勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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暖かいいしの下に:何が一番大事か思い知り・・

ミストバーンとキルバーン達は、逃げるのであれば石化したバーンを持って行って、好きなところとは言えませんが魔界の深部になら行ってください。

 

そして二度と表舞台に立つ事も裏で暗躍する事無く過ごしてくださいとつらつらとティファが言った時、一番驚いたのは誰であったろうか・・・

 

キルバーンに穢れた事を言われた青年ポップとチウだろうか?

この世界で幾度も手痛い目に遭って来たこの世界のダイ達だろうか?

それとも・・・

 

「あ・・・のさ・・・・君の・・君達のやってる事も言っている意味が皆目分からない僕は馬鹿なのかな?」

「・・・・頭おかしいの君?」

 

異界の忌々しい化け物娘は頭おかしい娘に昇格した・・・・

 

言われた当人達(キルバーンorピロロ)だろうか?

ちなみに親友たちを拒絶した後は、石化した主に取り縋っているミストバーンはもう現状どころか自身の身もどうなっても構わないので放っておいているがそれは兎も角、人形キルバーンとピロロは、そんなミストバーンを石化したバーン諸共に魔界の奥地に・・・図らずもこの頭がおかしい娘の言う通りの場所に逃がそうと、今必死に空間を繋げようとしているのだが・・・・敵でそれも大魔王討伐した立役者が、大魔王の遺骸どころか側近達に行って良しってそれってない・・・・

 

見てみるがいい、頭おかしい娘の-先程の発言で味方全員呆然としているではないか・・・・見ていて気の毒になるほどに大人達は愕然として、ポップ達の顎は外れそうなほどに驚いて・・何だろう?なんで敵のあの子達に同情したくなるのかなと、人形キルバーンとピロロは言動・思考は確かに外道で腐って最悪だが・・・ティファや老大魔王よりも常識はきちんとあるのだ・・・・・あった上で腐っているから質が悪いと言えるがそれは兎も角・・・・本気なのだろうかと、キルバーン達はティファの言葉に縋りかかる。

 

掛かっているのが自分達だけであれば、ティファの言葉を偽善だと小馬鹿にしてどこにでも行けるしそのあと好き勝手にやっていく。

だが、今人形キルバーンが体を覆被せ庇っている者を考えればそうもいかない・・・最悪は自分達だけ済ませてもらえないだろうかと算段している。

 

自分達のしてきた事が、いかに悪辣で悪逆非道で捻じ曲がり腐りきっているかなぞ分かっている。

其の上でそれが愉しくて心が酩酊していたのだ。

しかし-ミスト-は違う、数多の命を狩り尽くし、無辜の民も殺し、謀略、調略の限りを尽くしたことに変わりないだろうと言われてしまえばそこまでだがそれでも・・・自分達とは違うのだ彼だけは・・・・だから・・・最早戦う気のない彼だけでも見逃してほしいと思っていた矢先にかけられた言葉は余りにも荒唐無稽で馬鹿らしくて偽善の塊で反吐が出るとさえ、普段なら思う言葉に思わず縋りたくなる・・・・こんな非道を働いたものを許される筈が無いと知りながらそれでもと・・・・

 

絶望してきた者達が、何故絶望していたのかを己の身をもって思い知る・・・・己の死で-守るべき宝-を守り切れない事への絶望もきっとあったのかもしれない。

 

今の自分がそうであるように、己達の身だけでは済まないこの状況において、後悔は無いが何故か・・・・今までしてきたことが馬鹿らしくなった・・・あれの何が愉しいのか?愉しかったのか?

 

親友と過ごして来たあの時間に比べれば、全ての事なぞ・・・・あぁ・・・宝を喪いそうになってはじめてその価値を知るなぞという言葉は陳腐だと馬鹿にしてきたのが、今更知る羽目になるなんて滑稽ではないかと、ピロロは己を嘲笑い、クツクツと嗤いかけるのを人形キルバーンがじっと見ている・・・・最早自分と違うと言えそうな個体となりかけている人形も、きっと親友が第一で・・・・ミストを見逃してもらえるならば何でもしようと・・・・・思うのはきっと身勝手で馬鹿らしくて最低で・・・・あの頭のおかしい娘以外は見逃さないだろうと、思ったピロロの考えは正しかった。

 

ティファの言葉に呆然とした仲間達が何かを言う前に、晴れていた空が急に暗くなりそして上空で-雷鳴-が鳴り響くと同時位に、雷が石化したバーン目掛けて降った。

 

ここに来て忌々しい神々が重い腰を上げたかと、ピロロは暗雲が立ち込めたあたりからあたりをつけそしてそれは正解であった。

 

少年ダイの放った竜の紋章と、ティファが奪って来た六つの黒の核晶のエネルギー体の内の二つを混ぜた時、天と地上は一時的に繋がり天界も地上界に干渉しやすくなり、それをこれ幸いとした一部の-天の神々-が神罰を下そうと、標的が塩の柱となる-神雷-を落した。

 

それは刹那の出来事であったが、ピロロと人形キルバーンはその刹那の中でクツクツと神々の所業を嘲笑った。

 

この勝利は地上の、更に言うのであれば異界の者達と少年達の命を懸けた行動の結果であり、神々は何ら付与していないというのに、厚顔無恥にも己達の勝利だと言わんばかりに自分達にとどめを刺そうとした事が、忌々しい神々に似つかわしい唾棄すべきことではないかと・・・せめて親友だけでも逃がしたかったとなと・・・心残りは其れが全てであったが、仕方がない、自分も共にミストと行くことで許してもらおうと目を閉じて思ったのだが・・・待てど暮らせど衝撃どころか微かな痛みも無く、何故だと目を開いてみれば

 

「・・・・な・・・・んで?」

「ん?あぁ・・・・・-ミスト-に当たるの嫌だったからかな・・・・ふむ・・・これが痛いという事か・・・存外然程でもないね・・・」

 

目を開けたピロロと人形キルバーンが見たものは、自分達の頭上を庇う様にして差し出した左手が黒焦げになっている-異界のキルバーン-と・・・

 

「・・・・結界張らなければその腕塩の塊となって消えてますよキル?」

 

そんな自分達を守るように、大地に両足を踏みしめ天を睨んでいる頭のおかしい娘が立っていた・・・・

 

 

どうしてだ?

僕等は人の大切な者を・物を壊して奪って踏み躙って来たのに・・・大切な者を奪われるのは当然なのに・・・・当然の筈なのに・・・・何故・・・守られたのだ?




今宵ここまで
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