ポップはティファの頭を撫でながらその様を眺める。

ロン・ベルクやこの世界の師匠は斜に構えながらもダイ達を慈しむ心が瞳に溢れているのを見て笑いを噛みしめるのに一苦労する。素直でないのようだこの世界の名工殿と師匠はとつい笑ってしまいそうになるのをティファを撫で、少年ダイとポップを撫でる事で発散をするのを、三人は嬉しそうにポップの手を受け入れる。

 

そして歓声が一頻り起こった後、バランは死んだのだと全員がその旨を徹底するようにというフローラの言葉に一同頷く。

 

この大戦の後、自分は各国の王達も・・・ひいてはリンガイアの民と自国の民全てを欺く事を思うとフローラとしてはやり切れないとさへ思うが、これしか手が無いと為政者としての決断を下したのは間違いではないと決断を下したが、複雑な思いがすぐに消えてくれることはなかった。

これでリンガイアの者達もカールの者達も永遠に仇を撃つことは叶わなくなった事を知らずにダイ達の手を取って絆を結ぶさまを、ティファという娘が笑ってみているのだから無理はない。

 

言わなければいい・知らせなければいい、重大なる秘事をその身一つに収め、それを以って勇者一行とそして、世界全てを守り通したティファなりの守り方に、この世界のフローラは身をもって味あわされた瞬間でもあった。

 

だからと言って表面は笑みを浮かべても、ティファもまた苦しんでいた。

守りたいとは言えども、真実を握り潰させ歪めてしまった事に、その決断を一人の女性に背負わせてしまった罪悪感が、ティファにもまた重くのしかかる。

ここからは本当に手を出しては世界の対価に触れてしまい事態をますます複雑にしてしまうのでそれは叶わないまでも、できる事を全てをして贖罪を果たすと誓いを立てる。

 

そんな中、青年ポップもまた懸念する事ができた。

この状況は喜ばしい事だ、今まで薄かったであろうこの場にいる者達の絆を深めることが出来たのだからと良い事づくめの様に見えるが、フローラ女王の方をアバンさんか自分がきちんとフォローしないと今度はフローラ女王が壊れるか暴発をしてしまうのではないかと危惧する・・・後でアバンさんと早急に対策をせねばと。

そしてもう一つある。

それは大広間の話し合いに割り込むことはなく、事の成り行きを胸を痛めながらも見守っていた少女二人のうちの一人メルルは、バランの裁可がきちんと下ったのを見届けた後ダイ達の下に泣きながら来てくれたが・・・・遠巻きにいる姫さんが、暗い表所をしているのを見るのは胸がいたくなると・・・




今宵ここまで

甘い言葉と詐術をもって、この世界の真実を闇に捨てさせるた主人公ですが、フローラ女王陛下とこの世界にとっては残酷な仕打ちとなりました。

しかしここまでせねば、この世界のバランは救われないと筆者は考え酷い仕打ちと思いつつも、この着地点とさせていただきました。
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