勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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よろしくお願いします。


王城決戦

        -ぐおおおおおお!!!-

 

朝の目覚めが小鳥のさえずりじゃなくておっさんの雄叫びって最悪だ・・

今からクロコダイン本気で伸したくなった・・。

-バン!!-

ポップ兄が窓を開けたら町にはモンスターの群れと、

「出てこい小僧ども!!

さもなくば町を火の海にするぞ!!」

クロコダインの通告が聞こえた。

「なんだよあれ⁉」

「ロモスは終わりだ・・」

どさくさまぎれに偽勇者一行が入ってきた。

「すみませんが邪魔です、出ってください。」

「あ!ちょ・・・」パタン。

纏めて叩き出してと、

「ダイ兄ナイフ落とさない様にバックル確認。

マァムさんは銃の点検急いでください。」

薬は・・使ってる暇は無しか・・それよりも、

「ポップ兄」

窓辺で青い顔して立ち尽くしてるポップ兄にそっと声を掛ける。

「・・ティファ・・」

声も震えて怯えてるのがよく分かる。

無理もない。

一般家庭で普通に育ち、旅の間もアバン先生に守ってもらっていた兄だ。

島でハドラーに立ち向かえたのは無我夢中で、クロコダインの時も無理をしてくれていた。

本来のポップ兄は優しくて少々臆病な質だ。

旅立ってまだ七日しか経ってない。

そんなにすぐに勇気を持てるようになったら誰も苦労はしない。

「ちょっとポップ!

しっかりして頂戴!!」

「・・分かってるよ!けど怖いんだ・・」

「でもあの時!」

「あの時だってギリギリだったんだ!!

けど・・あんな大群・・」

「ポップ・・」

ダイ兄悲しそうな顔したけど

「意気地なし!!」

不味い!!

 

               -パン!!-

 

「「あっ!!」」

「・・ティファ!」

「いたた~マァムさん。」

「ティファ・・私、ごめん・・」

「大丈夫です。

それよりもダイ兄と先にお願いします、すぐ追いつきます。」

「分かった!」

「先行ってる!!」

さてと・・

「ポップ兄。」

「ティファ・・」そんなに泣きそうな顔して・・。

「ごめんな、臆病な兄貴で・・こんなんじゃ兄って呼びたくねえよな・・。」

「そんなことない。

ポップ兄は臆病者じゃない。」

「慰めはいいよ・・」

「違う!

ただ少し、勇気の出し方が人よりも遅いだけだよ。」

「・・・」

「あのハドラーにだってメラゾーマで立ち向かおうとした。」

「・・大して効かなかったけどな・・」

「ううん、それよりも先生を助けようとしたんでしょう。

他者を助けようと力を出すことの方が大事だよ。

出来るとしても強くても、やらなかったら無いのと一緒だよ。」

「ティファ・・」

「それにクロコダインの時も手が震えていても私に残れって言ってくれた。

どうして?」

「それは・・」

「私を守ろうとしてくれたんでしょ?

それこそが勇気だよ。」

凄い事が出来るのが勇気じゃない。

他者を思い、守りたいと力を発揮する事こそが勇気だ。

「ティファ、俺・・俺!!」

「私もそろそろ行くね。」

「俺も!!」

「駄目だよ今の兄は。」

「そんな・・なんでだよ!!

料理作るお前が戦場でて!俺が残るっておかしいだろう!!」

「戦いに行くんだよ、ポップ兄は何の為に?」

「つっ!」

「即答できないから駄目なんだよ。

私や他の人が戦うからじゃない。

ポップ兄自身の戦う理由をきちんと出さないといつか命取りになる。

だから答えをきちんと出してね。」

「・・お前にはあんのかよ!

戦うっ理由が!!」

「守りたい。

私が守りたいと思うもの全部を守りたい。」

ただそれだけの単純な願い。

どんな困難が立ちふさがろうとも譲れない信念だ。

 

 

「答えが出なくてこれなくても、私は優しいポップ兄が大好きだよ。

行ってくるね。」

行ってしまった・・待ってるとは言わずに。

俺の・・戦う理由は・・。

 

ダイとマァムは逃げ行く人の群れを突き進み、王城へと急いだ。

(見損なったわポップ!!)

(ポップ・・)

二人の心は乱れるが・・それよりも魔界のモンスターに神経を集中させる。

「どうしよう!きりがない!!」

倒しても倒しても・・

「ダイ!

先生が昔、戦いは一番強いものを倒せば大群でも引くって教えてくれた。」

「そっか!クロコダインを倒せば!!」

「行くわよダイ!!」

「うん!!」

 

二人は王城に辿り着き、玉座の間でロモス王とクロコダインを見つけた。

「王様!!」良かった無事だ!

「おお!ダイ君!!」

クロコダインと距離があり、兵士に守られているとはいえ変わらずに優しい声を掛けてくれる。

この王様を絶対守る!!

「行くぞクロコダイン!!」

「こい小僧!!!」

ダイとクロコダインが打ち合っている隙に、

「王様、こっちへ・・」

マァムが安全を確保しやすい部屋の隅に王を誘導する。

部屋の外もモンスターがおり、この部屋の作りが一番頑丈そうなので外よりは安全だ。

「ありがとう娘さん。」

(ロモス王って話の通り優しい方だ。)

自国他国にも王の人徳は広く知れ渡っている。

この素敵な王様を守らなくちゃ!

「メラ!!」

「何だと!・・グア!!」

ダイがメラを・・それも効いてる!!

(男子三日会わずば刮目してみよ・・ハドラー殿の言う通り、生かしておけば後の禍根となる!!)

クロコダインはダイの成長速度に怖れを抱き、

(やむおえん・・使いたくはなかったが)

クロコダインは黒いモンスタ―入れの筒を取り出した。

「・・あれって・・」まさか!!

「皆気を付けて!!」

「ダイ!あれが・・」

「あれはモンスターを入れる筒だよ!

きっと・・強力な魔界の・・」

「そんな・・」

クロコダイン一人でも手強いのを助っ人を呼ばれると二人は焦った。

「デルパ!」・・出てきたのは・・鬼面導士!

しかも・・「ピ―!!」ゴメちゃん!!

島にいるはずの・・そしたらあの鬼面導士は・・「じいちゃん!!」

あの杖に見覚えがある!!

あれは自分とティファで森の木から一から作った杖だ!間違うはずがない!!

「-ダイ!!-」

ゴメちゃんが寄ってきて頬に顔をこすりつける・・何時ものゴメちゃんだ!!

・・そしたら・・「メダパニ」

あの呪文は!!兵士さんに放った・・

「そんなじいちゃん!!」狂暴化してる!!

「止めてよじいちゃん!!」

 

ブラスの放ったメダパニで混乱をした兵と、元凶のブラスを討とうとする兵と、

攻撃を止めようとするダイの三つ巴となり、戦場が大混乱となった。

何となればブラスは大事な家族だ!!

ダイは涙を流してブラスを守ろうと必死にロモス兵達に懇願をする。

(・・嫌なものだ・・)

このような姑息な策を・・本来ならば使いたくはなかった。

昨日情報を嗅ぎ付けてきたザボエラが策があると言い提案してきたが一度は突っ撥ねた。

しかし「勝たねば地位はおろか、百獣軍団も敗戦の罪を諸共に受けようて。」

地位は別にいい!

武人としてのおのれのふがいなさなればこその結果だ・・

だがしかし、配下を守るためには!!

その一心のみでザボエラの奸計に乗ったが・・果たしてこれでよいのかと、

クロコダインの心は乱れる。

 

 

遅くなった!!

道々モンスターを一撃必殺で倒して走るのでどうしてもロスが出来る。

それでも人が救えてよかった。

城の中にもいても、狙うはクロコダインただ一人!

「弓兵用意!!」

ん・・高い塔の上から・・広間を狙って・・あれって!!

「放てー!!!」

じいちゃんがいる!!間に合え!!

「駄目ー!!」-ブアー!-「イオ!」・・へ?

じいちゃんの前に間一髪で間に合って剣の一閃で弓矢全部落としたら・・

-ズダーン!!-・・背後からイオがきた・・。

「ティファー!」

「そんな・・」

「弓兵止めー!!」

 

いきなり飛び込んできた少女は剣の風圧のみで大量の弓矢を落としたが、

守ろうとした鬼面導士に無防備の背後からイオの直撃を喰らった。

(・・いったいじゃないの・・

でも・・洞窟修行に比べれば無問題!!)

片腕もげ掛けたあの修業に比べれば、皮膚一枚の火傷がどうした!!

あの弓の量を風圧のみで防ぐとは・・。

「小娘!我がな・・」

「誰ですか?」

「・・ティファ?」

「そいつがクロコダインだよ!ティファ!!」

少女が名乗りを遮り、自分を冷たい目で自分を下げずんで見ている・・。

 

(それは分かってるよダイ兄・・そうじゃなく・・)

「誰が・・じいちゃんを島から連れ出しこの場に居させたのかを聞いている!!」

凄まじい怒気を発している!

(何という娘だ!!・・これ程の気を感じたのはいつ以来か・・)

ティファは闘気を前方のクロコダインにのみ発して威圧する。

「あなたですか?」

眼と同じく、冷たき声で再度問う。

「・・そうだ!!」

認めねば・・やったことまで否定してしまえば、自分は本当に最低なものになる!!

「・・その胸に掛かりし笛・・」

笛・・これはいつもかけている・・

「獣王の笛ですか・・」

「な!!」

人間の娘が何故それを!!・・まさか・・

「以前それを拾って二月ほどして持ち主を知っているから返してほしいと、

おひげのおじさんに言われたので返したのですが・・」

おひげの・・では!この者がバラン殿が言っていた笛を拾ってくれたという人間の娘!!

「何故、貴方が持っているのです?」

・・やはりか・・無理もない。

バラン殿を魔王軍とは知るまい・・

「あなたは王ではない。」

「・・何だと・・」

「あの時-じゅうおう-が何か分かりませんでしたが、獣王とはそういう事ですか・・」

「・・そうだ。」自分の事を指している。

「あなたは王ではない。」

「何だと!!」

「一度負けたからと卑劣な手を使う!

まして年端も行かぬ子に挑まれ策略を使うものを王とは言わない!!

即刻本物の王にお返しなさい!!!!」

先程よりも凄まじい闘気で百雷が落ちたが如く叩きつけられた言葉に・・

俺は・・しかし!!

「黙れ!!」最早引けぬ!!

「卑怯者!!」

・・何と言われようとも・・ここまでしたからには勝たねばならない!!

さもなくば・・何の為に戦ってみたいと願った者に罵られることになったのか分からなくなる。

それぞれの思いは交錯をし、戦場は混迷を極める。




以前の笛を拾った件のフラグが半分回収されました。
すべて回収するのはもう少し後です。

主人公はおひげのおじさんの事をすべて知っているので、再会してもいきなり魔王軍かどうかは尋ねません。

クロコダインと主人公が話している間はダイがブラスにかじりついて止めていたので
話しが出来ました。

次回は勇気の使途の目覚めです。

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