勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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いしの積まれる世界:炎の鳥を撃ちしは・・

「ポップさん・・・・お姉ちゃんとドールさんとラーハルトさん大丈夫かな?」

「ん・・・まぁ大丈夫だと思うぞ?・・・・-パレス-だし・・」

 

少年ダイの質問に、ティファ達をよく知るポップは大丈夫だと答え、最後の一言は自分に向けての発言でありダイの耳には届かなかった。

ラーハルトにはともかく、あの二人からすればー勝手知ったるパレスー内部なのだから。

 

異界のアバンとマトリフが、双方の先の勇者一行にとって因縁深き地にて-帰り支度-を地下にてせっせと施しているその頃、双方の世界の現役勇者一行の良い子達と大人ヒュンケルとクロコダインと二人のロン・ベルクと共に地上の森の中で-待機-をしている。

 

アバン達が帰り支度の為に必要なエネルギーとやらを、ティファが調達に行き異界のラーハルトとドールが護衛に付いて行っているのだが・・・・エネルギーを調達する場所が問題であった・・・・別にそのエネルギーが無くともティファ達はアバン達が今用意している大法陣と、この世界の神々が用意しているエネルギーでも帰れるのだが、エネルギーの中身が問題であった。

 

曰くこの世界の神々が数人滅せれば膨大なエネルギーで帰れる・・・・・それってない・・

 

聞いた瞬間この世界の神々とマザードラゴンに怒りを覚えていた青年ポップも、妹のそれってない発言に賛同した。

自分達を帰すのは当然ではあるが・・・物凄く寝ざめの悪い話しであり、向こうに帰った自分達の心を永久に悩ませそうなそんな方法は却下である!

 

「エネルギー分捕ってきます。」

 

・・・・あの可憐な妹から分捕ってきますとかそんな下世話な言葉をポップは聞きたくなかった!

しかしだ、あるところから貰えれば、それも魔王軍の計画を根底から覆せる事も可能な奉納ならば一考の価値があるという自分達の先生の言葉に負けて、ティファの話をきちんと聞いてその上で建てられた今回の作戦は至って単純。

 

-待ち伏せ-である。

 

計画ではティファの言うエネルギーを分捕ってくれば、この世界の大魔王は怒り心頭に発して、未だ地上からは見えないパレスから態と姿を現したティファ達を追いかけてくるだろう・・・・閉じ籠る大魔王を引きずり出す程のエネルギーを、ティファがどうやって持ち出してくるかは兎も角として、策が嵌れば出てきた大魔王を異界のポップ達と共に迎え撃ち、そして倒すというシンプルな作戦であった。

 

隠し砦の方に張った罠に引っかかった魔王軍達がこの地に辿り着くには時間がかかる。

そして今の自分達が目玉で見つかろうとも、ティファの結界で通信は遮断できる手はずなので、指示を受けられない魔王軍が直ぐに到着できないとの見積もりもきちんと出ている・・・・本当は全滅しているのを双方のアバンとマトリフ達は知っているがそれは兎も角、鎧の魔剣を着込んだヒュンケル達は、いつここが発見されてもおかしくないと警戒をしている。

彼等こそ悪魔の目玉で勇者一行の動向を散々注視して監視をしていただけに、目玉の怖ろしさを良く知っている。

-ティファ-は目玉の気配がしますというが、本来悪魔の目玉には気配などないのだ!

それは動いた時の物音や空気の流れかと聞いてみても、視線感じるでしょうとティファに言われたが意味不明である・・・・あれはそのような気配を悟られないようにザボエラが心血を注いで作りし物であり、大人になったヒュンケルも一度だけ悪魔の目玉の視線を感じるのだろうかと物陰からじっと見てもらったのだが遂にただの一度として潜んでいる場所が分からずじまいで終わったのだ。

 

ティファだけにしか分からないのであれば後は自分達の目でカバーするしかないと、双方のチウ達とアリクイのアリババや、グリズリーのくまちゃを新たに仲間入りした獣王遊撃隊達にも目玉を絵で教えて見かけたら知らせるように言ってある。

 

ちなみに余談だが、-ビースト君-は、この世界のマトリフ同様もう高齢なのだからとテランの湖の神殿で弟子達の勝利を祈って待っているところであった。

この世界にはもうきちんとした大人の保護者達が居るので、本当に病に罹って明日をも知れない身ではないにしろ、最早一線を退いた老師や大魔導士達に無理をさせる必要は無いのだから・・・というのは些か甘いティファの発想を、この世界のアバンは使えるのであればと言いたげたのを、異界のアバンはその通りですよと頭を撫でて認めた。

ティファの優しさからの提案とは違い、老師も人質にされる恐れがある要因だと胸の内で呟いたのは兎も角として、チウ達もアバン達とティファ達の策が成るまで警戒度を一番にして見ていたのだ・・・・油断は本当に無かったのだ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下にて大法陣を書き終えたアバンとマトリフはさて地上に戻ろうと強張った体を一つ伸ばした。

マトリフは仕方がない・・・なにせ百歳越えの超お爺ちゃんであるが、しかしアバンはそんなマトリフからすればまだまだ若造だという年齢であるが、アバンとしてはそろそろ四十にもなろうという自分も体に変化があっても良いだろうという言い分がある!

そもそもが、この世界は分からないが自分達の世界では人間の平均寿命は八十には届かずせいぜいが六十から七十でお迎えが来るものが多い中、マトリフの様な者が特別なのだ。

そして四十もそろそろいい年をしたおじさんであり、こういう作業後は腰に来る・・・悲しい加齢問題であると言いかけた時、其れは起こった。

 

大地が噴火の前兆の鳴動したが如く巨大な闘気が地上に降り立ったのを二人は感知し!リリルーラが使えるアバンはすぐさまマトリフを腕の中に入れて目印にした己の弟子達の下へと飛んだ先には・・・・衣服とそして体をズタボロにされながらも折れた剣で体を支えんとするノヴァと自分達の世界のロン・ベルクの姿が目に飛び込んできた!!

 

この二人も並外れた技量の持ち主であり、ロン・ベルクも制限がかけられているとはいえども並大抵な相手なればここまで後れを取る事はまずもってあり得ない!!

そして愕然とするアバンとマトリフを、-大量のオリハルコンの兵士達-が取り囲み、高笑いが一帯を占めた。

 

「グハッハッハッハッ!!地下から薄汚れたモグラが-吾輩-に倒される為にのこのと出てきおったか!!!」

 

高笑いをしながらオリハルコンの兵士達をかき分ける様に出てきた-物体-に、アバンとマトリフには見覚えが無いが、話だけは知っている。

目の前のでかいのは相手の能力を見通す目を持つリビングピースであるキングマキシマムであると。

いつかの日、向こうの世界でティファによって身も心も瞬間にズタボロにされ忌ライ表舞台を怖れて引きこもったと聞いていたが、その力量の本当の所は其の所為で知らないが、ノヴァとロン・ベルクをここまでボロボロにできる技量はこいつには無いだろうと、アバンとマトリフはすぐさま見て取った。

確かに力はありそうだが他にいるはずだと二人は戦い渦巻く場を見回す。

 

自分達を取り囲むオリハルコンの兵士達以外にも、ヒュンケル達と攻防を繰り広げられているのが視界で捉えられる。

如何に二人の技量が優れていても、次々と湧き出るオリハルコンの兵士達の前で苦戦こそしていないが難儀をしている。

打開しようと二人でクロコダインの獣王激烈掌の如く、左右の渦を合わせたブラディスクライドの合わせ技で目の前の兵士達を薙ぎ払うが、その度に鬼岩城戦の時の様にハートの間から次々とさまよう鎧が出てくるが如く湧いて出るオリハルコンの兵士達に、その時のポップの様にいつまで続くのだと怒鳴り散らしたくなるのを堪えて敵に集中をする中、-炎の鳥-が襲い掛かる!!

 

「「ヒュンケル!!!」」

 

二人の師が、それぞれの弟子達を案じて同時に叫び、この世界のアバンはアバンストラッシュブレイクで炎の鳥をかき消し、異界のアバンはリリルーラでヒュンケルの横に出現しそしてすぐ様目印にしたマトリフの横に飛んで弟子を逃がした。

 

この炎の鳥を、自分は良く知っていると、異界のアバンとマトリフの額から汗が一滴流れた。

自分達が知る鳥であるのならばこれは・・

 

「ほう・・・・かき消すではなくあの様な避け方があるとは面白い事をするものよな。

で?その面白い事をしたのはこの世界のアバンか?それとも異界のアバンとやらかどちらだ?」

 

・・・・・放たれたのは確かに-大魔王バーン-の得意中の得意であり好んで使う-カイザーフェニックス-の筈なのに!!

 

「余の問いに答えぬのかどちらかの世界のアバンよ?」

 

戦いの最中だというのに、まるで敵などいないとばかりに話しかけてくる者は-青年魔族-であった・・・・




今宵ここまで
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