・・・読まなくとも前後の話に影響はありませんので、苦手だと思った方はバックしてください・・
この世界の大魔王と-異界の大魔王-の奇妙な戦闘に、少年ポップ達は声も出なかった・・
それは先程あの少女が実は異界の大魔王であった事から始まった衝撃はそれだけでは済まなかった!
あの少女の優しさを知るが故に、この世界の者達は自分達のダイの真の実力を怖れられその事に心が傷つけられたのを知るだけに、正体などではない、あの少女が今まで自分達の為にどれほどの事をしてきてくれたのだと思い起し、受けた衝撃をやり過ごす事に辛うじて成功したところに・・・・選りにも寄って勇者の妹が正義を否定したのだ!
正義の心を一つにして巨大な悪を討つ・・・・それこそが勇者一行の本分では無いのだろうか?少なくとも自分達の師のアバンは、常に心に正義を以て、他者を慈しみ弱者を守り敵が現れ襲われた時に守る為に強くあれと・・・・そう教えてくれた自分達の師を見てみれば師の顔もまた顔色が悪く、大魔王同士の戦いを食い入るように見続けている。
この世界のアバンもまた、大魔王ティファの言葉に怖れを抱く。
正義を否定してはいなかった、だがしかし!正義を肯定もしなかったあの少女は-大勢-が怖ろしくないのだろうか!?
正義とは時に集団の意思が集い、-その想いが正しい事-ではなくなり-その集団にとって正しい事-となる事がままあるのをアバンは嫌というほど知っている。
だが自分が教えてきた者達は未だ年若く、-子供-に教えるには薄汚れた考えであり、卒業の証を渡したとはいえども子供達がゆくゆくは大きくなり世界と世間を知り始めた時に教えるつもりであった。
その頃に弟子達も其れなりに心も精神も育ち、意思もしっかりとしているのをも計らってと考えていたことを、たった齢十五の娘が体得している事こそが異常であり、それでも少女は世界に失望していないという・・・・何故・・・・あの少女はそこまで己の信念を貫けるのか・・・分らない、判らない、解らない・・・・あの少女の何もかもが・・・・
アバンは人生において初めて知識・知恵・知略を以てしても分からない-モノ-に出会い、畏敬の念という言葉の意味を知らしめられていた。
神の存在に触れる今回の一連の件を知っているだけに、神とてもそのような者かと失望しただけに、たった一つの想いだけで己ら苦しめた世界で命を懸ける・・・・そのような者が、確かに目の前にいてまさに命を削るように戦っているのだ・・・正義でも大儀でも、この世界に生きる全てを守るという理由ではなく、心を再び折られた勇者の帰還を信じて
「さっさと諦めたらどうだ忌々しい小娘よ!!最早あの小僧は戻らんぞ!!!!」
「ふん!そんな事!最後の最後まで分からないでしょうがぼんくら大魔王もどき殿!!」
勇者は戻らぬという若きバーンに、ティファは戻ると信じている事を放棄しようとしない事に、若きバーンは-ナニか-に苛立ちを覚えてティファに対する攻勢をさらに強めていく。
ティファの周りを高速で動き、四方にカラミティウォールを放てばティファは-裏技-を使った・・・・即ち-カンニング-を堂々と使ったのだ。
あれは極めて闘気に近い攻撃・・・ダイの大冒険ファンなら絶対に知っているあの名シーンの再現である!
即ち・・・
ティファは迫りくる四方の災厄の壁が迫ろうともラックで逃げる事をせずに、老バーンがラドを使おうとしたその時、ティファの暗黒闘気が円形の柱のように静かに立ち上りティファをすっぽりと覆いつくし、何事かとそれこそ若きバーンも動かなかったティファに訝しんでいたが、すぐそのあとに起きた事象に青褪めた・・・災厄の壁はいかなる者達をも踏みつぶした後自然消滅するか、巨大な闘気や発生している床を崩すかの攻撃によってのみ崩れてきていたが・・・・すり抜けたのだ!ティファを傷一つつけるそぶりや衝撃音も無く、スッと四つの動く壁同士が円形の柱の暗黒闘気を起点として・・・そしてすり抜けた壁の背後に、円形の暗黒闘気の柱は四つの衝撃はとなり壁の背後から襲い掛かり掻き消した・・・それをしてのけた異界の少女は悠然と立っていた。
まるで何もしていなかったが如く・・・そして・・・
「おや?あれで貴方の攻撃は品切れですか?」
若きバーンはあまりの出来事に唖然としてしまった・・・・老体の時よりも思考が逸りそして乱れやすくなるのは矢張り若い肉体に引っ張られている、そこが好機だとティファは迷いなく構え
「ならばこちらから!!!」
乱れた思考を冷静にさせない為に、自ら撃って出るという宣言に、若きバーンこそが内心でほくそ笑む。
何のつもりかは知らないが、あのような華奢な者の攻撃なぞいかほどの物か。
確かにティファの闘気量は凄まじいようだが、剣で再び打ち掛かろうとも若きバーンは負けるつもりが微塵も無かった。
確かにカラミティウォールの四連撃をあのように消されたことに衝撃は受けたが、ティファの宣言により若きバーンは、矢張り底の浅い娘だとかえって冷静さを取り戻し、-天地魔闘-の構えの用意として両腕を正眼に構えた。
あれは何の構えだと、青年ポップ達は自分達の大魔王を見るが、返された答えは芳しいものではなかった。
「済まぬが、余は若き肉体の力を十全に発揮した事は無く・・・・光魔の杖の様に技を作った事は無いのだ・・」
老バーンの有していた若き肉体は・・・言ってしまえば黒の核晶のような途轍もないエネルギーが一撃一撃に込められてしまう・・・・なんとも使い勝手の悪い肉体であった。
振えば確かに敵対勢力は一撃で屠れるが!自分が愛して守りたい魔界の大地が傷つき、それは年を経るたびに酷くなり・・・
「余自身が最後に力を振った時・・・・目の前の巨大な山が消え失せたのだ・・・」
山と言ってもそこは最早瘴気が色濃い大地と化しかけ、岩山ではあったのだが、老バーンにとっては母なる大地の象徴のように思っていた山脈を消したのをきっかけに本気でこの肉体を如何にかせねばと寝食を忘れて辿り着いたのが己の肉体を分離し、凍れる時の秘術を見つけ出し、そして秘呪を施した肉体を安全に管理する方法に悩んでいたそんな時に奇跡のように若き肉体を管理しかつ動かせられる-暗黒闘気の集合体-のミストと出会えたのが僥倖であったとしみじみと言い・・・・お爺ちゃん・・・昔語りは後にしてくださいという・・・・さしもの良い子チウも言いたげな目にハッとし、つまり老バーンが言いたかったのは、自分は若きバーンの技を何も知らないのだと言いたかった言葉に・・一同がっくりとした!!
其れではティファの良いアドバイス送れないのかと物凄く落ち込みかけ・・・・若きバーンがプルプルと震えている事に気が付いたのはティファ只一人であり・・・よせばいいのにティファはどうしましたかと無邪気に聞いた・・・聞いてしまったのだ・・・
「・・・・お前達は・・・どこまで出鱈目な存在なのだ!!!」
自分の一撃で山ではなく魔界の巨大な山を消した・・・魔界の巨大な山と言えば!!地上世界で高いと言わるギルドメイン山脈の倍はある筈!!
「それを貴様が消したというか老大魔王!!!」
そんな出鱈目誰が信じる!技を開発できなかったのならば正直に言えという・・・理不尽の様な・・・其の方が真っ当な理由だと言えそうな若きバーンの言葉に、老大魔王様は首を傾げたのだ!!
「そんな事の為に嘘を言って何になる?」
お前のその技を知らないと言えばいいだけではないかという小首を傾げてのお言葉に・・一同戦慄と共に理解させらた!!
この老大魔王様本当にギルドメインの倍の山脈を本当に消し飛ばしやがったのだと・・・もうやだ・・・どうして俺達このお人に勝てたのだろうかと・・・・あれこそ奇跡だろうというポップは大好きなのは間違いないのだが・・・色々と人外過ぎる老大魔王様に涙を流したくなるのを、自分の師達が優しく肩を叩いてくれており、顔を上げて見れば、理不尽を受けても強く生きなさいという慈愛の籠った表情に青年ポップは全て悟った・・・この人はこういう人なのだと認識してさっさと受け入れたほうが楽になるのだと・・・ショセイジュツを獲得したのだった・・・
そして若きバーンも・・・・自分の心の平安の為にも、あれはもう放っておいた方がよいと判断をした・・・・若きバーンも今まで無縁であったショセイジュツを獲得した・・・今までは自分以上の者にも事象にも出会っておらず、何千年と生きてきた若きバーンもショセイジュツが必要になった瞬間であった・・・・であれば!このバカげた小娘のする事にいちいち反応せずに、起きた事象にだけ対応すればよいのだと学習しようとした時、ティファは-ニンマリ-と笑って突っ込んできた!!
それも・・・動いたと思えば目の前に姿は見えず、白い軌跡だけが網膜に映った瞬間ゾワリと背筋に寒気が奔りただ手刀を二振りしたが空を切り裂いたのみであり!首筋に痛みを覚え直ぐに横に飛び退れば、自分が立っていた場所にティファが立っており、左手の指先に青い血が・・・自分の首筋を切った時の血がついていた!
「大魔王が貴方の技を知らなくとも問題はありません。」
何故なら構えて待とうという事は何かしらのカウンター技だと考えればいいのだからと、指先についた青い血を振り払いながら目の前の少女は事も無げに言う。
其れよりも早く動けばいいのだから
「ふむ・・・・それに剣を使って余の首を落とそうと?」
ティファの言葉に、二度もその手が通用させるかという若きバーンの言葉に、ティファはにっこりと笑って答えた。
「貴方に剣は使いませんよ。」
もしも貴方の本気の攻撃受けたら夕月の材質では壊れてしまい、私あの剣とっても気に入っているのです。
「貴方なんかを相手にして壊すには勿体ない剣なのです。」
なのでダイ君が戻るまで私は拳だけで戦いますのできちんと持て成してくださいね大魔王もどき殿という言葉に・・・・・さしもの老大魔王様も唖然とし!武器の材料と攻防を貸し出した老大魔王様は、お前ティファに何と言って拵えた剣渡したのだとギンとした瞳で自分達の魔界の名工様を睨みつければ・・・当のロン・ベルクも口を開いて唖然としていた・・・・武器を大切にしてくれるのは確かに嬉しいが・・・・これって絶対に違うだろう!!
剣も武具も!戦いに使ってなんぼ!!!それを十全に使いこなし、使い手を守る為に壊れたのであればそれが本望だろうに!何を言っているのだあのバカ娘は!!!
表面で呆然としながら内心キレたのは何も向こうの世界の魔界の名工様だけではなかく、当然貴方なんかを相手にしてと言われた当人はブチギレた!!
「き・・・様は!!本気でチリも残さず消してやる!!!!!!!」
・・・・・ある意味ティファの目論見通りに取り戻せた冷静さを再び掻き消してしまった若きバーンがティファを目掛けて拳を振り下ろせば・・・・大地が穿たれ大量の土砂が巻き起こりティファを襲い、大量の土砂の膜の様になり視界が塞がれたティファは飛び出そうとしたが見覚えのある炎の鳥が大量に飛んで来た!
あれを放置したら周りに被害が!!聖炎施せば暗黒闘気の混じった魔力から手が守れる筈
ゴォウ!!
バサラダンカン!!!
ティファもまた久方振りに聖炎を両手に迸らせてグローブの様に覆わ手刀に暗黒ではないティファ特有の白い闘気を纏わせその場ではなく一体斬っては直ぐに動きながら飛んで来た三体のカイザーフェニックスを切り落とした後は、柔らかい結界を張った直後、案の定若きバーンが蹴りを放ってきた。
しかし肉体に薄い膜状にスライムの様な柔らかい結界を張っていたティファには衝撃が少しあったのみでけられた威力で場を離れる事に成功し、無傷で若きバーンと距離を取り構えるのを、若きバーンは忌々しげにつぶやく
あの老大魔王といい・・・ふざけた小娘といい・・・
それはこの世界に何千年と生きてきて培ってきた常識だの理念だの信念だのを術得てひっくり返すような-出鱈目な者達-に関しての真っ当な感想であった
異界の大魔王達はどいつもこいつもおかしい者しかおらんのか!
きっと周りに聞こえていれば-全員-がその通りだと賛同したであろう・・・それだけ老大魔王とティファはおかしいのだと・・・・敵味方の垣根を超えた瞬間が、図らずも生まれかけた真っ当な感想は残念ながら誰にも拾われずに虚空に消えてしまった・・・
今宵ここまで・・・・
、、多種多様な価値観やら事象があるのだと小石世界の人達が知ってくだされば幸いでして・・この後はシリアス続く予定なので、筆者も箸休めが欲しかったのもある回となりました・・・筆者の作風はなべてこのような感じです・・・シリアス続くとギャグ回が欲しいのです・・・
そして処世術のカタカナは誤字ではありません。
理由は、、お察しくださればm(_ _)m