勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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ポップがしごかれまくる回です。
よろしくお願いします。


再び島へ

「俺はアバンよりも厳しいぞ、音をあげたらすぐに放り出すからな。」

「構わねえ!俺は強くなりてえんだ!!」

二度とヒュンケルのようなことが起きない様に、あんなのは二度と御免だ!

目の前の大切な奴を見捨てない為にも!!

ポップの目には炎の様な力強い意志が煌めいている。

 

(ほう、こいつはなかなか・・アバンの奴、いい弟子をとったもんだな。)

優し顔つきからもう少し甘ったれを想像していたが、どうしていい面構えをしてやがる。

 

マトリフは万能薬研究以来、心が燃え上がるのを感じてにんまりと笑う。

「そんじゃま地獄の一丁目に行く気で励んでもらおうか。」

その言葉を聞いたダイ・マァム・バダック・エイミは青ざめる。

今マトリフが怖い事をサラッといったからだ!

「頼む!!」

当のポップは力強く受け、周りの全員は最早ポップの無事を祈る事しかすべはなくなった。

 

ポップ以外は結界破壊の策を練ることになった。

「火薬なんかその辺にあるもん適当に使っていいぞ。」とマトリフが許可をくれたので、

早速パプニカの発明王・バダックは取り掛かり、ダイは助手をする事になった。

意外とダイは手先は器用な方だった。

散々妹の薬作りや料理の手伝いをさせられたのが今役に立って嬉しく思う。

これがレオナの助けになるのだから。

マァムとエイミは何とか気球を修復できないかとそっちにせいを出す。

 

洞穴で四人が作業をしている時、ポップは文字通り地獄の特訓をしている。

体力テストはすぐに合格をもらえたので、ルーラを取得するための基礎として、手足を縛られて

重石付きで川の中に放り込まれた!!

(魔力を・・体全体に纏って!!放出して飛ぶ!!)

自分は以前瞑想中に無意識で飛べていたらしい。

今度はきちんとイメージをすれば・・こんなところでくたばってたまるか!!!

果たして、「げほっ・・はぁはぁ・・」

無事に岸のふちに着地できた。

(・・この人無茶苦茶だ・・)

自分にヒャダルコを習得させようとドラゴラムでドラゴン化したアバン先生もだが、

今目の前にいる老人も大概だ・・でも今の自分はこの位の無茶をしないと短期間で強くなれないのが

現実だ。

「ほう、もう出来たのか。」

どうやらマトリフの予想よりも早く出来ているらしい。

「へっ、まだまだいけるぜ。」

苦しがりながらも憎まれ口をたたくとは本当に対した奴だとマトリフは感心をする。

「それじゃあさっきの滝までルーラできるようにしろ。

 さっき連れてった所だ、イメージをして魔力を操れるようにしろ。 

 そいつが出来れば大概の魔法が使いこなせるようになって、今まで使っていたのも

 威力を上げられるはずだ。」

「上等だ・・やってやる!!」

疲れた体も厭わずにポップはすぐさまルーラの特訓に入り、マトリフを心の底から感服させる。

(こいつになら、俺のオリジナルの魔法を教えてやれる。)

威力と殺傷力が高すぎて今まで誰にも・・それこそ-坊や-にも教えなかったとっておきの自分の魔法を、大魔導士マトリフの大魔法を託せる。

-仲間を他者を見捨てない-

そんな理由で戦うポップになら。

 

 

ポップは何度も失敗をして地面に激突を繰り返したがへこたれずに挑戦をし続け、日暮れ前に

ようやく成功をして滝につき、にんまりと笑ってそのまま洞穴にまでルーラで移動した。

体はボロボロだが、「帰ったぜ師匠。」

心は軽く、マトリフを師匠と呼んで報告をする。

 

 

ポップが戻った少し後に、

「勇者ども!!姫の命はもって明日の日没までだ!!!

 さっさときやがれ虫けらども!!!」

 

しびれを切らしたフレイザードが悪魔の目玉の拡声器で近隣の島々に聞こえるように怒鳴っている。

これであのお人好しどもは来るはずだ、来たらズタズタにしてやる。

 

ポップは修行が間に合い、ダイ達も爆弾づくりを終えたところだった。

間に合ったと誰もがホッとした。

明日の日没まで、裏を返せばそれまではレオナが殺される確率は低い。

人質は生きてこそ人質になる、あの卑怯者がむざと手駒足りうるものをなくすはずがないというのが

マトリフの見立てだ。

明日の日没までに助ければいい、希望はまだある!

問題はどうやって行くかだ。

気球も直ってはいるが目立ちすぎる。

敵に上陸場所を隠して島に行くには船しかない。

如何にポップがルーラをマスターしていても、行き先はいきなりフレイザードがいる中央塔に行ってしまう。

それでは自殺行為だ。

かといって船ではバルジの大渦が行く手を阻む。

 

「俺がバシルーラの要領で島まで飛ばしてやるよ。」

誰に頼まれるでなく、マトリフが頼もしく言った。

(こいつら見ていると手前から力を貸してやりたくなっちまう・・俺も甘くなったもんだ。)

人嫌いだと言っていたのが嘘のように。

 

 

船は全員乗れば定員オーバーになってしまう。

爆弾の使い方はバダックの方が心得ているのでエイミが残る事になった。

「皆さんどうかご無事で。」

姫の事もあるが、エイミは全員の無事を祈りつつ心配そうに送り出す。

「大丈夫だよ、俺絶対レオナを助けて戻ってくるから。」

「そうだぜ、なんかうまいもんでも作って待っててくれ。」

「必ず戻るわ。」

「姫様と共にの。」

そんなエイミにダイ達は笑って答える。

ポップもマトリフの-薬-で体力・魔力共に全回復して溌溂とエイミに声を掛けている。

 

「いいかお前達助けるのも大事だが、まずは手前の命を大事にしろよ。

 死んじまったら元も子もねえんだからな。」

マトリフも口悪くではあるが、優しい瞳でダイ達を送り出してくれる。

「「「「はい!」」」」

「お世話になりました。」

「いって来るぜ師匠。」

「マトリフおじさんありがとうね。」

「マトリフ様、ご助力感謝いたす。」

ダイ達もマトリフの分かりづらい中にある優しさをきちんと感じており、エイミと同じく

笑顔で応えるが、

「特にポップ、お前はまだまだひよっこだ。

 帰ってきたら地獄の特訓の続きだからな。」

「望むところだ!!」

無茶苦茶師弟のやり取りに凍り付く。

回復するまでのポップは本当にぼろ雑巾の如くだったのに・・まだやるのかこの二人は!!

この二人には似た者同士二人以外は頭痛がしてきた気がする。

 

「んじゃ行くぞ。」

マトリフは船に向かって魔力を放ち、「でええい!!」

一気に放出をすれば-フワ― -ギューン―

浮き上がった船はあっという間に見えなくなった。

「行ったか。」

「・・あの・・マトリフ様。」

見送っているエイミが不安そうな顔でマトリフを呼んだ。

 

「どうした姉ちゃん。」何かあいつ等忘れたか?

「あの船はどうやって止まるのですか?」

「あっ!・・いけね・・ブレーキの方法考えたなかった・・」

「そんな!!」

「・・しゃあね!なんとかすんだろうあいつらなら。」

「・・皆さん・・どうか無事に・・」

マトリフのうっかりさと適当さを見せつけられたエイミは再び全員の無事を心から祈ったのだった。

 

 

―ギュン―島があっという間に見えてきたが、

「これどうやって止めるのよマトリフおじさん!!」

「ぶつかる!!」

あとわずかで海岸の崖に激突だ!!

「おお!!」

ダイは最大限に集中力を高める。

あの力なら!!-ヒィーン!!-「バギクロス!!」-ギギギ!!-

自らの意志で紋章を発動をさせてバギクロスが撃てた!

(やった!自分で力をコントロールできた!!)

助かった事もさることながら、自分の中の力を制御できた喜びの方が大きかった。

島にいた時かけっこでも木登りでも妹に負けていたのが悔しくて、どうしたら力が付くのかを聞いたことがあり、教えて貰った。

 

「何事も集中あるのみ!自分の中に力があるのを信じて体の隅々までイメージして使えばいいんだよ。」

妹の言う通り、己の力を信じて集中した結果上手くいった。

「やったなダイ!力を使いこなせるようになったんだな!!」

ポップも弟弟子の成長を喜んで、ダイの頭をわしゃわしゃしながらぎゅうぎゅうと抱きしめてやる。

前回は助けるはずのヒュンケルを、力が制御できずに殺しかけてしまいどん底まで落ち込んでいた

のを見ていると、この成長が我が事のように嬉しくなり共に大はしゃぎをする。

「痛いよポップ!でも嬉しい!!」「おう!」

「・・ところで・・帰りどうしよう。

 船壊れちゃったけど・・」

はしゃぐ弟弟子たちに、しっかり者の姉弟子マァムが二人を現実に戻す。

船は見事なほどバラバラに全壊していて、いかな発明王のバダックにも修復不能だ。

 

「ったく師匠の奴、ぜってえブレーキの事忘れてやがったな。」

ダイを離したポップは頭をがりがりと掻いてマトリフに呆れ果てる。

マトリフもだが、実はアバン先生も時々信じられないようなうっかりさをやらかした時がある。

天才は日常においてはうっかり屋なのだろうか?

 

「ふぇくしょん!!!」

「・・どうしましたかマトリフ様?」

「・・いや・・なんか急に・・」

ポップの呆れが通じたのか、マトリフは急なくしゃみと寒気に襲われるのだった。

 

 

「まあ帰りは俺のルーラで何とかなる・・着地はまだ練習中だけど何とかなんだろう。」

実は滝は二往復したのだが、どちらも着地はボロボロで洞穴の時も激突音で皆を驚かせてしまったが

いまはそれよりも、

「敵は俺達に気が付いてねえから作戦会議すんぞ。」

なんだかんだあったが、当初の目論見通り敵に気づかれることなく上陸で来た。

時間は無駄にはできない。

 

「戦力分散になるけど、二手に別れよう。

 戦力的に言ってオールマイティーなダイと爆弾を使うのがバダックさん。

 バダックさん、爆弾の使い方を教えてくれ。

 俺はマァムと氷の柱の方に行く。」

「うむ、作りは単純じゃ。

 この出ている縄に火をつけてすぐに投げればいいだけじゃ。

 思いっきり投げて叩きつけるようにすれば普通に投げるよりも威力倍増じゃ。」

「分かった、皆気を付けろよ。

 あの野郎も馬鹿じゃねえ、むしろ蛇みてえに狡猾な奴だ。

 もしかしたら魔王軍の増援呼んでるかもしれねえ。

 多少時間がかかっても敵に見つからない様に柱に近づこう。」

 

ポップの予感は正しく、その言葉通りに島には魔王軍の増援が待ち構えている。

「んじゃ行くぞ皆!」

「「「応!」」」

 

二手に分かれてのレオナ救出作戦が開始された。

 




原作以上のスピードで心身共に成長するポップでした。
次回は様々な人達の再会ですが、主人公は出てきません。
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