勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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ロモス編もいよいよ大詰めです。
よろしくお願いします。


再戦前夜

マァムを心ゆくまで泣かして眠ってしまったのでティファも一緒に昼寝をして、

夕方ごろに起きて手を繋いでマァムの家に帰宅をした。

道々ポップの体術を見てほしいと当初の目的を話して快諾をもらい、

今日の夕食を何にするか和やかに話をしながら。

マァムだとてそうすぐにはアバンの死を乗り越えられるわけではないが、

ティファの言う通り師の教えを実践して行く事を強く定めた。

それに自分が泣いたときは師はいつも悲しげな困った顔をしていた。

大好きなアバン先生を安心させたいと、マァムは前を向いて歩いていく。

(心を守ってあげたい。)

マァムと手を繋いで歩くティファは心の内の深い悲しみを感じとれる。

マァムが無理をしない様に静かに寄り添って守っていこうと決めてた。

 

 

女性はいつの世でも強い。

家に帰れば兄二人に急にどこに行ったと叱られて、レイラに笑ってとりなされた。

レイラも悲しみを胸の奥底に秘めて普段通りに振る舞い、夕食となった。

「お前たち暫くは村に滞在するんだって?」

「はい、その際ポップ兄がマァムさんに体術を習いたく。

薬などの装備も万全にして・・三日ほどは。」

装備と体術実は口実、本当はダイ兄が魔法を発現できるまで。

コツを掴めたら一気に出来るはずだ。

野生児のダイ兄の底力にかけて設定を三日にした。

「なので宿代を・・」

先生のお仲間でもきちんとしたい。

食費くらいは入れさえててもらおう。

幸いお金なら一行を優に一年くらい働かずに養える金額は今手元にある。

秘密の部屋と-預け金-足したら数十年は庶民生活レベルで暮らしていける。

旅先で散々お宝系洞窟で稼いだのでバッチリだ。

そう思って申し出たら、

「いらねえ。

二度というなよお前達。」

・・ロカさんに有無言わさずに断られた。

「お前たちはあいつの弟子だ。

それは俺の身内同然だ。

身内から金とるような馬鹿に俺が見えるのか、レイラはどうだ。」

「そうね、ロカの言う通り受け取りませんよ。」

「・・分かりました。

失礼を申し上げてすみません。」

「いいって事よ。

お前さん真面目過ぎんぞ。

子供はもっと考えなしに突っ走るくれえでいいんだよ。

三日と言わずに好きなだけいろ。」

頑固で優しいお父さんだロカさんは。

「カッコいいよなロカさんて!

俺もいつかあんな親父さんになりてえな。」

「そうだね、じいちゃんと違った良さが凄く感じられる。」

兄二人もロカさんファンになった。

 

 

「ティファー!俺魔法が撃てるようになった!!」

三日を見込んでいたダイ兄の魔法がなんと二日で出来てしまった。

「・・まあ・・一応成功な・・」

見てたポップ兄は超微妙な顔して顛末を教えてくれた。

メラは出せても前に放てず、掌で打って的に命中させたと。

「いいんじゃないかな。

ようは当たらればいいんだし。」

「ティファも村長さんと同じ事を言ってら。」

ちなみに村長さんは発想力豊かだとダイ兄の事を褒めてくれたらしく、

ダイ兄が超ご機嫌だ。

そっちと比べるとポップ兄はこの二日機嫌が悪い。

体術をマァムさんから教わる度にボロボロにされてる。

きちんと手加減されて、打ち身擦り傷で済んでいるけれども痛そうだ。

「兄、塗るね。」

「つってえ、沁みる!!」

「終わり。

クッキー食べる?」

「サンキューティファ。」

頑張っているポップ兄にご褒美だ。

頑張れポップ兄。

 

 

「ポップたら、もう少し根性持ちなさいよ。

あれだけすごい作戦立てられるんだから勿体ないわよ。」

「・・ヘイヘイ。」

「もう!!」ポップったら!!

(何だろうな・・マァムが俺の事を心配して言ってくれてるのは分かるけど、

もうちっと優しく言ってくれてもいいじゃねえかよ。)

ティファから貰ったクッキーを齧りつきながら、ポップは少しぶすくれる。

-ポップ兄~、頑張って-

思わず脳裏には優しくて可愛い妹分の顔が浮かんでくる。

(あれ?俺の好みのタイプそっちだっけ・・)

でもティファは可愛い妹だし・・

「聞いてるのポップ!」

「・・分かったよ!」

やれる事やんなきゃ勝てねえ!やってやる!!

そして次の日にポップも一応マァムから合格をもらえた。

 

「ロカさん、マァムさんを道案内にお借りしますが本当によろしいのですか?」

兄二人が大丈夫になったのでロモス王城に行く事にして、

ロカさんがマァムさんを案内にと申し出てくれたのはありがたいけど・・。

「どういう意味だよそれ。」

確認取ったらロカさんに変な顔された。

「もしかしたら数日前のクロコダインがそろそろ再戦に来るかもしれませんよ。」

-グホ!ゲッホ!!-

「大丈夫ポップ兄!」

「・・ティファ」

「はい。」

「マジ?」

「あちらももう傷が癒えてる頃合いです。

再戦の可能性はこの数日間の内と考えるべきです。」

そんなところに一人娘さんを借りてもいいのかの確認だ。

「ティファ、それと皆にも言っておく。

特にマァムよく聞けよ。」

「「「はい」」」

「お前達がどんな道を進むのか俺には分からん。

でもな、どんな道を言おうと俺は口を差しはさまない。

間違えたらその時には俺にできることで助けるし、

悪い道を行ったら拳骨落として止めてやる。

だからな、道を進むのを恐れるな、分かったか。」

「「「はい!!」」」

流石は歴戦の戦士、言葉に重みを感じる。

旅立つ私達にエールを送ってくれる。

迷わずに突き進めと、離れていても見守ってくれると。

ロカさんの温かい言葉を胸にその日はぐっすりと眠れた。

 

「母さん、行ってくる。」

「お世話になりました。」

「色々ありがとうございました。」

「薬のメモをどうぞ。」

「皆さん、気を付けて。

マァムもよ。」

優しい笑みを浮かべてレイラさんや村の皆から見送られて村を出立して、

魔王軍に見つからない様に遠回りしたので夜に首都に着いた。

「王様に会うのは明日だね。」

兵士に追い払われるイベント回避をして、さっさと宿屋でベットにゴー!!

したら・・「皆!!」

「・・何ダイ兄。」

「この宿屋に勇者一行が泊ってるんだって!!。」

「ふ~ん。」

兄嬉しそうな顔してお目目キラキラさせちゃってるけど、

「会いに行きたければ行ってらっしゃい。

私もう寝る。」

「・・ティファ・・年寄みたい・・」

うっさいダイ兄!

どうせ偽勇者一行イベントだ!!

あんなのよりも明日の為に睡眠優先だ。

案の定偽勇者一行だったらしいけれど、私はその時夢の中。

再戦前夜はそうして終わった。

 




男前のロカさんと、
元祖慈愛のレイラさんを掛けました。
あの二人の子だからこそ、真っ直ぐで強く優しいマァムに育ったと思います。


お気付きの方が出ると思いますが、ポップの女性好みが変わったのは、
違う女性へのフラグです。


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