「眠れないの?」
「・・・・メルル、眠れなくても目は瞑ろう?
少しでも休まないとメルルの方がまいっちゃう・・」
「姫様・・・・マァムさん・・・。」
男女別れてそれぞれの部屋に引き取った後、ウェディングドレスよりは重くは無いが、それでも普段身につけないような華やかなドレスと、普段着であったがポップの魔力暴走をもろに受けてボロボロになった服を脱ぎ去り寝間着に着替えたティファ達は、大きなベッドでティファとメルルを中心にして横になったのだが、メルルもマァムにもレオナにも眠気はちっとも訪れずに悶々としている。
自分達の幸せな時間に襲って来た不幸を処理できないでいた時にポップの出来事と・・・この世界の不幸な真実の一端を知った事が更なる追い打ちになった。
最愛の人で今日夫になる筈であったポップは強くてそして優し・・・それは自分の周りの仲間全員に当てはまる事ではあるが、ポップメルルからすれば-世間知らず-の側面があった。
ランカークス村ではポップの父親に対する信条は兎も角として、曲がりなりにもきちんと世間の悪意から守られており、長じてからは世間を知る前に-勇者の家庭教師-なる変わった人物に押しかけ弟子をした事でそれまで以上に-世間-を知らずに旅から旅への生活となって、テランの一所に住むようになった今も・・・・テランはある意味一般的な世間とは隔絶された国であり、そもそもが救国の英雄の一人であり大勇者の三番弟子を好き好んで害するものなど要る筈も無く・・・しようとしたが最後、きっと魔界の神様までもが動いて悪意の手が伸びるどころが動く前に-痕跡-すら残さずに消されるだろうというのがメルルとレオナの見解である。
似たような環境で育ったポップ以上に優しく慈愛に満ちたマァムは、それでもロモスの森の中の村で常にモンスター達の事を警戒していた生活だった事もあり、ポップよりも-人とモンスター-の現状を正しく認識している。
強くて優しい世間を知らないポップを・・・どう慰めてあげればいいのかメルルは不安で不安で堪らないでいるのを、ティファが半目で頭をガシガシと掻きながらむくりと起き上がる。
「ティファ!ちゃんと寝てないと駄目でしょう。」
そのティファを、キチンと寝なさいとマァムも即座に起き上がり叱りつけ
「ティファさん!私が言えた事ではないですが横になって休まないといけません。」
メルルも身を起こしてティファに横になるように促し
「ちゃんと寝ないとダイ君に言いつけるわよ?」
・・・・・・レオナの放った一言には、流石にティファも怯みかけた・・・・あの兄に異界からさらわれて帰還したその日のヨロをきちんと休まなかったと知られた日には、嫁さん共々一緒に寝ないと駄目かなとか言われそうだが・・・・ここは負けた堪るかとティファは頑張った!
「どうせ寝られないのなら夜更かししませんか?」
体も心も色々と疲れすぎていてティファも全く眠くない。
寝ようとする方が悪い考えがよぎってしまうので無理に寝るよりも・・・・
その提案を聞いた女子三人組は・・・・目が点になって眩暈が仕掛け・・・・反対しようとしたがティファの話術に結局は丸め込められ行動開始となった・・・・大人達に見咎められたら!全部ティファが悪いのだ!!!
ティファ達の部屋の徒は違って物凄く近い位置ではあるがそれぞれ一つ一つのベッドでダイ達は休み事になったのだが・・・・ティファ達同様眠れる気が全然しなかった。
ティファ達が無事に戻って来た・・・それだけであればとんでもない事が起きた後であっても喜びあって眠りにつき、明日の朝に・・・・何もかもが-元に戻って-・・・・なのに!!
「・・・・ポップ・・・・チウ・・・・・俺・・・・・・・やっぱり向こうの世界に戻って天界のゴミども-焼却-してくる!!!」
「駄目だってダイさん!向こうへの道はもう二度と繋がらないように神々と精霊王様達が全力使って閉ざしたって、それに僕もポップもそんなこと望みません・・・・もう怖い事嫌です!!」
「チウよ・・・・」
「・・・・ディーノ様、私としてもポップとチウと・・・・ティファ様を傷つけたあの世界の一部の者達も許せない気持ちは分かります・・・・しかしきっと・・・」
「うぅ・・・・ティファちゃんと寝てるかな?メルル大丈夫かな?レオナとマァムも心配だよ・・・」
「・・・・こういう時にエイミがいてくれれば・・」
「それは・・・・仕方ないよ、ポラリスとスピカの方を優先しないと・・・」
メルル達と同じように、魔力切れで気絶するように眠ってヒュンケルに部屋まで運ばれたポップ以外は全く眠れずに同様に悶々としており、ダイなぞは怒りがヒートアップしてやはり向こうの元凶神だけでも滅ぼしてくると、着替えた寝間着のまま飛び出そうとするのを、被害者当人であるチウを筆頭にヒュンケル・クロコダインと忠臣たるラーハルトにも止められしおしおと諦める・・・・確かに復讐だのなんだのを、ポップもチウもティファも望まない・・・・・
だが、ダイとしては-自分の-大切な妹と親友と心優しい仲間を攫い・利用し傷つける原因となった元凶なぞ滅ぼしつくしても飽き足らない・・・・全員を(当て落として)寝かしつけたらちょっとだけ三神様達と(脅し)お話合いできないかなとかちょっと・・・物凄くやばくなって良くダイの思考は、扉のノック音によって遮られた。
最早真夜中であんなことがあった後なので出歩くものも尋ねる者達もいないだろうと思っていただけに、ダイ達は顔を見合わせる。
先生達が心配で見に来たのだろうか・・・・普段から気配が全くしないので誰か分からないのがこういう時困るところがある。
ダイが出ようとした時、用心の為にラーハルトとヒュンケルが応対する事になり扉を開けてみれば・・・・
「へへ・・・来ちゃいました~。」
・・・・・・遠慮がちに笑って枕を持っているティファと・・・・同じような遠慮がちな笑みを浮かべているマァム・メルル・レオナの姿があった・・・・・・今深夜でここには男しかいないのに・・・・・見ている者が理解できないラーハルトとヒュンケルはきっと悪くない・・・・・
今宵ここまで・・・・