勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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世界に散らばるいし達:エピローグ⑳

「死ねば骸、弔うなぞというのは人間か魔族の一部か・・・自己満足とは言わんが俺様からすれば-物体-になった物に対して嘆き悲しむなぞとは・・・・お前と小僧に遭う前の俺であったなれば嘯いていただろうな・・・・泣くなちび助、生きているものが無為に狩られずにいられる・・・・遺骸も文句は言わんだろうさ。」

 

つい数日前まで、ティファは新婚さんであるダイ達と良き世界を作るにはとパプニカ王城に仲間全員で缶詰めになっていた。

 

対外的な名目としては、お兄ちゃんが結婚してティファ寂しい!・・・・いいのかこれでと思った一同であったが、常日頃から我儘を・・・・・・全世界どころか世界そのものの命運に対して言って天・地・魔界の全てを丸ごと変えたティファであるがそれは兎も角として、それ以外では本当に個人的な要望を出した事のないティファが言った事なのでそれはすんなりと通り、父バランと祖父ブラスはそちらに迷惑を掛けないようにという注意だけで一月という約束の外泊を許されている。

 

そんな中、全てを知っているヴェルザーはバーン達が今最愛であるちび助と小僧から離れたのを見すましてすぐさま駆け付けた。

とは言えあの巨体ではなく、ちび助ことティファの肩や頭の上に乗れる小型サイズ化をしてやってきた。

 

ダイとティファと懐深いメルルとチウと、すっかりその光景になれているデルムリン島に住まうラーハルト・マァム・ガルダンディー・ボラホーンは兎も角、ヒュンケルとクロコダイン、アバン、マトリフからすれば彼の冥竜王ヴェルザーの今の姿と光景に何か言いたげであり、ティファ幼馴染のノヴァ等はティファに馴れ馴れしすぎるとこめかみに青筋を浮かべているのをヴェルザーはどうでもよさそうにしてティファ達の無事の帰還を喜びながらも、今度は一体何を企んでいるのだとティファにド直球で聞いた。

 

ティファが兄が結婚して寂しいなぞというはずがない、寂しいと思えばさっさと島でのんびりと過ごしているガルーダに頼んで瞬時に兄達の下に行けばいい話しなのをヴェルザーは知っている。

 

各国とも白や国の防衛上大戦時の様にフリーでルーラで行き来する事を禁じる協定が結ばれ、城にはルーラやキメラの翼などの魔法移動を防御する結界もあるのだが、ティファの神獣ガルーダには結界が通用しない。

 

飛行モンスターは魔法力で飛んでいる訳ではないのと、そういう事態に対処する為の見張り達には新兵が配属されるたびにティファとガルーダの絵姿を見せてきちんと覚えさせてから任につかせるのが各国共通である。

 

要はティファとガルーダは各国どこに行こうともフリーパスで入れるのだ。

 

ティファは現在どの国にも属しておらず、それ故に自由に行き来しては良き事の助言をしても良いといういわばコンサルティングのような立ち居にいるがそれはまた別の話ではあるのでそれは兎も角として、パプニカ王城だろうがテラン王城だろうがティファは生き放題なのだからその内情を知っているヴェルザーは瞬時にあちらで何かあり、其の事でティファ達・・・ぶっちゃけティファとダイ以外はどうなろうともあまり知った事ではないが、ティファ達ではないにしろ島で共に生活をしているラーハルト達にはそれなりの情は湧いて、半月以内には島に遊びに来るポップ達の事もそれなりに気に入ったヴェルザーとしては、何かあるのならば・・・・何かしてしてやれないかと・・・・あらゆる意味でバーンとその側近達が天変地異の前触れかと本気で思いそうな事をしに来たのを、ティファとダイはバーン並みに信頼しているヴェルザーが来てくれたのを喜び、その笑顔で気を良くしたヴェルザーであったが、全てを聞き切ったヴェルザーの気配はどす黒く変色した。

其れこそ冥竜王ヴェルザーの最悪期全盛の悪意の塊と化した。

 

ちび助とポップとチウを攫われただけでも最悪であるのに、ポップとチウの心と精神を傷つけた向こうの世界の神々の生命をどうしてくれようかと・・・幸いその三人にやめてほしいと止められたので無しになったのでそれは良いが、ティファ達は向こうの事で知ったモンスター達と人との間の現状をこれ以上悪化する前に何とかしたいのだという話にヴェルザーは溜息をついた。

 

人間がモンスターを狩るのは様々な理由があり、勿論スタンピードや脅威となる事で狩る事もあるが、最大理由は其の遺骸からとられる素材にあると、婉曲することなくティファ達に伝えた時、ティファも含めて子供達は揃って青い顔をになってしまったのを、ヴェルザーは今度は心の中で溜息をつく。

 

一体こいつ等の周りの大人達は、どこまでも綺麗な世界しか見せようとしなかったのだと丸わかりな事にさしものヴェルザーをしても呆れたのだ。

子とはいつか大きくなり世界を自分達の足で歩いていくという事を丸っきり無視したような事を仕出かしている大人達に向けての溜息をティファ達につく訳にはいかないので内心でついたのだが、話の手を緩める事をヴェルザーはしなかった。

 

ダイの剣はオリハルコン製であり、その他の仲間達の武具もオリハルコン製や鉱物が主であるが、世間で使われている剣にはモンスターの骨や牙や角があり、防具の皮素材には間違いなくモンスターの皮必要で、鞘も其れが当て嵌まる。

 

それ等を売り買いしている者達の商いを潰しても生活が成り立つような代案があるのかというヴェルザーの言葉に、ティファ達は泣きそうになったのがその問いへの答えになった。

即ちそこまで深く考えていなかった事を・・・これはティファ達がずっと強者であり続け高みにいたことの弊害でもあった。

 

ティファ達が使っている品にはその様な一般的に使用しているものなど使った事はなく、魔法使い見習いであった頃のポップも師であるアバンが良いものを選ばれ獣系モンスターの素材が使われた物を触った事も無く、戦士剣士でもないので防具も見た事も無く興味も無かったのでその手の知識はゼロであった。

 

ではヒュンケルとクロコダインはどうか言えば、彼等も人間達が同族やモンスター達を狩っているのを知っていたが、それ等は居住区を奪う為か、肉としているのかを考え素材であることまでは考えていなかった。

彼等もまた鉱物類の武具を専らとしていてその手の知識に興味も無かったのが丸分かりである。

 

長い年月を掛けて続けられた人間達の営みの中には間違いなくモンスターの素材を扱って生きてきた者達があり、それ等を如何にかする方法なぞ急激に思いつける訳も無いのだから。

 

だから自分から提案をした

 

魔界には竜魔族が死ぬときに訪れる一種の墓場のようなところがある。

 

「骨や牙や、竜族の羽の皮膜はそうそう風化される事はなく防具として使える。」

 

何万年もの間眠っていたその量は膨大であり、優に五百年は人界の武具類を賄える量がある事を。

 

「それを使えちび助。」

 

その間に防具類をモンスターの素材で使わずに済む研究を各国や民間にさせろというヴェルザーの言葉に、ティファ達は泣く。

 

今生きている者達の為にとは言え、亡骸を使えというヴェルザーの言葉に・・・同族の骨を使えというヴェルザーの心情はいかばかりか・・・

 

それでも、ティファはそれを使わせてもらう事を決意した。

 

いつか素材を鉱物や植物だけで作れる武具を開発できるようにする事を誓って・・

 

そして、今日この日王達に話全てを話したのだ・・・・




今宵ここまで
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