勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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いしの積まれる世界:悪魔の囁き・・

「・・・うっっ!!」

「あ!!マァムさん大丈夫ですか!?」

「まだそのまま横になっていてください!クロコダインさんもですよ!!」

「チウよ・・・それよりも戦局はどうなっている?」

「・・・・・正直に言えば不利です・・・」

「あんな奴がどうして存在してるんだ・・」

 

若きバーンの一撃によって沈められたマァムとクロコダインは自然回復で同時に目が覚めたのを、チウ達が安静を言い渡す。

異界のチウとしては骨折用の万能薬で飲み薬が欲しい所だが生憎ないのでせめて二人に安静にしていてほしいと言い渡すが、クロコダインは周囲の気配で事態を悟るもあえて戦局を聞く。

 

悟ってはいるが本当の所を知ろうと思ったのだが、聞くまでも無く最悪であった!

 

双方の世界のアバン達とロン・ベルク達はズタボロにされ倒れ伏し、ノヴァが万が一四人が狙われることを警戒して背に庇っているがノヴァもまたよろめきいつ倒れてもおかしくないない!!

 

そしてドール殿はキルバーン達に掛かりきりされ若きバーンと戦っているのは青年ポップとダイとポップの三人のみ・・・・ティファ殿はどうしたとクロコダインが探せば!!

 

「放してラーハルト!!」

「言う事を聞け小娘!!あれの狙いはお前なんだぞ!!!」

「だからこそ私が行かなくてどうするの!-まだ-私は闘える力が!!」

「お前の体が限界なのを俺が知らないとでも思ううか!!??

何の力か知れないが!また何かをしでかして手にした力を振って!その先に躯となったお前を俺達に見ろと言いたいのか!!」

「・・・ゥツ!!!」

 

味方である異界のラーハルトによって拘束されているティファの姿に、マァムとクロコダインは驚いたが、二人の会話の内容から、そしてチウ達の補足説明によって納得をした。

若きバーンはティファを差し出せば-楽に殺す道-を選ばせてやると言ったのを、ノヴァを先頭にして全員が拒否しそして大激突をしたのだが・・・思い虚しくオリハルコン製とは言えども闘気の玉によってひびを入れられたヒュンケル達は其の箇所に若きバーンの五指を突っ込まれ、かつて自分達を結界によって翻弄し苦しめたフレイザードのオリジナル技であり、人間には禁術にも等しいフィンガーフレアボムを瞬時にヒュンケル達の体内に炸裂をさせ地に伏せさせ、この世界のロン・ベルクはノヴァを庇って大火傷を負いながらも若きバーンの言葉を拒絶したのだが、ならばもうよいとノヴァ諸共にカラミティウォールを腕で放つカラミティエンドをみまわれた後ろにいるチウ達共々目を覚ましたティファが四人をかなり遠くに移動させるのに成功をしたのだが、技の一部をロン・ベルクがノヴァとチウ達を庇う為に喰らってしまい、異界のロン・ベルクも四人を追撃しようとした若きバーンを止めようとしたが・・・ピロロが動いた。

 

ここでバーンを勝たせ親友を取り戻さんとするピロロの罠に、異界のロン・ベルクは空間から現れた魔界植物の剣の如く鋭利な棘がある蔓が全身に巻き付かれ、蔓が消え失せた時にはロン・ベルクの全身はずたずたに引き裂かれ成す術もなく地に伏せた・・・もしも彼が向こうの世界と同じ力を十全にふるえていたならばそもそもが罠にはまる筈も無いが、他界に渡る為の制約が此処に来て彼等を苦しめる。

 

異界のアバンとマトリフとヒュンケルとラーハルトも、自然回復をする事は無く必然回復し戦えるのはこの世界の者か、制約なしの青年ポップとティファであり、チウには悔しいが戦う力は無いという非情な現実がそこにはあった。

そしてこの世界の大人達は最早自然回復なぞ望める状態ではなく、少年ダイ達も青年ポップの導きで若きバーンの猛攻を掻い潜りいなし、そして反撃を試みるが尽く防がれている中、自分も戦えるというティファを、ズタズタになった身を挺してラーハルトが止めている。

 

伊達に長年ティファを見てきた訳ではないラーハルトには、ティファの肉体も闘気量もとっくに限界であるのを知っている・・・・知っているが!現実にはティファの肉体は-回復-されている・・・それは異常なほどの速さでだ!!

ティファの魂が大魔王等級であったとしても、肉体は魔王ハドラーよりも劣るティファには考えられない回復の仕方に、ラーハルトはすぐさま気が付いた。

 

即ちティファがまた-とんでもない無茶をして-世の理を無視するような何か途轍もない力を手にして揮っている事に!!

其の事にラーハルトが希望はまだあるなどという馬鹿げた喜びをしようはずも無く!心の中は怒りでいっぱいであった!

 

冗談ではない!またこのお方はご自身の何もかもを使い潰し!!自分達だけを助けるつもりなのかと・・・怒りと悲しみにどうにかなりそうなのを、ティファを止める事で押しとどめる・・・・これ以上愛しい少女がその身を犠牲にさせない為にも・・・幸いと言うべきか、大人達が倒れ伏しても若きバーンと戦っているポップ達の闘志が落ちる事はなく、それどころかダイの紋章は闘えば戦う程に光の度合いが増していき比例するように剣の一太刀一太刀が鋭くなり!合間に放つ攻撃魔法もキレがありバーンを退ける場面が増えている!

 

「今は信じろ!あの三人を・・・」

 

そして祈る・・・・間に合ってくれと・・・・

 

 

・・・・・なんなのだこやつ等は?先にも余が言った通りに大勢はもう決しているだろうに・・・・何故あらがうのだ?

 

三人の食い付くような攻撃をいなして諸共に踏みにじろうとするも、一人か二人の方を相手にすれば残った者が死角から攻撃をしてくるという、つかず離れずの攻防に若きバーンは苛立ちながらも不思議に思う。

 

最早自分の圧勝が目に見えていながらも、目の前のダイ達とそして倒れ伏している者達をよろめきながらも待っているつもりの小僧の目からも闘志は失っておらず、それどころか立ち上る闘気に若きバーンは目を見張る・・・・決して強くはない、だが弱くも見えない不思議な者達に、次第に若きバーンは愉しくすらなって来た。

絶望を目の前にしても抗えるものなど若きバーンは知らない。

己の命よりも時に守りたいものがある事もまた然りで、元来知識欲と好奇心が強い若きバーンの琴線に彼等は触れた・・・触れてしまった!

 

「はっは!!面白い!!面白いぞお前達!!!」

 

その愉しさが、若きバーンの力の源であり根源ともいえる。

そしてそれが発揮されれば、今まで手を抜いてきた分の力を五割ほど上乗せして三人に詰め寄り、魔法を放って牽制しようとした少年ポップの鳩尾に左拳を叩きつけ、ロッドを振り被り背後から斬りつけてきた青年ポップを右手の裏拳一つでロッド諸共ポップの量の腕の骨を折った。

 

「あ・・・グゥ・・」

「・・・!!!!」

 

あまりの激痛にポップ達は悲鳴を上げることすらも許されず、青年ポップは威力のまま吹き飛ばされ襤褸屑の様に地面を転がされ、少年ポップは若きバーンの足元に崩れ落ちた時、ダイが紋章を輝かせバーンの首を捉えられる範囲にてアバンストラッシュブレイクを構えていた!!

あれが決まれば・・・・誰もが、それこそティファとティファを取り押さえているラーハルトとてもそう思ったが・・・・運命はどこまでいっても非情であった。

 

「ダイよ、そちの攻撃で余の首墜ちようとも、余の足元にいる魔法使いの頭位は踏みつぶせるぞ?」

 

残酷な脅しではない本気の言葉にダイの頭は真っ白になった・・・なってしまった瞬間を若きバーンが見逃す筈も無く、宙にとどまるダイの細い首を右手で捉え力を込めてにんまりと嗤う。

 

戦いながらこの不可思議な現象を引き起こしていたのは、綺麗事が好きな者共がよく口にする-絆の力-とやらであり、自分が要求したティファはどうやらこの者達の絆の力を高める要であったようだ。

ならば、力を高められるのであればまた然りであり、其の絆を質に取ればどうなるかと試せば面白い程にうまく言った事に若きバーン満足をした。

仲間を思う絆の力とやらで得た自分を倒せる千載一遇の機会を、其の所為で不意にしたのだから興奮するなという方が無理な話だろうと胸の内で愉しみを転がし残忍に笑う様は、まさしく物語に語られる悪意の化身たる大魔王その者であった。

 

「あ・・・・・ダイ君!!ラーハル・・・」

「動くな異界の小娘!!貴様が指なり闘気を一片でも動かせばダイの首をへし折る!!

それとも得意の移動でこ奴等を逃がすか?その時にはパプニカ王城を真っ先に攻め滅ぼす!」

「ッツ!!!」

「フフフ、素直なのは美徳だぞ小娘殿?大人しくしておれば悪いようにはせんぞ?

あぁだがキルバーンと戦っている魔族の貴様はは別だ。お前はキルバーンの獲物故そのままキルバーンの大鎌によって滅ぶがいい。」

 

若きバーンの言葉に偽りは無いと悟っているこの場にいる全員は、ダイを質に取られた事で身動きは出来ないのを若きバーンは満足げに見遣りながらキルだけは除外し、そして右手で掴まえているダイがまだ握っている剣を左手で取り上げ遠くに放り捨て去ってから首を絞めている力を緩めてやりながらダイの小さな耳を口を寄せて優しく囁く。

 

「ダイよ、余は貴様らによって初めて仲間を思う絆の力とやらを見せてもらった。」

 

それは数多くの者達からの口から聞く事はあれども、これまでは全て弱者が強者によって潰されていく現実を受け入れられずに己達を鼓舞し、或いは慰めの為のものであり、若きバーンにとっては文字通り言葉の中にしか存在しないものであった。

 

それが脆弱で忌々しい神々によって庇護され守られて来た地上の者達が自分に見せてくれた。

それは閃光のように眩しく、先程ノヴァが放ったあの白銀の一撃を事も無げに破壊したのが今更ながらに若きバーンには惜しまれる。

もっとあの美しさの意味を知りじっくりと観賞すればよかったと。

だが、この美しい輝きを放つ者達を手元に置ければ・・・若きバーンは魅せられたのだ、この地にて絶望に抗い一人の仲間の為に闘い抜く彼等の美しさに・・・先程この世界のロン・ベルクの言う通り、ノヴァの行為もまた気高い者であり-後で-きちんと謝罪し慰めをくれてやろうと思う程に・・・

 

「魔界においては強者が貴ばれ弱者には興味がない。」

 

ただ彼等が負け伏すものであったれば自分の興味を引く事なぞ無かった

 

「ダイよ、ここに集いし者達は全員命を助け、誰一人として辱めを与えんと魔界の神たる大魔王バーンの名において誓おう。」

 

それこそ魂の結び合いという、約定を文字通り互いの魂と結び合わせ、破ればどのような強者・・・それこそ神であっても即死させられる究極の禁術を結んでいいとまで言う若きバーンに、その意味を知るロン・ベルク達は倒れ伏しながらも驚愕の瞳を若きバーンに注ぐが若きバーンは意にも介さずダイだけを見つめそして、あり得ない程の破格の待遇をもって、未だ幼き竜の耳に甘やかな声音で囁く

 

余のものとなれダイよ

 

さすればお前が守りたいと思う者達全てを助けよう




今宵ここまで
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