勇者一行の料理人   作:ドゥナシオン

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やっぱり書きます、アフターフォローストーリー


洞窟のお茶会

島での決着がつきレオナを無事に救出した後、タイミングを計ったように気球でエイミとマトリフが迎えに来てくれた。

「俺を誰だと思ってやがんだよ。水晶の一つも扱えねえ奴が大魔導士名乗るかよ、ひよっこどもが。」

タイミング良すぎて唖然茫然したダイ達に悪態をつきながらもテキパキとレオナを診察をして、エイミとバダックと姫を気球に乗せて三人を返した後、有無を言わさずダイ達とクロコダインとヒュンケルも無言で掴んでルーラで洞窟に連れ込んだ。

「お前らけがの具合見せてみろ、特に鎧を貫通されてるお前が一番だ。ダイはマァムで足りんだろ。」

水晶で見た時は寿命縮むかと思った。まだほんの子供の彼等が命懸けで戦っているのを見ているしかできない己を呪いつつ。

ダイ達には王族を助ける気はないと言ったが、本当は助けられないが正解。

長年の無理が祟り、長時間は戦えない。仮に奥の手で今回の敵を倒せたとしても、ダイ達の成長の妨げにしかならない。

自分はもういつでも戦いに行ける身ではない、ならばせめて子供達の成長を妨げる老害にはなりたくないと、サポート役に徹するつもり・・だったが、「・・・おめえさん、何でこんなに、軽傷なんだ?」

 

鎧の傷からして体内は大ダメージだろうと、急いで斬撃・体内ダメージ用の万能薬を作ったのに、必要がない程綺麗に治っている!

よく見れば、あの激闘の割には全員の怪我が少なすぎる。

ダイ達の今のレベルと、今回の敵との実力差と能力を考えて火傷・凍傷用もこさえていたのに、そちらも出番がないようだ。

ヒュンケルと呼ばれている若者の肩にベホイミスライムが乗っているが、そんなものでは間に合わない筈。

軽傷なのはいい事だが、「おいポップ、ちょっと来い。」

なにか回復薬を持っていたのだろうか。

「・・んだよ師匠・・俺もう寝てえんだよ!」

 

洞窟の中には机と数脚の椅子がある。いつか-嬢ちゃん-と-坊や-達を招待するために。

その椅子をポップは無断でマトリフの前に持ってきて、ドカリと腰を掛ける。

「・・・今日は見逃すがな、次はそれ使う時は許可とれよ。

それよりもお前達、いやに傷が少ないじゃねえかよ。なにか回復薬を持って行ったのか?」

「あ~あそれか~んふふふふ~」自分の自慢の妹分が用意をしてくれたもんだ。

急にポップがニマニマ笑いをし始める「気色悪いぞ!サッサと言え!!」

「分かったよ、理由があって別行動をしている奴が用意してくれたんだよ。」」

「・・なんで来れなかったんだ?」

「あ・・そう言えば・・ヒュンケル!何で-ティファ-の奴来れなかったんだ?」

「そうだよ!ティファどうして来れなかったの?」

「まさか大怪我したの⁉」

あの溶岩に巻き込まれて、助けたヒュンケルとクロコダインに薬を託して治療中なのかとダイ達は案じる。

 

ティファ・・あの嬢ちゃんの本名か?

「いや、ティファに怪我はない。薬のストックが切れたから作りに行った。」

「えー!それってたくさん作れないの?じいちゃんは沢山作って保存してたよ。」

「既存の物よりも効きがいい分、保存が難しいらしい。」

「そうか・・」

「しゃあねえ、俺達の為に作ってくれんだから。」

「我慢しましょうダイ。」

「それから伝言もある。この先はもっと強敵が来るから、早めに備えたいそうだ。」

 

―強敵-その言葉にダイ達の顔が真剣になった。今回の件で自分達は間違いなく魔王軍の一番の敵と目されたはずだ。

軍団長を三人も撃破し、うち二人を一行に引き入れて戦ったのだから。

今後は魔王軍も本腰を入れてくるはず、ティファはそれすらも見越して自分達よりも先の道を進んでいる。

「・・やっぱあいつは凄えな・・」早く会いたい、会ってあのニコニコ顔でいつもの様に料理を作って欲しい。

-料理人はいつでもどこでもどんな時でも料理を出すんです-

そう言っていたのに。

 

ダイ達のみならず、ヒュンケルとクロコダインもいれた全員のしょげように、マトリフは少なからず驚いた。

まるでアバンが一年間不在だった時の、かつての自分達を見ているようだ。

-ある事-があり、アバンは一年間おらず、自分を入れた一行の者達の精神的ダメージは計り知れなかった。

そこまでとはいかなくも、-ティファ-とはこの一行の精神的支柱の要のような存在なのだろうか。

 

「そういえば・・」

クロコダインは腰の巾着をごそごそと探った。ティファから青のマジックリングの他に、オレンジのマジックリングも預かっていたのを思い出した。

戦いの後に出してほしいと言われて。

ポップ達に言って机の上を片付けさせて出してみれば、中身はお茶会セットだった。

茶葉が入った瓶・日持ちをするクッキーと焼き菓子、ティーポットにマグカップが七・八個、それとレモンとスライサー用の果物ナイフ。なんと酒瓶も二本とアメの入った瓶も入っていた。

きちんと湯沸かしポットも入っている。

 

「・・・・これって全部ティファが用意したのかな?」

「そうだろな・・」

「いつの間に?」

三人は不思議そうな顔をした。バルジ島に来る前はずっと一緒に居たはずなのに、いつの間にこんなものを用意をしたのだろう?しかも不在を前提しているかのように、手紙も入っていた。

 

 

 

-薬の材料集めで不在にしますが、一行の料理人が何も料理を出来ないのではいけません!

なのでこちらを用意をしました。状況は分かりませんが、落ち着いている時に召し上がってください。

もしも誰かにお世話になっているのでしたら、きちんとお礼をしてから一緒に食べて貰ってください。                      

                               ティファより

追伸、ヒュンケルにべほちゃんを貸しました。もしもべほちゃんがヒュンケルと一緒に居たいといった時には好きにさせてあげてください。

モンスター筒も入れておきました。-

 

 

 

見れば白いモンスター筒も机の上にあった。

「だって、べほちゃんどうしたい?」

唯一モンスターの言葉が分かるダイが、べほちゃんに今後の事を聞いてみる。

「-僕はずっとヒュンケルと居る!この人放って置いたら死んじゃうよダイ!!-」

べほちゃんは触手をヒュンケルの頭に回し、へばりつきながらダイに訴える。

「おい、いいのか?ティファと居るよりも俺達といる方が危険だぞ?」

ダイとティファほどではないが、育った環境で何となくモンスターの言葉と気持ちが分かるヒュンケルは、べほちゃんの言いたい事を察して困惑をする。

ティファとも別れた後、クロコダインと道々話し合い、魔王軍の本拠地である鬼岩城に偵察に行こうと。

危険は一行の中でも最も危険な所に、果たしてべほを連れて行っていいかどうか悩むところだ。

しかしべほちゃんはひっしりとヒュンケルにしがみつき、二本の触手を合わせてウルウルとした瞳でヒュンケルを見上げ、絶対に置いていかないでと目で訴える!

「・・分かった、よろしく頼むぞべほ。」しょうがない奴だと苦笑をしながら受け入れる。

「ダイ、筒はいい。べほは俺の肩に乗って移動するだろうし、何かあったら隠れているように言っておく。」

べほはガッツポーズをして大喜びだ。

 

その光景を微笑ましげに見ていたマァムは、机の端の小さな小箱に気が付いた。

「何かしら・・」よく見ればゼンマイねじがあり、ダイ達も寄ってきて蓋を開けてみれば、それはオルゴールだった。

-疲れた時に聞いてください-メッセージも入っていた。

マァムがねじを巻いてみれば-キィンティン~-音楽を奏で始める。

綺麗な音色に、マァムはうっとりとする。

これはティファがたった一度だけアバンを頼って一緒に作ってもらったオルゴール。

二日目の特訓後、ダイ達が昼寝をしている時の事。

ティファとしては決死の思いで顔を真っ赤にしながら作り方を教えてほしいと頼めば、

-ティファさんが私を頼ってくれました!!-

内心でジンとしながらともに作ったのだった。

 

曲名は-星に願いを-それはティファだけが知っている異世界の音楽。

その曲の様に、皆の上に幸せが訪れますようにと祈って作られたオルゴール。

 

そのゆったりとした音楽を聴きながら、ダイ達はお茶会の準備を始める。

「ポップ、お湯湧いたからマグカップを持って行って。」

「あいよ~、ダイも手伝え。」

「これでいいかな?」

「クロコダインは酒か?」

「俺は紅茶でいい。」アメを食べたいからな。

 

 

こいつは・・。

マトリフは心底驚いた。クロコダインとヒュンケルの事はダイ達は話していないが、自分の情報網で、二人が元魔王軍なのを知っている。

別にその事をとやかく言うつもりは毛頭ない、かつてアバンも敵を改心させていたからだ。

大人の対応で許すのは分かるが、ダイ達からはそれ以上の、何と言うか二人は元からいる、古くからの仲間だったような印象を受ける。

ヒュンケル達の方は罪の意識があるだろう。それを感じるが、悲壮感や暗い影が一つも見当たらない、ダイ達がもう二人に許しを与えたのだろうか?

子供特有の優しさと柔らかい心で。アバンの教えか、それともまさか。

 

先程の手紙をもう一度読み返してみる。間違いなく嬢ちゃんの筆跡だ、ロカの薬メモと届けられた手紙と同じ。

しかし内容が、まるでアバンが書いたような飄々とした感じを受ける。いや、アバン以上の事をしている。

あいつもよく料理を作っていたが、音楽までは考えていなかった。

お茶会セットと、そして今流れているオルゴールの音色でこの穏やかな雰囲気が出来た気がする。

自分の知っている嬢ちゃんとは全く違う、確かに嬢ちゃんは音楽の才もあったが、もっと子供らしく、こんな風に飄々とした手紙を書いてきたことはただの一度もない。

・・まさかアバンの真似をしているのか?師を喪ってしまったダイ達の心を支えるべく、だとしたら納得がいく。アバンを喪ったというのに、ダイ達に悲しみはあれど、心に暗い影は見て取れなかった。

-嬢ちゃん-がアバンの真似をして癒したというのなら「おいポップ。」

「何だよ師匠、もうちょっとで出来っから。」

「そうじゃねえ、ティファって奴はアバンから何か頼まれごとをしていたか。」

「いや・・でも-眼鏡-を預かってくれって。」

眼鏡だと!「分かった、早く準備しろよ。俺は酒を飲む。」「へいへいっと。」

ポップをけむに巻きながら確信をした。

 

間違いねえ、嬢ちゃんの奴!アバンの代わりをしてやがる!!

伊達眼鏡の理由を自分は知っている、ならばアバンがティファに預けたものはこいつ等だ。

 

ティファは文字通りアバンの全てを預かり、見守りながら育てようとしている。何かあればすぐに助けられる位置にいながら。

 

 

 

-大丈夫か?-マトリフは一抹の不安を覚える。

ティファのすることでダイ達は一喜一憂をしている、この状態でアバンの様にティファに何かあれば大変な事になりそうだと。

 

 

-後にマトリフの予感が的中をする。ティファもそれを見越して様々な対策をしたのだが、まさかあれ程一行とその周りの者達の精神ダメージが大きくなるとは予想だにしていなかった-

 

師匠できたぜ~。ポップののんびりとした声が、暗い思考を破る。

今考えても詮無い事だ、今はそれよりも喜連の無事に帰って来た事を喜ぼう。未来は誰にも分からないのだから。

「おいポップ!ゴブレットは大目に出しておけ、気が利かねえな。」

「分かったよ!・・飲んべ・・」-ゴン!!-

「ってえ――!!あにすんだよ暴力師匠!!」杖で人の頭叩きやがった!!

「うるせえ!弟子の分際で師の事をあれこれ言うんじゃねえ!!」もっと叩かれてえか!

「あんだと!!」

「なんだ!!!」

 

マトリフとポップの師弟喧嘩に、一同は唖然としたが次第にマァムはおかしくなり、くすくすと笑い、それがダイ達にも移り大笑いになった。

「お茶冷めちゃうよ~。」

「マトリフ殿も飲まれよ。」

「ポップも少し落ち着け。」

「マトリフ叔父さんも座って頂戴。」

「ちぇ!」

「け!」

 

二人は赤くなりながらも席に座り、座ったポップは真剣な顔をマトリフに向ける。

「師匠、助けてくれてありがとう。」真摯な声でお礼を言い「「ありがとうございました」」

ダイ達もそれに続き、マトリフを大いに照れさせてお茶会が始まった。

 

皆良い子達だ、クロコダインとヒュンケルも俺からすりゃあ良い子に入る。

己の犯した大罪と向き合うののには生半可な覚悟ではやれない。その覚悟が二人にはある。

嬢ちゃんにも会いたかったが、いつかそのうちに会えんだろう。

 

 




大枠は残りますが、原作が程よく壊れていきます。

頑張りますので、感想を頂ければ励みになります!

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