ティファの提案その三は・・・・何と言おうか斬新できっとこの世界の誰もが今まで考え付かないような事ではあり・・・・真っ当であるとは言えないがものすごくいいのもであるという複雑な提案であると言えよう。
斬新で世界初の提案というのは-モンスターを人の中で働かせてみよう大作戦-であった。
「こほん・・・・説明しましょう!!」
資料読んで提案を初めて見た大人達全員が凍り付いたのを他所に、凍らせた当の本人はそんなことどこ吹く風でドヤ顔で・・・・言っては何だが年頃の娘とはとても思えないようなぺったんなお胸をそらしてドヤ顔で説明をし始める始末。
「確かに世界の大半のモンスターさんは- 見た目ちょっと怖い子達-がいますが、外見よりも中身を見ようと思ってもらえるように、モンスターさんの中から有志を募って人の中で働いてともに汗水を流してもらい、絆を育んでもらおうという作戦なのです。」
例えばよく勇者一行の戯曲が催される時、必ずヒュンケルの肩にはベホイミスライムのベホがおり、仲間を庇って傷ついたヒュンケルをすぐさま癒して寄り添い合う場面が必ず一つは設けてれている程-戦士ヒュンケルと癒してのベホイミスライムのベホ-の絆の場面は名シーンの一つとされるほどであり
「ならばベホイミスライムが人の診療所で働いても、下地は出来ているようなので違和感なく溶け込んで共に働ける公算が高いと思うのです!」
そしてもう一つの働き口は-ドラゴン-達にあるとティファは自身に満ち溢れた顔をしてとんでもない種族を出して来た。
ドラゴンといえば一頭だけでも厄際と呼ばれるほどに怖ろしく・・・・言っては何だがどこに人とドラゴンの間にベホイミスライムの時のような下地があると思いきや
「花嫁行列の時のような事は早々に出来ませんが、ドラゴンライダーさんと飛行タイプドラゴンさんと組んでもらって長距離輸送や二頭で組んで籠を使って大型野物の空輸とかやりようは幾らでもあると思えました。」
これが実現できればこの案はモンスターと人との距離の進展のみならず、ドラゴンライダーとなりうる-魔族・半魔の人達-も巻き込めるとティファは力説をする。
その理由はドラゴンは生来ステータスが他腫族に比べて普通に高くて知性もありそれが故に誇り高い。
そんな彼等を乗りこなすドラゴンライダーになれる人間は一握りいるかどうかだが、魔界では結構な数のドラゴンライダーがいたりする。
人間よりも強靭な肉体に有した力でドラゴン達を従えられる者達は多く、ドラゴンライダー達の空輸仕事を頼めば自然魔族・半魔達と接する機会が一般の人達も増えていけるだろうというティファの見込みは、予めアバンやバーン達に良き案であるという太鼓判を押してもらっているので怖じ気づく事なく堂々と提案をする。
ティファの中では人間とモンスター達が仲良くなるだけではそれでは足りないのである。
人間とモンスター達と魔族と半魔と精霊と天人達皆が仲良くできる事を目指せる、目指してもいいのだと言える世界が欲しいのだ。
それは自分が生きているうちに何が何でも実現させようという事ではなく、自分が見られない、其れでも-未来の何処か-で実現できるかもしれない世界の下地だけでも作りたいというティファの願い。
確かにこの提案のきっかけは兄ポップや仲間達が-そういう意味-で二度と傷つかない優しい世界を作りたいという仲間達の想いからであったかもしれないが、ティファの更にその先を望んだ。
即ち二度と種族の違いで争い傷つくことが無い事を願った。
そんなものが夢物語である事をティファ自身が百も承知の上で
ティファは別に夢想家ではない、理想が全て現実になると思った事はない・・・・三界を和解させるきっかけを作る事を願って大戦まで過ごして来た身でだが、現実は往々にして-欲-の方が勝る事を知っている。
他者よりも良い生活をしたい、偉くなりたい、憎いから相手の罪の有無など知った事ではないと虐げ差別し、何もなくともそういう事が多々あるのが残念ながら世界のあちこちにあるのをティファは兄達よりもよく知っている・・・・知った上で大戦時に敵と普通に話すようなことをして、真っ当な世間様やカール騎士達の逆鱗に触れるようどころか叩きまくった真似をしていたのだから始末が悪いのだがそれは兎も角、戦争も小規模な争いも差別も何もかもが無くなるという事が無くならないという事を知っている。
知っているが、だからと言ってそれを受け入れてやる気なんぞティファには毛頭ない。
無くならないまでも減らす事を、もっと言えばそれらの萌芽を防ぐ世界をティファは夢見ている。
どんな種族も助け合いできる隣人となり、触れ合い笑い合う世界が出来ても不思議ではない-いつか-を、ティファは思う・・・・そんな世界はきっと実現困難どころか道半ばで種族間の大戦か種族内の争いで世界が荒廃するかもしれない公算の方が高いかもしれない、それでも
山間部では若い人たちも少なくなっているというところがおありのようなのでゴーレムさん達に力仕事を手伝ってもらい、山や海のモンスターさん達と盟を結んで遭難や船の難破などの時には力を貸してもらうなどの案をティファは精力的に発案をする。
モンスター達も一見して個々だけで自由に動いているように見えるが実は縄張りのボスがきちんと存在しており、其の縄張りのボスの中で纏まっている事が多い。
分かりやすく言えば-ライリンバー大陸-のモンスター達は獣王クロコダインを頂点にいただいており、今でもクロコダインがロモスを訪れ森に行けば大物モンスター達がこぞって挨拶に姿を見せるという。
なればその様に縄張りのボス的存在に人間との共存に利がある事を説き、盟を結んではどうかとティファは提案する。
互いの縄張りは不可侵とし、人間もむやみにモンスター達の縄張りに踏み込まずモンスター達の皮・骨・牙などの素材目当ての密猟者達が居ればすぐさま騎士団や兵士団が対応し、モンスター達には森や山海などでの遭難時の救助活動に力を貸してもらうなどの互いの利となる事があれば或いはとティファは考えたのだ。
互いの利になる事はきっと大勢の人達と考えればもっと出てきて、盟を実現できる道がある筈だと信じて。
だがしかし、モンスター達は疎まれ憎まれる事だけで狩られるのではなく、其の遺骸から得られる素材目当てな事の方が遥かに多く、クルテマッカからその点はどのように人間側に狩るのを規制するのだと問われる。
素材集めを生業とするものは武具が発明されてから連綿と続いた事であり、密猟云々を如何にティファが言っても他の王達もその通りと頷くのを、ティファは少々浮かれていた表情を引き締め真剣な面持ちで告げる。
その顔は真剣でありながらも、どこか痛みを堪えるような沈痛さがあり、ティファの声は幽かに振るえてそれを告げる
「魔界にて没した竜族の多数の骨や牙が眠っている地があります。」
それは彼の冥竜王ヴェルザーが教えてくれた古より竜の墓と呼ばれている地があり、寿命を迎えし彼等がひっそりと眠るついの場所となる神聖なる土地である場所あった・・・その地を、魔界において現在の竜王と呼べる冥竜王がその地に眠る同胞の遺骸を素材として以って他のモンスター達を使わずに済むようにするが良いと・・・・・ヴェルザーが許可したのだと・・・・
今宵ここまで