勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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筆者この回は書いていて一番辛い回でした。

この作品の幸せなお話などを楽しみにされている方、残酷な描写が苦手な方は途中でバックをしていただいてもその後の話の大筋が分からなくらる事はありません。


いしの積まれる世界:それが幸いだと知った時・・前編

女王陛下の出陣の声に待ったが掛かった。

声のする方を見れば、手にそこそこの大きさの武具を持った魔界の名工ロン・ベルクが猛然と走って向かって来たのだ。

 

「・・・間に合ったか・・・ポップ!クロコダイン!!お前達の新しい武器だ、これ持って行ってこい!!」

 

二人は自分達の名を呼ばれ慌ててロン・ベルクの下に行けば、ポップはロッドをクロコダインは柄のついた新たなアックスであった。

 

どうやらこの世界の武具も、自分達と同じようだと青年ポップはにんまりと笑う。

素材は分からないがあれはブラックロッドだろうし、クロコダインの新武器も機能満載だろうと睨んでいる。

ロン・ベルクが二人に手短に話している内容も自分が聞いたのとまったく一緒であり、幸先のいい出だしだとポップはにんまりと笑う・・・のだが・・・自分の見間違いだろうか?

少年ポップの持っているブラックロットと、クロコダインの新たなアックスの刃の部分が・・気のせいだろう、この世界には-オリハルコン-を手に入れる事は早々にないのだから。

 

青年ポップの思惑を他所に、新たな武器を授かった二人はこれで思いっきり戦ってくると吠え挙げ、士気も大いに高まる中今度こそ一斉にキメラの翼を宙に放り投げ出陣をする。

目指す最初の場所はかつてバランが竜騎衆達を呼び寄せたアルゴ岬。

そこまでティファが大規模な結界で全員を隠して飛び去りそこから各自の配置につく。

 

カールの者達であれば場所は知っている。

到着早々ティファは結界を徐々に解き、完全に溶ける前に二陣が出発をした。

こうすれば魔王軍にはいきなり大規模な集団が現れたように映り、自分達の砦の位置特定阻止と、規模の算出を阻む狙いがある。

 

ティファはそれぞれの隊に二羽ずつ式鳥をつけ、兄ポップ、ノヴァ、マァムの肩にとまらせる。

 

「これを使って各隊の戦況報告は可能です。一羽が物見を、そこから戦況と敵の配置位はお知らせできます。また早く敵を撃破した隊にまだどこの隊が戦い苦戦しているのかをお知らせします。」

 

それと式鳥同士もリンクしているので互いに通信可能ですと心強く笑う。

 

十重に八重に二十重に、ティファは全員が必ず戻ってこられるようにと策を練る。

戦場に出る事が叶わずとも、それでも共に戦うためにとキメラの翼の移動時を利用してなされた説明に全員が一斉に頷き、そして各配置に再び飛んでいくのをティファは瞬時に己を結界で隠して無事を祈る。

 

どうか全員戻れるようにと・・・・しかし現実は残酷なもの、ティファの願いは届かなかった・・・

 

 

そろそろ全員が戦場に到着する頃合いを見計らい、ティファもアバンに指定されたテランの森の中で式見を使用した時其れは起こった。

 

「・・・だろ・・・・んな・・・」

 

兄ポップの式からリンクした時、戸惑いの声が流れ出た!

 

「にぃ!」

 

なにがあったのか、いかなる強敵を前にしようともポップの師であるマトリフの教えの魔法使いはいつでも冷静にを崩さないポップが戸惑う程の事は何かとティファは直ぐに問きかけながら、対にした式鳥を見ようとした時

 

「ティファ!!!式鳥は破壊する!追加を送るな!!ノヴァ!マァムも式鳥二羽とも破壊してくれ!!!ティファ・・・追加で送ってきたらお前の様子ですぐわかる・・・もし他のを送ったり戦場に来てみろ・・・・俺は自分の両腕自分で燃やし潰すぞ!!」

「にぃ!!???」

「ポップさん!!・・・分かったわ・・・ごめんティファ!」

「すまない・・・ポップさんの方を優先させてもらう!後で理由の・・」

「説明でも何でも知れやるからとっととこわ・・・」

 

ザァー・・・・・

 

「・・・にぃ?・・・・マァムさん!ノヴァさん!!!」

 

完全に式鳥二羽ずつが破壊された時に聞こえるノイズはすぐさま聞こえなくなり、もしかしたら一羽くらいはと望みを託して式身をしようとしたが繋がる式鳥は皆無であった。

 

「そんな・・・・」

 

兄達が、全て破壊したのだ。

 

何故・・・・どうして・・・・・

 

「ティファが・・・弱いからダメなのにぃ?」

 

自分がまともに敵を倒せない事を兄はここにきて思い出したのだろうか?

だから・・・・見る事も禁じたのだろうか?味方の有利を潰さなければならない程、自分は弱いから・・・

 

「にぃ!!にぃ・・・みんなお願い・・・・」

 

どうかこの地に全員で戻ってきてほしいと妹が祈る中、兄ポップの顔も青褪めている。

パプニカの首都の目の前の平原についた時、丁度魔王軍の姿が捉えられるほど近寄っていた。

 

集団の先頭は魔界のモンスターと思召しきモンスターが雄たけびを上げながら疾走してくる。

 

一回りも二回りも大きなアークデーモン四体が、シルバーデビルとじごくのつかいを護衛するように挟んで突っ込んでくる・・・・そしてその後ろにいたのは・・・魔界のモンスターよりも小柄で、そして魔界のモンスターよりも狂暴な瞳をした・・・

 

「嘘だろ・・・そんな・・・・」

 

地上のモンスター達が狂暴化をして迫ってきていたのだ。

その光景は青年ポップの他は、当然の事とばかりにデルムリン島でモンスター達と共に育ったダイですら迎え撃つ構えをしている。

この世界の者達とって、そして悲しいがダイにとっても狂暴化ををたモンスターは倒すべき、倒さなければならない敵でしかなかった。

 

しかし青年ポップは違った。それはティファと神々と六大精霊王達の活躍により少なくとも陸のモンスター達は狂暴化をしなかった。

それどころか大戦時であっても彼等は身近にいてそして時折癒しをくれる存在であった。

それは師マトリフの洞窟近くにいたももんじゃ達が遊びに来てくれたり、ロン・ベルクの小屋ではティファの食事に釣られてドラーキやスライム達も共に昼食会を摂り・・・駄目だ、こんな光景ティファに見せる訳にはいかない!!

 

青年ポップは、ティファの為に、ティファの心を守る為に瞬時に決断を下した。

味方の有利を潰すのは百も承知で、しかし・・・自分にとってはティファの心が大事だと式鳥を潰した。

ティファの懇願さえ踏み砕いて・・・

 

地獄だった・・・ポップにとってはデルムリン島に行けば自分を歓迎してくれる一角ウサギやいたずらモグラ等普段は陽気に笑っているであろう彼等が瞳を吊り上げ向かってくるのを、青年ポップははメラゾーマの壁を張り退けようと努力した。

 

この攻撃に怯んで逃げて欲しいと・・・・しかしその願いは虚しく散る。

青年ポップの思惑などどうでもいいとばかりに、騎士・兵士とダイの剣と槍に、そして少年ポップの魔法が彼等を易々と倒していく。

 

ダイとポップは序盤は魔界のモンスターと思召しきモンスター達を相手にした。

少年ポップが苦手を克服しつつあるヒャド系で手足を凍らせ怯ませ或いは動きが一瞬でも止まればダイが斬りかかり、魔界のモンスター達はそれでも大魔王に対する忠誠心からかそれとも軍内部の粛清を恐れてか、手足が斬られようとも喉笛に食らいつこうとするのをカールの戦士達が三人一組で脇腹・首筋などの柔らかい部分をやりで狙いを定めて深々と槍を突き入れるのを見届けつつもダイとポップは次の敵に目標を定めて向かっていく。

 

青年ポップも魔界のモンスター達には躊躇いなく相手にする事が出来た。

彼等は-己の意志-で戦いに出ている戦士達だから・・・・しかし・・・地上のモンスター達は、あの者達は違う!

 

「ぎにゃぁぁ!!!」

「ピィー・・・ピィ!!!」

 

魔王軍が地上に来たせいで狂暴化をし、訳も分からずに暴れそして死んでいく時の断末魔がポップの耳をうつ。

 

普段はお酒を飲んでは笑っているオーク達は木のこん棒一つを手に暴れまわるが次々と兵士達の槍に貫かれ血反吐を吐き、肉をティファ達が焼けば喜んで走ってくるあばれこまいぬがダイの剣に噛みついて砕こうとするのを少年ポップのイオラで吹き飛び焼け死に、ゴーレムやサーベルウルフ達が・・・・地上のモンスター達が次々と味方によって打ち取られる・・・・それが正しい事だと青年ポップも頭では分かっている!

ここは自分達がいた世界ではない!仕方がないではないか・・・・こいつ等を倒さなければ首都にいる民達が襲われる、それを防ぐ為に自分達はここに来たのだと、こみ上げる吐き気を堪えてポップも次々と魔法を繰り出し見方を援護する。

 

敵を倒せば代償が誰が支払うのか分からないので貴方達は絶対に倒さないでください

 

出陣の前にアバンに言われた言葉に、青年ポップは今まさに助けられている。

彼等と自分との距離はあまりに近くなりすぎ・・・・どうしても地上のモンスター達を手に掛けることが出来ない・・・倒す手助けをしているくせにと、泣くのを堪えて彼等の行く手を阻み、攻撃を止めさせそして誰かの剣と槍と魔法の餌食にさせている・・・それしか止める術がないから・・・・どうして俺は、平和なあの世界でマホカトールを習得しておかなかったのだと後悔をしながら・・・・

 

同じころ、アバン達の隊に組み込まれていた他界のチウもまた苦しみながらも戦っていた。

しかしその苦しみは向こうの世界でスタンピードを起こしたモンスター達を、隊員達とゴメス達と共にやむなく倒してきたチウはポップよりも格段に少なく、的確に敵の足止めをし傷ついた者を瞬時に見つけ出し、この世界のチウとパピィとこの程森でチウが勝負を挑んで打ち負かして遊撃隊員に加えたくまちゃと共に戦場の外に運び出して薬草を与えて負傷者達を守り抜く。

 

「いいかい!戦いのヒーローって言うのは敵を倒すだけじゃないんだ!!弱った人達を必ず最後まで守り抜く戦いをするのも立派な事なんだ!!」

 

敵を倒すことを第一としたいと主張するこの世界のチウに、レスキュー活動の何たるかを知っている他界のチウが説得をした。

 

頑丈で素早く動ける自分達が、負傷兵達を助けて守り抜く!

その一点の曇りのない迷いのない他界のチウの言葉に、この世界のチウはかつて師であるブロキーナ老師の強さと優しさを目の当たりにした時の憧憬と重なり、そして頷いていた。

自分にもできるカッコいい正義の味方を実現すべく・・・

 

その動きは確かにアバン達の助けとなった。

負傷した味方の心配を一応しつつもそちらだけに囚われる事無く目の前の戦いに集中できる分、パプニカ・ベンガーナの隊よりも早く敵全てを撃破した。

 

後に残った魔界・地上どちらのモンスターも焼却した方がいいという他界のチウの言葉をいれてアバンは魔法が使える者達と、クロコダインのグレートアックスのメラ系で燃やし尽くした。

 

ここは人里近く、血の匂いで他のモンスターを呼ぶ恐れとそして死骸の腐敗で疫病が発生するかもしれないというチウの言葉はアバンは頷き燃やし尽くし、そしてチウが嫌な予感がするからパプニカの方に言って欲しいという言葉に、アバンは素早く周りを見回せばチウ達に助けられた兵士達はもちろん、マァムとクロコダインも頷くのを見てすぐにパプニカにとんだ。

 

人間よりもモンスターであるチウの勘の鋭さを見込んで

 

そしてついた先にいたのは・・・・キメラの遺骸を腕に抱いて地面に座ってうつむいている青年ポップを、ダイ達が必死に声をかけている光景であった。

その周りには自分達が倒した以上の敵の躯が散乱され、草原一帯が焼け焦げ或いは血塗れになっている・・・地獄そのものの光景に、この世界のチウは青醒め遊撃隊達も怯えを見せ、近頃は戦いに慣れてきたマァムは怯み数多くの戦場を渡って来たクロコダインも眉を顰める中、他界のチウは駆け出しそして少年ダイ達を乱雑にどかして青年ポップの顔を両手で挟み込み上を向かせるが、ポップからは何の反応も無かった!

 

「ポップ!!ポップ!しっかりしてポップ!!戦いは終わった!!!もうどこにもてきはいない・・・帰ろう!!ティファさんの所に・・・・」

「・・・ファ・・・」

 

チウの声かあるいは最愛の妹の名前かは分からないが兎に角返事を返すポップにチウは声をかけ続ける。

 

「僕達の方の敵は全部倒してきた、もう少ししたらきっとノヴァさん達の方も終わる。

帰ろう、ティファさんの所に・・・」

 

その様子を横目で見ながら、チウによって脇に寄せられたポップに、この地で何が起きたのかをアバンが問えば、少年ポップは苦くそして怒りに満ちた表情を浮かばせ師の質問に答えた。

 

「外道死神が来やがったんです・・・・」

 

遡った少し前・・・本当にアバン達があともう少しで敵全てを倒し切ろうとしていた時、パプニカの戦場もまた敵全てを倒し切ろうとしていた。

 

青年ポップは苦悩しながらも、それでも味方が軽症で戦を追われると思えたその時、気障な笛の音色にポップ達とダイが警戒を強めた。

その笛の音色に聞き覚えがあり、そして声がした。

 

「グットアフタヌーン勇者様達!!」

「てんめぇ!三文死神何しに来やがった!!」

「・・・キルバーン・・・・」

 

上空に出現した死神を、ダイと少年ポップは瞬時に反応し青年ポップは静かに魔法力を練り上げる。

 

こいつは代償を支払ってでも壊す!!

 

そう思い定めているポップと勇者達を、キルバーンとピロロは嘲笑う。

 

「こんな地上のモンスター風情に時間がかかる弱い君達が僕に何をしようというのかね?これではピロロ、君を倒す事も出来ないと思うがどうかね?」

「え~・・・僕にはキルバーンいるから大丈夫だよ。あんな弱いモンスター達を倒すのに手間取る奴等なんてあっという間だよ。」

 

キルバーンからすれば地上のモンスターなど取るに足らぬ物でありバーン同様幾らでも使い潰せて代わりがきく便利だが弱い道でしかない。

その弱い道具を使って勇者達の今の現状確認を行ったのがこれである。

 

魔界のモンスター達を相手に地上の者達は抗しきれるのか、心が折れたダイはたち直れたのかそれともそのままなのか、そして最も知りたかったことが異界の者達はどこまで自分達の大戦に関わってくるのかの見極めであり、そして完了したキルバーンは予定にない最後の挨拶に出てきたのだ。

 

無論ここがパレスであれば罠位仕込んでいる。

しかし如何せん急遽決まった作戦なのでその時間はなく、だからと言って彼等をこのまま気持ちよく変えさせるなんて許せないという外道精神を発揮してキルバーンは姿を現し勇者達を散々に嘲り、怒れる彼等を見ながら帰途につく・・・・つもりであった。

 

「・・・・・待てよ・・・」

 

その自分達に待てと言うものがいた。

その声は静かで有無を言わせない声音に、キルバーンは誰の声かと見まわそうとした時、笑いの仮面の横頬にギラが当たりひびが入った!

 

「そうかよ・・・・お前か?この作戦立案した奴は?」

「・・・・君かい生意気な坊や・・・・よくもお気に入りの仮面にヒビ入れてくれたね?

僕がこの作戦を立案したって言ったらどうする気だい?」

「・・・こうすんだよ!貸せポップ!!!」

「あ!!ちょ!!」

 

メッラゾーマ!!!!!

 

炎の魔法使い・二代目大魔導士ポップの渾身のメラゾーマが火を噴き、つまらなさそうに横に避けて小馬鹿にしようとしたキルバーンの体は-なにか-に叩かれ吹き飛び地面に叩きつけられた!!

 

信じられない・・・上空には確かに誰もいないのをピロロも警戒をしていたはずだと、前方を見れば、青年ポップが持っているロッドから刃ような槍の穂先のような光り輝くものが出ていた!

 

「許さねぇ・・・・・手前ぇだけは俺の手でぶっ壊してやるどぐされ外道が!!!」

 

それは怒りの咆哮であった、嘆きの叫びでもあった

 

平和に暮らせていたはずの彼等を狂暴化させただけでも飽き足らずに、尖兵とさせた魔王軍に、そしてこの作戦を立案したという目の前の外道に対し・・・そして・・・倒す事でしか彼等を止められなかった己に対しての・・・

 

青年ポップの魔力は向こうの世界でも群を抜いており、瞬時に発動したトベルーラは速くそして少年ポップの手からもぎとったブラックロッドはこの数年愛用していた自身のものと寸分たがわずそれが為にポップはロッドの力を十全に引き出す。

 

自身の魔力を打撃力に、或いは可能ならば-光魔の杖-の如く槍にも鞭にも使える特性を引き出し、刃を槍に変え大振りに構えてキルバーンに打ち掛かる!

 

それはキルバーンが地面に叩きつける前からの動作であり、ポップは咆哮を挙げながらキルバーンに突っ込んでいた。

誰もが、それこそ斬りつけらるキルバーンですらがポップの攻撃は決まると確信をした。

最悪はピロロに首の部分だけでも持って行かせるかとキルバーンはピロロに念話で後はよろしくと送って算段をつけたほどであったが・・・・ポップとキルバーンの間に割って入ったモノたちがいた。

 

振り上げた槍を降ろしたポップには自身の動きを止める事は出来ずにキルバーンと自分の間に割ってはいいたモノ達の手応えは・・・・

 

 

ポップ兄、この子達の翼は確かにアイテム化すると固いけど、羽毛としては普通に柔らかいんだよ。

そうなのか?・・・へぇ本当だ!あったかくて柔らけぇや。ん?撫でられるの気持ちいのか?ティファ、ブラシしてやったらこいつら喜ぶか?

きっと喜ぶよ、-キメラ達-は奇麗好きなんだから!

 

 

斬りつけたキメラ達は、初めてデルムリン島でティファに誘われて触った時と同じく柔らかく、奇麗好きな彼等の翼が・・・赤い血に染まって・・・

 

あぁ・・・・どうして!!!!どうしてこいつなんかを庇って!!

 

初めて斬り殺した柔らかく温かい命達・・・・散々に敵を魔法で倒してきた自分が嘆く資格とてない・・・それでも・・・・なぜ・・・・

 

青年ポップは決して上空や周りの警戒は怠らなかった。周囲にもまだ生きていたモンスター達が起き上がるのをダイ達が倒す中、邪魔をしたのはピロロであった。彼がミストバーンからキルバーンに渡された最後のモンスター筒を一斉に投入して人形とポップの間に滑り込ませ、ポップの攻撃の阻害に成功し、キルバーンは直ぐに体勢を立て直し上空に再び戻り忌々しい坊やを見れば・・・

 

「おや?おやおや・・・」

 

キルバーンは-極上の獲物を見つけた時-と同じ、赤い瞳を三日月に細めて薄っすらと笑みを浮かべる。

 

もっと観察をしたかったが高速で近づくものを感知して時間切れを悟り、それを惜しみながら空間を空けてバーンの下に帰っていく。

-様々な土産話-が出来た事を悦びながら。

 

それは忌々しい異界の魔法使いが、自分の斬り殺したキメラ達の遺骸を前に、茫然自失として膝から崩れ落ち、へたり込む姿を見ることが出来たから。

 

あの取り澄ました顔が歪む姿は美しく・・・・そう・・・君も奇麗な子供だったのかい坊や

 

 

キメラ達と共に、心を斬り殺されたポップをチウが呼び覚ますのはこの少し後の事であった・・・本当にわずかな時間の差であったのだ・・




今宵ここまで・・・・・

誰かが言いました、
銃はいいです、人を殺す感触がこの手に残りませんから

欺瞞だと本人も周りも知りながらも、守るべきもの達を、守り抜く為に心折れない為の欺瞞です。
魔法使いポップは今までこちらの部類でした。
そして初めて斬り殺したのが、自分が友達だと心通わせた地上のモンスターの柔らかい生命であったのです。

悪意の意志が積まれていく中、そこからどう立ち直り立ち向かっていくのか、今しばらくお付き合いいただければ幸いですm(_ _)m
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