勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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暖かいいしの下に:温かい世界を目指す為に・・前編

結局ドールことキルは、この場にいる全員にハーブティを振舞う事になり、その間にティファは全員が座れる椅子と簡易的な円卓を用意してキルも含めて先ずは一息つくと事になった。

 

考えてみれば、先程まで生きるか死ぬかそれこそこの地上界と天界と魔界の命運をかけた一大決戦をした直後であり、ハーブティを飲んだ後、少年ダイ達が癒され、筒から出されて早々に偉い目に遭ったハドラーとザボエラも同じく癒される中、ハドラー様大丈夫かと親衛騎団はハドラーの後ろに立って目を光らせる中、ティファだけが飲み終えたカップを弄り回して浮かない顔をしている。

 

折角大戦終わったのに・・・厄介ごとを知らせなければいけない事に溜息をつきそうになりながらなんとか堪え、全員が飲み終えたのを確認してから意を決したように顔を上げる。

 

「先程この世界のキルバーンが私にもたらした事なのですが・・・」

 

矢張り先程の事かと、あの場にいた者達は一体ティファは何を言われたのかと身構え、その場にいなかったフローラとハドラー達とザボエラも状況を知らずともキルバーンの名前が出た事で身構える。

 

フローラはアバンからが要注意危険人物だと言っていた事で、そのような者がティファに何をもたらしたのかと眉根を寄せ、ハドラー達はあの危険な死神の情報というところからして絶対に碌でもない厄介ごとだと知っているが故に。

 

その場にいる全員から危険視されているキルバーンから齎された情報の前にと、ティファは端的に自分達の世界の大戦事情を話し、何故この場に異界とは言え大魔王バーンがいるかの説明をフローラ達に改めて話た。

 

「そのような訳で私達の世界の大戦は、三界全ての間で和平交渉が成立をして、死にゆくはずだった魔界も救われて今は私達と同じ地上に浮上したのです。」

 

元々膨大に広かった海の部分に魔界はありそのまま戻ったのだというティファの言葉に、あらためて話を聞かされた少年ダイ達はおろかこの世界の知恵者と呼ばれているアバンとても驚きに満ちた話であったが、ティファが何故この話をしたのか。

それは単に大魔王がいる事の説明ではなく、大魔王に聞きたい事がありその為の下地であった。

 

「大魔王に質問があるのですか・・」

「ティファよ、其方が聞きたい事は何であろうと余は何一つ隠すつもりなどない。

遠慮せず何でも聞くが良い。」

 

何一つ隠すつもりはない・・・・無論それは大魔王の嘘である。

 

クロファをしても知らない薄汚れた事なぞ国の利害が掛かった政治世界にはいくらでもあり、それらについての質問であれば隠さずともぼかすか偽りをサラサラと述べてティファを安心させる話に作り替えながら、その話を真実にするべく宰相ミストに-仕事-をしてもらう事になるがそれは兎も角、普段と違い歯切れが悪い幼な子の背中を押すように、ティファの隣にちゃっかりと座っているバーンは遠慮なぞするなとティファの頭を優しく撫でながら質問を促してやる。

その慈愛に満ちたバーンの全てに、ティファはモヤモヤとした心のつっかえが取れて質問することが出来た。

 

「私達の世界に、大魔王とヴェール・・ヴェルザーと張り合える-人物-はいますか?」

「ふむ・・・それは組織的にか?それともそのもの一人で余とあの冥竜王と渡り合えるものを指しているのか?」

「えっと・・・どちらかというと後者です。」

「ふむ・・・。」

 

ティファの質問に、魔界の神たる自分と、近頃はティファにべったりと成り果てた駄目竜王だが腐っても冥竜王たるヴェルザーと単身で渡り合えるものなどおらんよと笑う事無く、バーンはこれまで魔界でやりあい潰した者達や併合した者達を、人物や組織までも必死に思い出す。

 

ティファが思い悩むほどの情報をあの死神から受けた後の質問であるのならば、きっとその事と関連した事であり、おざなりに答えるべきではないとの判断を下して、過去五千年程まで遡ってみたが

 

「浮上した現在の魔界にはその様な人物も組織も存在せぬな。」

 

主だった者は自分かヴェルザーによって滅ぼらしたか取り込んで久しく、自分とヴェルザーが魔界を二分した後に大戦を初めて今に至っているという言葉に、ティファはそうですかと溜息のようにありがとうございましたと、きちんと過去まで遡って教えてくれたバーンにお礼を言う中、察しの良い-大人組-全員がティファがキルバーンから齎された情報の内容にあらかた検討が付きそしてみるみるうちに青褪めていくのを、ティファがその通りですと大人達に向かって首肯し、そして

 

「この世界のキルバーン曰く、この世界の魔界は大魔王バーンと冥竜王ヴェルザーの他に、彼等と対等に口を利ける-第三者-がいるそうです。」

 

そこからティファが、何故大魔王バーンがダイの放った竜の紋章が天界の力によって増幅された紋章閃に敗れた後石化したのかの説明がなされた。

 

「ヴェルザーもですが、どうやらこの世界のバーンも、敵と戦い敗れた時には石化する呪いをその第三者も含めて三人同時に掛け合ったらしいのです。」

 

もしもその三人のうちの二人が互いに争う也三つ巴になって戦う也をし、敗れた者達や三人同時に相打ちとなっても石化する呪いを掛け合ったという。

 

何故キルバーンがその事を知っていたか?

それはヴェルザーがキルバーンに話したからだ。

もしもバーンを討ち果たす事が叶った時、奴が石化した後は其の呪いによるものであり、その際は自分の下に持って来いと・・・・長年の宿敵の石化した亡骸をトロフィーとして飾ろうという・・・・・物凄い悪趣味なヴェルザーからの指令だったとか・・・ちなみにこの世界のキルバーンとしては其れは有りで、我が主は良い趣味をしていると思ったそうな・・・

 

「大魔王と冥竜王ヴェルザーに呪いを掛け合う賭けを承諾させ・・・なおかつその様な複雑な邪悪な呪法を掛けられるものが存在すると・・・」

「それではこの世界・・・地上と天界の脅威は依然残ったままではないですか・・」

 

冥竜王ヴェルザーの残虐性よりも、ティファの齎した情報に、アバン達とマトリフは青醒め、フローラはそのような者を相手にする事が出来るのだろうかと全身の血の気が引き、大魔王バーンを倒した事で全てが終われたと思って者達や、今後この世界に自分達はどう生かされるのかを考えていたハドラー達とザボエラの顔色を失せさせる。

 

特にハドラーとザボエラは、冥竜王ヴェルザーと自分達の仕えていた大魔王バーンの凄まじさを本当の意味で知っているだけに、その者がどれ程の脅威になるのかが分かるだけにダイ達よりも怖れ慄くのを、ティファはどこか安堵して見つめ、そしておもむろにティファが言葉を発した。

 

「その者の脅威を監視しつつ、そして今後この地上がその脅威に対抗できない程に衰退させないようにしていく為にも、ハドラーさんに-地上と魔界の間にある狭間の国-の王となって頂き、ザボエラさんにハドラーさんが興した国の宰相となって頂いて、地上界と魔界双方の為に働いてほしいのです。」

 

それが出来るのは二人しかいないのですと、真剣な表情で




今宵ここまで
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