こんにちは、前回この世界のハドラーさんに国を造ってもらい、その国の宰相にザボエラさんを推しているティファです。
本日は前回ご紹介した-人間世界と魔界の間にある狭間世界-のことを、知らないこの世界の人達と私の世界の人達にも説明しました。
狭間の世界は、十万年前突如として魔界を地下に押し込めた時に出来た空間のひずみが、何故かテラン国と同じほどの大きさ(この世界のマザードラゴンさんから聞いた時の私の感覚的な物です)で広がりそこからずっと安定しているとか。
しかもその狭間にも魔界や地上に通じる穴が出現して、名もなき魔導士達が両方の穴を安定させる技術を開発。
以来そこは魔界・地上双方知る人ぞ知る場所となり、魔族・人間・知能の高いモンスターや闇落ちした精霊等がひしめき合って住んでおり、それなりの繁栄を見せているらしい・・・何其の美味しい国?
-利-によって纏まっており、話を聞いたらスラム並みの治安らしいんだけれども誰も人間だから魔族だからという理由で争う事は無いらしい・・・けれども矢張り治安の悪いスラムっぽいようで・・・-色々な理由-で犯罪者や訳ありが大量にいるようです。
「その空間をサクッと把握するのは力業でいけばハドラーさんと親衛騎団の皆様がいれば物の一時間もたたずに制圧できるでしょう?
その後の組織づくりや国興しのノウハウはザボエラさんと彼にまだ従っている妖魔軍団とザボエラさんの人脈で、魔王軍の高官の中で大魔王バーンに忠誠を誓った者ではなくて利によって従っていた人達を調略して予め引き抜いておけば大丈夫でしょう。」
とかいう・・・・大変おっそろしい事をサラサラと述べている少女に、聞いている全員は頭を抱えたくなる・・・
こいつはどうしてこういう-悪辣な事-を考えさせれば天下一品なんだ?
この世界に来た瞬間から状況把握して、大魔王バーン討伐の後に新興勢力になりうるハドラー達とザボエラまで確保して・・・物凄い偉大な功績を調略話の手土産話に持たせて魔界に残っている魔王軍を内側から崩壊させられる手をサラサラと述べるって普通ないだろうと・・・ティファ大好きだと豪語しているマトリフとキルとラーハルトと、内に秘めているが同じくなロン・ベルクとても頭痛がする・・・・こいつもしかしてこの世界の事はじめっから知っていて、攫われた風を装った壮大な計画かとまで馬鹿なティファ陰謀説まで考えてしまう程に頭が痛い。
そう思われているとはつゆにも思っていないティファは、私そんなに実現困難な事言ったかなと、-大人達-ががっくりと顔を覆ている状況に首を傾げながらも、狭間の世界の事は大魔王達とハドラーさんとザボエラさんなら知っているでしょうと他の大人達に話を振った。
振られた大魔王は、余の幼な子は本当に沢山の事を考えられるものだと・・・うちの孫は凄いという爺ちゃん馬鹿になっているので問題ないが・・・他の大人達と同じように、この子供の頭の中身どうなっているのだと頭痛がしているので自然と話し始めたのはバーンであった。
曰く、大戦始まる前から魔界の食糧事情はこの世界よりも悪く、軍を三食食べさせられる分を確保するのは困難であり、さりとて人間達から直接買い付けるのも業腹だがさて如何にすべきかと思案していたところ、自分に敵対して国を攻め滅ぼした時その国の中枢人物が己の命を保証するならと話して来たのが狭間の世界の事であった。
バーンはその話を聞いて直ぐに納得をした。
何故ならその国は農業を営んでいる訳でも、魔界のよその国からも買い付けをしている形跡も無いのに飢えている者達がおらず(王城内の事であり庶民はその限りに非ず)、詳しく聞けばその狭間の世界を通して地上界の食糧を買っていたのだとか。
バーンはその情報を詳しく聞き出しそして当然始末した。
庶民がやせ細っているのに城内に残っていた者達は皆肥得ている事に、魔界救済を悲願としたバーンからすれば腹に据えかねたからだが、連座はせずにその男の家族と嫡男はきっちりと保護して父親の仕事を受け継がせて以来食糧問題は解決を果たしたのだと、バーンが話している間にもハドラーとザボエラも精神を立て直し、狭間の世界の事を説明してくれた。
「アバン、お前時折どうしてこんな魔道具や呪いの品が地上界にあるのだと思った事は無いか?」
「確かに・・・・人間には作れずはぐれ魔族さんだけで作れない代物を稀に見ますが・・それはもしかして・・」
「お前の考えている通りだ。王侯貴族や高潔なる神官達の方は知らずとも、地上の裏世界の者共は、狭間の世界の事を口伝として残して時折訪れている人間達が居る。」
「・・・・そうですか。そういう情報は得てして裏の方々の方が詳しいのでしょうね、私の家の蔵書や図書館や数多の文献にも、狭間の世界の事は書かれていませんでした。」
「当然だな、知られれば王侯貴族に独占されるのが目に見えてるだろうし、高潔な神官たちがその様な穢れた場所と地上を二度と往来させてなる物かと通路を塞がれるのは具合が悪い。
世間には知られずにひっそりと-厳重-情報として伝わったのだろうよ。」
ハドラーの説明にどちらの世界のアバン達も納得をし、ロン・ベルクさん達は知らなかったのですかという質問に、どちらの世界のロン・ベルクにとって狭間の世界は便利グッズが買える場所として愛用しているとか・・・
「あそこに無い物は、大金と時間がかかるが相応の報酬で頼めば魔界の鉱物を用意してくれるからな。」
大魔王に逆らって地上に飛び出た後、矢張り魔界の鉱物が欲しいとなった時さてどうしようか、また自然のひずみでいくのも面倒だと、魔界の名工としてそれなりの人脈を築いて知った情報の中に狭間の世界が入っており、伝え聞いた場所にて-手順-を踏んだところ情報通りにきちんと行けたので以来贔屓にしているとか。
「だがあそこは組織はいくつかあってお嬢さんの言う通り-王-はいない。
あそこも色んな奴らがいるが組織になると同じ種族で固まって・・・この世界のはどうだが知らんが俺の知っていたところは魔族組織が優勢だったが、こっちはどうなんだ?」
「似たようなもんだな。大体住んでいる奴等も魔族が六・七割で後は人間とそのほかの奴等って感じで、魔族組織攻略しちまえばそっくり国が出来るくらいにはなれんじゃねえのか?」
「俺が最後に行ったのはアバン達と戦う前だが、魔族感覚でいけば二十年くらいはつい最近くらいだろうし・・・存外俺を覚えている者達も大勢いるだろうな。」
「おや?貴方の御贔屓筋ですか?」
「まぁ・・・あそこは飲み食いに困らないのと、大戦を始めるに少しな・・・何度か俺に献花を吹っかけてきた馬鹿を瞬殺して迷惑料もきっちりとふんだくってやったら逆に一目置かれたな・・」
そのロン・ベルクとハドラーの追加情報に、ティファの提案が現実可能化の目途が立ち始めた。
何も今すぐに狭間の世界を乗っ取りに行くのではない。
其の辺りは調略・謀略などの方面なんでもござれなザボエラに、魔王軍内部の高官引き抜きと同時進行させ、機が熟すのも片や利によって動いている者であり、片や最早トップが倒されてしまった軍であり早晩沈むと分かっているのだろうからどちらも調略戦は長期化すまいと、いつの間にかアバン達とマトリフが提案をしてハドラーとザボエラにいくつかの事を確認しながら進行するのを、ティファは兎も角-子供組-は複雑な目でそれらを眺めている。
この世界の少年ダイ達は、高潔な先生が薄汚いザボエラと話をしていること自体が、特に潔癖感の強いマァムとノヴァは嫌であるのに、同じように-搦め手-をしようという話を熱心にしている事に心の中が苦い思いがした。
それは青年ダイとポップも同じであるが、彼等は王配となるべくその方面も-国-を守る為には知っておいて欲しいと必須科目に入っており、それら清濁併せる事が大切であり、もしも宰相や他の家臣達がそれ等の事をした時、その行為が国を守る為に必要な事であったればきちんと評価すべき事なのだと・・・・どの教師達も幾つかの例を教えてくれた。
愛する女王達と国のためにと二人は必死になって覚えたが、矢張りどこか嫌悪してしまうのを知ってか知らずか、どの教師達も自分達がする必要がなく、-万が一-あった時の対応として教えてくれた事なのだが、現実世界で敬愛している師が、世界の為に謀略戦を仕掛けようとしている・・・・それも自分達の最愛の妹が・・・・妹は壮大な謀略戦をこの世界に対して神々と六大精霊王達としたとは言え・・・最後にはその者達も欺き己の命と魂だけで始末をつけようとしたのだが・・・・こういう事に関わってほしくないと思うのだが、儘ならないと青年ダイとポップは心の中で嘆息するが、必要な事なのだと頭で納得して余計な事は言わないと黙っている。
双方を見ているバーンは、ティファはの策は成就するだろうと頭の中で算段をつけており、悠然と何の心配も無く見守っている。
ちなみにだがと、ティファはとチウ達は謀略戦に興味は無く嫌悪もしていないのでどちらにも属しておらず時間が出来たので、大魔王は最終決戦の時狭間の世界の人達をどうしたんですかと質問をしに行った。
どう考えてもこの世界のバーンは魔界の住民にさえ目を向けていなかったのだから狭間の世界なんて地上と同じくらいにしか考えていなかっただろうが自分の大魔王はどうなのだろうと聞いてみれば
「其方と過ごした十日間の間に住民全て魔界の余の領地と建物に収容したのだ。
魔族と言えどもあそこは空気が地上寄りで澄んでいた故、魔界の瘴気でなくとも空気で死んでしまう恐れがあったので浄化装置を万全にした建物で保護した。」
ある者達には今回の様に、自分に従う者にはそれなりの働く場と報酬を約束して快く避難してもらい、それでも頑強にとどまろうとした者達、特に狭間の世界にいる人間は・・・人間とは言えども其れだけで殺す理由になっていないので、地上を消した後自分に仕えるか刃向かって死ぬかの選択をさせるつもりであったというのは内緒だが、その部分を知らずにそんな事には考えが全く及ばないティファとチウ達は、やっぱりこのお人が大魔王なのだと、キラキラとした尊敬のまなざしをバーンに向ける。
この世界のチウも、老大魔王の言動にすっかりと虜になってしまい、第二の老師位に慕っているのをバーンも好意をよせてもらえる事が嬉しく、つい三人を膝に乗せて三人の頭を順繰りと優しく撫でて甘やかすのを、そもそもがこの世界の行く末(少年ダイ達に類が及ばない範囲な話)には興味が無いキルがスッと主とお子様三人に近寄り、お代わりのハーブティを淹れて茶菓子も出し、ついで複雑そうな子供達や話についていけない大人達もおいでおいでと呼んで同じようにお茶を振舞う。
「・・・・アバン先生なんか楽しそう・・」
「フローラ様も師匠も活き活きとハドラーは兎も角・・・なんでザボエラと話してんだよ・・・」
「・・・なんだか嫌・・・・」
「マァム・・・・」
「僕もです・・」
「坊や達には刺激が強すぎるか。」
「だがな、さっきお嬢さんが得た話が本当なら、盾になる所が無いと地上はまたすぐに戦乱に吞まれるんだ・・・。」
「ディーノ様、お耳汚しとは思いますが、自分もあれは必要な事かと。」
キルのお茶で少し落ち着いた子供達は、複雑な気持ちが拭えずにいるのを、話についていけないながらも大人達がケアする。
納得できなくとも、必要な事はあるのだ。
今宵ここまで
狭間の世界は筆者オリジナルですが、実は-謎の魔界の第三勢力-は原作者である三条様の構想にあったと、感想欄でいただいたので許可を得て今作に反映させていただきました。
-ヴェルザーとバーンが敵に倒された時に石化した理由は、そうなるようにバーンとヴェルザーともう一人が賭けをした結果である-と、当時の原作コミックではなく、2003年に発売されコンビニ本にて原作者様のインタヴューに書かれていたそうです。
教えてくださったクラスター・ジャドウ様、ありがとうございましたm(_ _)m
原作同様魔界編は書きませんが、対応策も残しての帰還とさせたいので今暫し小石世界にお付き合いくださればと思います<(_ _)>
(長くても御話くらいの目途ですが果たして・・・・