ティファが若きバーンのカイザーフェニックスで燃やされかけたよりも、矢張り少年ダイの帰還とそれと同時に若きバーンの右腕が斬り捨てられ速攻で少年ポップが素早く放ったメドローアによる消失の方が衝撃的であった・・・・つい先ほどまで世界の事を言われても分からないと泣いていた少年が、決意を込めた瞳で若きバーンに正面に立ち、二つの紋章を両の甲に煌々と輝かせている様を、どれ程の者達が想像していただろうか?
老大魔王とても、自信なさげに答えを持ってきたその時にはもう一度この身を張って若き勇者にエールを贈ろうとまで覚悟していたのが、少年ダイの瞳には確かなる闘う覚悟を背負った決意と闘志が光り輝いているではないか。
「汝は・・・・答えとやらを見つけてきたのか?」
それともあの青年勇者に戦って来いと指図をされて来たかどちらかと若きバーンは問うたが、若きバーン自身が、誰かの指図でこのような力強き瞳をしない事は分かり切っている・・分かっているだけに、自分の手元で飼えたかもしれないモノが自分の手を噛んだ事に腹ただしさを覚える!
自分の慈悲縋り!!守りたいと言っていた輩どもを背負いて自分の寵愛に縋って生きればよいものを・・・自分の問いにすら最早気配も瞳も揺れなくなった、可愛げのなくなった少年ダイに、若きバーンは失望を覚える・・・・たかだか百年にも満たない年月しか生きない者が、無意味に抗い早死にを選んだのかと・・・どうせあの青年勇者に世界の尊さだの生命の美しさだのを吹き込まれガラクタになってしまった者の答えに、本気で興味があったのではなく義理で聞いてやる。
その愚かな考え事潰せばよいのだと
だが、この世界はいつでも若きバーンの予想を覆す・・・・それはあの他界からきたーヘンテコな生き物-がきてからずっと・・・少年ダイの答えは、あまりにも若きバーンの考えとは違っていたのだ・・・それは
「俺・・・・やっぱりこの世界を命かけて守りたいか分からないよバーン。」
・・・・・・は?
「ならば・・・何故余に対して剣を向けている?」
「ん・・・・・分らないから戦ってお前に勝って、其れから知ろうと思った・・・から?」
・・・・・・なんだそれは!!!!
「ふざけているのか貴様は!!!」
分らないから知る為に・・・・・そんな阿呆な言葉であっても看過するにはあまりにも稚拙な言い分な上に!!どうして最後が疑問なのだ!!??
しかもそんな本人でさえ分かっていないような理由で!倒します宣言される自分の立場をなんだと思っているのだこの小僧は!!!
ある意味ティファや老大魔王よりも、ふざけた物言いをする少年ダイに若きバーンはガチギレを起こし、そんな曖昧な理由で戦うなどふざけているという言葉に、その言葉に少年ダイの方こそキレた・・・
「ふざけてないよ・・・・むしろお前こそ!!何の意味も無く俺の好きな人達を殺そうとしたお前こそ馬鹿じゃないのか!!!!!」
天下の大魔王を満座の中で馬鹿者呼ばわりした。
敵に対してもここまで罵倒したことが無かったが、怒りがあるならそれを思いっきり怒りの相手にぶつけるべきだと言って貰えたから・・・
「もうさ・・・本当にさ!!お前達が来なければ俺はもしかしたらデルムリン島にずっと住んでてさ!!アバン先生達来ても外の世界は凄いやくらいに考えて!!!爺ちゃんが安心するほどの大人になってからゴメちゃんを連れて世界見に行くか位に平和に暮らしていたのを滅茶苦茶にして!!!!それでなんで俺が・・・・俺が-お前達-に文句言われなくちゃいけないんだよ!!!悪いことしたのはお前だろう!!攻めてきたのはお前だろう!あっちのバーンみたいに!!守りたいと本気で思ってもいないくせに!!!!!そりゃさモンスター達は-外-では人からいじめられたり酷い目に遭ってたかもしれないけどさ・・お前のせいで!沢山のモンスター達が死ぬ事になったのに!!!なのにどうしてお前が俺に偉そうな事を言えるんだよ!!!!!!!」
責められるべきはお前じゃないか!!!!!
ダイはずっとずっと怒っていた・・・・悲しんでいた・・・・それは何に対してかと言えるほど、理路整然と考えられるほどに賢くは無く・・・・ずっと・・・大戦が始まってから・・・・もしかしたらあの-偽勇者事件-の時から心の中で怒りがくすぶっていたのかもしれない・・・
爺ちゃんが聞かせてくれた物語に出てくるようなカッコいい勇者様はいなかった
爺ちゃんが言う程に人間は素敵な人達ばかりではなかった
-外-は、自分が考えていたようなキラキラと美しい所ではなかった・・・大戦前から人の心の醜さを知り、大戦後の世界は荒廃をしていて人々の心も荒れていて・・・優しい人達にも余裕は無く、そんな世界をダイは見せられそして見てしまった・・・
外にずっといたポップとマァム達は、それは大戦のせいだと知っているからダイの様な悩みを持たずに済んできた。
そしてそれはある程度人間を知っている、ダイ寄りだと思われているヒュンケル・クロコダイン・チウ達にもそれは当て嵌まり・・・・結局のところダイの真の悩みに誰も気が付けなかった・・・・・青年ダイだけが、少年ダイの中に怒りがある事に気が付いた。
だが、青年ダイも少年ダイの怒りの理由までは分からなかった、ではなぜ気が付けたのかは、青年ダイもかつて誰にも言えずに長年抱えてきた-モノ-があったからだ。
それは・・・
「・・・・・ティファ・・・・・どうしてここまで無茶したの?」
少年ダイの怒りの発露に周りが呆然としいようとも、ティファの兄はのみに関心を向けそして怒りを発露する・・・・またどんな無茶をこの世界でしたのかを・・・後で問いたださなければならないと・・
「あ・・・にぃ・・・・」
「
ティファだって頑張ったんだよと・・・時には神にさえも怒鳴り上げるティファは、兄の言葉に慄き反省していると兄に靠れかかるのを、ダイは内心で溜息をつく。
こうしていれば、大人しくて可愛い妹なのに少しでも目を離せばこうして無茶をされる。
ダイはずっとそれが嫌でたまらなかった・・・・周りがティファのいい所ばかりを見ていた頃が、一行にもあった時があった。
ティファが大人の振りをしてずっと無理をしてきたのを気が付いていたのは自分だけで、其の事を誰にも言えずに・・・
そう、誰にも言えない明確にできないどうしようもない心の淀みを抱えた者であったが故に、青年ダイは少年ダイの心の奥底に沈められていた思いに気が付いたのだ。
違いがあるとすれば、自分はそれでも周りに恵まれ助けられ、もやもやとしながらも妹の笑顔に助けられ力強く闘う事が出来た
そして少年ダイは、仲間に恵まれてはいるが今一歩互いの想いに踏み入ることが出来ず、周りからの助けは少なく、好きなレオナから一時怖れを抱いた顔を向けられた中で戦って来た・・・・これでまともな精神で戦えると言えるものが、ましてや世界も世間も、自分と他人の心も知らない子供が、確たる信念をもって戦えると言える者がどれほどいるか
自分なら戦えると簡単に口にするものがもしも目の前に現れたら、きっと自分はそいつを潰しているだろうと青年ダイは思う。
だから青年ダイは、少年ダイに-大きな世界-を見せに行った。
狭い所で悩むよりも、大きな海を見ると落ち着く時がある。
青年ダイは、少年ダイの心を落ち着けさせるところから始めた・・・・魔法使いになるなら無いとブラスじいちゃんと喧嘩した後に、むしゃくしゃしている時いつでもティファが海を見に行こうと言ってくれたあの時の事を思い出しながら・・・あの時の自分の様に心を落ち着け見失ってしまった思いを一緒に探してあげたくて、青年ダイは少年ダイに目を閉じる様に言って、地上が-惑星-だと分かりながらも、息がギリギリできる成層圏の少し上まで少年ダイを連れ出したのだ。
-ここまでなら何とか来れるなダイ・・・・本当に世界は丸いんだな・・-
-ティファもここまで来たの初めて・・・・ガルーダに乗ってもここまで来た事ない-
竜闘気で二人を包みながら、どこまでいっても大丈夫かを実験して、ダイとティファとポップ達は改めて惑星を見た・・・・あの時感じた熱量が、言い知れない心に溢れた想いを、どうかこの悩み苦しんできた少年ダイにも感じて欲しいと、青年ダイは祈るような思いを込め、少年ダイを-少ない竜闘気-で守りながら連れてきた
悩み苦しむこの子供を助けてやりたくて
今宵ここまで