勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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いしの積まれる世界:大魔王バーン

遡った少し前の地上

 

異界のアバンとマトリフ達と、ティファ達が作業に行っている間に異界のポップは神経を張り巡らし、少年ダイ達もまた同じように周囲の警戒を怠ってはいなかった。

 

少しだけ肩の力を解す程度の話はしていたが、少年ダイ達を中心に置きロン・ベルク達やヒュンケル達は四方に散って互いを背合わせにして周囲を見回しており、獣王遊撃達もそれを徹底していたおかげか一つの目玉をアリクイのアリババが見つけ、アリババは即座に目玉を飲み込んだ!!

 

「そんなの食べたらお腹壊すぞ!!ペッしろアリババ!!」

「-嫌!!こいつ悪い奴!!!隊長そう言ったでしょう!ー」

 

隊長の言葉に逆らって目玉を吐き出さないアリババに、チウは仕方がないなと思って頭をかくのを、異界のチウはこれなら野生のモンスターに食べられたと思ってもらえるかもしれないよという慰めを受け、そんなもんかなとチウも思いなおすのを-木々の間-から新たな目玉が見ていたのを彼等は気づけず、目玉の向こう側の-リビングピース-というオリハルコンの生命体はほくそ笑む。

 

「なんとも警戒心の薄い・・・・あれであれば吾輩の配下達の強襲でいけるか・・」

 

マキシマムは逸る心を冷静に配下達の数と補充の仕方を念入に下準備をする。

全ては自分の主たる大魔王バーン様の勝利の為に

 

通常の魔族と違って金属生命体であるマキシマムには寿命があって無きが如くであった。

通常の金属生命体であるリビングピースは錆やら劣化やらが心配されるが、オリハルコンで出来ているマキシマムにはその心配は無く、古くから大魔王バーンに仕えているだけに自負心は相当な者であった。

 

それは常々自分こそが主から絶大な信頼を得ており、ミストバーンもキルバーンも所詮は自分の前座であると・・・・物凄く身の程知らずなそれこそ本物の道化であり、バーン自身もマキシマムには何の期待もしていない。

期待していないが一点だけ気に入りそれが故に-多少無能-であっても使い続けている理由がある。

それは真の意味でマキシマムはバーンしか見ていない事。

 

悪魔の目玉と違い真に知性がある者の中で、信頼だの友愛だのを自分以外の他者に抱かずに愚直なまでに自分しか見ていないマキシマムの、自分を見つめる視線が心地良い点にある。

そして多少無能であるが-掃除屋-として、自分達が取りこぼした者達に食らいつき殲滅するハイエナ的なところも気に入っている。

 

そのマキシマムは、悪魔の目玉越しにキングスキャンで相手の力量を見たところ、洒落た服を着た異界の者達は、異界のポップ以外は然程力が無い事を確認し、そしてこの世界のロン・ベルクとヒュンケル達の戦力を把握した時、丁度空飛ぶパレスはダイ達のいる芭蕉の超上空に到着をした。

 

パプニカはカールと違い曇天であり、パレスの影が地上に知られなかったのがダイ達にとっては不幸であり、マキシマムにとっては絶好の奇襲時であった!!

 

「な!!ポーンヒム!!??」

「こいつ等ハドラーの・・・なんだこの多さは!!!」

「ダイ!ポップ!!疑念は後だ!!まだまだ上空からくるぞ!!!」

「必ず三人一組を守れ!ポップ!メドローアの連発はするなよ?ここには回復薬は・・」

「分かってんよ・・・こいつ等まさか・・・」

 

 

 

それは音も無く地上目掛けて降り立ち、物音共にダイ達は襲われた!!

ダイ達からすればオリハルコンの兵士と言えばハドラーのポーンヒム一人であり、何故オリハルコンの兵士がこんなに大勢いるのだと迎撃をしながら驚愕するのを、追及は後だとヒュンケルと、青年ポップに魔法乱発注意をするヒュンケルの言葉を青年ポップは受け取りながら、大量のオリハルコンの兵士達に心当たりがあった・・・・まさかあのアホか!

 

自分達と特にティファの勘気に触れたあのアホキング!!キングマキシマムだろうかと。

ならば!!

 

「こいつ等には自立した思考は無ぇ!!ひたすらに俺達を消耗させるだけか、-キングの指示-で動いてる!!とりあえずダイとヒュンケルとノヴァとロン・ベルクさんとアバンさんは最小限の闘気だけで戦ってくれ・・・・きっと後から後から湧いてくる!!!」

 

向こうの世界でキングマキシマムを相手にした後、マキシマムって何だったんだと平和な世になってポップがバーンに聞いてみれば、本来は物量に物を言わせてパレスの掃除を果たす輩であるが、あの時は他に人員がいなかったので使っただけだという・・なんともマキシマムが哀れになる事を聞いたポップであるが、-物量に物を言わせる-というくだりが気になり更に聞いてみれば・・・・パレスにはマキシマムの兵士となるオリハルコンのポーンが結構な数があるとか・・・・オリハルコン=伝説の代物という図式がポップの中で完全に崩れたのだがそれは兎も角、もしもこの世界でも同じように相当数のオリハルコンのポーンがあるならば!今回はマキシマムは本来の戦いのスタイルを十全に発揮できることを意味し!オリハルコン相手であれば自分達を十分消耗させられるという危惧があり、ポップは持っている情報と知識をフル活用し、そしてその危惧は当たってしまった。

 

ダイ達は青年ポップやヒュンケルの言う通りに闘えるが、カール騎士達やゴメス達は早々に戦いの場からの退場となったのは仕方がない事であった。

相手が魔界のとはいえどもモンスター達であればまだやりようがあったが、如何せんオリハルコンを切れる技量は彼等にはなく、アバンはすぐさまチウ達に言って負傷した彼等と無事であるカール騎士達に指示を飛ばし、戦線離脱を早々にさせた!

 

「無駄死には許しません!!」

 

如何に戦い抜くと誓い合った者達とは言えども、生物としての格が違いすぎるのだと諭しフォブスター達ルーラを使える者に兎に角遠くへと逃がした。

 

「追撃は俺が上空で見張ってるから行ってくれ!!!」

 

青年ポップはアバンの指示が発せられると共に上空に飛びあがり、メドローアを作り出し撤退補助を請け負い、フォブスター達は一礼をしながら時間が惜しいとばかりに次ぎつにルーラやティファから預かったキメラの翼で落ち延び、ポップはメドローアを解かずにトベルーラで半分ほど護衛をし、追撃が無いとみるやすぐさま取って返しそしてノヴァ達に群がっているオリハルコンの兵士達の背後に立ち消し飛ばしながら周囲を見れば、少年ダイ達は順調に兵士達を最小限の力で手足を切って無力化させていた。

 

マァムとクロコダインがタッグを組んで背中合わせで迫る兵士達の手足をねじ切り或いは切り落とし、少年ポップはアバンとヒュンケルと組んでヒャドやイオラで足止めをして二人が仕留めている。

今手を貸したノヴァも二人のロン・ベルクと組んで問題なく闘気剣で撃退している・・そこまでは良かった・・・上空からバカみたいな高笑いと共に、-巨大な炎の鳥-が飛来するまでは・・・

 

それは一瞬であった。

 

炎の鳥に青年ポップが気が付いた時にはもう遅く、鎧の魔剣を着込んだヒュンケル二人がブラディスクライドを放つも鳥と技の間にオリハルコンの兵士達が入り込み迎撃技は不発に終わり、地上にいた者達は全員が炎の鳥、カイザーフェニックスに飲み込まれたと同時に高笑いが・・・馬鹿わらが響いた!

 

「ガッハッハッハッ!!汝らの様なごみ共には、-バーン様-の炎の鳥は勿体なかったか!!!??」

 

不意の攻撃とは言え、ダイはすぐさま竜闘気で近くにいた者達を囲い込み、ヒュンケル達も残った異界のチウとアバンを鎧で囲み、ノヴァは全魔力を使ってヒャダルコを前方に天界をしてロン・ベルク達を守り切ったそこまでであった。

 

上空にて高笑いをするマキシマムは兎も角、その隣いる青年魔族にダイ達はその姿を見ただけで背筋に寒気が奔った・・・・・生物としての次元が違う・・・そして青年ポップと異界のヒュンケルは驚愕の瞳で青年魔族を見ていた。

 

何故ミストバーンがマキシマムと共にいるのかも然る事ながら!今のは間違いなくカイザーフェニックスであった!!

ポップ達は一度あの青年魔族を見た事がある。それは死の大地の決戦時にティファが消したミストバーンの表側の肉体である。

つまり目の前の-ミストバーン-があれを撃った事になる。

そしてマキシマムはそんなミストバーンをバーン様と言った!!

・・・・どういう事だと信じられない目を向ける異界からの稀人達に、青年魔族は口を開いた。

 

「さしもの其方達であっても驚く事はあるのだな~、異界からの客人達よ。」

 

その言葉遣いと声音は尊大であり、自分達の知るミストバーンとは違いすぎると思う中、更なる驚愕の言葉が青年魔族の口から伝えられた!

 

「この姿で会うのは初めてであろうから名乗ろう。

余は先に貴様らにまみえた大魔王バーンである。」

 

青年魔族、大魔王バーンの名乗りと共に巨大な闘気で地上にいた者達はまるでベタンを仕掛けられたが如くの圧力に、器量がダイ達より劣ってしまうマァムは潰されかけるのをクロコダインが覆いかぶさって守ったが、それを愉快気にバーンは見遣り、瞬時に二人の側に音も無く近寄り蹴り一つでクロコダインの鎧とあばら骨を粉々に砕き腕の中で守るマァム諸共蹴り飛ばした。

 

あまりの衝撃に呻き声一つ上げられない中!クロコダインは死んでも放すものかと地面を二度三度叩きつけられながらも腕の中のマァムを守り切り、岩場に叩きつけられようとまった時には、クロコダインの腕の中にいたマァムも蹴りに乗せられたバーンの闘気がクロコダインの身を貫通して叩きつけられ、二人共気絶をしてピクリとも動けないのを、直ぐに駆け付けようとしたダイ達の中でバーンはノヴァと異界のロン・ベルクに狙いを定めて二人の剣をカラミティエンドを弱めた手刀で剣を叩き居って蹂躙した・・・まさにそれは本当に一瞬の出来事であり、分断されたダイ達をオリハルコンの兵士達がキングマキシマムの指示の下襲い掛かり消耗する中アバンとマトリフが地上に戻って来た。

 

「ふむ・・・・其の方達の中にもあの-忌々しい小娘-はおらぬか・・・」

「ティファさんに・・・・あぐ!!!」

「誰が余に対して口を開いてよいといった虫けら?礼儀がなっておらんぞ?」

 

バーンの言う忌々しい小娘とはティファだとあたりをつけたノヴァは、彼女に何の用があると口を開きかけたのをバーンは不敬であるとノヴァの鳩尾に膝蹴りをし地面に這いつくばらせノヴァの頭をミシミシと音がする程踏みつける。

 

魔界においてもバーンが許さない限り自軍の者達であってもミストバーンとキルバーンとピロロ以外には口を開く事を許してこなかったバーンは、力のない脆弱で礼儀のなっていない者に仕置きをするのを、ダイ達が許す筈も無かった!

 

「やめろ!!!!!」

 

ダイは溜め込んでいた竜闘気を右手の紋章に乗せ打ち掛かり、少年ポップもブラックロットで打ち掛かる。

ヒュンケル達も駆け付けようしたがオリハルコンの兵士達に阻まれ足止めを食いそして、打ち掛かった二人はノヴァを踏みつぶさんとするバーンの両手によって受け止められた!

 

二人にとっては全力の闘気・魔力の攻撃であり、其れなりに自信があっただけにいとも簡単に受け止められ弾かれた事に衝撃を受ける中、手刀で放たれた小さなカラミティウォールが追撃してきたのを青年ポップがトベルーラで二人を救出しながら叫んだ!

 

「その壁に絶対に触るな!!全部砕かれんぞ!!!!」

 

大魔王バーンのカラミティウォールの威力を知っているのはこの場ではポップとヒュンケルだけであり、ヒュンケルはオリハルコンの兵士達の相手で押され気味となっている中自然警告を発するのは青年ポップとなったのを、バーンは五月蠅い者だとノヴァから足を放し青年ポップの背後を瞬時に取った!

 

「五月蠅き小鳥は討たれるぞ?」

 

自分の知らないバーンを名乗る者のその言葉に、少年ダイとポップを抱えながら青年ポップはぞっとした・・・・やられる!!!せめてこの二人だけでも・・・

 

逃がそうとした矢先-ソレ-は間に合った!

 

-飛天御剣流!!奥義!九頭竜閃!!!!-

 

自分達の真横から、自分達の良く知る声が響き渡り、九つの斬撃がバーンを真横から襲い掛かり、不意を突かれたさしものバーンも吹き飛ばされ、岩場に叩きつけられた!!

 

「・・・・間に合った・・・と言えましょうかねこの状況は・・」

「ポップとこの世界のディーノ殿達を守れたのであれば上々だろう小娘。」

 

大技を放ち、二人の子供達と共にバーンから距離を取った場所に降り立った青年ポップとバーン達の間に二人は静かに降り立つのを、バーンは直ぐ様体勢を立て直す。

 

「・・・・異界の忌々しい小娘か・・・・貴様技量を隠していたか?」

 

生を受けて久しく、ただの一度もここまでの目に遭わずに強者として過ごして来たバーンは、呼びかけと同じく割って入った小娘を忌々しげに見遣る。

 

技量を隠していたかとバーンに言わしめるほどの大技を放ち自分の邪魔をした小娘は、己の死線にも動じずに細身の剣を左肩に担ぎ槍使いを従えて自然体で立っている様は威風堂々としてたのがバーンの気に障る!

 

その様をティファは何の感情も浮かべたない瞳で見遣りながら口を開いた。

 

「上空のパレスにお邪魔した時、服装言動悪趣味野郎に襲われましたが成程、あの者が道理で焦っていたはずです。」

 

技量云々ではなく、何の脈絡も無いパレスでキルバーンに襲われたことを告げるティファに、味方達は何の事だと分からなかったが、バーン自身には思い当たる事がありニヤリと笑ってティファの言葉に答える。

 

「クック、キルバーンは余の命令に唯々諾々ときちんと従ったか・・・・健気な者よ。

死神と呼ばれ、その評価通りに冷酷-無情-であったれば違ったであろうに。」

 

ティファとバーンの謎掛け合いのような言葉に、周りは益々何の事だと訝しむ中、ティファの表情にはっきりと不快感が浮かび上がったのを、バーンは益々愉快気に言葉を紡ぐ。

 

「-あれ等-はそちにとっても敵であろう?そして余が己の配下をどう使おうともそちには関係あるまいに?」

 

その言葉は、ティファとそしてクロファの気に障るには十二分過ぎる言葉であった。

 

「・・・己に絶対の忠誠誓った影を質にして死神を動かしましたか・・」

 

ティファの辿り着いた正解に、バーンの笑みは深くなる。

 

「仕方あるまい?あの死神は余に仕える義理はあれども義務も無いのでな。その義理も近頃は薄れてきたのか余の言葉で動くかどうか不確定であってな。」

 

であるのならば、あの者が近頃義理を感じているもので動かすのは当然だろうという言葉に、ティファとラーハルトの怒気が高まる中、ティファの背後に空間が開き大鎌が差し迫った!!

 

「ティファ!!!」

「お姉ちゃん!!!」

「ティファさん!!!」

「お嬢さん!!」

 

誰もが、隣にいるラーハルトも防ぐには間に合わないと悲鳴を上げる中、大鎌は空間から出てきた褐色肌の手に握られたレイピアで防がれ、更に開いた空間から-ドール-とキルバーンが激突し合いながら出てきた!!

 

キルバーンは、ここでティファを仕留めて大魔王バーンとの約定を果たして望むものを手に入れようとしたが!邪魔をした-ドール-を憎々し気に打ち掛かるのを、バーンは薄っすらと嗤って眺める。

 

死神は望む通りに動いている様を




今宵ここまで・・・


主人公世界のポップ・ヒュンケル・アバン・ロン・ベルクは若いバーンの知らない設定です。
その理由は少し後に出します。
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