「ってこたあ何か?あの後ずっとティファと居たのかよ?」
マグマから逃れて暫くした後にティファの鳩から手紙が届いたが!そんなことは欠片も書かれてはいなかった!!後でヒュンケル共々雷落とす!!!
三者三様にティファの事を思っていれば、「ちょっと待て!!!」
何やら怒れる魔王様の声がした。この説明の間ずっと手出ししなかったのは昔のハドラーならば考えられんと、しみじみと思うヒュンケルではある。
見れば何やらわなわなと震えている。やはり自分が反旗を翻したのが許せないかと、ハドラーからの罵倒を甘受しようとしたが、「ティファが島に来ていないだと⁉」・・そっち⁉
何でティファが来ていないのに怒っているんだ?普通はヒュンケルの反逆を詰る所だろうが!!
ポップとマァムはそう思ったのだが、ハドラーの考えは全く違った。
ブラッディ―・スクライドが飛んできた時は確かに驚いた、ヒュンケルが生きていた事に。
やはり日頃から仲の悪いフレイザードがヒュンケルを殺そうとし、死の淵から這い上がってきて復讐に来たかとチラリと考えが浮んだので反逆には驚かなかった。
少し前の自分なら、鼻水をぶら下げて右往左往していただろうが今はそっちは別にいい!反逆をしたならば返り討ちにすればいいからだ。
そんな事よりも!「ヒュンケル!本当にティファはここには来ていないのか!!」二度も聞いてしまう。
「そうだ!この二人に説明した通りだ!!」・・どうやら本当のようだ。
「んだよ・・ティファ、ティファって連呼するな!!気安いぞハドラー!!!」
何度も妹の名を呼ばれてハドラー相手にポップがぶちぎれた。
「あいつな!俺等と違ってアバン先生からなんも教わってねえんだぞ!!
ちょっと口が悪かったからって仕返ししようとすんじゃねえ!!!俺達が相手だ!」
「あんないい子を狙うだなんて最低よ!ティファは武術家でも剣士でも戦士でもないのよ!!」
あいつは、あの子は料理人だ!!!
「・・・お前達・・ティファに騙されていないか?」
あんなに強い者の何を庇おうとしているのだこの二人は?はっきりと言えば、島で戦った時よく自分は生きているなくらいに自分は思っているのに、この二人なぞ全く及んでいないのが分からないのだろうか?
人を見る目がないのかと思わず頭をがりがりと掻いてポップとマァムを心配してしまう。
「何だと!!あいつはちっとは腕がたつかはしんねえが、戦士じゃねえぞ!!」
「戦いに巻き込まないで頂戴!!」・・・・やっぱり騙されてるぞ二人共。
自分から魔王相手に倒します宣言をしてきた者を、戦う者でないと言われて誰が納得をするんだか。
宣言を間近で見ていたヒュンケルも微妙な顔をしている。ヒュンケル程の実力があれば、ティファの実力も分かっているのだから、なおのこと複雑だろう。
一体ティファはこの二人にどんな接し方をしてきたんだか、自分なぞ無礼な態度しかとられていないのに、だがまあいい。ティファがいなくともやる事は同じだ。
「貴様も小娘に誑かされた口か、ヒュンケル。」
少し挑発をすれば、「貴様が彼女を小娘呼ばわりするな!!!」烈火のごとくの怒りを向けてくる。
しかしその瞳には、かつての闇が消え失せている。これもティファの影響か、厄介な奴だ本当に。
その場に居ても居なくとも魔王軍に何かしらの被害を与えるのだから。
「魔王軍に反旗を翻してただで済むと思うな!ヒュンケル!!」
「望む所だ!先に行け二人共!!」ここでハドラーを相手にできるのは幸運というものだ!!
「そんな!三人で倒すぞ!!」
「・・すまない、分かってくれ二人共。」父の仇は一人でとりたい。
「分かった・・その代わり必ず追いついて頂戴!!」
「待ってんぞ!」
「ああ、必ず追いつく。」
良い弟妹達だ。
「気安く約束をしていいのか?約束が破られた時、二人の心の傷が深くなるぞ。」
「破らなければいい・・それよりもハドラー!!貴様に問う!!!」
二人が居なくなったのを機に、ヒュンケルは殺意を瞳に浮かべる。
「わが父バルトスを失敗作呼ばわりして処刑をしたか!!!」
「・・そうだと言えばどうする?」それを知られたか。
「貴様を斬る!!」
「・・・・確かに俺はバルトスを処刑をした。」しかしそれは故あっての事!
破れたならばともかく、如何なる理由があろうとも門番が敵を素通ししていいはずがない!!
その判断は今も間違っているとは思えない、しかしだ「あやつを失敗作呼ばわりをしたのは、
謝罪しよう。」
どの様な事で知られたかは知らないが、養父への侮辱は詫びねばならん。
「今の俺には分かる、あ奴にはあ奴の騎士道精神をもって戦ってくれていたのだと。」
それが結果あの甘い行動になったとしても、そこは侮辱すべきでは無かったと今の自分には悔やまれるべき部分だ。
本気かハドラーは。その声音と瞳には嘘は見られない。
「その謝罪は受け取らせてもらう、しかし!仇は討たせてもらう!!」
やはりあの死に様を見て、許せるものではない!!
-一度きりですよヒュンケル、仇の思いで戦うのは-ここに来る途中で約束をしたティファの言葉を思い出す。
分かっている、復讐は一度きり!その後はダイ達を助けるのを一番として剣を振るおう!!
二人の戦いは凄まじいものとなった。ヒュンケルの鎧には魔法は通じづらく得意の火炎系は封じられているが、ヘルズクローで応戦をする。
しかし剣での戦いはヒュンケルの方が上回り「ブラッディー・スクライド!!!」
大振りになったハドラーのヘルズクローを弾き、心臓をぶち抜く。勝ったとヒュンケルがそう思った瞬間、-左の心臓-をぶち抜かれて口から血を吹いたハドラーの顔がニヤリと笑う。なんと右手が自分の左胸部を貫通してきた!
「甘いわヒュンケル!!!」-ゴオウ!!-
殺ったと思い気を緩めたヒュンケルの隙を突き、右手のヘルズクローを貫通させてそのまま鎧の中にメラミを流し込む!
「う・・ぐう・・ぐわあああ!!!」-ドシャ!-
如何にヒュンケルが強くとも、体内に炎を流し込まれてはなす術がなく、地面に崩れ落ちる。
「貴様は・・何故死なん・・・」
「ふん、俺には心臓が二つある。一つ潰されたとて問題はない。」
ハドラーは何気なく言うが、心臓を潰された激痛はあったはずだ。なのにそれに構わず反撃をしてきた・・・確実に強くなっている・・それでも・・勝ちたい!父の仇を!!
ヒュンケルもまた精神力のみで立ち上がり、剣を兜の位置に戻す。
最早立っているのがやっと・・それでもできる事はまだある。
-命ですよ、ヒュンケル-
-・・分かっています先生・・-あの技-を使います-
かつては心の底から憎んだ師の言葉を思い出し、気力で立ち上がったヒュンケルは心の中で師と話す。
一度だけ教えて貰ったあの技を。
む!ヒュンケルは何を?
手をクロスさせて・・闘気が・・しまった!!
「ベギ・・」
「遅い!!クルス・・グランド・クルス!!!!」-カァアアアアア!!-
もしも攻撃の手段がなくなった時のアバン流の奥の手、己の命を闘気にして放つ大技を放った。-せん・・せえ・・教えてくれて・・ありがとう・・-
グランド・クルスは本来は剣の柄程度の大きさの集中技だが、ハドラーを討つためにとんでもない規模で撃ってしまい、ギリギリ生きていられる程度まで消耗し気を失ってしまう。
その後生きていたハドラーの殺気に体が無意識に動き、仇を討てた。
駄文ですが、戦闘シーンが本当に才能がありません・・・・
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