勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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暖かいいしの下に:帰路に・・・③

地上とそして・・・もしかしたら魔界・天界の明日をも賭けた一大決戦の勝負の行方が勇者達の勝利に終わったと、-キメラの翼を使って飛んで来たカール騎士達-の報せが入ってから、勇者ダイの父親バランと従者のラーハルト、魔法使いポップの両親ジャンクとスティーヌそして魔法の師であるマトリフ、武闘家マァムの母親レイラとマァムとチウの武闘家の師であるブロキーナ老師そして・・・勇者アバンを想うフローラ女王と勇者ダイを想うこの城の主にしてじきパプニカ王国の正式なる女王となるレオナが、夕暮れの空の下で-帰り人達-を待ちわびている。

 

キメラの翼で城に来た騎士は、勇者ダイの体調が回復次第、仲間全員で戻ると知らされ、これから各地に散った者達も、報せた事をアバンに報告に行くので暫しご免と戻ってしまった。

 

親達としては、もっと子供達や出来れば一行全員の様子を聞きたかったのだが、無事に朗報を届けられたと知ってもらうの大切だと騎士を無理に引き止めずに行かせたが・・・バランとラーハルトは首を傾げる。

-騎士の気配-にどこか覚えがあるような・・・・普通の騎士であったれば覚えていないのだが気のせいであろうか?

 

そんな風に首を傾げる二人を他所に、他の親たちは王女・女王とちゃっかりとフローラの肩に乗っているゴメちゃんは、全員の帰りを出迎えると足早に縄文に走り去るのを、二人も慌てて後を追い、臣下一同も続けとばかりにバダックを先頭に三賢者達も走って追いかけそして今に至る。

 

あれからどのくらい経ったのか、夕焼けの茜空が山入端に消えかけ一番星が見えた時、星が近づくように、先程の一人ルーラと違い新星が落ちてくるような勢いと大きな光は・・・

 

「ダイ君!!!!」

「ディーノ!!」

「ディーノ様!!」

「「「ポップ!!!」」」

「マァム!!」

「チウ!!マァムちゃん!!」

「アバン!!」

「ヒュンケル殿!!!クロコダイン殿!!!」

「ヒュンケル!!!」

 

光の中、ルーラで来た勇者一行の全員に、それぞれの待ち人に向かって全員が駆けだしそして抱き着いた。

 

流石にマトリフ・ブロキーナ・バダック・三賢者とラーハルトは最初から待ち人たちに飛びつく事は考えていなかったが、バランは息子に最初に飛びつくのを大人としてそして男親として息子の想い人であるレオナに譲ってあげ、ダイに抱き着いたレオナは大声で泣いた。

それは子供達の親よりも、ある意味十五年間待たされたフローラよりも誰よりも大声で泣いて

 

「ダイ君!!!ダイ君!!!!」

 

ひたすらにダイの名だけを呼びながら泣き続けた。

 

レオナはずっと不安だった・・・・同じ女なのに戦う術を持っているマァムと違いただ戦場に出る男達を見送る事しか出来な中で、待つ間いつも不安であった・・・自分がいないところでダイ達が大怪我をし、ベホマを掛けて上げたくとも戦場は遠い中、あの一大決戦の映像ではダイを始め、ここ数日本当の意味で苦楽を共にした仲間達全員がボロボロになっている姿を見せつけられ、ダイに至っては最後の力を振り絞る共で宣言した後映像が再び届く事が無い中にて、一応勇者側の勝利で終わったという報せを受けたとはいえども詳しい事を聞く前に伝達の騎士は行ってしまい、不安で不安で胸が潰れそうであったレオナは、人目を憚る事無く泣いている。

 

王族はね、簡単に人前で泣いたら駄目なんだからね。

 

かつてレオナに怖い時や悲しい時にどうして泣かないのか、ダイは何の気も無しに聞いた事がある。

 

それはダイにとって不思議であったからだ

 

島に共に来た神官のテムジンとバロンに騙されて殺されそうになった時も、バルジ島にてレオナを助けた後レオナ本人の口からお父さんが死んでしまった事を告げられた時も、本当の意味で戦場に出た時もレオナは泣きごとひとつ言わなかった事が不思議で、なのに自分とティファお姉ちゃんだけがいたあの隠し砦のお茶会の時は泣いたのがダイにとっては不思議であり、二人の蟠りが解けて消えた時にダイは思い切って聞いた時のレオナの返答がそれであった。

 

王族が簡単に感情を露わにするのは良くないと、レオナはそう教わって来たのだとか。

苦楽を共にし喜びを分かち合う笑う時は良い事であっても、決して己自身の悲しみの涙を見せる事なかれ、それが他者の痛みであっての共感しての涙であればやむなしと

 

「ようはね・・・・どんなに辛くて悲しくても、私達は毅然として上に立たないといけないの・・」

 

そうしないと下の者達、つまり家臣達もどうしていいか分からなくなってしまうからだと優しく教えてくれたレオナが、今泣いている・・・・人目があると分かっているだろうにそれでも自分の名を何度も呼んでくれて・・・

 

「レオナ!!!!俺!!俺はレオナが大好きだよ!!!」

「・・・ふぅ・・・う?」

「大好きだよ!!レオナの為だったら何度だって大魔王みたいな敵倒して!!何度だってレオナが大切にしているもの一緒にレオナの事助けるくらいに大好きだ!!!」

「ダ・・・・イ・・・君?」

 

ダイは、ずっとずっとレオナの事がどう好きなのか分からなかった。

ポップも好きだしマァムも仲間達も好きで、じいちゃんもゴメちゃんも島のみんなもそして・・・・バランとラーハルトも大好きなのだが・・・・レオナの事を思うと胸がドキドキする時があって、笑う顔も怒ろ顔も大好きだで、悲しい顔をされるとどうしていいか分からなくって・・・・・泣いているレオナを沢山慰めてあげたくて・・・・泣いている声は・・・・

 

 

「あぁあああ!!」

「ちょ!!!」

「・・・・ディーノ・・・・・・」

 

ダイは泣いているレオナをそっと体から放させそして・・・・泣いているレオナの口を自分の口で塞ぐ・・・・・口付けをしたのだダイは。

 

それはダイはまだ意味の知らない事で、しかし-本当の意味-を理屈ではない本能で知っている好意を、即ち妻にしたいという程愛しているレオナに対する答えがこれであった。

 

周りは互いの待ち人たちの再開でもみくちゃしていていたり、穏やかに話したりしていたが、ダイのその行動に驚き、声なく見てしまい、一応父やアキーム達が待つベンガーナ上ではなく、フローラ女王の下に先に来たノヴァは顔を赤らめ直ぐに明後日の方を向き、ロン・ベルクは笑って見る中レオナの顔は・・・・茹でられたように真っ赤になる・・・しかし嫌ではない!!

嫌であるはずがない・・・・嬉しくて・・・・このままダイと溶け合ってしまえればいいのにと、幸せな涙をころりと流すのを、バダックや三賢者達は自分達が育てたような姫君の幸せな姿に涙を流して見守る。

 

勇者と姫君の幸せなる再会を寿いで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかそれが-全世界-に流れているとは知らずに・・・




今宵ここまで・・・・
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