勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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よろしくお願いします。


捕まりました

言わせておけば!!

小娘の言葉に腸が煮えくり返りそうだ!

実力は確かに高かろう、殺す気で放ったストラッシュもどきを振り下ろしの一閃でかき消したほどだ。

ダイと呼ばれた小僧と他の二人は自分の復讐理由を知ってショックを受けて口を閉ざしてるが、

この小娘は黙らせようと先程から怒気・殺気の闘気を叩きつけても平然と自分に話しかけてくる!

-バルトスさんはどう思うでしょうか?-

その時の顔は悲しげだった。

それはアバンが時折自分に向けていた顔と同じ、悲し気でしかし優しさのこもっていた顔。

-ヒュンケル-その顔で名を呼ばれるのが・・とても嫌だった!!

眼鏡のせいか、ティファという小娘とアバンが重なる!!

 

 

「ダイ兄、立てる?」

「ティファ・・おれ・・」

無理か、肉体よりも精神に来たんだな。

バルトスさんとじいちゃんを重ね合わせて・・生い立ちの似た二人・・片や幸福に育ち、

もう一方は悲しい結末で終わってしまった。

もし自分もおなじめにあったらって・・でも!

「駄目だよダイ兄!引きずられないで!!」

「ティファ・・」

「少なくともじいちゃんはこんな復讐望まない筈だよ!」

「でも!」

「それにダイ兄は大勢の人を助けたいんでしょ?

 だったら、心が闇に落ちた人も助けないと!」

「どういう・・」

 

「何をごちゃごちゃと!!闘魔傀儡掌!!!」

「あう!!」

「ダイ兄!!」

「小娘!」

「何です⁉ダイ兄離して・・」

「お前は言ったな!俺の復讐は間違っていると!!」

「その通りでしょう!討つべき仇が死しても復讐するなんて間違っています!!」

「ではお前が最愛の者を目の前で殺されても同じ事が言えるか見てやる!!」

・・まさか!!

「ブラッディ!」

いけない!・・剣と体全体に闘気を纏わせ

「スクライド!!」

「竜巻閃!!」

ヒュンケルの技がダイ兄に届く前に竜巻閃の高回転で闘気の糸を切断して技も防げは・・

「がはっ!!」しなかった。

必殺の一撃はやはり重い、脇腹かすっただけで体内の臓器のどこかが傷ついて口の中が金臭い・・思ったよりもダメージくらったか。

でもいい、ダイ兄は傀儡掌で気絶しただけで守れて上々だ。

「ほう、よくそれで済んだものだ。」

本気で殺す気で撃った技を咄嗟に反応をして小僧を無傷で守り通し、無傷とはいかずとも

二人とも生きている。

しかし傷は深いようで剣を杖としかろうじて立っているだけで限界は近いようだ。

 

「・・強いですね。」

「ふん、今更命乞いか?下らん。」

「いいえ、勿体ないと言わせていただきましょう。」

「・・何?」

「その力があれば苦しんでいる大勢の人々や善良なモンスター達を、今この時にでも救う事ができるでしょうに。」

「何を!!」

傷ついても・・優しく教え諭そうとする・・アバンの様に!!

「黙れ!!」

女・子供を殺そうと思った事は今まで一度としてない!だがこいつだけは!!

-ダーン!!-

「・・何だ・・」

破裂音と共に霧がかかり、一行のもう一人の少女の幻影が広がった。

「・・マヌーサか・・」

カラクリは分からないが所詮は幻影の呪文、本体は・・「やあっ!!」

「甘いな!」-ドガ!- 「ぐっ・・」

攻撃しようとする瞬間に捕捉可能だと、背後からの攻撃も難なくかわして少女の鳩尾に

肘を決めて気絶させる。

戦い方が素人を上回る程度のものなぞ軽くあしらえるが・・ティファという小娘は確実に殺す!

 

「メッラゾーマ!!!」―ゴオウ!!-

 

少女との間に炎の壁が立ちふさがった。

「ティファ!逃げろ!!」

「甘いわ小僧!!」

炎をかき消すついでに、呪文を放った者にも一閃を送り付け諸共に薙ぎ払った。

「ぐああ!!」

 

呪文に全神経を使っていたポップは反応出来ずにもろにくらい、数メートル地面を転がり

ティファ達から引き離されてしまった。

「そこで見ていろ!この小娘の死に様を!!」

憎悪に溢れた瞳に殺気を宿し、呪いを吐くようにヒュンケルは叫び上げて気を最大限に練り上げる。

確実にティファを殺すために。

(まだ・・後一撃もって!)

実力バレてもいい!原作ブレイクになっても死ぬわけにはいかない!!

ここで本気でヒュンケル叩きのめす!

ティファも覚悟を決めた。

やろうと思えばヒュンケルを倒すことは可能だった。

しかしそれでは本当の意味でヒュンケルを助けられないから原作通りに進めようとしたが、生死がかかれば話は違う。

死んでしまっては大切な人達は守れなくなってしまう!それだけは駄目だ!!

「ああー!!!」

ありったけの闘気を込め、

「止め!!」

自分に掛かってくるヒュンケルを迎え撃とうとした瞬間・・影が視界の端に映った。

(何⁉)何かが目の前に来たので急いで技を止めて、無茶な闘気のフルブレーキに体内が悲鳴を上げたが構っていられなかった!何故なら!!-ドシュッ!-

鈍く何かが刺さる音がした。

目の前に来た-なにか-が、自分の身代わりにヒュンケルの技を・・

「クロコ・・ダイン・・」

目の前の大きな鎧にピングの大きな尻尾は、二日前に死闘をした相手、獣王クロコダインだった。

「獣王クロコダイン!貴様何のつもりだ!!」

庇ってもらったティファと見ていたポップは様々な意味で驚き、ティファの止めを邪魔された

ヒュンケルは激怒した。敵を救うつもりかと!

「お前達!今は逃げろ!!」

腹部を刺されても平然とポップ達に退却の指示を出す。

「でもマァムが!!」

逃げるのならば全員でなければ意味が無いが、マァムはヒュンケルの側で気絶をしてしまっている!

「安心しろ!この男は婦女子に手に掛けたりはせん・・例外はいたようだがな・・」

「ふふ、その通りですね。」

クロコダインはヒュンケルの人柄からマァムの身の安全を保障しようとしたが、ティファを見て慌ててティファの事は例外だと付け加えてティファを苦笑させた。

 

(・・そろそろ私も限界だ)

この流れなら「デルパ!」

クロコダインのガルーダで・・

「離せよ!!まだマァムとティファが!!」-バサ・バサ-

逃がしてくれたか。

この傷で行っても出血死しそうだ・・ポップ兄、ダイ兄は頼んだ・・

 

幸か不幸かティファの思惑通りに原作の道を進み-三人-でヒュンケルに捕まった。


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