勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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世界に散らばるいし達:エピローグ④

「ティファ!!!ポップ君!!チウ君!もうどこにもいかないで!!!」

「ポップさん達が無事で本当に・・・」

「・・・良かった・・・・・本当に・・・・」

 

少年ダイ達の一幕を見て向こうの世界に戻って早々ティファ達は三人の花嫁・レオナ・メルル・マァム達の熱い抱擁に嬉しくて、泣いている花嫁達と同じくらいぐしゃぐしゃの顔で泣き濡れ碌な返事が出来ないでいたが、誰もそれを笑う事無く、其の六人をまたガルダンディとボラホーンが抱きしめ、少し離れたところでクロコダインも泣いて全員の-無事-の帰還を喜ぶ・・・・・特にティファはまた向こうでポップとチウを守る為にどんな無茶な事をするかと危ぶまれていただけに、元気にただ今ですと言いながら光の扉をくぐって来た時には待っていた一同は腰が砕けそうになるくらいに安堵したほどで・・・・・それが大げさだなどという愚か者はこの場にはいない。

 

他界に攫われた

 

この報が神々から齎された時、大魔王を始めこの場にいる者達は絶望に落ちかけた。

何故ならこの場にいる全員は、大魔導士や師達からお伽噺の様な話ですがと、この世界には異なる世界があり、それらを示す遺物がある事も-知識の一端-として教えてもらっていただけに、その重要性を知るが故に三人を取り戻す事なぞ出来ないではないかと花嫁達が泣き叫んだほどであった。

 

しかし三神達は-知識領域の解禁-を行い、他界との行き来は神々にとっては容易くは無いが不可能ではなくそれ故に三人は攫われたが、逆にその道を辿って取り戻す事も、制限を掛ければこちらからもある程度の人数を送れることは可能だと知った時、後はティファ達が知るように-誰が行く案件-で揉めに揉めたのだがそれは兎も角・・

 

「・・・・私達が向こうで過ごしたのは五日間で・・・・こっちの世界では五時間くらいだったのですね・・・・」

 

花嫁達や周りが落ち着くまで随分かかったが、其れもそこそこ落ち着いた時にティファが-長い間ご心配おかけしました-と言った時、ハドラーが体感的には兎も角実際にかかった時間は然程でもないと言われた時に教えられたことが先ずそれであった。

 

即ちティファ達が向こうで五日間過ごした時、こちらの世界からアバン達を送ったのがティファ達が攫われて三・四時間後程であり、その一時間後位にバーンとダイが全員に声援を送られながら向こうの世界へと渡ったのだと・・・

 

三神達の説明では、時空の揺らぎで互いの世界の時間の流れにズレが生じるが、今回は自分達の世界に良い方向に作用したのだと安堵した声で教えられたとか。

もしもあちらの五日が、この世界の五百年にでもなっていたら間違いなく向こうの世界は滅ぼされていたであろうろう案件であったのだから無理もないが。

 

「そっか・・・・へへ・・・・俺達皆を五日間も待たさずに済んだのか・・・・」

「本当だね・・・良かったよ・・」

「ご心配おかけしました・・・」

 

教えられた内容に、ポップとティファとチウは嬉しそうにした。

 

自分達は無我夢中だったから時間なぞあっという間に経っていたが、絶望にも似た状況で待つ身としては五日間は長いだろうと心配していたのだという、心優しいポップ達の言葉に、特に心配を掛けたというチウの言葉にその場にいる全員はまた泣きたくなった・・・

 

理不尽で身勝手な理由で攫われたのは彼等なのに、それが申し訳ないというチウの心根のいじらしさに・・・・向こうの事を恨まずに許してしまう優しさに・・・もっと怒って良いのに、なんだったら首謀者を処断しても良い筈なのに・・・・だがこれが自分達なのだと思うとレオナ達は三人が誇らしくなる。

 

他界に連れ去られようとも、ティファとチウとポップの心が変えられる事無く自分達の知る優しく強いままでいてくれた事が・・・・

 

「痛いですよガルダンディーさん・・・」

「うるせぇ!俺に好きにされておけチウ!!」

「・・・ボラホーン苦しい・・・」

「もう・・・・放したくない・・・」

「心配かけちまったなおっさん・・・」

「お前達のせいではない・・・無事に・・・・帰ってきてよかったぞ・・・・」

 

そんな三人を花嫁達の後はガルダンディとボラホーンとクロコダインが熱い抱擁で閉じ込めるのを、精霊王達は温かい目で見守り、双子の魔族料理長たちもぼろ泣きしながらティファを抱け閉める順番待ちをして、留守番をせねばならなかったノヴァとハドラーとミストは帰還したダイ達を労う。

 

本当は彼等も行きたかった・・・・行って三人の無事を自分の目で確かめそして-元凶-をこの手でと思ったが・・・それもも良い・・・

 

この世界の宝達がこうして無事に戻ったのだから・・・・

 

 

 

だが・・・・・見た目は兎も角として-心-の方は分からない・・・・

三人はこことは異なる世界にて、-様々な悪意-に晒されてしまったのは他界のマザードラゴンの逐一報告によって知っている・・・

 

それは主に向こうの世界の-キルバーン-による事が多く・・・・特にチウとポップの心が心配である・・・・

 

そしてその懸念は外れる事無く、直ぐに傷は表れた・・・・・

 

ここは大魔王宮であり、ここにはバーンが魔界の領主時代から大切にしているスライムの一族がずっとおり、其のスライム達は大戦時の最中に出会って優しくしてくれたティファはもとより、その後このパレスに遊びに来る様になったダイ達にも懐いて当然のようにポップとチウにも甘えるようになっていた。

 

彼等は優しくしてくれる者達に直ぐに懐く特性があり、いつも会っては頭を優しく撫でてくれる彼等を慕い、今日の集まりにも顔を出に来てそして-何時もの様に-周りにいる優しい人達に体をこすりつけて挨拶をしながらティファ達に寄っていきそして・・・寄って来た彼等をガルダンディ達も目を細めて撫でてやり、ティファ達にも挨拶できるようにとスライム達に場所を譲った時・・・・・・体を擦り付けられたポップに異変が起きた・・

 

 

 

 

 

 

 

 

柔らかくて暖かくて・・・・・・それは・・・それはまるで・・・・・まるで・・・

 

 

 

「あ・・・・」

「・・・・にぃ?」

「ポップ・・・・どうし・・・」

「あ・・・・あぁあああ!!」

「ポップ兄!!!???」

「どうしたのポップ!!」

「矢張りどこか怪我を負ったのか!!???」

「ポップ!!!」

「ポップさん!!!!」

「ポップよ!!!!」

 

突如として頭を抱えながら崩れ落ちたポップに、ティファとチウは頭を打たないようにと支えながら何事かと周りも顔を青褪めさせながら囲む中、ポップの顔は蒼白となり胃の中のものを床に溢しながら、ティファとチウの腕の中でのたうち回る・・・・

 

暖かく柔らかい彼等の体に触れて思い越してしまった-感触と後悔-の念を抱えながら

 

向こうの世界で引き裂さいた柔らかい身の感触が・・・・・直接手にかけずとも戦いの手助けをした事で訪れたモンスター達の死にゆく断末魔の声が、元の世界に帰って来ようとも、ポップを逃がしてはくれなかったのだ・・・・

 

そして知ってしまった-この世界-のありふれながらも悲しい-この世界のモンスター達の実情-が・・・・それまで全く知らずに幸せでいられたポップを短期間ながらも確実に蝕んでいたのだ・・・・




今宵ここまで・・・・

戻ったからと言えどもーそして彼等は幸せに暮らしましたーとはなる事は無く・・
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